第86期 事業報告(2016年4月1日から2017年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項
事業の経過およびその成果
当期の国内経済につきましては、緩やかな景気回復が続きました。一方、世界情勢につきましては、英国のEU離脱表明や米国における新政権誕生などを背景に、政治および経済の先行きの不確実性が高まりました。これらを背景に、為替の動向につきましては、前期に比べ大幅な円高ドル安に推移いたしました。
当社グループは、SUBARUがお客様の心の中で際立った存在になることを目指して、2014年に策定いたしました中期経営ビジョン「際立とう2020」の取り組みを通じ、徹底的に考え抜いたクルマづくり、確かなモノづくりを貫き、お客様への「安心と愉しさ」の提供を追求していくための努力を続けてまいりました。また、重点取り組みであります「SUBARUブランドを磨く」をさらに加速させるため、当社の事業ポートフォリオを総合的に検討した結果、今後の持続的成長の実現を目指し、事業の中核である自動車事業のさらなる競争力の強化に向けて、経営資源をより有効に活用するために、産業機器事業を終了することを決定いたしました。そして当社は、第85期定時株主総会の決議事項に基づき、2017年4月1日をもちまして、富士重工業株式会社から株式会社SUBARUへ社名変更いたしました。
当期におきましては、当社の重点市場であります北米市場が前期に引き続き世界販売を牽引し、自動車売上台数は当社として初の100万台超えを記録するなど、着実に取り組みの成果を出すことができました。
その結果、当期の売上高は、自動車売上台数の増加などにより、為替変動に伴う売上高の減少を吸収し、過去最高となる3兆3,260億円と前期に比べ937億円(2.9%)の増収となりました。
利益面につきましては、自動車売上台数の増加や原価低減の進捗などがあったものの、エアバッグインフレータ※に起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、営業利益が4,108億円と前期に比べ1,548億円(27.4%)の減益となり、経常利益につきましても、3,943億円と前期に比べ1,826億円(31.7%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、2,824億円と前期に比べ1,543億円(35.3%)の減益となりました。
※:エアバッグの膨張装置
事業別の概況
事業別の概況をご報告いたします。
なお、前期までご報告いたしておりました「産業機器事業」につきましては、事業終了を決定したことに伴い、当期より「その他事業」の区分に含めて記載しております。また、以下の前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
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自動車事業
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当期の国内の自動車全体需要は、登録車につきましては、各社の新型車投入の影響などにより前期比8.1%の増加となり、軽自動車につきましては、前期からの軽自動車税増税の影響などにより前期比5.1%の減少となり、国内自動車全体では507.8万台(前期比2.8%の増加)となりました。また、当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系からSUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系へ移行が進み、前期並みの1,748.9万台となりました。
このような全需動向の中、国内の登録車につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」に加え、「レヴォーグ」および「フォレスター」の販売が好調に推移したことにより、売上台数は12.6万台と前期に比べ1.5万台(13.3%)の増加となりました。また、軽自動車につきましては、新型車「シフォン」が販売に寄与したものの、その他車種が減少したことにより、売上台数は3.3万台と前期に比べ0.1万台(3.4%)の減少となりました。これらの結果、売上台数の合計は、15.9万台と前期に比べ1.4万台(9.4%)の増加となりました。
海外につきましては、北米で「アウトバック」が好調を維持する中、米国生産拠点であるスバルオブ インディアナ オートモーティブ インク(以下SIA)の生産能力増強が寄与し、大幅に売上台数が増加しました。加えて、北米を中心に「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」および「フォレスター」が年度を通して好調を維持しました。これらの結果、売上台数の合計は、90.6万台と前期に比べ9.3万台(11.4%)の増加となりました。
地域別には、北米で72.1万台と前期に比べ9.0万台(14.3%)の増加、ロシアを含む欧州で4.6万台と前期に比べ0.1万台(2.6%)の減少、豪州で4.9万台と前期に比べ0.4万台(10.1%)の増加、中国で前期並みの4.4万台、その他地域で前期並みの4.6万台となりました。
