事業報告 (2022年4月1日から2023年3月31日まで)
ソニーグループ㈱及びソニーグループ㈱の連結子会社を「ソニー」又は「ソニーグループ」と記載しています。
ソニーグループの現況
財産及び損益の状況の推移
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
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米国会計原則 | 米国会計原則 | 米国会計原則 | IFRS | IFRS | IFRS | |
百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | |
売上高及び金融ビジネス収入 | 8,665,687 | 8,259,885 | 8,999,360 | 8,998,661 | 9,921,513 | 11,539,837 |
営業利益 | 894,235 | 845,459 | 971,865 | 955,255 | 1,202,339 | 1,208,206 |
税引前利益 | 1,011,648 | 799,450 | 1,192,370 | 997,965 | 1,117,503 | 1,180,313 |
当社株主に帰属する 当期純利益 |
916,271 | 582,191 | 1,171,776 | 1,029,610 | 882,178 | 937,126 |
1株当たり当社株主に 帰属する当期純利益: |
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基本的(円) | 723.41 | 471.64 | 952.29 | 836.75 | 711.84 | 758.38 |
希薄化後(円) | 707.74 | 461.23 | 936.90 | 823.77 | 705.16 | 754.95 |
研究開発費 | 481,202 | 499,290 | 525,175 | 545,357 | 618,368 | 735,698 |
総資産 | 20,981,586 | 23,039,343 | 26,354,840 | 27,507,843 | 30,480,967 | 32,041,222 |
当社株主に帰属する資本 | 4,436,690 | 4,789,535 | 5,621,476 | 6,680,343 | 7,144,471 | 7,229,709 |
1株当たり当社株主に 帰属する資本(円) |
2,995.31 | 3,380.96 | 4,499.45 | 5,390.73 | 5,775.63 | 5,856.40 |
1株当たり配当金(円) | 35.00 | 45.00 | 55.00 | 65.00 | 75.00 | |
従業員数(名) | 114,400 | 111,700 | 109,700 | 108,900 | 113,000 |
【 連結業績に関する注記 】
- 1. ソニーグループの連結計算書類は、2020年度まで米国において一般に公正妥当と認められた会計基準による用語、様式及び作成方法(以下「米国会計原則」)、2021年度より国際財務報告基準(以下「IFRS」)によって作成されています。2020年度はIFRSベースの数値を併記しています。
- 2. 財産及び損益の状況の推移については、IFRSに準拠した科目で表示しています。
- 3. 当年度末の連結子会社(ストラクチャード・エンティティを含む)は1,597社、持分法適用会社(共同支配企業を含む)は141社です。
売上高構成比(2022年度 ビジネス別)
(注)ビジネス別の売上高構成比は、外部顧客に対する売上高にもとづいて算出したものです。
ビジネス別営業の概況
以下の説明における各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業利益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比9,048億円(33%)増加し、3兆6,446億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、18%の増収)。この大幅な増収は、アドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェア販売減少などがあったものの、主に為替の影響やハードウェアの売上増加及び自社制作ゲームソフトウェア販売の増加によるものです。
営業利益
前年度比961億円減少し、2,500億円となりました。この大幅な減益は、主にゲームソフトウェア開発費及びBungie, Inc.等の当年度に取引を完了した買収にともなう費用を中心としたコスト増や前述の自社制作以外のゲームソフトウェア販売減少の影響によるものです。この減益は、前述の自社制作ゲームソフトウェア販売の増加の影響やハードウェアの損失縮小により一部相殺されています。なお、当年度の為替の悪影響は324億円でした。
音楽分野の業績には、日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、Sony Music Entertainment(以下「SME」)及びSony Music Publishing LLC(以下「SMP」)の円換算後の業績が含まれています。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比2,637億円(24%)増加し、1兆3,806億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、8%の増収)。この大幅な増収は、アニメ事業の収入減少による映像メディア・プラットフォームの減収があったものの、主に為替の影響ならびに音楽制作及び音楽出版の増収によるものです。音楽制作及び音楽出版の増収は、音楽制作における新作リリースのヒットもあり、主に有料会員制ストリーミングサービスからの収入が増加したことによるものです。
