事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
(1)主要な事業内容(2019年3月31日現在)
azbilグループは、人々の安心・快適・達成感と地球環境への貢献を目指す「人を中心としたオートメーション」を追求し、“計測と制御”の技術のもと、建物市場でビルディングオートメーション事業を、工場やプラント市場でアドバンスオートメーション事業を、ライフラインや健康等の生活に密着した市場において、ライフオートメーション事業を展開しています。

(2)事業の経過及びその成果
azbilグループを取り巻く事業環境は、国内の活発な都市再開発投資を背景に、大型建物向けの機器、システムの需要が引き続き堅調に推移しております。生産設備に対する設備投資についても、国内外で半導体等の製造装置市場が減速するなどの変化が見られましたが、人手不足等を背景とした合理化・省力化等への需要が継続しております。
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,642億5千2百万円(前連結会計年度は2,662億6千2百万円)と、前連結会計年度比0.8%の減少となりました。堅調な市況を背景にビルディングオートメーション(BA)事業の受注は着実に増加しましたが、アドバンスオートメーション(AA)事業及びライフオートメーション(LA)事業の受注は、前連結会計年度に大型案件を計上していたことの反動を主因に、一部市況の悪化による影響もあり、減少いたしました。
一方で、売上高につきましては、AA事業、LA事業が増加し、2,620億5千4百万円(前連結会計年度は2,603億8千4百万円)と、前連結会計年度比0.6%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、増収及び事業収益力強化の施策の効果により、前連結会計年度比11.1%増加の266億9千万円(前連結会計年度は240億2千6百万円)となりました。営業利益の増加に伴い、経常利益は、前連結会計年度比13.8%増加の276億6千4百万円(前連結会計年度は243億1千6百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失の計上※1に加え、税金費用が前連結会計年度において子会社の繰延税金資産の回収可能性を見直したことなどによる一時的な減少の反動から増加しましたが、営業利益の増加及び投資有価証券売却益の増加により、前連結会計年度比5.9%増加の189億5千1百万円(前連結会計年度は178億9千万円)となりました。
当社グループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、3つの基本方針※2を軸として、中期経営計画(2017~2019年度)を策定し、持続的な成長の実現に向けた取組みを進めております。事業環境の変化にも迅速かつ着実に対応し、将来に向けた成長を実現していくために、各事業において事業構造の変革、利益体質の改善を推し進めております。また、中長期で需要の継続・拡大が期待できる「ライフサイクル型事業の強化」、「新オートメーション領域の開拓」、「環境・エネルギー分野の拡大」を推進し、併せてこれら領域の開拓、持続的成長を実現するための基盤強化として、研究開発及び生産体制の整備・拡充等に取り組んでおります。
※1 確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失の計上:
当社及び一部の国内連結子会社の受給権者を対象とする確定給付企業年金制度(いわゆる閉鎖型年金)について、「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(企業会計基準適用指針第1号)及び「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第2号)に基づく退職給付制度の終了の会計処理を行い、その損失を退職給付制度終了損として特別損失に計上しております。なお、確定給付企業年金制度自体は終了せず、受給権者への給付は現行どおり行われます。
※2 3つの基本方針:
- 技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ
- 地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」
- 体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す
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(注)第96期より、受注残高の為替影響等の特殊要因を除外した純粋な受注高を開示する方法に変更しております。第95期については、数値を変更後の方法で見直しておりますが、第94期については変更しておりません。