以上の結果、国内と海外を合わせた売上台数は、過去最高となる106.5万台と前期に比べ10.7万台(11.1%)の増加となり、全体の売上高は3兆1,520億円と前期に比べ1,125億円(3.7%)の増収となりました。また、セグメント利益につきましては、エアバッグインフレータに起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、3,977億円と前期に比べ1,460億円(26.8%)の減益となりました。なお、当期の連結売上台数は以下のとおりです。
商品・技術面につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」が、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催する「2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。また、SUBARUの安全性能に関して第三者機関から高い評価を獲得いたしました。国内におきましては、国土交通省とNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)が実施した予防安全性能アセスメントにおいて、先進運転支援システム「アイサイト」を装備する「インプレッサ」、「レガシィ」、「レヴォーグ/WRX S4」および「フォレスター」が、最高評価であるJNCAP「予防安全性能評価ASV++」を獲得しました。海外におきましては、北米で販売している2017年型「インプレッサ」、「レガシィ」、「アウトバック」および「フォレスター」(いずれも「アイサイト」装備車)が、IIHS(米国道路安全保険協会)が行う最新の安全性評価において、最高評価である「トップセイフティピック+」を獲得いたしました。また、これらの4車種は、要求されるすべての耐衝撃性能試験において最高評価「Good」を獲得するとともに、前面衝突予防性能試験において、最高評価である「Superior」も獲得いたしました。さらに、欧州につきましては、欧州各国の交通関連当局などで構成される独立機関が実施している安全性能評価「ユーロNCAP」において、「アイサイト」を標準装備した「レヴォーグ」が、2016年安全性能総合評価で最高評価の「ファイブスター」を獲得いたしました。
先進運転支援システム「アイサイト」装備モデルにつきましては、2008年5月に国内にて発売して以来、8年7か月で世界累計販売100万台を達成いたしました。
生産面につきましては、SIAにおいて、1989年9月にSUBARU車の生産を開始して以来、26年10か月で累計生産300万台を達成いたしました。またSIAでは、「レガシィ」、「アウトバック」に加え、2016年11月より「インプレッサ」の生産を開始いたしました。 -
航空宇宙事業
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防衛省向け製品では、新多用途ヘリコプター「UH-X」の契約に基づく開発本格化などにより、売上高は前期を上回りました。
一方、民間向け製品では、為替変動に伴う売上高の減少および「ボーイング777」の生産機数減少などにより、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、全体の売上高は、1,388億円と前期に比べ140億円(9.2%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、91億円と前期に比べ91億円(50.0%)の減益となりました。 -
その他事業
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産業機器事業において、北米向けレジャービークル用エンジンの販売が減少したことにより、売上高は353億円と前期に比べ48億円(11.9%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましては、35億円と前期に比べ5億円(17.1%)の増益となりました。

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当期の国内の自動車全体需要は、登録車につきましては、各社の新型車投入の影響などにより前期比8.1%の増加となり、軽自動車につきましては、前期からの軽自動車税増税の影響などにより前期比5.1%の減少となり、国内自動車全体では507.8万台(前期比2.8%の増加)となりました。また、当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系からSUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系へ移行が進み、前期並みの1,748.9万台となりました。
