ガバナンス
会社役員の状況
当社のコーポレートガバナンスの状況
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、企業としての社会的責任を果たし、かつ、中長期的な企業価値の向上をめざした経営を推進するための基盤としてコーポレートガバナンスが極めて重要なものであるとの考えのもと、コーポレートガバナンス体制の構築とそのさらなる強化に取り組んでいます。具体的には、次の二つを実施することで、効果的なグループ経営の実現に継続的に取り組んでいます。
(a)執行側から独立した社外取締役が相当数を占める取締役会が、指名、監査及び報酬の各委員会を活用しながら、経営に対する実効性の高い監督を行い、健全かつ透明性のある経営の仕組みを構築・維持する。
(b)取締役会がグループ経営に関する基本方針その他重要事項について決定するとともに、執行役を含む上級役員(ソニーグループの経営において重要な役割を担う者)に対して、それぞれの責任範囲を明確にしたうえで業務執行に関する決定権限を大幅に委譲することにより迅速な意思決定を可能にする。
上記に照らして、当社は、会社法上の「指名委員会等設置会社」を経営の機関設計として採用するとともに、業務執行の監督機関である取締役会の執行側からの独立性の確保、取締役会での活発な議論を可能にするための適正な規模の維持、各委員会のより適切な機能の発揮などに関する独自の制度上の工夫を追加しています。
当社独自の工夫
ガバナンス強化のため、法令に定められた要件に加え、以下の事項を取締役会規定に盛り込むなどして制度化しています。
- 取締役会議長及び取締役会副議長並びに各委員会議長を社外取締役から選定すること
- 社外取締役の再選回数の制限(原則として再選回数5回まで)
- 利益相反の排除や独立性確保のための取締役の資格要件の制定
- 報酬委員へのCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)及びこれに準ずる地位を兼務する取締役の就任禁止
- 取締役の員数を8名以上14名以下とすること
経営機構の概要
当社は、法定機関として、株主総会で選任された取締役からなる取締役会、取締役会に選定された取締役からなる指名、監査及び報酬の各委員会、ならびに取締役会で選任された執行役を設置しています。なお、当社では、ソニーグループの経営全体を統括するCEO、及びソニーグループの経営において重要かつ広範な本社機能を所管する者を執行役としています。また、CEOを含む執行役及びソニーグループの経営において重要な役割を担う者を上級役員としています。なお、当社の経営陣につき、経営における役割や責任の大きさに応じて上席事業役員、専務、常務、執行役員等の職位を付与しています。
*上級役員:執行役及びソニーグループの経営において重要な役割を担う者
各機関の主な役割・責務
取締役会
(2022年度の開催状況:9回)
- ソニーグループの経営の基本方針等の決定
- 当社の経営陣から独立した立場でのソニーグループの業務執行の監督
- 各委員会メンバーの選定・解職
- 執行役の選解任及び執行役以外の上級役員の選解任状況の監督
- 代表執行役の選定・解職
取締役会の構成に関する方針
当社は、取締役会による経営に対する実効性の高い監督を実現するために、取締役会の相当割合を、法令及び取締役会規定に定める資格要件を満たす社外取締役で構成するよう、指名委員会において取締役会の構成に関する検討を重ねています。そのうえで、指名委員会において、各人のこれまでの職歴、経験、実績、各領域での専門性といった個人の資質や取締役として確保できる時間の有無、当社からの独立性に加え、取締役会におけるジェンダー、国際性を含む多様性の確保、取締役会の適正規模、取締役会に必要な知識・経験・能力などを総合的に判断し、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営を推進するという目的に照らして適任と考えられる候補者を選定しています。
指名委員会
(2022年度の開催状況:5回)
- 株主総会に提出する取締役の選解任議案の決定
- CEOが策定する、CEO及び指名委員会が指定するその他の役員の後継者計画の評価
指名委員会の構成に関する方針
当社の指名委員会は取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。なお、指名委員の選定及び解職は、指名委員会の継続性にも配慮して行っています。
監査委員会
(2022年度の開催状況:6回)
- 取締役・執行役の職務執行の監査
- 会計監査人の監督