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(注)第96期より、受注残高の為替影響等の特殊要因を除外した純粋な受注高を開示する方法に変更しております。第95期については、数値を変更後の方法で見直しておりますが、第94期については変更しておりません。
事業区分別の概況
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BA ビルディングオートメーション事業
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BAビルディングオートメーション事業
あらゆる建物に求められる快適性や機能性、省エネルギーを独自の環境制御技術で実現。
快適で効率の良い執務・生産空間の創造と環境負荷低減に貢献します。制御システム
建物全体の室内環境やセキュリティ、エネルギーの状態等を監視・管理するBAシステム
自動制御機器
建物を流れる冷温水や蒸気の流量を最適に調整するための高機能バルブやセンサ、調節器等を提供
サービス
遠隔監視によりビルの運転管理を代行する総合管理サービスを提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
BA事業を取り巻く環境は引き続き堅調に推移しております。国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューションの需要が高く、海外市場においても、経済成長が続くアジア地域において、大型建物に対する国内外資本による投資が継続しております。
こうした事業環境を背景に、採算性に配慮しつつも積極的な受注の獲得に取り組み、併せて、働き方改革への対応も踏まえ、施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの開発・強化を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は着実に増加し、前連結会計年度比5.1%増加の1,237億6千6百万円(前連結会計年度は1,178億1千1百万円)となりました。売上高につきましては、ほぼ前年度並みとなる1,195億円(前連結会計年度は1,202億3千3百万円)となりました。セグメント利益は、上期に発生した一時的な引当費用の計上等により前連結会計年度比1.3%減少の124億2千1百万円(前連結会計年度は125億8千3百万円)となりました。 -
AA アドバンスオートメーション事業
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AAアドバンスオートメーション事業
工場・プラント等において先進的な計測制御技術を発展させ、安全で人の能力を発揮できる生産現場の実現を支援。お客様との協働を通じ、新たな価値を創造します。
プロセスオートメーション分野
気体や液体の流量を調節する調節弁や流量・圧力を計測するプロセスセンサ、安全・安定した生産を実現する監視制御システム等を、化学、鉄網、電力・ガス等の様々なプラントに提供
ファクトリーオートメーション分野
各種製造装置を最適に制御する調節計やセンサ・スイッチ類を提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、半導体等の製造装置市場での投資が減少するなどの変化が見られましたが、人手不足等を背景とした合理化・省力化に向けた自動化へのニーズは高い水準で継続いたしました。こうした事業環境のもと、グローバルでの競争力獲得を目指した3つの事業単位※3(CP事業、IAP事業、SS事業)による、マーケティングから開発、生産、販売・サービスに至る一貫体制でのオペレーションを徹底するとともに、海外での事業拡大を含めた事業成長施策と事業収益力強化を進めてまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度にエネルギー関連市場等で大型案件を計上していたことの反動に加えて、一部市況が悪化したことにより、前連結会計年度比3.3%減少の983億3千1百万円(前連結会計年度は1,017億3千7百万円)となりました。一方で、売上高は着実に伸長し、前連結会計年度比2.2%増加の993億8千9百万円(前連結会計年度は972億3千1百万円)となりました。セグメント利益は、増収に加えて事業収益力強化に向けた取組みの成果がさらに拡大し、前連結会計年度比23.0%増加の122億1千1百万円(前連結会計年度は99億3千1百万円)となりました。※3 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント):
CP事業:コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業:ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