営業利益
前年度比522億円増加し、2,631億円となりました。この大幅な増益は、前述の映像メディア・プラットフォームの減収の影響があったものの、主に為替の好影響や前述の音楽制作及び音楽出版の増収の影響ならびに音楽制作及び音楽出版における訴訟に関する和解金の受領の影響(関連費用控除後で57億円)によるものです。
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比1,305億円(11%)増加し、1兆3,694億円となりました(米ドルベースでは、8%の減収)。この米ドルベースでの減収は、主に映画製作において「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」、「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」などの大型作品の貢献があった前年度に比べ、当年度劇場興行収入が減少したこと、テレビ番組制作において前年度に「サインフェルド」のライセンス収入があったこと、及び、映画製作において前年度に動画配信サービスへライセンスした新作映画の作品数が多かったことによるものです。この減収は、テレビ番組制作における作品の納入数の増加やIndustrial Media及びBad Wolfの買収の影響、ならびにCrunchyrollの買収の影響を含むアニメ専門DTCサービスにおける増収などにより一部相殺されています。
営業利益
前年度比981億円(45%)減少し、1,193億円となりました(米ドルベースでは、54%の減益)。この米ドルベースでの大幅な減益は、主に前年度にGame Show Network, LLCの一部門であるGSN Gamesの事業譲渡にともなう譲渡益700億円の計上があったこと及び前述の減収の影響によるものです。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比1,368億円(6%)増加し、2兆4,760億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、4%の減収)。この増収は、販売台数の減少によるテレビの減収があったものの、主に為替の影響及び販売台数の増加によるデジタルカメラの増収によるものです。
営業利益
前年度比335億円減少し、1,795億円となりました。この減益は、前述のデジタルカメラの増収の影響があったものの、主にテレビの減収の影響によるものです。なお、当年度の為替の好影響は94億円でした。
売上高構成比 %
売上高
(単位:)
営業利益
(単位:)
売上高
前年度比3,258億円(30%)増加し、1兆4,022億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、11%の増収)。この大幅な増収は、主に為替の影響及びモバイル機器向けイメージセンサーが販売数量の減少の一方で製品ミックスの改善により増収となったことによるものです。
営業利益
前年度比566億円増加し、2,122億円となりました。この大幅な増益は、研究開発費及び減価償却費の増加ならびに製造経費の増加があったものの、主に為替の好影響及び前述の増収の影響によるものです。なお、当年度の為替の好影響は1,209億円でした。
金融分野には、ソニーフィナンシャルグループ㈱(以下「SFGI」)及びSFGIの連結子会社であるソニー生命、ソニー損害保険㈱、ソニー銀行㈱等の業績が含まれています。金融分野に記載されている業績は、SFGI及びその連結子会社が日本の会計基準に則って個別に開示している業績とは異なります。
売上高構成比 %
金融ビジネス収入
(単位:)
営業利益
(単位:)
金融ビジネス収入
主にソニー生命の減収により、前年度比793億円減少し1兆4,545億円となりました。ソニー生命の収入は、特別勘定における運用益が減少したことにより、前年度比1,084億円減少し、1兆2,421億円となりました。
営業利益
前年度比738億円増加し、2,239億円となりました。この大幅な増益は、ソニー生命の子会社において前年度は不正送金による損失168億円を計上したのに対し、当年度は当該不正送金の資金回収にともない営業利益が221億円増加したこと、及びソニー生命における大幅な増益などによるものです。ソニー生命の営業利益は、新型コロナウイルス関連の給付金などの増加があったものの、不動産売却益の計上や、保有契約高の積み上がりによる利益の増加などにより、前年度比297億円増加し、1,770億円となりました。
※ビジネス別の売上高構成比は、外部顧客に対する売上高にもとづいて算出したものです。
対処すべき課題
ソニーグループは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)として掲げています。また、感動を創るクリエイターや感動するユーザー、そして事業を推進する社員を含む「人」に近づくことを経営の方向性と定め、「感動」と「人」を軸とした長期視点での経営に取り組んできました。
こうした方針のもと、各分野の注力領域は以下のとおりです。
- ● ゲーム&ネットワークサービス分野:プレイステーション®5の普及拡大を進めるとともに、自社制作ゲームソフトウェアの拡充によりアクティブユーザーの増加をめざします。
