事業報告(2020年3月1日から2021年2月28日まで)

会社の現況に関する事項

(1) 当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当事業年度における国内及び北海道の経済状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月に緊急事態宣言が発出され大幅に悪化した後、新しい生活様式の浸透や各種経済支援策の発動などで一時的に持ち直しの兆しが見られたものの11月より再び感染が拡大するなど、依然先行きが不透明で厳しい状況が続いています。

このような環境下、当社は、2020年3月1日マックスバリュ北海道株式会社と経営統合し新生イオン北海道としてスタートしました。

当事業年度における経営成績は、経営統合による効果に加え、新しい生活様式に対応した商品やサービスの提供を行った結果、売上高は3,199億円(前期比172.1%)となりました。また、旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比では99.7%となりました。

業態別の売上高は、GMS(総合スーパー)は1,750億18百万円(前期比97.4%)となりました。緊急事態宣言以降いち早く防疫体制を構築し、安全・安心に店舗をご利用いただける環境であることがお客さまに浸透したことで徐々に客足が戻ったものの、第1四半期の専門店休業や外出自粛による客数減少の影響を大きく受けました。SM(スーパーマーケット)、DS(ディスカウントストア)は巣ごもり需要による内食ニーズの高まりで生鮮食品を中心に好調だったことや、短時間でお買物を済ませたいニーズの高まりにより前年より伸長し、SMは973億29百万円(前期比105.6%、旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比102.9%)、DSは407億88百万円(前期比107.0%、旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比102.1%)となりました。

ライン別の売上高は、衣料部門がファッションマスクやリラクシングウェアなど新しい生活様式に対応したカテゴリーは伸長したものの、社会行事の中止、外出自粛によりビジネス、トラベル関連商品が大きく影響を受け、前期比81.5%(旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比80.8%)となりました。食品部門は前期比217.2%(旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比102.5%)と堅調で、全体の売上高を下支えしました。なお、食品部門は10期連続の増収となりました。住居余暇部門は、衛生用品やゲーム関連商品、手芸用品などが好調だった一方、化粧品関連が低調で前期比114.0%(旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比99.2%)となりました。

営業総利益は、第2四半期以降GMSとSMの統合効果の創出やテナント収入が回復するなどした結果、998億14百万円(前期比142.3%)となりました。販売費及び一般管理費は、経営統合により増加した一方、不要不急の出張抑制や販促計画、コロナ下に対応すべく店舗活性化計画などを見直したことと、電気代の削減や共通部門の合理化を行い、前期比145.9%となりました。

その結果、営業利益は93億65百万円(前期比115.5%)、経常利益は92億97百万円(前期比115.7%)となり、いずれも過去最高益となりました。当期純利益は、経営統合や新型コロナウイルス感染拡大における対策費用、減損損失などで特別損失20億83百万円を計上した一方、年金制度改定関連などで特別利益を9億1百万円計上した結果、58億52百万円(前期比151.1%)と増益となりました。

当事業年度において、当社が実施した取り組みは、次のとおりであります。

新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みでは、北海道が打ち出した「新北海道スタイル」を実践するとともに、防疫対策の基準などを示した「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づいた取り組みを実施し、感染リスクの低減を図り、安全・安心な売場環境や職場環境の構築に努めました。

そして当社は、統合によるシナジー効果を創出すべく、食のSPA化を推進するために「食品商品開発部」を設置、GMSからSMへのラインロビングや新規出店、店舗活性化、インターネット販売事業の推進などに取り組みました。

商品に関する取り組みでは、「食品商品開発部」による産地開発や商品開発に取り組み、北海道産の原料を使用した地域ならではの商品を当事業年度で約760品目開発し、約40億円嵩上げしました。またGMSの強い商品群であるH&BCや花のMDをSMへ導入しました。特に花は30店舗へ導入し好調に推移しております。恒例セールス「イオン道産デー」は、感染拡大の影響で様々な困難に直面している飲食店さまや生産者さまを応援すべく、メディアや売場のデジタルサイネージを通じて生産者の声をお客さまに届ける取り組みや飲食店弁当の販売を行うとともに、SMでの取扱品目を拡大した結果、旧マックスバリュ北海道店舗含む既存店前期比106.2%となりました。また、SMで実施していた旬の食材をおすすめしメニュー提案する取り組み「楽はやっ!クッキング」をGMS全40店舗に拡大しました。

販売に関する取り組みでは、当事業年度においてマックスバリュ日新店(苫小牧市)、ザ・ビッグアモール店(旭川市)を新規出店し、地域で親しまれている商品や鮮度にこだわった地元の農産物、水産物を取り揃えました。その他、まいばすけっと3店舗(札幌市)を新規出店しました。また、商圏特性に応じた品揃えの実現と設備の一新を目的として、5店舗の大型活性化を実施しました。

インターネット販売事業は、売上高前期比145.8%と大きく伸長しました。ネットスーパーでは、新しい生活様式に対応すべく玄関先で商品を受け渡すサービスの開始、システムの機能改善や作業場導線を改善するなど受注件数拡大に努め、売上高前期比132.3%となりました。インターネットショップ「eショップ」では、WEB専用サイト6企画を立ち上げ、売上高前期比は265.6%となりました。