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LA ライフオートメーション事業
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LAライフオートメーション事業
建物、工場・プラントや生活インフラの領域で永年培った計測・制御の技術やサービスを、ガス・水道等のライフライン、住宅用全館空調、ライフサイエンス研究、製薬分野等に展開、「人々のいきいきとした暮らし」に貢献します。
ライフライン分野
一般向け都市・LPガスメータ、水道メータのほか、安全保安機器、レギュレータ等の産業向け製品を販売
ライフサイエンスエンジニアリング分野
製薬企業・研究所に凍結乾燥装置・減菌装置等の医薬品製造装置を提供
住宅用全館空調システム分野
戸建住宅向けに家全体を快適にする全館空調システムを提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体としており、ガス販売の自由化による事業環境の変化は見られますが、引き続き安定した需要が見込まれます。一方、LSE分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に継続して取り組んでおります。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン及び生活関連(ライフ)分野において増加しましたが、LSE分野において前連結会計年度に大型案件を計上していたことの反動等により減少し、全体として前連結会計年度比8.6%減少の438億6千7百万円(前連結会計年度は480億1千3百万円)となりました。売上高はライフライン分野・生活関連分野で伸長し、前連結会計年度比1.4%増加の448億4千万円(前連結会計年度は442億8百万円)となりました。セグメント利益は、増収及び事業構造改革による収益改善の結果、前連結会計年度比37.3%増加の20億6千万円(前連結会計年度は15億1百万円)となりました。

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BAビルディングオートメーション事業
あらゆる建物に求められる快適性や機能性、省エネルギーを独自の環境制御技術で実現。
快適で効率の良い執務・生産空間の創造と環境負荷低減に貢献します。制御システム
建物全体の室内環境やセキュリティ、エネルギーの状態等を監視・管理するBAシステム
自動制御機器
建物を流れる冷温水や蒸気の流量を最適に調整するための高機能バルブやセンサ、調節器等を提供
サービス
遠隔監視によりビルの運転管理を代行する総合管理サービスを提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
BA事業を取り巻く環境は引き続き堅調に推移しております。国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューションの需要が高く、海外市場においても、経済成長が続くアジア地域において、大型建物に対する国内外資本による投資が継続しております。
こうした事業環境を背景に、採算性に配慮しつつも積極的な受注の獲得に取り組み、併せて、働き方改革への対応も踏まえ、施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの開発・強化を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は着実に増加し、前連結会計年度比5.1%増加の1,237億6千6百万円(前連結会計年度は1,178億1千1百万円)となりました。売上高につきましては、ほぼ前年度並みとなる1,195億円(前連結会計年度は1,202億3千3百万円)となりました。セグメント利益は、上期に発生した一時的な引当費用の計上等により前連結会計年度比1.3%減少の124億2千1百万円(前連結会計年度は125億8千3百万円)となりました。 -
AAアドバンスオートメーション事業
工場・プラント等において先進的な計測制御技術を発展させ、安全で人の能力を発揮できる生産現場の実現を支援。お客様との協働を通じ、新たな価値を創造します。
プロセスオートメーション分野
気体や液体の流量を調節する調節弁や流量・圧力を計測するプロセスセンサ、安全・安定した生産を実現する監視制御システム等を、化学、鉄網、電力・ガス等の様々なプラントに提供
ファクトリーオートメーション分野
