事業報告 (2020年4月1日から2021年3月31日まで)
当年度末後の2021年4月1日付で、グループの本社機能に特化する「ソニーグループ株式会社」を発足しました。なお、ソニーグループ㈱及びソニーグループ㈱の連結子会社を「ソニー」又は「ソニーグループ」と記載しています。
ソニーグループの現況
財産及び損益の状況の推移
2016年度2016年4月1日から 2017年3月31日まで |
2017年度2017年4月1日から 2018年3月31日まで |
2018年度2018年4月1日から 2019年3月31日まで |
2019年度2019年4月1日から 2020年3月31日まで |
2020年度2020年4月1日から 2021年3月31日まで |
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百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | |
売上高及び営業収入 | 7,603,250 | 8,543,982 | 8,665,687 | 8,259,885 | 8,999,360 |
営業利益 | 288,702 | 734,860 | 894,235 | 845,459 | 971,865 |
税引前利益 | 251,619 | 699,049 | 1,011,648 | 799,450 | 1,192,370 |
当社株主に帰属する 当期純利益 |
73,289 | 490,794 | 916,271 | 582,191 | 1,171,776 |
1株当たり当社株主に帰属する 当期純利益:基本的(円) 希薄化後(円) |
58.07 56.89 |
388.32 379.75 |
723.41 707.74 |
471.64 461.23 |
952.29 936.90 |
設備投資額 | 272,203 | 332,140 | 344,097 | 513,061 | 485,153 |
研究開発費 | 447,456 | 458,518 | 481,202 | 499,290 | 525,175 |
総資産 | 17,660,556 | 19,065,538 | 20,981,586 | 23,039,343 | 26,354,840 |
純資産 | 3,135,422 | 3,647,157 | 4,436,690 | 4,789,535 | 5,621,476 |
1株当たり純資産(円) | 1,977.72 | 2,344.96 | 2,995.31 | 3,380.96 | 4,499.45 |
1株当たり配当金(円) | 20.00 | 27.50 | 35.00 | 45.00 | 55.00 |
従業員数(名) | 128,400 | 117,300 | 114,400 | 111,700 | 109,700 |
【 連結業績に関する注記 】
- ソニーグループの連結計算書類は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準による用語、様式及び作成方法(以下「米国会計原則」)によって作成されています。
- 当年度末の連結子会社(変動持分事業体を含む)は1,414社、持分法適用会社は135社です。
- 設備投資額は、無形固定資産の増加額を含んでいます。
- 純資産は、米国会計原則にもとづく資本合計を使用しています。
- 1株当たり純資産は、当社株主に帰属する資本合計を用いて算出しています。
売上高構成比(2020年度 ビジネス別)

(注)ビジネス別の売上高構成比は、外部顧客に対する売上高にもとづいて算出したものです。
ビジネス別営業の概況
以下の説明における各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業利益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。