このような全需動向の中、国内の登録車につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」に加え、「レヴォーグ」および「フォレスター」の販売が好調に推移したことにより、売上台数は12.6万台と前期に比べ1.5万台(13.3%)の増加となりました。また、軽自動車につきましては、新型車「シフォン」が販売に寄与したものの、その他車種が減少したことにより、売上台数は3.3万台と前期に比べ0.1万台(3.4%)の減少となりました。これらの結果、売上台数の合計は、15.9万台と前期に比べ1.4万台(9.4%)の増加となりました。
海外につきましては、北米で「アウトバック」が好調を維持する中、米国生産拠点であるスバルオブ インディアナ オートモーティブ インク(以下SIA)の生産能力増強が寄与し、大幅に売上台数が増加しました。加えて、北米を中心に「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」および「フォレスター」が年度を通して好調を維持しました。これらの結果、売上台数の合計は、90.6万台と前期に比べ9.3万台(11.4%)の増加となりました。
地域別には、北米で72.1万台と前期に比べ9.0万台(14.3%)の増加、ロシアを含む欧州で4.6万台と前期に比べ0.1万台(2.6%)の減少、豪州で4.9万台と前期に比べ0.4万台(10.1%)の増加、中国で前期並みの4.4万台、その他地域で前期並みの4.6万台となりました。
以上の結果、国内と海外を合わせた売上台数は、過去最高となる106.5万台と前期に比べ10.7万台(11.1%)の増加となり、全体の売上高は3兆1,520億円と前期に比べ1,125億円(3.7%)の増収となりました。また、セグメント利益につきましては、エアバッグインフレータに起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、3,977億円と前期に比べ1,460億円(26.8%)の減益となりました。なお、当期の連結売上台数は以下のとおりです。
商品・技術面につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」が、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催する「2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。また、SUBARUの安全性能に関して第三者機関から高い評価を獲得いたしました。国内におきましては、国土交通省とNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)が実施した予防安全性能アセスメントにおいて、先進運転支援システム「アイサイト」を装備する「インプレッサ」、「レガシィ」、「レヴォーグ/WRX S4」および「フォレスター」が、最高評価であるJNCAP「予防安全性能評価ASV++」を獲得しました。海外におきましては、北米で販売している2017年型「インプレッサ」、「レガシィ」、「アウトバック」および「フォレスター」(いずれも「アイサイト」装備車)が、IIHS(米国道路安全保険協会)が行う最新の安全性評価において、最高評価である「トップセイフティピック+」を獲得いたしました。また、これらの4車種は、要求されるすべての耐衝撃性能試験において最高評価「Good」を獲得するとともに、前面衝突予防性能試験において、最高評価である「Superior」も獲得いたしました。さらに、欧州につきましては、欧州各国の交通関連当局などで構成される独立機関が実施している安全性能評価「ユーロNCAP」において、「アイサイト」を標準装備した「レヴォーグ」が、2016年安全性能総合評価で最高評価の「ファイブスター」を獲得いたしました。
先進運転支援システム「アイサイト」装備モデルにつきましては、2008年5月に国内にて発売して以来、8年7か月で世界累計販売100万台を達成いたしました。
生産面につきましては、SIAにおいて、1989年9月にSUBARU車の生産を開始して以来、26年10か月で累計生産300万台を達成いたしました。またSIAでは、「レガシィ」、「アウトバック」に加え、2016年11月より「インプレッサ」の生産を開始いたしました。 -
防衛省向け製品では、新多用途ヘリコプター「UH-X」の契約に基づく開発本格化などにより、売上高は前期を上回りました。
一方、民間向け製品では、為替変動に伴う売上高の減少および「ボーイング777」の生産機数減少などにより、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、全体の売上高は、1,388億円と前期に比べ140億円(9.2%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、91億円と前期に比べ91億円(50.0%)の減益となりました。 -
産業機器事業において、北米向けレジャービークル用エンジンの販売が減少したことにより、売上高は353億円と前期に比べ48億円(11.9%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましては、35億円と前期に比べ5億円(17.1%)の増益となりました。
事業別売上高・セグメント利益

(注)1.企業集団の内部売上高は除いております。
2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。