各種製造装置を最適に制御する調節計やセンサ・スイッチ類を提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、半導体等の製造装置市場での投資が減少するなどの変化が見られましたが、人手不足等を背景とした合理化・省力化に向けた自動化へのニーズは高い水準で継続いたしました。こうした事業環境のもと、グローバルでの競争力獲得を目指した3つの事業単位※3(CP事業、IAP事業、SS事業)による、マーケティングから開発、生産、販売・サービスに至る一貫体制でのオペレーションを徹底するとともに、海外での事業拡大を含めた事業成長施策と事業収益力強化を進めてまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度にエネルギー関連市場等で大型案件を計上していたことの反動に加えて、一部市況が悪化したことにより、前連結会計年度比3.3%減少の983億3千1百万円(前連結会計年度は1,017億3千7百万円)となりました。一方で、売上高は着実に伸長し、前連結会計年度比2.2%増加の993億8千9百万円(前連結会計年度は972億3千1百万円)となりました。セグメント利益は、増収に加えて事業収益力強化に向けた取組みの成果がさらに拡大し、前連結会計年度比23.0%増加の122億1千1百万円(前連結会計年度は99億3千1百万円)となりました。※3 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント):
CP事業:コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業:ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
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LAライフオートメーション事業
建物、工場・プラントや生活インフラの領域で永年培った計測・制御の技術やサービスを、ガス・水道等のライフライン、住宅用全館空調、ライフサイエンス研究、製薬分野等に展開、「人々のいきいきとした暮らし」に貢献します。
ライフライン分野
一般向け都市・LPガスメータ、水道メータのほか、安全保安機器、レギュレータ等の産業向け製品を販売
ライフサイエンスエンジニアリング分野
製薬企業・研究所に凍結乾燥装置・減菌装置等の医薬品製造装置を提供
住宅用全館空調システム分野
戸建住宅向けに家全体を快適にする全館空調システムを提供
※各数値には、セグメント間の内部取引高が含まれております。
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体としており、ガス販売の自由化による事業環境の変化は見られますが、引き続き安定した需要が見込まれます。一方、LSE分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に継続して取り組んでおります。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン及び生活関連(ライフ)分野において増加しましたが、LSE分野において前連結会計年度に大型案件を計上していたことの反動等により減少し、全体として前連結会計年度比8.6%減少の438億6千7百万円(前連結会計年度は480億1千3百万円)となりました。売上高はライフライン分野・生活関連分野で伸長し、前連結会計年度比1.4%増加の448億4千万円(前連結会計年度は442億8百万円)となりました。セグメント利益は、増収及び事業構造改革による収益改善の結果、前連結会計年度比37.3%増加の20億6千万円(前連結会計年度は15億1百万円)となりました。
対処すべき課題
azbilグループは、事業の中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を図ることで、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。このため、当社グループとして「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく長期目標を設定し、この目標達成に向け、3つの事業軸(BA事業、AA事業、LA事業)において技術・製品を基盤に、ソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」となること、地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」を進めること、さらにその具現化に向け「学習する企業体」へと組織的な変革を進めることの3つを基本方針として掲げ、事業拡大へとつなげることのできる事業体質への変革を進めてまいりました。
さらに現在の会社を取り巻く内外の状況や急速な環境変化を考え、更なる継続的な成長のために、国内外とも事業単位での構造・体質の改革、先進的なグループ開発・生産体制の構築や技術革新(IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等)に対応した技術・製品開発等の取組みを一層加速して推進いたします。また、コーポレート・ガバナンス強化に継続して取り組むとともに、今後も経営資源を有効かつ戦略的に配分し、これらの取組みの加速・定着を図ることで、持続的な成長を目指します。
1[国内事業]