監査委員会の構成に関する方針
当社の監査委員会は、以下の要件を全て満たす取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。
また、監査委員は、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者より選定するものとしています。なお、監査委員の選定及び解職は、監査委員会の継続性にも配慮して行っています。
- 当社又は当社子会社の業務執行取締役、執行役、会計参与、支配人又はその他の使用人でないこと。
- 当社に適用される米国証券関連諸法令に定める“Independence”要件又はこれに相当する要件を充足すること。
また、監査委員のうち少なくとも1名は、当社に適用される米国証券関連諸法令に定める“Audit Committee Financial Expert”要件又はこれに相当する要件を充足しなければならないとし、当該要件を充足するか否かは取締役会が判断しています。
報酬委員会
(2022年度の開催状況:5回)
- 取締役、執行役及びその他の役員の個人別報酬の方針の決定
- 報酬方針にもとづく取締役及び執行役の個人別報酬の額及び内容の決定ならびに執行役以外の上級役員の個人別報酬の額及び内容の決定状況の監督
報酬委員会の構成に関する方針
当社の報酬委員会は取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。また、CEO、COO及びCFOならびにこれに準ずる地位を兼務する取締役は報酬委員となることができないものとしています。なお、報酬委員の選定及び解職は、報酬委員会の継続性にも配慮して行っています。
上級役員
- 取締役会が定める職務分掌にしたがったソニーグループの業務執行の決定及び実行
上級役員の選解任方針・手続
当社では、CEOを含む執行役及びソニーグループの経営において重要な役割を担う者を上級役員としています。取締役会は、CEOを含む上級役員の選解任及び担当領域の設定に関する権限又はそれらに関する報告を求める権限を有しており、それらの権限を必要に応じて随時行使するものとしています。CEOを含む執行役の選任にあたって、取締役会は、指名委員会が策定するCEOに求められる要件やCEO以外の執行役候補が当社の業務執行において期待される役割等に照らして望ましい資質や経験、実績を有しているかの議論、検討を行ったうえで、適任と考えられる者を選任しています。また、執行役以外の上級役員については、その選解任状況に関する報告を受けています。
また、CEOを含む上級役員の任期は1年としており、その再任にあたっても直近の実績も踏まえて同様の議論、検討、決定、監督を行います。なお、任期途中であっても、取締役会や指名委員会において必要と認める場合、執行役の職務継続の適否について検討を開始し、不適格と認めた場合には、随時、交代、解任を行います。
取締役会からの権限委譲
取締役会は、グループ経営に関する基本方針その他経営上特に重要な事項について決定するとともに、グループ経営に関する迅速な意思決定を可能にすべく、CEOを含む執行役の担当領域の決定及び上級役員の範囲の設定を行ったうえで、CEOに対して、業務執行に関する決定及び実行にかかる権限を大幅に委譲しています。CEOはさらに、当該権限の一部を他の上級役員に対して委譲しています。
その他の役員
- 取締役会及び上級役員が決定する基本方針にもとづく、本社機能、研究開発等の特定領域における担当業務の実行
取締役会・各委員会の実効性評価
[ 実効性評価に関する当社の考え方 ] 当社は、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営を推進すべく、継続的に取締役会及び各委員会の機能及び実効性の向上に取り組むことが重要であると考えています。この取り組みの一環として、当社は、原則として年に1回以上、かかる実効性評価を実施しています。
[ 直近の実効性評価 ] 取締役会は、前回の実効性評価の結果を踏まえた対応が適切になされていることを確認したうえで、主に2022年度の活動を対象とした実効性評価を2023年2月から4月にかけて実施しました。なお、今回の実効性評価は、取締役会議長および副議長による主導のもと、評価自体の透明性や客観性を確保することと専門的な視点からのアドバイスを得ることを目的として、国内外のコーポレートガバナンスに高い知見を持つ外部専門家による第三者評価も取得したうえで、実施しました。
[ 評価プロセス ] まず、取締役会において、前回の実効性評価を踏まえた対応状況及び今回の実効性評価の進め方について確認しました。