売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比6,787億円(34%)増加し、2兆6,563億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、35%の増収)。この大幅な増収は、主にアドオンコンテンツを含むゲームソフトウェア販売の増加及びプレイステーション®5(以下「PS5™」)発売にともなうハードウェア売上の増加によるものです。
営業利益
前年度比1,038億円増加し、3,422億円となりました。この大幅な増益は、PS5™ハードウェアの製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失、ならびにPS5™発売にかかる販売費及び一般管理費の増加などがあったものの、主に前述のゲームソフトウェアの増収、及びプレイステーション®プラスを中心としたネットワークサービスの増収によるものです。なお、当年度の為替の好影響は153億円でした。
音楽分野の業績には、日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、Sony Music Entertainment(以下「SME」)及びSony Music Publishing LLC(以下「SMP」)の円換算後の業績が含まれています。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比900億円(11%)増加し、9,399億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、12%の増収)。この大幅な増収は、音楽制作及び映像メディア・プラットフォームの売上が増加したことなどによるものです。音楽制作は、主にストリーミングサービスからの収入の増加により、増収となりました。映像メディア・プラットフォームは、主に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の貢献などによるアニメ事業の売上増加及びモバイル向けゲームアプリケーションの収入の増加により、増収となりました。
営業利益
前年度比457億円増加し、1,881億円となりました。この大幅な増益は、前述の増収の影響に加え、Pledis株式の一部譲渡にともなう売却益65億円の計上及び海外での事業譲渡にともなう利益54億円の計上などによるものです。
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比2,531億円(25%)減少し、7,588億円となりました(米ドルベースでは、23%の減収)。この大幅な減収は、主に映画製作及びテレビ番組制作における減収によるものです。映画製作では、前年度公開作品及びカタログ作品のホームエンタテインメント売上の増加があったものの、当年度において主に新型コロナウイルス感染拡大による映画館の閉鎖の影響により主要作品の劇場公開ができなかったため、減収となりました。テレビ番組制作では、新型コロナウイルス感染拡大による作品制作の遅れなどにより納入数が減少したため、減収となりました。
営業利益
前年度比123億円増加し、805億円となりました。この増益は、前述の減収の影響があったものの、主に新型コロナウイルス感染拡大により映画製作において主要作品の劇場公開ができなかった影響で広告宣伝費が減少したこと、及び前述のホームエンタテインメント売上の増加によるものです。また、メディアネットワークにおけるチャンネルポートフォリオ見直し費用が前年度の170億円に対して当年度は50億円に減少したことも増益の要因となりました。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比705億円(4%)減少し、1兆9,207億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、3%の減収)。この減収は、製品ミックスの改善によるテレビの増収はあったものの、主に販売台数の減少によるデジタルカメラ、放送用・業務用機器、オーディオ・ビデオの減収、ならびに為替の影響によるものです。
営業利益
前年度比519億円増加し、1,392億円となりました。この大幅な増益は、前述の減収の影響はあったものの、モバイル・コミュニケーションを中心としたオペレーション費用の削減や、テレビ、デジタルカメラにおける製品ミックスの改善などによるものです。なお、当年度の為替の好影響は66億円でした。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比581億円(5%)減少し、1兆125億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、3%の減収)。この減収は、主にモバイル機器向けイメージセンサーについて、販売数量が増加したものの、製品ミックスが悪化したことにより減収となったことや、為替の影響及び新型コロナウイルス感染拡大の影響によるデジタルカメラ向けイメージセンサーの販売数量の減少にともなう減収などによるものです。
営業利益
前年度比897億円減少し、1,459億円となりました。この大幅な減益は、研究開発費及び減価償却費の増加、前述の減収の影響、為替の悪影響、ならびに米国の輸出規制を受けて出荷を停止していたモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減72億円の計上などによるものです。なお、当年度の為替の悪影響は86億円でした。
金融分野には、ソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)ならびにSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)及びソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。なお、SFHは2020年9月2日に当社の完全子会社となりました。
売上高構成比 %
金融ビジネス収入
(単位:)
営業利益
(単位:)
金融ビジネス収入
主にソニー生命及びソニー銀行の大幅増収により、前年度比3,612億円増加し、1兆6,689億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高が拡大したものの一時払保険料の減少により保険料収入が減少した一方で、特別勘定における運用益が増加したことにより、前年度比2,992億円増加し、1兆4,709億円となりました。ソニー銀行の増収は有価証券評価損益の改善によるものです。
営業利益
介護事業において固定資産の減損損失を計上したものの、ソニー銀行及びソニー損保の大幅増益により前年度比350億円増加し、1,646億円となりました。ソニー銀行の増益は前述の有価証券評価損益の改善、ソニー損保の増益は自動車保険の損害率の低下によるものです。なお、ソニー生命の営業利益は、前年度比45億円増加し、1,280億円となりました。この増益は、変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額等及びヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益の合計金額の悪化や新型コロナウイルス対策関連費用の計上などがあったものの、株式相場や金利の上昇にともなう責任準備金繰入額が減少したことなどによるものです。
※ビジネス別の売上高構成比は、外部顧客に対する売上高にもとづいて算出したものです。
対処すべき課題
第一次から第三次中期経営計画の振り返り
ソニーは、2012年度より、第一次、第ニ次、第三次と、3つの中期経営計画を実行してまいりました。第一次中期経営計画(2012~2014年度)では「ソニーの変革」をテーマとして構造改革と事業ポートフォリオの組み替えを中心に取り組み、第ニ次中期経営計画(2015~2017年度)では、「利益の創出と成長への投資」をテーマに、各事業で収益性を強く意識した計画を進めるとともに、ROEを最も重視する経営指標と定めました。そして第三次中期経営計画(2018~2020年度)では、「人に近づく」という経営の方向性のもと、「持続的な社会価値と高収益の創出」をテーマに、長期視点にもとづく事業運営を行ってまいりました。具体的には、ブランデッドハードウェア事業の収益力強化、CMOSイメージセンサーへの集中、ユーザーに近づくDirect to Consumerサービスと、クリエイターに近づくコンテンツIPへの投資を着実に実行しました。
今後の経営方針
2021年5月26日には、今後の経営方針についてご説明いたしました。引き続き、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というソニーのPurpose(存在意義)と「人に近づく」という経営の方向性に変わりはなく、Purposeを軸に長期視点での経営に取り組んでまいります。
また、2021年4月には、グループの本社機能に特化する「ソニーグループ株式会社」を発足しました。ソニーグループ株式会社のミッションは「人と技術を通じて事業の進化をリードし、支える」ことです。新たな経営体制により強化された多様な事業間の連携体制は、感動を創るクリエイター、そして感動の主体であるユーザーへのあらたな価値の提供やビジネス環境の変化への対応力向上につながるものと考えています。
ソニーの社会的使命は「感動」を創り、届け続けることです。そして、人々が感動で繋がるためには、人、社会、地球が健全であることが前提となります。ソニーは今後も、長期視点にもとづき、事業活動やさまざまな社会支援を通じて、「人」「社会」「地球」に貢献してまいります。
今後の経営方針の詳細についてはこちらをご参照ください。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/strategy/