その他当社では「事業活動を通して持続可能な社会への実現と企業の成長」を目指し、SDGsの目標達成に取り組んでおります。当事業年度では、プラスチック削減の取り組みとして小売店のレジ袋有料の義務化に伴い、当社では2020年4月から先行して全店舗の直営売場でレジ袋の無料配布を終了しました。レジ袋の辞退率は約86%と高水準を維持し、多くのお客さまにご理解ご協力をいただいております。また、当社が発行する助成スキーム付のWAONであるご当地WAONの周知や利用拡大に注力しました。利用箇所が1年間で約3,000箇所増加し約11,200箇所でご利用いただけるようになり、寄付金額は当事業年度で約37百万円、2011年から累計で約1億98百万円となりました。寄付金は、地域経済の活性化や地域の環境保全、観光振興などに活用されております。

今後も、安全・安心にお買物できる場をご提供すべく防疫対策を継続して行うとともに、まちづくりや環境社会貢献活動を地域の皆さまとともに進め、「イオンのあるまちに住みたい」と思っていただけるような取り組みを進めてまいります。

(2) 設備投資の状況

当事業年度における設備投資額の総額は、52億2百万円であります。主たるものは、既存店の維持修繕及び売場活性化によるものであります。

(3) 資金調達の状況

当事業年度の資金調達は、経常的な資金調達のみであり、特に記載すべき事項はございません。

(4) 財産及び損益の状況

(注)
  • 百万円単位の記載金額は、百万円未満を切捨て表示しております。
  • 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
  • 1株当たり純資産は、期末発行済株式数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
  • 第43期の営業収益の増加は、主にマックスバリュ北海道株式会社と合併したことによります。

(5) 重要な親会社及び子会社の状況

① 親会社の状況

当社の親会社は、イオン株式会社であり、同社は、当社の議決権比率77.4%(うち間接保有1.6%)を保有しております。

② 子会社の状況

該当事項はございません。

(6) 対処すべき課題

当社は、中長期的な経営戦略を推進するために、特に中期経営計画において以下の4つの重点施策を実施してまいります。

① 商品と店舗の付加価値向上

当社事業の核である商品と店舗の付加価値を大きく向上させ、地域一番の商品力、地域一番の便利な店を実現します。商品では食品の強化を最重点に取り組みます。安全・安心、鮮度、美味しさ、バリューを追求すべく、自社オリジナル商品の開発、産地と連携した道産生鮮品の強化を図ります。開発商品は新年度より稼働する自社プロセスセンターにて製造を開始し、食のSPA化をさらに進めます。衣料と住居余暇商品は、靴、サイクル、フラワー&ガーデンなど、専門性が高く、競争力のあるカテゴリーの強化を図り、強い食品と合わせて、総合スーパーの魅力を上げます。店舗においては、多様な業態とその店舗網でさまざまなお買物ニーズにお応えするとともに、店舗機能の拡充により利便性の向上を図ります。新規出店は食品業態店舗を中心に加速します。また、中小型の新業態店舗を開発し、出店を開始します。既存店の強化では、新たなエリア戦略に基づいた店舗活性化を進め、新たな地域ニーズに合わせた売場構成に変更します。店舗機能はデジタルテクノロジーの活用を進め、セルフレジやデジタルサイネージの導入、Eコマースの店舗受取サービスの拡充など、ストレスフリーで便利な店を実現します。また、なくてはならない販売チャネルであり、顧客接点であり、競争の重要なファクターであるEコマースは、品揃えを拡大し、機能の向上を図るとともに、道産商品を道外に拡販し商圏を拡げます。

② 顧客化の推進

リアルとデジタルのさまざまな顧客接点で得られるデータを活用し、一人ひとりのお客さまに最適な商品とサービスを提案、提供することで、顧客体験の向上を図ります。顧客接点の強化として、キャッシュレス化の推進、スマホアプリの機能向上、Eコマースの利用拡大を図ります。顧客体験の向上により、イオンファンを増やし、顧客との固い絆を結びます。

③ 地域との連携

地域と共に地域課題の解決に取り組み、地域と共に成長します。地域になくてはならない売場やさまざまな暮らしの機能を店舗に集約します。店舗が地域の集いの場となり、生活拠点となる「イオン生活圏」を確立し、住み良いまちを実現します。環境社会貢献活動におけるSDGs推進では、当社の重要な社会的責務として脱炭素の取り組みを加速します。また、地域の暮らしを支えるインフラとして事業継続計画を更新し、防疫・防災体制の徹底と強化を図ります。

④ 収益構造の改革

収益構造改革に取り組み、成長を支える強固な経営基盤をつくります。既存店舗の品揃えの見直し、売場面積の適正化により、売場効率を上げ、収益力の改善を図ります。また、コストの最適化として、労働人口減少や人件費増に耐えうるコスト構造を確立し、コントロールを図ります。

2021年度に注力する取り組み

2021年度は、新中期5ヵ年計画の初年度として、最終年度である2025年度のありたい姿の実現に向けた事業改革のローンチの年度と位置付けております。デジタル化の加速、商品開発による商品力の強化、既存店活性化の確実な実行、新業態の出店検証と準備、店舗オペレーションとバックオフィスの改革、全社ですすめるSDGs、以上の6つの実行方針にて、引き続き地域のライフラインとしての責務を果たしながら、新中期5ヵ年計画の実現を目指し、各施策を確実に進めてまいります。

計算書類