そのうえで、外部専門家による第三者評価を実施しました。その評価手法は以下のとおりです。
- 取締役会議事録等の資料の閲覧及び取締役会への陪席
- 取締役会・各委員会の開催・運営実務等に関する各事務局との確認
- 取締役会の構成、運営、取締役自身のコミットメント、各委員会の活動、実効性評価の手法そのもの等に関する全取締役に対するアンケートの実施
- 全取締役に対するインタビュー(Peer Review※を含む)の実施
- 日本及び欧米のグローバル企業との比較等
※Peer Review:取締役相互による個人別評価。今年度は取締役会議長または副議長も出席するインタビューを通じて実施
その後、取締役会が、当該外部専門家より第三者評価の結果についての報告を受け、その内容を分析・審議し、取締役会・各委員会の実効性確保の状況を確認しました。
評価結果の概要
外部専門家による第三者評価の結果として、以下の点も踏まえ、取締役会は、前回と同様、高く評価されるべき構成及び運営がなされている旨の報告を受けました。
- アンケートおよびインタビューの結果からは、取締役の多くが、取締役会の実効性は全般的に高く評価
- 日本はもとより、欧米のグローバル企業との比較においても、取締役会の構成などの外形的要素に遜色はない
-
本年度はPeer Reviewも実施し、また、社長交代に関する取締役会の関与は適切と評価できる
- 前回の実効性評価における当方提言への対応、また取締役会運営全般についても高く評価できるものと確認した
取締役会としては、その報告内容を踏まえて実効性確保の状況について分析・審議した結果、2023年4月時点において、取締役会及び各委員会の実効性は十分に確保されていることを改めて確認しました。なお、当該外部専門家からは、取締役会・各委員会の実効性をさらに高めるために、他社事例も踏まえて検討対象となり得る選択肢案がいくつか例示されました。
今後の取り組み
当社は、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営をさらに推進すべく、今回の取締役会及び各委員会の実効性評価の結果、ならびにかかるプロセスの中で各取締役から提示された多様な意見や外部専門家から提示された視点等を踏まえて、継続的に取締役会及び各委員会の機能向上に取り組んでいきます。
ご参考
コーポレートガバナンス報告書

サステナビリティレポート(コーポレートガバナンス)

取締役及び執行役の状況
取締役
氏名 | 担当及び重要な兼職等の状況 |
---|---|
吉田 憲一郎 | - |
十時 裕樹 | ㈱リクルートホールディングス 社外取締役 |
* 隅 修三 |
取締役会議長 指名委員会議長 東京海上日動火災保険㈱ 相談役、 ㈱豊田自動織機 社外取締役、 東急㈱ 社外監査役 |
* 畑中 好彦 |
指名委員 報酬委員 ㈱資生堂 社外取締役 |
Tim Schaaff (ティム・シャーフ) |
情報セキュリティ担当 |
* 岡 俊子 |
監査委員会議長 明治大学 専門職大学院グローバル・ビジネス研究科 専任教授、 ㈱ハピネット 社外取締役、 ENEOSホールディングス㈱ 社外取締役、 日立建機㈱ 社外取締役 |
* 秋山 咲恵 |
報酬委員 ㈱サキコーポレーション ファウンダー、 日本郵政㈱ 社外取締役、 オリックス㈱ 社外取締役、 三菱商事㈱ 社外取締役 |
* Wendy Becker (ウェンディ・ベッカー) |
報酬委員会議長 指名委員 Logitech International S.A. 社外取締役 取締役会議長 指名委員会議長、 Oxford Nanopore Technologies plc 社外取締役 報酬委員会議長 |
* 岸上 恵子 |
監査委員 公認会計士、 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン 理事、 ㈱オカムラ 社外監査役、 住友精化㈱ 社外取締役、DIC㈱ 社外監査役 |
* Joseph A. Kraft Jr. (ジョセフ・クラフト) |
監査委員 情報セキュリティ担当 Rorschach Advisory Inc. CEO |
- (注1)*は会社法第2条第15号に定める社外取締役であり、全員を東京証券取引所が定める独立役員として届け出ています。