3事業とも国内では成熟産業に位置しますが、置かれている環境は事業毎に大きく異なります。BA事業は、首都圏での再開発に伴い高水準で推移する需要を着実に捉えるため、ジョブ遂行プロセスの再整備やIT化等により、人的リソースの効率的・計画的な活用を進め、継続的な人員異動・教育や業務形態の変革を含む体制整備を行い、働き方改革を総合的に進めてまいります。具体的には、次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net™ G5」を軸に、センサ・アクチュエータの拡充、先進のビル向けクラウドサービスの拡張、ファシリティマネジメントサービスの変革等を進めております。また、企業の複数拠点の入退室情報を遠隔で一元管理する「統合化入退管理システム」の販売を開始し、お客様の働き方改革を支援いたします。これらの取組みにより、お客様の事業展開のステージに合わせて継続的な価値を提供・提案してまいります。
AA事業は、多岐にわたる市場から、技術の潮流変化を捉え、今後の成長と付加価値提供が見込める領域を選択・創出・集中することにより、成長を図るとともに、更なる高収益体質への変革や成長のための基盤整備を継続いたします。
従来製品で必要とされる通信プログラムの作成を不要とし、マルチベンダー間のデバイス間通信を実現する「形 NX-SVG」による装置のIoT化の推進や、オンライン異常予知システム「BiG EYES™」のバッチプロセス版は、こうした取組みの一つです。
LA事業では、水道・各種ガスメータのIoT対応を引き続き進めております。LPガス市場においては、IoT化を見据えて様々な通信に柔軟に対応できる新型のLPガスメータ「K-SMα™」を核に、新技術「LPWA」※1を活用したIoTによる検針値データをクラウドシステムで提供する新サービス「ガスミエール™」や収集保存したビッグデータとAI技術を活用したLPガス容器配送計画最適化システムの販売を開始するなど、新たなオートメーション領域への事業展開を加速しております。また、戸建て住宅向け全館空調システムには、ライフスタイルに合わせた空調管理・省エネが可能となるタブレットリモコンを導入しました。
以上のような事業環境の変化に合わせ、azbilグループ内のリソース配分の最適化を継続して実施し、成熟領域における確実な事業機会の創造と同時に、新製品や新技術の導入により新たな成長事業領域への更なる展開を目指します。
※1 LPWA:Low Power Wide Areaの略。従来よりも圧倒的に少ない電力で長距離通信が可能になる無線通信技術で、IoTでの活用が期待されています。



2[海外事業]
海外市場におきましては、事業成長と収益拡大を支える更なる事業基盤強化策の一つとして、各国や地域の市場環境に対応し、付加価値の高い特長ある新製品・ソリューションの提案を継続的に強化し、グローバルでの事業拡大を目指します。東南アジア地域においては、事業支援及び事業管理の一元化を通じて、同地域における更なる事業成長を図ることを目的として、シンガポールに開設した「東南アジア戦略企画推進室」により、同地域での横断的な事業推進・戦略企画・経営管理を加速させております。
海外における事業毎の展開につきましては、BA事業は、アジア市場でのシェア拡大に向け、次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net G5」を軸に、海外半導体・液晶工場向けエア駆動タイプのバルブや流量計測機能付きの大口径モデルのバルブの販売を開始するなど、各国の事業環境・事業基盤に応じた施策を実施するとともに、国内で培ったエネルギーマネジメント技術を活用し、ライフサイクル型ビジネスモデルの段階的な強化を図ります。
AA事業は、成長余力の高い海外市場において、戦略地域での営業力強化策の展開や戦略製品の投入により、更なる事業拡大を進めてまいります。また、IoT、AI等の技術の潮流変化を捉えた、新しいオートメーション領域の創出、お客様の設備の診断などライフサイクルにわたるサービスを組み合わせることで、一層の成長に取り組んでまいります。
LA事業は、ライフサイエンスエンジニアリング領域を担当する欧州のアズビルテルスター有限会社における事業構造改革を着実に実施してまいりました。今後、新たな成長戦略を策定しその早期実現を進めてまいります。
以上に加えて、azbilグループの海外子会社における経営管理面におきましても、現地法人の評価体制を拡充するなど、引き続き各社の堅確な体制構築とグループ・ガバナンスの強化を進めてまいります。
3[生産・開発]