対処すべき課題
当社グループは、中期経営ビジョン「際立とう2020」におきまして、2020年のありたい姿を「大きくはないが強い特徴を持ち質の高い企業」と定め、“お客様の信頼No.1”という評価をいただくことができるような高いブランド力と業界高位の利益率を実現することを目指しております。そして、その実現のため、個性的なSUBARUならではの特徴を活かし、付加価値経営のさらなる推進を目指す「SUBARUブランドを磨く」、経営環境変化への耐性を高め持続的な成長を確実なものとする「強い事業構造を創る」という2つの活動に集中した取り組みを進めております。その結果、世界の多くのお客様からご支持をいただくことができており、順調に成長してきております。
引き続き、短期的課題には迅速に対応しつつ、中長期的な課題にも並行して取り組むことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
①短期的課題
(品質向上の取り組み)
「安心と愉しさ」をお客様へ提供する当社におきまして、商品の品質向上は重要な経営課題のひとつであります。エアバッグインフレータに起因するリコール対応の本格化など、リコール対応件数は増加傾向にあることから、新たにCQO(最高品質責任者)を設置し、さらなる品質向上に向け、リソースを積極的に振り向けるとともに、コールセンターの拡充や対策部品のスムーズな供給、販売特約店での作業効率向上などを行い、お客様対応品質の向上に努めてまいります。
(生産能力の増強)
販売が好調に推移する中、能力増強投資は継続して行い、2016年度末の生産能力※1は、国内と海外の合計で103.8万台となりました。また、2018年度末のグローバル生産能力※1113.2万台に向け、計画どおりに能力増強を進めております。これらの対応により、お待ちいただいているお客様に1日でも早く商品をお届けできるよう、鋭意努力してまいります。
- 1:標準操業における生産能力
②中長期的課題
(SUBARUらしさを追求した商品の拡充)
各国の環境規制はさらに厳しくなることを見通しており、開発体制を強化し、プラグインハイブリッド、電気自動車などの電動車ならびに新型ダウンサイジングターボエンジンなどの開発を進め、規制への対応を図りながら、魅力的な商品を展開してまいります。
安全面では、先進運転支援システム「アイサイト」をさらに進化させ、2017年は車線中央維持機能の作動速度域の拡大や、ハンドル・アクセル・ブレーキを全車速域で自動制御し、運転負荷を大幅に軽減する機能を導入する予定です。また、2020年に、カーブ走行や車線変更など自動制御で走行できる機能を強化して運転負荷のさらなる軽減を目指しております。衝突安全性能に関する各国の評価基準が厳しくなる中、引き続きトップレベルの安全性能が堅持できるよう、開発を進めてまいります。
また、「安心と愉しさ」をさらに進化させるために、「SUBARU GLOBAL PLATFORM(スバルグローバルプラットフォーム)」を採用した新型車・全面改良車を、切れ目なく投入してまいります。
そして、自動車ビジネスにおいても情報化技術の進化や活用が加速・拡大しているため、CIO(最高情報責任者)ならびにIT戦略本部を設置し、デジタル分野の企画開発にさらに注力してまいります。
(質の高い企業を目指す取り組み)
経営規模の拡大に伴い、経営と業務執行の分離による監督機能の強化と業務執行のスピードアップを狙いとする取締役会機能の強化、譲渡制限付株式報酬制度の導入※2による役員報酬制度の見直し、そして経営管理本部、CQO、CTO(最高技術責任者)、CIOを新設し、経営全般に係るグローバルでの経営管理、事業監視機能の強化を図ってまいります。
また、CSRや環境分野への社会の要請が強まるとともに、経営上の重要性も増していることから、専任部署を新設して取り組みを強化してまいります。環境への取り組みにつきましては、環境方針を改定し、地球環境保護こそが社会と当社の未来への持続性を可能とする最重要テーマとして、“『大地と空と自然』がSUBARUのフィールド”をコンセプトに活動をさらに加速してまいります。
人材育成、組織・風土改革の取り組みにつきましては、重要課題と位置付けている女性の活躍推進に向けて引き続き管理職への登用を進めており、さらに女性が活躍しやすい会社を目指してまいります。そして、当社グループの従業員の心と体の健康を守る職場環境づくりに取り組んでまいります。
以上の取り組みを通じ、コンプライアンスを遵守し、コーポレートガバナンスの実効性を高め、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
- ※2:本年6月23日開催予定の第86期定時株主総会で関連議案が承認可決されることを前提としております。
当社グループは、「“お客様第一”を基軸に『存在感と魅力ある企業』を目指す」という経営理念のもと、さらなる成長・発展に向けてグループ一丸となって努力を続けてまいる所存でございます。株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
連結計算書類
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