事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況

当期の事業の状況

事業の経過および成果

当期の当社グループを取り巻く経営環境については、新型コロナウイルス感染拡大による中国でのロックダウンや半導体等の部品供給不足の影響で経済活動が一時収縮するも、段階的に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、原材料価格・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクや、一部で継続する半導体等の部品供給不足等により、先行き不透明な状況が続いております。

自動車業界は、中国のロックダウン、半導体等の部品供給不足の影響により国内外の生産が一時落ち込んだものの、足元では緩やかな回復基調にあります。しかしながら、未だ半導体等の部品供給不足の影響は継続しており、先行き不透明な状況となっております。

電子機器業界は、中国での二度に及ぶロックダウンにより、スマートフォンの需要は減少しました。また、ハードディスクドライブについても需要は減少しました。

事業別の状況

このような環境の中、当社グループにおける事業別の状況は次のとおりです。

売上高
前期対比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

自動車向けは、中国のロックダウン、半導体等の部品供給不足の影響はあったものの、為替変動や原材料価格・エネルギー価格の高騰に伴う売価転嫁の影響が大きく、販売は増加しました。一般産業機械向けは、建設機械向けを中心に中国のロックダウンの影響があったものの、国内の工作装置向け等の需要は堅調に推移しました。また、為替変動や原材料価格・エネルギー価格の高騰に伴う売価転嫁の影響により、販売は増加しました。しかしながら、全体を通して、為替影響と売価転嫁の影響を除くと、実質の売上高は減少しました。

その結果、売上高は3,470億6千6百万円(前期対比3.2%の増収)となりました。営業利益は、売価転嫁を上回る原材料価格ならびにエネルギー価格の高騰等により、178億8千5百万円(前期対比49.6%の減益)となりました。

売上高
前期対比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

自動車向けは、中国のロックダウン、ロシア・ウクライナ情勢の影響、半導体等の部品供給不足の影響はあったものの、需要は増加しました。スマートフォン向けは、中国の一部都市における新たなロックダウンの影響で、需要は減少しました。また、ハードディスクドライブ向けの需要についても減少しました。全体を通して販売は増加したものの、為替変動の影響が大きく、実質の売上高は減少しました。

その結果、売上高は3,345億2千3百万円(前期対比4.2%の増収)となりました。営業損失は、人件費の抑制、為替変動の影響により、37億1千2百万円(前期は50億4千万円の営業損失)となりました。

売上高
前期対比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

自動車の減産に伴い特殊潤滑剤の需要は減少したものの、事務機向け製品の需要回復、および為替変動の影響が大きく、販売は増加しました。

その結果、売上高は283億6千6百万円(前期対比11.8%の増収)となりました。営業利益は12億円(前期対比34.3%の増益)となりました。

以上の結果、当社グループの業績は、売上高は7,099億5千6百万円(前期対比4.0%の増収)となりました。営業利益は153億7千8百万円(前期対比50.9%の減益)、経常利益は265億5千7百万円(前期対比42.5%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は133億2千万円(前期対比48.4%の減益)となりました。

対処すべき課題

今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、新型コロナウイルスの影響による行動制限から経済活動が回復に向かう一方で、原材料価格・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ紛争をはじめとする地政学リスクや、一部で継続する半導体等の部品供給不足等により、先行き不透明な状況となっております。

シール事業では、自動車向けについては、半導体等の部品供給不足は徐々に緩和され、国内外の生産も徐々に回復し、販売は増加する見込みです。一般産業機械向けについても、中国でのロックダウンが解除され、建設機械や農業機械向けを中心とした需要が堅調に推移すること等から、販売は増加する見込みです。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰、地政学リスクによる影響等、外部環境の不透明感が強い状況が続くと見込まれているため、これらの懸念に対し継続して対処してまいります。また、安定した品質・安定した製品供給体制を維持するとともに、自動車の電動化等の中長期的な事業環境の変化に対応するべく、新事業・新商品の開拓にも取り組んでまいります。

電子部品事業では、自動車向けについては、シール事業と同様に中国のロックダウンからの回復や半導体等の部品供給不足が解消に向かい、需要が回復する見込みです。また、国内外での電動化の加速もあり、販売は増加する見込みです。スマートフォン向けは、買い替えサイクルの長期化により販売は横ばいとなる見込みです。ハードディスクドライブ向けについては、市場は縮小傾向にあるものの、データセンター向けの需要は回復する見込みです。引き続き、電動車向け製品のさらなる拡販等、需要変動の少ない事業領域を拡大することで変動の影響を受けにくい体質作りを進めるとともに、世界各地で拡大していく電動車需要に対しては地産地消の考え方をもとにした最適地生産を推進してまいります。

その他事業では、特殊潤滑剤は、自動車の減産等により一時的に販売が落ち込んでおりますが、徐々に回復する見込みです。事務機向け製品は、事務機市場の成長鈍化による需要減少に対応することが課題となっております。引き続き、生産性の改善や品質・コスト面での競争力、および収益の向上に取り組んでまいります。

また、当社グループを取り巻く中長期的な環境は、電動自動車をはじめとするテクノロジーの進化、環境規制の強化等、スピードを増して大きく変化しています。こうした中、自らも変革することで中長期にわたる持続的な成長と企業価値の向上を実現できる事業基盤を構築するため、当社は、社会における存在意義を表すパーパス(Our Purpose)と社員の信条や行動指針となる4つのバリュー(Our Values)を定めました。また、本年度から2025年度までの3カ年を対象とした中期経営計画を策定しました。計画は、「変革基盤の構築」を基本方針として、新たな成長ドライバーの創出を含む4つの重点取り組み項目を設定し、グローバルでの成長を目指します。

① パーパス・バリュー

パーパス・バリューは、従来の「経営理念」を現在の社会環境と照らし合わせて再考し、策定しました。これを、日本をはじめグローバルの全社員と共有し、よりよい企業風土を醸成していきます。グループ全体として共通の価値観を持ち、社会に拓かれた未来のために、NOKは変革を推進します。

② 中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)

バリューに沿って行動、実践することで、パーパスを実現し、よりよい社会の実現に貢献してまいります。

  • ■基本方針

    「変革基盤の構築」

    本中期経営計画では、「変革基盤の構築」を基本方針とし、絶えず変革し続け、計画を達成します。

  • ■重点取り組み項目
    • 1.新たな成長ドライバーの創出

      EV向け製品の機能別開発・拡販、グリーンエネルギー関連の製品開発・拡販、半導体装置向け製品の拡販

    • 2.グローバル成長への事業運営体制の整備

      監査等委員会設置会社への移行検討、取締役会のダイバーシティ拡充等、データ利活用の拡大・迅速化、ESG項目への着実な取り組み

    • 3.多様な人財を活かす基盤の構築

      新人事制度導入、人材育成への投資、DE&Iへの取り組み

    • 4.経営資源の最適運用

      適正価格による受注の徹底、資本政策の実行(①自己株式の取得、②配当方針をDOE(株主資本配当率)2.5%以上に変更、③政策保有株式の売却)

財務ハイライト(連結)

(注)財務ハイライト(連結)に記載の金額は、表示単位未満を四捨五入しております。

連結計算書類