azbilグループの事業拡大に向けて、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・強化を進めてまいります。国内では神奈川県下にある生産機能を湘南工場に集約し、グローバルでの事業展開をリードする当社グループのマザー工場として稼働を開始する予定です。また、タイ工場や中国大連工場での生産能力をさらに拡大し、部材の海外調達の拡大と併せて、製品のコスト競争力をより高めるとともに、グローバルでのお客様対応や物流の最適化を進めてまいります。研究開発においては、モノと情報の融合による産業構造変革や、技術革新(IoT、ビッグデータ、AI等)に対応した商品・サービスの研究開発投資を継続して行い、その成果をお客様の工場・ビル運営等においてより企業経営に近いビジネス・プロセスに関わる新たなオートメーション領域へ展開いたします。また、独自の計測制御技術を活かした力覚※2と視覚機能を持つ次世代スマートロボットの開発・実証を継続し、人とロボットが共存する人協調型という今後成長の見込まれる分野での利用を探索してまいります。
※2 力覚:物に触れたとき、物から受ける抗力についての感覚


4[経営管理]
グループ経営の推進とガバナンス体制の充実を図るとともに、リスク管理(品質・PL、防災・BCP、情報)、コンプライアンス(企業倫理・法令遵守)、人を重視した経営、地球環境への貢献及び社会貢献を重点取組み領域として、azbilグループをあげてCSR経営の推進に継続して取り組んでおります。特に経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を進めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するよう、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話を進めるための体制整備を積極的に進めております。当社グループは、これまでも社会の持続的発展に貢献する取組みを継続しており、2018年度は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が選定した4つのESG(環境・社会・ガバナンス)指数※3の構成銘柄に選定されております。また、当社は、創業者の想いを進化させ「人を中心としたオートメーション」というグループ理念を制定しております。この理念に基づく経営を推進することにより、引き続き国連が定めたSDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)への対応をはじめ、国際社会における様々な課題の解決に向けて継続的に取り組んでまいります。
※3 ESG指数:FTSE Blossom Japan Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)、S&P/JPXカーボンエフィシェント指数
(ご参考) 当社のコーポレート・ガバナンスの取組みについて
当社は、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様からの信頼に応えるため、法令・定款の遵守のみならず、企業倫理に基づく社会的責任の遂行と社会貢献責任を全うしつつ、効率的で透明性の高い経営によって企業価値の継続的な向上を果たすことが、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方であり、経営上の最重要課題と位置付けております。
<企業統治の体制>
経営の基本方針の決定、法令で定められた事項及び重要事項の決定、業務執行状況の監督を行う取締役会と、業務執行を担う執行役員制度を設けて機能分離を行うことにより、迅速な業務執行体制を構築するとともに業務執行状況の監督機能をより強化しております。
取締役会は原則月1回開催し、業務執行を担う執行役員制度におきましては、役付執行役員で構成する経営会議を月2回開催し(監査役の代表も出席)、迅速な意思決定と執行の徹底により事業推進力の強化を図っております。
2019年3月31日現在で取締役は10名が選任されており、当社事業及び経営に経験を積んだ業務執行に携わる取締役5名と、取締役専任として執行を兼務しない取締役会議長を務める取締役1名、加えて、独立性があり、幅広い経験や優れた専門性・知見を有し、国際性やジェンダー等の多様性に富む独立社外取締役を4名選任しており、取締役会における独立社外取締役の割合は3分の1を超えております。これらの独立社外取締役は、取締役会にて意思決定を行う際、適切な監督・助言を通じ当社の企業価値の向上に尽くしているほか、代表取締役社長とも定期的に意見交換を行っております。また、毎年、取締役及び監査役を対象に取締役会の実効性に関する自己評価・意見を収集したうえで、取締役会において現状の評価と課題の共有を行い、更なる実効性の向上を目指しております。
