事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

当連結会計年度の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が社会・経済に大きな影響をもたらし、日本におきましては、度重なる緊急事態宣言の発令等により、経済活動は大きな制約を受け、個人消費の低迷が続くなど、厳しい状況のまま推移しました。海外におきましても、世界各国において経済活動の大幅な縮小を余儀なくされ、期後半以降、中国、米国等においては景気回復の動きが見られましたが、依然として先行き不透明な状況が継続しました。

半導体業界につきましては、期前半において新型コロナウイルス感染拡大による自動車・スマートフォン等の需要減退の影響を受けたものの、テレワーク、オンライン学習の拡大ならびに第5世代移動通信システム(5G)の実用化などを背景として、データセンター用のサーバー向けの需要が増加するとともに、パソコン向けも好調に推移しました。さらに、期後半にかけて自動車市場向けが回復に転じるなど、半導体需要の拡大傾向が鮮明となりました。

このような環境下において、当社グループにおきましては、全社において新型コロナウイルスの感染防止対策を継続的に実施し、ICT(情報通信技術)社会に欠かすことのできない半導体サプライチェーンの一翼を担う企業として、お客様への製品の安定的な提供等、事業活動の継続に努めてまいりました。主力のフリップチップタイプパッケージについては、高性能半導体の需要拡大に対応すべく、2018年度より大型設備投資を展開しており、当連結会計年度において高丘工場(長野県中野市)で新ラインが量産を開始するなど、引き続き生産体制増強に注力いたしました。また、今後需要拡大が見込まれる先端メモリー、半導体製造装置市場などの成長分野向けに重点的に経営資源を投下いたしました。さらに、競争が激化する市場環境にあって、収益力・競争力の一層の強化をはかるべく、生産性・品質向上等の取り組みを強化いたしました。

それらの結果、フリップチップタイプパッケージは、パソコン向けおよびデータセンター用のサーバー向けなどで受注が大幅に増加するとともに、旺盛な需要のもと、昨年10月から新ラインが量産を開始し、生産能力が拡充されたことにより、売上増加に寄与しました。半導体製造装置用のセラミック静電チャックは、好調な市場環境を背景に需要が大幅に拡大し、プラスチックBGA(ボール・グリッド・アレイ)基板は新ラインの稼働開始などにより、先端メモリー向けに売上が増加しました。また、リードフレームは、第3四半期に入って底打ちした自動車向けの売上が、その後さらに大きく回復したことなどにより、増収となりました。これらにより、当連結会計年度の売上高は1,880億59百万円(対前連結会計年度比26.8%増)と大きく増加しました。

収益面につきましては、生産能力増強などによる高付加価値製品等の増加および収益性向上などにより、経常利益は265億7百万円(対前連結会計年度比450.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は180億18百万円(同569.7%増)となり、売上・収益とも大幅な増収増益となりました。

部門別の概況

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

期前半において、新型コロナウイルス感染拡大による自動車需要減退等の影響を受けたものの、エッチングリードフレームは、増産対応をはかってきたQFN(クワッド・フラット・ノンリード)タイプが幅広い用途向けに堅調に推移するとともに、期後半には自動車向け需要が回復したことなどにより増収となりました。また、プレスリードフレームは、自動車向けの売上が第3四半期に入って底打ちし、その後さらに大きく回復しました。この結果、当部門の売上高は334億18百万円(対前連結会計年度比7.3%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

フリップチップタイプパッケージは、パソコン向けおよびサーバー向けに需要が大幅に拡大し、高丘工場における新ラインの量産稼働が売上増加に寄与するとともに、プラスチックBGA基板は、一層の小型・薄型化のニーズに対応する新ラインの稼働開始などにより、先端メモリー向けに受注が大きく増加しました。また、IC組立は、ハイエンドスマートフォン向けの需要が拡大したことにより、増収となった一方で、CPU向けヒートスプレッダーは、サーバー向けが堅調なまま推移したものの、パソコン向けの需要が減少し、減収となりました。この結果、当部門の売上高は1,231億35百万円(対前連結会計年度比33.3%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

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セラミック静電チャックは、半導体製造装置市場における旺盛な需要を背景に売上が大幅に拡大しました。一方、ガラス端子は期後半にかけて受注が回復傾向を示したものの、期前半において光学機器向けが低調に推移したことなどにより、減収となりました。この結果、当部門の売上高は313億92百万円(対前連結会計年度比31.0%増)となりました。

対処すべき課題

今後の経済環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や各国政府の経済支援策等により、先進国を中心として景気が回復基調で推移することが期待されるものの、感染症の影響長期化や米中貿易摩擦の影響が引き続き懸念されるなど、依然として楽観が許されない状況が継続することが見込まれます。日本におきましても、新型コロナウイルス感染症による経済活動への制約が長期化し、個人消費低迷が継続することも想定されるなど、先行き不透明な状況が続くものと思われます。

半導体業界におきましては、第5世代移動通信システム(5G)の実用化やIoT・AIの活用の進展ならびにEV(電気自動車)、自動運転等の技術開発が加速する自動車向けなど、半導体需要は中長期的に大きく増加することが見込まれます。また、テレワークやオンライン学習をはじめとする社会のデジタル化の動きが今後さらに加速・進展することにより、幅広い分野において半導体は用途を広げ、市場はさらに拡大するものと想定されます。一方で、一層の高機能化・高速化のニーズとともに、省電力化への対応がさらに求められるなど、高度化する市場ニーズに対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが見込まれます。

このような環境下にあって、当社グループにおきましては、引き続き高い成長が見込まれる市場向けに重点的に経営資源を投下し、今後の発展を目指してまいります。サーバー、パソコン等に搭載される高性能半導体向けに、一層の需要拡大が見込まれるフリップチップタイプパッケージについては、高丘工場(長野県中野市)等における大型設備投資について旺盛な需要に対応すべく着実に生産能力の増強をはかってまいります。また、半導体需要の増大を背景に中長期的な受注拡大が想定される半導体製造装置向けのセラミック静電チャックの生産能力拡充ならびに半導体メモリーの高速化・大容量化に対応するプラスチックBGA基板の一層の拡販に努めるなど、今後の市場拡大を的確に捉え、半導体の高性能化に寄与する当社製品のさらなる販売拡大を目指してまいります。

加えて、収益基盤の一層の強化をはかるべく、これまで培ってまいりました多様な半導体実装技術をもとに、市場ニーズの高度化に対応し、高い競争力を持つ製品の開発・商品化に取り組むとともに、開発・設計から生産に至るすべての段階において品質を造り込み、優れた製品を安定的に供給することができる生産体制の確立に努めてまいります。

当社グループは、引き続き成長が見込まれる半導体市場にあって、常にお客様のニーズを起点とし、機能・性能、コスト、品質すべてにおいてお客様にとって価値の高い製品・サービスを提供することにより、「限りなき発展」を果たしてまいる所存であります。

連結計算書類