- (注2)監査委員会議長 岡俊子氏は会計事務所や社外取締役・監査役のキャリアを通じて企業経営及び会計に関する幅広い見識を、監査委員 岸上恵子氏は公認会計士としての国内外の多様な企業での監査実務経験と内部統制に関する高い専門性をそれぞれ有しており、両氏とも財務及び会計に関する相当程度の知見を有しています。なお、当社はニューヨーク証券取引所に上場しているため、監査委員全員について一定の独立性が求められることもあり、常勤の監査委員を選定しておらず、監査委員会の職務執行を補佐する者を置くとともに、内部監査、その他社内関係部署及び会計監査人と連携し、監査活動の充実に努めています。
執行役
役位 | 氏名 | 主な担当 |
---|---|---|
代表執行役 会長 兼 社長 | * 吉田 憲一郎 | CEO |
代表執行役 副社長 | * 十時 裕樹 | CFO |
執行役 専務 | 神戸 司郎 | 法務、コンプライアンス、プライバシー、広報、ブランド戦略、サステナビリティ、渉外、取締役会事務局担当 |
執行役 専務 | 安部 和志 | 人事、総務、秘書部担当 |
執行役 専務 | 御供 俊元 | 知的財産、ビジネスディベロップメント、事業開発プラットフォーム担当、中国総代表 |
執行役 専務 | 北野 宏明 | CTO、R&D、AIコラボレーション担当 |
- (注1)*は取締役を兼務する者です。
- (注2)当年度末後の2023年4月1日付で次の執行役の役位及び主な担当につき異動がありました。
役位 | 氏名 | 異動後の主な担当 |
---|---|---|
代表執行役 会長 | 吉田 憲一郎 | CEO |
代表執行役 社長 | 十時 裕樹 | COO、CFO |
執行役 副社長 | 御供 俊元 | CSO、知的財産、事業戦略、ビジネスディベロップメント、事業開発プラットフォーム担当 |
執行役 専務 | 神戸 司郎 | 法務、コンプライアンス、プライバシー、広報、ブランド、サステナビリティ、渉外、品質マネジメント、取締役会事務局担当 |
執行役 専務 | 安部 和志 | 人事、総務、グループDE&I推進、秘書部担当、中国総代表 |
責任限定契約の概要
当社定款規定にもとづき、社外取締役を含む非業務執行取締役全員との間で責任限定契約を締結しています。当該責任限定契約の概要は、以下のとおりです。
- 非業務執行取締役は、責任限定契約締結後、会社法第423条第1項により当社に対し損害賠償義務を負う場合において、その職務を行うにつき善意であり、かつ重大な過失がなかったときは、3,000万円又は会社法第425条第1項各号の金額の合計額のいずれか高い額を限度として損害賠償責任を負担するものとします。
- 非業務執行取締役の任期満了時において、再度当社の非業務執行取締役に選任され就任したときは、責任限定契約は何らの意思表示を要せず当然に再任後も効力を有するものとします。
役員賠償責任保険契約の概要
当社は、当社による保険料負担において、当社及び当社の直接又は間接の出資割合が50%を超える子会社の取締役、執行役、監査役及びそれに準じる役職の者(以下「役員等」といいます)を被保険者とする役員賠償責任保険契約を締結しています。当該役員賠償責任保険契約の概要は、以下のとおりです。
- 被保険者である役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及にかかる請求を受けることによって生じることのある損害賠償金及び争訟費用(弁護士費用を含みます)等が填補されます。
- 被保険者である役員等の職務の執行の適正性が損なわれないようにするための措置として、法令違反の行為であることを認識して行った行為の場合等、一定の支払免責事由が設定されています。
取締役及び執行役の報酬等の額
定額報酬 | 業績連動報酬 | ストック・オプション(注6) | 譲渡制限付株式(注8) | 株式退職金(注9) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 (名) |
総額 (百万円) |
人数 (名) |
総額 (百万円) |
人数 (名) |
総額 (百万円) |
人数 (名) |
総額 (百万円) |
人数 (名) |
総額 (百万円) |
|
取締役 |
8 | 186 | ー | ー (注3) |
ー | ー (注7) |
8 | 46 | 1 | 83 (注10) |
(うち、社外取締役) |
(7) | (159) | (ー) | (ー) | (ー) | (ー) | (7) | (41) | (ー) | (ー) |
執行役 |
8 (注2) |
574 | 7 (注4) |
762 (注5) |
6 | 681 | 6 | 1,131 | 1 | 225 (注11) |
合計 | 16 | 760 | 7 | 762 | 6 | 681 | 14 | 1,178 | 2 | 308 |