さらに当社は、取締役会の諮問機関として、任意の「指名・報酬委員会」を設置しております。本委員会は、会社の永続的な発展と中長期的な収益性・生産性を高めることに資するため、役員の指名及び報酬の決定プロセスについて、より高い公正性・客観性・透明性を確保することを目的としております。本委員会では、取締役候補者、代表取締役候補者の選任及び社長/CEO候補者、取締役会議長候補者、役付執行役員候補者等の選任並びに役員報酬体系、報酬制度、役員報酬体系に基づく基本報酬額、個人業績評価、定性的な項目の進捗状況評価、個人の賞与支給額及び取締役報酬枠の改定等を審議するのみならず、社長/CEO、取締役、役付執行役員等の解任及び代表取締役、取締役会議長の解職並びに後継者の育成等に関する事項についても審議を行うこととしております。本委員会の委員長は、独立社外取締役の中から互選にて定め、委員の過半を独立社外取締役で構成する規定としており、現在、ユージン リー氏(独立社外取締役)が委員長を、田辺 克彦氏(独立社外取締役)、伊藤 武氏(独立社外取締役)、曽禰 寛純氏(代表取締役)が委員を務め、独立社外取締役が過半数となる構成となっております。
また、当社は、監査役会設置会社であり、2019年3月31日現在で監査役は、社外監査役3名を含む5名が選任され、うち2名による常勤体制をとっており、また取締役及び執行役員の経営判断、業務執行にあたり主として適法性の観点から厳正な監査を実施しております。常勤監査役松安 知比古氏は、長年当社の経理担当部門において決算手続及び財務諸表等の作成に従事した経験があり、また、社外監査役藤本 欣哉氏は、公認会計士の資格を有しており、財務及び会計に関する相当程度の知見を有するものであります。

監査役会は原則月1回開催し、当事業年度では合計14回開催しました。5名の監査役はいずれの監査役会にも出席し、期首の年間監査計画の審議、期中の月次・四半期の各監査役の活動報告、四半期毎の決算監査報告、期末の監査活動評価とまとめ、会計監査人の評価に関する審議等を行いました。また監査役会として代表取締役との意見交換会及び社外取締役との情報交換会を定期的に実施いたしました。加えて監査役会の実効性評価を期末に実施し、監査役会として当事業年度の監査活動の振り返りを行うとともに、評価結果を翌事業年度の監査計画に反映させ、監査役会の実効性を高めております。常勤監査役は、取締役会及び経営会議等重要会議への出席、主要事業所・子会社への往査及び主要部門へのヒアリング、重要会議の議事録ほか重要書類の閲覧等を通じた経営状況の把握、取締役・執行役員の経営判断及び業務執行について監査を行っております。さらに、監査役の職務を補助する専任者の組織として監査役室が設置され、監査役のサポート機能強化を図っております。監査役は、会計監査人、内部監査部門(グループ監査部)と、年度初めに監査計画、重点監査事項等のすりあわせを行い、定期的に相互の監査結果を共有するほか、グループ各社の監査役とも連携を密にするなど、監査の実効性と効率の向上を図っております。
なお、社外取締役及び社外監査役の選任にあたっては、当社は独自の独立性判断基準を定めております。当社の社外取締役及び社外監査役はこの独立性判断基準を満たしており、一般株主と利益相反の生ずるおそれがなく、いずれも充分な独立性を有していることから、東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ております。
当社と社外取締役及び社外監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が定める最低責任限度額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該社外取締役又は社外監査役が責任の原因となった職務の遂行において善意であって、かつ重大な過失がないときに限られます。
また、グループ一体となったコンプライアンス体制の整備について、当社では信頼される企業グループを目指し、法令遵守を含む、役員及び社員の行動指針として、「azbilグループ行動基準」を制定し、反社会的勢力との一切の関係の遮断をはじめとする企業の公共性、社会的責任の遂行や公正な取引の遵守、人間尊重の社会行動、会社財産の管理・運用及び環境保護の遂行を通して企業倫理の確立による健全な事業活動に取り組んでおります。また、業務運営を適正かつ効率的に遂行するために、会社業務の意思決定及び業務実施に関する各種社内規程の制定等により、職務権限の明確化と適切な牽制が機能する体制を整備しております。内部統制機能としては、社長直属部門であるグループ監査部が、本社部門、各カンパニー及びグループ各社の経営諸活動の全般にわたる管理・運営の制度及び業務遂行・事業リスク・コンプライアンス・内部統制システム等の内部監査を定期的に実施しており、監視と業務改善に向けて具体的な助言・提案を行っております。また、金融商品取引法における内部統制への対応を強化するとともに、azbilグループ全体のコンプライアンス活動を推進するため、当社担当役員を総責任者に、各社のコンプライアンス担当役員をメンバーとしてCSR活動を推進するための恒常的な組織を設置し、グループ全体の活動計画の策定、進捗管理を行うとともに、子会社に対する指導を行っております。さらに、内部通報制度による不祥事の早期発見の体制も整えております。また、業務執行全般にわたり適宜、顧問弁護士、公認会計士等、社外の専門家の助言及び支援を受けております。
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