剰余金の配当等の決定に関する方針
当社は、株主の皆様への利益還元は、継続的な企業価値の増大及び配当を通じて実施していくことを基本と考えています。安定的な配当の継続に努めたうえで、内部留保資金については、成長力の維持及び競争力強化など、企業価値向上に資する様々な投資に活用していく方針です。なお、配当金額については、連結業績の動向、財務状況ならびに今後の事業展開等を総合的に勘案し、決定していきます。
当年度の期末配当金については、2021年4月28日開催の取締役会において、1株につき30円とすることを決定しました。2020年12月に1株につき25円の中間配当金をお支払いしておりますので、年間配当金は55円となります。
また、2021年度につきましては、2021年4月28日開催の取締役会において、中間配当金予定額を1株につき30円とすることを決定しております。なお、期末配当金については未定です。
Sustainability
サステナビリティ
私たちはテクノロジーと多様な人材を源泉として、社会価値の創造に挑み続けています。さらに、持続可能な社会と環境のための取り組みを加速し、感動あふれる未来の実現をめざしています。

ソニーは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose (存在意義) のもと、「人に近づく」という経営の方向性を掲げています。そして、人々が感動で繋がるためには、人、社会、地球が健全であることが前提となります。これらの考え方のもとで、長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるよう、環境や人権などのサステナビリティに関する取り組みを、ステークホルダーとともに全ての事業で横断的に継続しています。
例えば、2050年までに環境負荷をゼロにすることをめざす環境計画「Road to Zero (ロード・トゥ・ゼロ) 」を策定し、包括的に環境負荷の削減に取り組んでいます。2020年度には、新たに設計する小型製品のプラスチック包装材全廃などの新たな目標を設定しました。なお自社オペレーションの温室効果ガス排出量を2018年度比で2035年度までに72%削減することを含む気候変動目標は、パリ協定と整合する「Science Based Targets」の「1.5℃目標」として再認定されています。

また、新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するため、2020年4月に総額1億USドル(約108億円)の支援ファンド「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を設立しました。主に、「医療」「教育」「クリエイティブコミュニティ」の3つの領域において、支援活動を実施しています。さらに、2020年6月には「Global Social Justice Fund」を総額1億USドルで設立し、社会正義及び人権保護に取り組んでいる団体への支援、社内外でのダイバーシティ&インクルージョンの推進を世界各地で行っています。
ESGに関する外部評価・インデックスへの組み入れ状況はこちらをご覧ください。

ソニーグループポータル サステナビリティ

サステナビリティレポート
