財務ハイライト(連結)






(注)財務ハイライト(連結)に記載の金額は、表示単位未満を四捨五入しております。
事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
企業集団の現況
当期の事業の状況
事業の経過および成果
当期の当社グループにおける経営環境については、新型コロナウイルス感染に関する行動規制が緩和され、経済活動の正常化が進みました。しかしながら、米国・中国等の景気動向や原材料・エネルギー価格動向に加え、中東や東欧での地政学リスク等、先行き不透明な状況が続いております。
自動車業界は、半導体等の部品供給不足の解消が進み、グローバルで生産台数が増加しました。最大市場である中国では、電気自動車の需要が拡大しています。
電子機器業界は、スマートフォンの需要は下期以降、やや持ち直しが見られますが、減少傾向が継続しています。また、ハードディスクドライブについても、市況の落ち込みの継続により需要が減少しました。
このような環境の中、当社グループにおける事業別の状況は次のとおりです。

事業別の状況
(単位:)
自動車向けは、生産台数の増加に伴い、国内を中心に販売が増加しました。一般産業機械向けは、中国での不動産不況をはじめとした世界的な景気低迷の影響が長期化し、建設機械向けを中心に販売が減少しました。
その結果、売上高は、3,626億5百万円(前期対比4.5%の増収)となりました。営業利益は、売上高の増加により、233億1千4百万円(前期対比30.4%の増益)となりました。
(単位:)
スマートフォン向けの販売が下期以降、前期対比で増加したこと、車載バッテリー用途を中心に自動車向けの販売が増加したことに加え、為替影響による押し上げ効果もありました。
その結果、売上高は、3,598億3千4百万円(前期対比7.6%の増収)となりました。営業損失は、売上高の増加により、10億2千3百万円(前期は37億1千2百万円の営業損失)となりました。
(単位:)
事務機向け製品の需要の減少等により、販売が減少しました。
その結果、売上高は、280億6千2百万円(前期対比1.1%の減収)となりました。営業利益は、6億2千6百万円(前期対比47.8%の減益)となりました。
以上の結果、当社グループの業績は、売上高は7,505億2百万円(前期対比5.7%の増収)、営業利益は229億1千2百万円(前期対比49.0%の増益)、経常利益は402億8千5百万円(前期対比51.7%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は316億2百万円(前期対比137.2%の増益)となりました。
対処すべき課題
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、米国・中国等の景気動向や原材料・エネルギー価格の動向、中東・東欧での地政学リスク等、先行き不透明な状況が続いております。これに加え、国内を中心に人件費・物流費の上昇も見込まれております。このような環境の中、各事業の見通しは以下のとおりです。
シール事業では、自動車向けについては、日系自動車メーカーによる自動車生産は全体としては堅調に推移するものの、電気自動車の急速な普及が進む中国や、東南アジア市場においては引き続き日系自動車メーカーの減速が見込まれております。一般産業機械向けについては、世界的な景気低迷により、建設機械を中心とした需要減の傾向が継続しております。事業全体を通じて外部環境の不透明感が強い状況が続くと見込まれているため、電気自動車等の新領域向けの製品や、中国系自動車メーカーへの拡販、適正価格に向けた価格改定活動等、収益性拡大の取り組みを進めてまいります。また、安定した品質・安定した製品供給体制を維持するとともに、自動車の電動化等の中長期的な事業環境の変化に対応するべく、新事業・新商品の開拓にも取り組んでまいります。
電子部品事業では、自動車向けについては、電気自動車の普及が想定より減速しているものの、市場の成長は継続すると見込んでおります。スマートフォン向けは、買い替えサイクルの長期化により需要は横ばいとなる見込みです。ハードディスクドライブ向けについては、市場は縮小傾向にあるものの、データセンター向けの需要は徐々に回復傾向にあります。引き続き、自動車向けをはじめとした比較的需要変動の少ない事業領域を拡大すること等を通じて変動の影響を受けにくい体質作りを進めるとともに、世界各地で拡大していく電動車需要に対しては地産地消の考え方をもとにした最適地生産を推進してまいります。
その他事業では、特殊潤滑剤、事務機向け製品において、生産性の改善や品質・コスト面での競争力、および収益の向上に取り組んでまいります。
上記のとおり、各事業において収益拡大の取り組みを推進する一方で、今後ますます社会的な要請が高まることが見込まれる脱炭素をはじめとする環境課題への対応や、持続的な成長基盤構築に向けた人材への投資およびDE&Iへの対応等、事業の持続可能性を確保するための投資も進めてまいります。
また、経営環境が今後もスピードを増して大きく変化していくことが見込まれる中、自らも変革することにより、中長期にわたる持続的な成長と企業価値の向上を実現できる事業基盤の構築を目指します。2025年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)において、「変革基盤の構築」を基本方針として重点項目に取り組んでおります。
中期経営計画の概要は以下のとおりです。
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基本方針
「変革基盤の構築」を基本方針とし、絶えず変革し続けながら計画達成を目指します。
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4つの重点取り組み項目
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1.新たな成長ドライバーの創出
電動自動車(EV)向け製品の機能別開発・拡販、グリーンエネルギー関連の製品開発・拡販、半導体装置向け製品の拡販
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2.グローバル成長への事業運営体制の整備
監査等委員会設置会社への移行検討、取締役会のダイバーシティ拡充等、データ利活用の拡大・迅速化、ESG項目への着実な取り組み
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3.多様な人財を活かす基盤の構築
新人事制度導入、人材育成への投資、DE&Iへの取り組み
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4.経営資源の最適運用
適正価格による受注の徹底、資本政策の実行(①自己株式取得、②DOE(株主資本配当率)2.5%以上に基づく配当、③政策保有株式の売却)
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1.新たな成長ドライバーの創出
