事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

当連結会計年度の経済環境は、日本におきましては、新型コロナウイルスの感染状況により、経済活動の制限と緩和が繰り返される中、生産・輸出は堅調に推移し、緩やかな景気の持ち直しが続いたものの、年明け以降、新型の変異株感染急拡大の影響などにより回復は鈍化しました。海外におきましては、米国・欧州を中心に経済活動の正常化が進み回復基調を示しましたが、中国ではゼロコロナ政策による厳しい活動制限などを背景に景気の回復が鈍化し、また、エネルギー・原材料価格高騰の影響に加え、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。

半導体業界につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を契機とする、社会・経済におけるデジタル化の急速な進展等を背景に、パソコンやサーバーをはじめ幅広い分野において需要が大きく拡大し、また、自動車市場向け等において半導体の需給逼迫状況が続くなど、旺盛な需要環境が継続しました。

このような環境下において、当社グループにおきましては、引き続き新型コロナウイルスの感染防止対策を実施し、ICT(情報通信技術)社会に欠かすことのできない半導体サプライチェーンの一翼を担う企業として、事業活動の継続に努めてまいりました。また、デジタル化の加速等により半導体需要が大きく拡大する中にあって、当社各製品についてかねてより取り組んでまいりました成長市場向け設備投資による生産能力増強等が寄与し、当連結会計年度において大きく業績を伸長させることができました。主力のフリップチップタイプパッケージについては、高丘工場(長野県中野市)などにおいて2018年度より着手した大型設備投資等による生産体制強化が、高性能半導体の需要増加に対応するとともに、半導体製造装置、先端メモリー向け等についても旺盛な需要のもと生産増加に注力するなど、引き続き成長分野向けに重点的に経営資源を投下しました。さらに、競争が激化する市場環境にあって、収益力・競争力の一層の強化をはかるべく、生産性・品質向上等の取り組みを強化しました。

それらの結果、フリップチップタイプパッケージは、パソコン、サーバー向けの需要拡大ならびに生産体制強化により売上が大幅に増加し、また、リードフレームは、自動車向けをはじめとして大幅な増収となりました。半導体製造装置向けセラミック静電チャックは、好調な半導体市場を背景に受注が大きく増加し、ハイエンドスマートフォン向けのIC組立が大幅な増収となりました。これらにより、当連結会計年度の売上高は2,719億49百万円(対前連結会計年度比44.6%増)と大きく増加しました。

収益面につきましては、旺盛な需要を背景とする各製品の売上増加に伴う収益性の向上や、為替相場において円安基調が継続したことなどにより、経常利益は758億20百万円(対前連結会計年度比186.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は526億28百万円(同192.1%増)となり、前連結会計年度比で大幅な増収増益と、売上高、各利益とも過去最高となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。

セグメント別の概況

売上高
前連結会計年度比 %増
経常利益 50,854 百万円
前連結会計年度比 199.1 %増
詳細はこちらを閉じる
売上高構成比率 %

売上高

(単位:

経常利益

(単位:

当セグメントの売上高は1,694億30百万円(対前連結会計年度比49.5%増)となりました。フリップチップタイプパッケージは、パソコンおよびサーバー向けに需要が拡大する中にあって生産能力増強が寄与したことなどにより、売上が大幅に増加しました。IC組立は、ハイエンドスマートフォン向けに受注が大きく増加し、また、プラスチックBGA(ボール・グリッド・アレイ)基板は先端メモリーや自動車向けの受注が拡大し、増収となりました。

経常利益は508億54百万円(対前連結会計年度比199.1%増)となりました。フリップチップタイプパッケージの売上が、高付加価値製品をはじめとして大きく増加し、また、為替相場において円安基調が継続したことなどに伴い、収益性が向上しました。

売上高
前連結会計年度比 %増
経常利益 23,523 百万円
前連結会計年度比 158.1 %増
詳細はこちらを閉じる
売上高構成比率 %

売上高

(単位:

経常利益

(単位:

当セグメントの売上高は928億70百万円(対前連結会計年度比39.9%増)となりました。リードフレームは、自動車市場向けが好調に推移したことに加え、幅広い用途において需要が増加したことを背景に大幅な増収となりました。セラミック静電チャックは、引き続き半導体製造装置市場における旺盛な需要に支えられ売上が大きく増加しました。ガラス端子は、光学機器向けの受注が増加し、CPU向けヒートスプレッダーは、増収となりました。

経常利益は235億23百万円(対前連結会計年度比158.1%増)となりました。リードフレーム、セラミック静電チャックの増収効果および為替相場において円安基調が継続したことなどによります。

※従来、部門別(「ICリードフレーム」「ICパッケージ」「気密部品」)にて記載しておりましたが、当連結会計年度よりセグメント別(「プラスチックパッケージ」「メタルパッケージ」)の記載へと変更しております。

対処すべき課題

今後の経済環境は、欧米各国を中心にコロナ禍における行動制限の緩和がさらに進展し、経済活動の再開が加速することが見込まれる一方で、急激な需要増加に伴うサプライチェーンの混乱やインフレ圧力の上昇に加え、ロシア・ウクライナ紛争等による世界経済への影響が懸念され、予断を許さない状況が継続することが想定されます。日本におきましても、経済活動の正常化が進み、景気は回復基調で推移することが見込まれるものの、エネルギー、原材料価格の高騰等が企業収益を圧迫することなども想定され、世界経済の先行き懸念もあいまって、不透明な状況が続くものと思われます。

半導体業界におきましては、AI、IoTのさらなる活用や5Gの普及等による社会・経済のデジタル化の進展を背景に、今後、半導体は幅広い分野において用途を広げ、市場は中長期的に拡大することが見込まれる一方で、一層の高機能化・高速化のニーズがさらに高まることが想定されます。加えて、世界的に脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速するなか、デジタル化と省エネルギー・低消費電力を両立するテクノロジーの進化を支えるキーデバイスとして半導体の重要性が高まるなど、高度化・多様化する市場のニーズや需要増加に対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが見込まれます。

このような環境下にあって、当社グループは、引き続き高い成長が見込まれる市場向けに重点的に経営資源を投下し、今後の発展を目指してまいります。半導体の高機能化・高速化と省電力化に対応し、旺盛な需要が続くフリップチップタイプパッケージについては、高丘工場(長野県中野市)等において展開してまいりました大型設備投資による新ラインなどにより増産をはかってまいります。さらに、昨年決定いたしました長野県千曲市における新工場開設ならびに更北工場(長野市)・若穂工場(同)における設備増強からなる過去最大規模の設備投資を着実に実行し、一層の生産体制強化に取り組んでまいります。また、今後、中長期的な需要伸長が見込まれる半導体製造装置向けのセラミック静電チャックについては、既存工場での増産に加え、昨年着工し、2023年度稼働予定の高丘工場新棟の整備により、量産体制拡充をはかってまいります。このほか、半導体メモリーの高速化・大容量化に対応するプラスチックBGA基板の生産能力増強に努めるなど、今後の市場動向を的確に捉え、半導体の高性能化に寄与する当社製品のさらなる売上拡大を目指してまいります。

加えて、これまで培ってまいりました多様な半導体実装技術をもとに、高い競争力を持つ製品の開発・商品化に取り組むとともに、優れた製品を安定的に供給することができる生産体制の確立に努めてまいります。

当社グループは、引き続き成長が見込まれる半導体市場にあって、常にお客様のニーズを起点とし、機能・性能、コスト、品質すべてにおいてお客様にとって価値の高い製品・サービスを提供することにより、「限りなき発展」を果たしてまいる所存であります。

連結計算書類