- ● 音楽分野:所属アーティストによる継続的なヒットの創出、新人の発掘及び育成、急成長を続ける新興市場での事業拡大などを通じて、引き続き市場を上回る成長をめざします。
- ● 映画分野:ソニーグループが保有するIPの長期的価値最大化をめざし、作品の質向上に取り組むとともに、文化的なインパクトをもたらしうる劇場公開を重視してまいります。
- ● エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野:幅広いクリエイター向けに、技術を駆使したソリューションとサービス群を拡大、提供し成長をめざします。
- ● イメージング&センシング・ソリューション分野:スマートフォン向けCMOSイメージセンサーの大判化及び高性能化により、イメージセンサーNo.1ポジションをさらに強化していきます。
- ● 金融分野:ブランディング強化を進めるとともに、データ連携やDX基盤の共有などグループインフラ活用と成長投資を通じ、さらなる成長をめざします。
一方、景気減速や地政学リスクなど、足元での不安定な事業環境の中、2023年度はリスクマネジメントに重点を置き、現行の中期経営計画の目標達成に向けた総仕上げを進めていきます。また、2024年度より始まる第5次中期経営計画に向けては、中長期的な事業成長をより強く意識しつつ、同計画期間中の利益成長とのバランスもとった内容とできるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
今後も長期的な価値を創出し続けていくためには、事業の多様性に加え、人材の多様性も欠かせません。異なる意見・視点を尊重し、多様性を有機的に繋いでいくことをソニーグループの強みとし、新たな価値を創造していきます。
本年5月に開催した経営方針説明会及び事業説明会において、当社の経営の方向性や各事業の成長戦略など詳細についてご説明していますので、以下のウェブサイトをご覧ください。
剰余金の配当等の決定に関する方針
当社は、株主の皆様への利益還元は、継続的な企業価値の増大及び配当を通じて実施していくことを基本と考えています。安定的な配当の継続に努めたうえで、内部留保資金については、成長力の維持及び競争力強化など、企業価値向上に資する様々な投資に活用していく方針です。なお、配当金額については、連結業績の動向、財務状況ならびに今後の事業展開等を総合的に勘案し、決定していきます。
当年度の期末配当金については、2023年4月28日開催の取締役会において、1株につき40円とすることを決定しました。2022年12月に1株につき35円の中間配当金をお支払いしておりますので、年間配当金は75円となります。
また、2023年度につきましては、2023年4月28日開催の取締役会において、中間配当金予定額を1株につき40円とすることを決定しております。なお、期末配当金については未定です。
トピックス
サステナビリティ
私たちは事業を通じて、「感動体験で人の心を豊かにする」、「クリエイターの夢の実現を支える」、「世の中に安全・健康・安心を提供する」という価値を、人、社会、地球へと届けていきます。さらに、持続可能な社会と環境のための取り組みを加速し、感動あふれる未来の実現をめざしています。

ソニーは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose (存在意義) と、「人に近づく」という経営の方向性のもと、「人」を軸に多様な事業を展開しています。人々が感動で繋がるためには、社会や地球が健全であることが前提となります。ソニーはステークホルダーや地球環境に与える影響に十分配慮して行動し、イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値の向上を追求し、持続可能な社会の発展に貢献することをめざします。
環境領域では、2050年までに環境負荷をゼロにすることをめざす環境計画「Road to Zero」を推進しています。世界的に気候変動リスクが顕在化・深刻化し、脱炭素社会への移行に向けた対応が喫緊の課題となる中、気候変動領域における環境負荷ゼロの達成目標年を10年前倒ししました。具体的には、2030年までに、自社オペレーションにおける直接・間接排出(スコープ1、2)をネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)とします。さらに、2040年には、これに加えて、製品、サプライチェーン、物流などその他の排出(スコープ3)も対象とし、全スコープにおいてネットゼロをめざします。

また、次世代を担う子どもたちの好奇心を育むことを目的とした教育プログラムである「CurioStep with Sony」をソニーグループ全体で展開しています。グローバル課題への対応としては、2020年に設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」および「Global Social Justice Fund」を通じてソニーグループ各社で継続的な支援に取り組んでいます。さらに、世界各地での大規模な災害や緊急事態に際して、ソニーは人道的観点から、事象の緊急性や地域との関係性を鑑み、支援活動を行っています。2023年2月に発生したトルコ・シリア地震に際し、被災された方々への支援活動に役立てていただくため、関係する国際機関やNGO団体への寄付や社員募金などを実施しました。
ESGに関する外部評価・インデックスへの組み入れ状況はこちらをご覧ください。

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