- (注1)当社は、執行役を兼務する取締役に対しては取締役としての報酬は支給していませんので、上記の取締役には執行役を兼務する取締役2名は含まれていません。
- (注2)前年の定時株主総会開催日に退任した執行役2名を含んでいます。
- (注3)当社は、執行役を兼務しない取締役に対して業績連動報酬を支給していません。
- (注4)前年の定時株主総会開催日に退任した執行役1名を含んでいます。
- (注5)上記の2022年度業績連動報酬は、2023年6月に支給する予定の金額です。
- (注6)ストック・オプションは、ストック・オプション付与を目的とした新株予約権の費用として当年度において計上した額を記載しています。
- (注7)当社は、執行役を兼務しない取締役に対してストック・オプションを付与していません。
- (注8)譲渡制限付株式は、譲渡制限付株式の費用として当年度において計上した額を記載しています。
- (注9)上記の株式退職金は、2023年の定時株主総会開催日に退任する取締役1名、及び2023年3月31日に退任した元執行役1名に支給する予定の金額です。株式退職金は実際には、在任期間中に積み立てられた株式退職金のポイントに退任時の当社普通株式の株価(終値)を乗じて算出されますが、2023年3月31日現在の当社普通株式の株価(終値)で試算した金額を記載しています。なお、株式退職金については、当年度において、取締役及び執行役分として69百万円の会計上の費用を計上しました。
- (注10)取締役に対する株式退職金のポイント付与を行っていた2016年度までの取締役在任期間中に積み立てたポイントに相当する金額を記載しています。
- (注11)2015年4月から2018年6月、2020年6月から2022年6月の執行役在任期間中に積み立てたポイントに相当する金額を記載しています。
役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針
取締役及び上級役員の個人別の報酬等の内容の決定に関する方針は、報酬委員会が決定することとされており、報酬委員会によって定められた当該方針は、次のとおりです。
取締役報酬について
取締役の主な職務がソニーグループ全体の経営に対する監督であることに鑑み、グローバル企業であるソニーグループの経営に対する監督機能の向上を図るため、グローバルな観点で優秀な人材を当社の取締役として確保するとともに、その監督機能を有効に機能させることを取締役報酬決定に関する基本方針としています。なお、執行役を兼務する取締役に対しては取締役としての報酬は支給していません。
この基本方針を踏まえて、取締役の報酬の構成を下表のとおりとしています。各報酬項目の水準及び構成比については、第三者による国内外企業経営者の報酬に関する調査にもとづき、上記の方針に沿って適切に設定しています。
報酬の種類 | 概要 |
---|---|
定額報酬 |
● 第三者による国内外企業経営者の報酬に関する調査等を参考に、職責及び人材確保の処遇競争力の観点から適切な報酬となるよう設定 |
株式報酬 (譲渡制限付株式又は譲渡制限付株式ユニット) |
● 株主との価値共有を一層促進すること及び健全かつ透明性のある経営の仕組みの構築・維持に対するインセンティブとして、譲渡制限付株式又は譲渡制限付株式ユニット(RSU)を付与 ● 譲渡制限付株式は、譲渡制限期間を取締役在任期間中とし、原則として、退任時に譲渡制限を解除 ● 譲渡制限付株式ユニット(RSU)は、原則として退任時に権利確定し、その後当社の普通株式を交付 |
株式退職金 |
● 在任年度ごとに報酬委員会にて定められるポイントを取締役に付与し、退任時にその累積数に当社普通株式の株価(終値)を乗じて算出される金額を支給 ※2017年度以降については、取締役向けの株式退職金を譲渡制限付株式に置き換えており、当年度は新規のポイント付与を実施せず |
上級役員の報酬について
上級役員がソニーグループ又は各事業の業務執行の中核を担う経営層であることに鑑み、会社業績の一層の向上を図るため、グローバルな観点で優秀な人材を当社の経営層として確保するとともに、短期及び中長期の業績向上に対するインセンティブとして有効に機能させることを上級役員の報酬決定に関する基本方針としています。
この方針を踏まえて、上級役員の報酬の基本的な構成を下表のとおりとしています。各報酬項目の水準及び構成比については、業績及び株主価値への連動を重視し、第三者による国内外企業経営者の報酬に関する調査にもとづき、担っている職責に応じて適切に設定しています。
報酬の種類 | 概要 |
---|---|
定額報酬 |
|
業績連動報酬 |
|
