事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当期は半導体の供給不足や原材料価格の高騰等の影響はあったものの、ワクチン接種の進展に伴い、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けた前期に比べ、経済活動の回復が進みました。

当社においては、事業環境の改善に加え、主に5Gや半導体関連市場向けの部品需要が増加したことにより、全てのセグメントで前期に比べ増収増益となりました。この結果、売上高は前期に比べ3,120億円(20.4%)増加の1兆8,389億円となり、過去最高を更新しました。

利益については、増収効果並びに各部門での生産性向上及び原価低減への取り組みに加え、前期に計上したスマートエナジー事業における減損損失約115億円の影響がなくなったことも寄与し、前期に比べ増加しました。営業利益は前期に比べ
783億円(110.8%)増加の1,489億円、税引前利益は813億円(69.2%)増加の1,989億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は582億円(64.5%)増加の1,484億円となりました。

当期の平均為替レートは、対米ドルは前期に比べ6円(5.7%)円安の112円、対ユーロは7円(5.6%)円安の131円となりました。この結果、当期の邦貨換算後の売上高は、前期に比べ約680億円、税引前利益は約200億円押し上げられました。

(20-30ページに関する注記)

  • 本添付書類に記載の金額は、表示単位未満を四捨五入しています。また、各比率は百万円単位で比較した比率を記載しています。
  • 本添付書類の写真、グラフ等はご参考として掲載しています。
  • 当期より事業セグメント区分を変更しています。また、各事業セグメントで生じた一部の副産物売上高については、金額的重要性が増したため、計上先を「その他の事業」から各事業セグメントに変更し、当期より適用しています。これらの変更により、前期の経営成績についても同様の区分に組み替えて表示しています。
  • 22–27ページに記載の売上高構成比の数値合計は、「その他の事業」及び「調整及び消去」(売上高構成比計△0.6%)の項目があるため100%になりません。

連結業績ハイライト

事業セグメント別の状況

コアコンポーネント

詳細はこちらを閉じる

半導体製造装置用ファインセラミック部品に加え、5G等の情報通信市場や自動車関連市場向けセラミックパッケージ及び有機基板を中心に需要が増加しました。

高付加価値製品の売上増により増加しました。

主要な事業内容

半導体製造装置用部品等の各種ファインセラミック部品や車載カメラモジュール、電子部品やICを保護するセラミック・有機パッケージ等を産業機械や自動車関連、情報通信市場向けに展開しています。

主な製品等

ファインセラミック部品、自動車用部品、光学部品、セラミックパッケージ、有機基板(パッケージ、ボード)、医療機器、宝飾・応用商品

電子部品

詳細はこちらを閉じる

産業機器や自動車関連市場等での需要の回復に加え、5G及び半導体関連市場向けにコンデンサ等の売上が増加しました。

高付加価値な小型高容量コンデンサ及び水晶部品の売上増や生産性向上等により増加しました。

主要な事業内容

コンデンサや水晶部品、コネクタ等の各種電子部品やデバイス等を情報通信や産業機器、自動車関連、民生市場向けに展開しています。

主な製品等

コンデンサ、水晶部品、コネクタ、センサー、制御部品

ソリューション

詳細はこちらを閉じる

機械工具事業においては、切削工具、空圧・電動工具ともに売上が増加し、ドキュメントソリューション事業においては、機器及び消耗品の販売が回復しました。

増収効果に加え、スマートエナジー事業における減損損失の影響がなくなったことを主因に増加しました。

主要な事業内容

機械工具事業では、自動車や一般産業・建築市場向けに切削工具や空圧・電動工具を、ドキュメントソリューション事業では、オフィス用・商業用プリンターやドキュメント管理システム等のソリューションサービスを、コミュニケーション事業では、スマートフォン等の通信機器や情報通信サービス等を展開しています。

主な製品等

切削工具、空圧・電動工具、プリンター、複合機、商業用インクジェットプリンター、ドキュメントソリューションサービス、スマートフォン、通信モジュール、情報通信サービス、ディスプレイ、プリンティングデバイス、スマートエネルギー関連製品・サービス

設備投資の状況

当期は、5Gや半導体関連市場向け製品の需要増へ対応すべく、コアコンポーネントセグメントを中心に生産能力拡大のための設備投資を行いました。この結果、当期の設備投資金額は、前期に比べ347億円(29.6%)増加の1,518億円となりました。

所要資金については、主に自己資金を充当しています。

対処すべき課題

当社は、グループ内に有する多様な経営資源の活用に加え、外部との連携を強化することで、高成長・高収益の実現を目指しています。5GやAIの普及により、様々な分野で技術革新が進むとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にデジタル化が一層加速されました。このような中、顧客ニーズについても変化がみられ、IoTやAI等を活用した生産現場のスマート化や、脱炭素化等の環境課題を含む様々な社会課題の解決に貢献する技術やサービス等に対するニーズが高まっています。当社はこれらの変化を事業機会に着実に結び付け、売上高3兆円という新たな目標の達成に向けて、当期に再編した組織体制のもと、既存事業の拡大及び新規事業の創出を図るとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の推進に努めます。

① 既存事業の拡大及び新規事業の創出

デジタル化等の進展により、中期的に5Gや半導体、ADAS関連市場では各種部品の需要が見込まれます。当社はこれらの市場での旺盛な部品需要にタイムリーに対応するため、引き続き国内外での新工場棟の建設等、積極的な設備投資を進め、既存事業の拡大に努めます。

また、研究開発体制の強化及び新製品・新技術開発の促進により、社会課題の解決に貢献する新規事業の創出に取り組んでいます。研究開発体制を材料、デバイス、ソリューション、生産技術の4分野に再編し、グループ内外の経営リソースの一層の活用による開発力の強化及びスピードアップ、並びに人材育成に努め、事業領域の拡大を図ります。

<今後の主な設備投資>

<研究開発体制の強化>

② ESG経営の推進

当社は、持続的な企業運営に向けて、環境や社会課題への対応並びにコーポレート・ガバナンスの強化に努めています。

環境課題については、脱炭素社会の実現を目指し、自社拠点への太陽光発電システムの設置など、再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、地域・社会全体での温室効果ガス排出量削減に向けて、自己託送やVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)等のインフラ構築及び普及の促進に取り組んでいます。

社会面では、経営理念である「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」の実現を目指し、社内におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進や、より働きやすい職場環境や制度づくりに努めるとともに、サプライチェーンにおけるCSR活動の推進に取り組んでいます。

コーポレート・ガバナンスについては、取締役会の更なる多様性や実効性の向上に努めるとともに、天災等の有事の際の速やかな事業復旧・継続に関するBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)対応など、リスクマネジメントの推進を図っています。

<ESG経営の推進>

連結計算書類