株式報酬 (ストック・オプション、及び、譲渡制限付株式又は譲渡制限付株式ユニット) |
● 中長期的な株主価値向上をめざすインセンティブとして、ストック・オプション、及び、譲渡制限付株式又は譲渡制限付株式ユニット(RSU)を付与 ● ストック・オプションは、原則として、割当日から1年経過後より、毎年3分の1ずつ行使可能数の制限を解除(割当日から3年後に全付与数が行使可能) ● 譲渡制限付株式は、原則として、対象者に株式を付与した事業年度にかかる株主総会日から3年後に、譲渡制限を解除 ● 譲渡制限付株式ユニット(RSU)は、原則としてユニットの付与日から3年経過時に権利確定し、その後当社の普通株式を交付 ● 基本的な方針として、グループ全体への経営責任・影響度がより大きい上級役員ほど、個人別報酬に占める株式報酬の比率が高くなるよう設定(「ご参考:長期視点を促す役員報酬構成」参照) ● 株式報酬は、それぞれの職責に応じ、金銭報酬額(定額報酬と業績連動報酬の支給額の合計額)と株式報酬額の合計額に対して適切な割合となるよう設定 |
株式退職金 |
● 在任年度ごとに報酬委員会にて定められるポイントを対象となる上級役員に付与し、退任時にその累積数に当社普通株式の株価(終値)を乗じて算出される金額を支給 |
(ご参考:長期視点を促す役員報酬構成)
2022年度の執行役の報酬構成は以下のとおりです。業績連動報酬については、標準支給額を用いています。株式報酬については、ストック・オプションの2022年度の付与日時点の1株あたりの公正価値及び譲渡制限付株式の2022年度の発行価額を用いて算出しています。そのため、実際の支給額を反映した報酬構成は、以下とは異なります。
(注)小数第1位を四捨五入して記載しています。したがって、各欄の合計が100%とならない場合があります。
(ご参考:株式報酬制度について)
当社は、当社の取締役及び執行役を含む上級役員に対する株式報酬として、ストック・オプション、譲渡制限付株式又は譲渡制限付株式ユニット(RSU)を付与しています。
かかる株式報酬は、社外取締役を含む非業務執行取締役については、株主との価値共有を一層促進すること及び健全かつ透明性のある経営の仕組みの構築・維持に対するインセンティブとして機能させることを目的とし、執行役を含む上級役員については、株主との価値共有を一層促進すること、ならびに、中長期の業績及び株主価値の持続的な向上に対するインセンティブとして機能させることを目的とするものです。
株式報酬の権利確定・譲渡制限解除の要件や、付与対象者及び付与数等の具体的内容は、第三者による国内外企業の株式報酬に関する調査等にもとづき、報酬委員会において決定又は監督しています。さらに、付与数の決定に際しては当社株式価値の希薄化への影響を注視しています。
役員の報酬等の額又はその算定方法の決定方法
上記報酬方針にもとづいた、取締役及び執行役を含む上級役員の個人別報酬支給額及び内容は、報酬委員会により、又はその監督のもとで決定されています。
具体的には、取締役については、原則、毎年、定時株主総会開催日後に開催される報酬委員会において、各個人の対象事業年度における報酬の基本支給額及び内容を決定し、当該事業年度終了後に開催される報酬委員会において、最終的な報酬支給額を決定しています。上級役員については、原則、毎年、前事業年度の最後に開催される報酬委員会において、各個人の対象事業年度における報酬の基本支給額及び内容を決定又は監督し、当該事業年度終了後に開催される報酬委員会において、最終的な報酬支給額を決定又は監督しています。なお、業績連動報酬については、各上級役員について、業績連動報酬の標準支給額ならびに業績関連指標(各指標の配分を含む)及び個人業績の目標が設定され、執行役については対象事業年度終了後に開催される報酬委員会において、また執行役以外の上級役員については報酬委員会による監督のもとで、それぞれ当該目標の達成度に応じて支給額を決定しています。
2022年度も同様の手続にもとづき、取締役及び執行役を含む上級役員の個人別報酬支給額は、報酬委員会により、又はその監督のもとで決定されており、報酬委員会においては、その内容は上記の方針に沿うものであると判断しております。
2022年度における執行役に対する業績連動報酬にかかる指標の目標及び実績
2022年度における執行役の業績連動報酬の標準支給額は、定額報酬に対して60%~100%の範囲で各執行役の職責に応じ設定しました。執行役の業績連動報酬支給額の算定式は以下のとおりです。
*標準支給額 : 定額報酬の60%〜100%の範囲で設定
**業績連動報酬支給率 : 担当領域に応じて設定された業績関連指標の達成度及び相当領域に関する個人業績の達成度により、原則0%〜200%の範囲で決定
また、2022年度において執行役に適用された業績関連指標、配分、目標値及び実績は以下のとおりです。
評価指標 | 評価ウェイト | 2022年度 目標値(連結) | 2022年度 実績(連結) |
---|---|---|---|
連結調整後EBITDA(注1) | 50% | 2021年度からの3年間において4.3兆円の調整後EBITDA(下記に定義する)の創出を達成すべく設定された数値 | 1兆7,034億円 |
調整後EPS(注2) | 50% | 659.3円 | 737.06円(注3) |
ソニーの第四次中期経営計画においてグループ全体での成長性を高めるべく、最も重視する経営指標とされている調整後EBITDAを指標として設定しました。また、株主価値・資本効率を意識するインセンティブとして機能させるべく、調整後EPSも指標として設定しました。
業績関連指標のうち、2022年度の調整後EBITDAの目標値については、第四次中期経営計画の目標数値である、2021年度からの3年間において4.3兆円の調整後EBITDAの創出をめざすべく、報酬委員会がインセンティブとして有効に機能すると判断した数値が設定されました。
また、2022年度の調整後EPSの目標値については、2022年度の当社株主に帰属する当期純利益見通しとして2022年5月に公表した数値である8,300億円を、2022年度期首希薄化後発行済株式総数で除した659.3円が目標値として設定されました。
なお、2022年度の業績関連指標の実績は、調整後EBITDAが1兆7,034億円、調整後EPSが737.06円(注3)であり、それぞれ目標値を上回る結果となりました。
2022年度の執行役の業績連動報酬は、上記の「役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針」に記載のとおり、担当領域に応じて設定された業績関連指標の達成度、及び担当領域に関する個人業績の達成度を支給額決定の基礎とし、それぞれの達成度を踏まえ、標準支給額に対し、原則0%から200%の範囲で決定されました。
- (注1)調整後EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)=当社株主に帰属する当期純利益+非支配持分に帰属する当期純利益+法人所得税+金融収益・金融費用に計上される支払利息(純額)-金融収益・金融費用に計上される資本性金融商品の再評価益(純額)+減価償却費・償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権、自社制作のゲームコンテンツ及び原盤制作費ならびに繰延保険契約費の償却費を除く)-当社が非経常的と判断する損益
- (注2)EPS(Earnings Per Share)は、1株当たり当社株主に帰属する当期純利益を意味します。 調整後EPSは、当社株主に帰属する当期純利益に対し、当社が非経常的と判断する損益を調整した調整後当社株主に帰属する当期純利益を用いて計算されます。
- (注3)2022年度の調整後EPSの実績値は、2022年度の調整後の当社株主に帰属する当期純利益の実績値を、当該年度の希薄化後加重平均株式数で除して算出しています。
社外取締役の活動状況
独立性に関して当社が独自に定める要件を満たした各社外取締役は、取締役会や各委員会において、多様かつ豊富な経験や幅広い見識、専門的知見にもとづく経営に関する活発な意見交換及び議論を通じて、経営判断に至る過程において重要な役割を果たすとともに、取締役会による経営に対する実効性の高い監督の実現に寄与しています。
各社外取締役の取締役会及び各委員会への出席状況、経験、専門性、発言の状況及び期待される役割に関して行った職務の概要については、次のとおりです。
氏名 | 取締役会及び担当委員会への出席状況 | 経験、専門性、発言の状況及び期待される役割に関して行った職務の概要 |
---|---|---|
隅 修三 |
出席率 出席回数
取締役会 100% (9/9) 指名委員会 100% (5/5) |
取締役会では、取締役会議長として取締役会を牽引し、グローバル企業の経営者として培われた豊富な経験、経済産業界の各方面での取り組みを通じた幅広い見識にもとづき、業務執行に対する監督、助言等積極的な発言を行いました。また、指名委員会では、指名委員会議長として、議事運営を行うとともに、委員間での議論を牽引し、その職責を果たしました。 |
畑中 好彦 |
取締役会 100% (9/9) 指名委員会 100% (5/5) 報酬委員会 100% (5/5) |
取締役会では、取締役会副議長として議長とともに取締役会を牽引し、米国、欧州など海外での豊富な経験や経営企画責任者として企業統合実現の実績などを有し、グローバル企業の経営者としての幅広い経験、高い知見により、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、指名委員会及び報酬委員会では、同委員として付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。 |
岡 俊子 |
取締役会 100% (9/9) 監査委員会 100% (6/6) |
取締役会では、コンサルタントとしてのM&Aを含む幅広い経営戦略立案経験や、会計事務所や社外取締役・監査役のキャリアを通じた企業経営及び会計に関する幅広い見識にもとづき、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、監査委員会では、監査委員会議長として議事運営を行うとともに、フィナンシャルエキスパートとして付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。 |
秋山 咲恵 |
取締役会 100% (9/9) 報酬委員会 100% (5/5) |
取締役会では、国際的な経営コンサルタントを経て、産業用検査ロボット企業を創業し成長させた実績に加え、政府を含む様々な公的委員会やワーキンググループの委員を歴任するなどの豊富な経験により培われた知見にもとづき、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、報酬委員会では、同委員として付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。 |
Wendy Becker (ウェンディ・ベッカー) |
取締役会 100% (9/9) 指名委員会 100% (5/5) 報酬委員会 100% (5/5) |
取締役会では、北米や欧州をベースとするコンサルティング業界での経験や通信・テクノロジー分野を含む様々な企業の経営者としての実績を通じて培われた、グローバルな企業経営に関する実践的・多角的な見識にもとづき、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、報酬委員会では報酬委員会議長として、議事運営を行い委員間での議論を牽引するとともに、指名委員会では同委員として付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。 |
岸上 恵子 |
取締役会 100% (9/9) 監査委員会 100% (6/6) |
取締役会では、公認会計士としての国内外の多様な企業での監査実務経験と内部統制に関する高い専門性に加え、ESGに関する知見にもとづき、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、監査委員会では、同委員及びフィナンシャルエキスパートとして付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。 |
Joseph A. Kraft Jr. (ジョセフ・クラフト) |
取締役会 100% (9/9) 監査委員会 100% (6/6) |
取締役会では、長年にわたるグローバル金融・資本市場での豊富な実務経験にもとづく高い見識や多様な業界に対する幅広い知識やネットワークにもとづき、業務執行に対する監督、助言等適切かつ有益な発言を行いました。また、監査委員会では、同委員として付議案件の審議にあたって積極的に発言を行い、その職責を果たしました。さらに、情報セキュリティ担当としてもその幅広い知見にもとづいた多面的な助言を行いました。 |
- (注1)社外取締役以外の取締役3名(吉田憲一郎、十時裕樹、Tim Schaaffの各氏)は、当年度に開催された取締役会の全てに出席しました。
- (注2)当年度において、監査委員会6回開催の他、内部統制部門との会合を11回、会計監査人との会合を12回行いました。
【注記】
本事業報告中の各項目は、特記している場合を除き、2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)又は2022年度末(2023年3月31日)現在の状況を記載しています。
また、本事業報告では、会社法及び会社法施行規則にもとづき開示すべき事項であっても、当社にとって記載すべき事項がない場合には、記載を省略しています。