事業報告(2021年3月1日から2022年2月28日まで)
会社の現況に関する事項
(1) 当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
当事業年度における国内及び北海道の経済状況は、新型コロナウイルス感染対策の浸透やワクチン接種が進んだことなどから一部持ち直しの動きが見られましたが、変異株の流行により感染が再拡大したことで北海道においてはまん延防止等重点措置が再発出されるなど、感染症の影響が長期化しました。また、原油や原材料が高騰するなど先行きが不透明な状況が続き、生活防衛意識が依然高止まりしております。
このような環境下において、当社は北海道が打ち出した「新北海道スタイル」を実践するとともに「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づいた取り組みを実施し、安全・安心な売場環境や職場環境の構築に努めました。
また、当社は経営ビジョンである「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業」の実現に向け、2021年度をスタート年度とする5カ年の中期経営計画を策定しました。2021年度は中期経営計画の基盤を整える年として、「商品開発による商品力の強化」「既存店活性化の確実な実行」「全社ですすめるSDGs」などに取り組んでまいりました。
当事業年度における経営成績は、食品部門が好調に推移し売上高は3,216億4百万円(前期比100.5%、既存店前期比100.3%)と増収となりました。営業総利益は売上高の増加に加えテナント収入が前期から回復し、1,001億35百万円(前期比100.3%)となりました。販売費及び一般管理費は、イオン石狩PCの新設や店舗活性化、セルフレジ導入などの積極的投資の影響に加え、人件費、水道光熱費の単価増によるコスト増加などにより934億74百万円(前期比103.3%)となりました。その結果、営業利益は66億61百万円(前期比71.1%)、経常利益は66億88百万円(前期比71.9%)、当期純利益は、前期に年金制度改定関連の特別利益を計上した反動などで38億27百万円(前期比65.4%)と減益となりました。
業態別の売上高は、GMS(総合スーパー)は1,761億15百万円(前期比100.6%、既存店前期比100.6%)、SM(スーパーマーケット)は973億20百万円(前期比100.0%、既存店前期比99.4%)、DS(ディスカウントストア)は412億67百万円(前期比101.2%、既存店前期比100.7%)となりました。
ライン別の売上高は、衣料部門は前期のファッションマスクの反動減や感染症拡大による外出自粛が継続した影響を受け、前期比98.5%(既存店前期比98.5%)となりました。食品部門は、内食需要が継続しデリカやリカーが堅調だったことに加え、イオンのPB「トップバリュ」において価格凍結宣言を打ち出し、訴求を図ったことで前期比101.3%(既存店前期比101.0%)となりました。住居余暇部門は前期に衛生用品需要が急増していたことによる反動減が影響し前期比97.2%(既存店前期比97.2%)となりました。
当事業年度において、当社が実施した取り組みは、次のとおりであります。
商品に関する取り組みでは、「強い食」の実現や強固な物流体制の構築を目的として、2021年8月にイオン石狩PCを稼働しました。地域食材を活用した商品開発のほか、集中生産やアウトパック供給を担い、店内作業の効率化につながっております。商品開発においては、当社のオリジナル商品を当事業年度で約1,250品目開発し、売上高の嵩上げに貢献しました。
販売に関する取り組みでは、当事業年度においてGMS4店舗、SM5店舗、DS2店舗の計11店舗で大型活性化を行い、設備を一新するとともにニーズが拡大している商品や地域で親しまれている商品の品揃えを増やしました。また、レジ混雑を緩和しお客さまの負を解消すること及び業務の効率化を目的にセルフレジの導入を推進し、新規・追加導入合わせて45店舗に導入しました。
インターネット販売事業においては、売上高前期比122.4%と伸長しました。このうちネットスーパーについては、需要増に対応すべく作業のデジタル化など受注件数拡大に向けた環境を整備し、売上高前期比119.3%となりました。インターネットショップ「eショップ」は、既存企画サイトが好調だったことに加え、「アウトドア」「除雪機」など新規企画サイトを開設し、売上高前期比136.2%となりました。
SDGsに関する取り組みでは、再生可能エネルギーの活用拡大に向け、マックスバリュ沼ノ端店、マックスバリュ弥生店(いずれも苫小牧市)の2店舗においてPPA「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」事業者が太陽光パネルを設置し、自家消費分として購入・活用する取り組みを開始しました。この取り組みをはじめとした、環境に関する中長期目標の策定やダイバーシティ経営推進などが評価され、札幌商工会議所が主催する「令和3年度SDGs経営表彰」の総合賞を受賞しました。また、植樹活動や地域の子どもたちのエコクラブ活動などが評価され、北海道が主催する「令和3年度北海道生物多様性保全実践活動賞(通称:未来へつなぐ!北国のいきもの守りたい賞)」を受賞しました。
当社は、今後も安全・安心にお買物できる場をご提供すべく防疫対策を継続して行うとともに、まちづくりや環境社会貢献活動を地域の皆さまとともに進め、「イオンのあるまちに住みたい」と思っていただけるような取り組みを進めてまいります。

(2) 設備投資の状況
当事業年度における設備投資額の総額は、150億86百万円であります。主たるものは、イオン石狩PCの取得及び既存店の維持修繕並びに売場活性化によるものであります。
(3) 資金調達の状況
当事業年度は、主に上記設備投資資金を目的に、長期借入金で90億円を調達いたしました。
(4) 財産及び損益の状況







- 百万円単位の記載金額は、百万円未満を切捨て表示しております。
- 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
- 1株当たり純資産は、期末発行済株式数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
- 第43期の営業収益の増加は、主にマックスバリュ北海道株式会社と合併したことによります。
(5) 重要な親会社及び子会社の状況
- ①
- 親会社の状況
当社の親会社は、イオン株式会社であり、同社は当社の議決権比率77.3%(うち間接保有1.6%)を保有しております。
- ②
- 親会社等との間の取引に関する事項
- イ.
-
当該取引をするにあたり当社の利益を害さないように留意した事項
親会社等の取引をするにあたっては、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違ないこと等に留意し、合理的な判断に基づき決定しております。
- ロ.
-
当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由
親会社等との重要な取引については、独立性確保の観点等も踏まえ、独立社外取締役が出席する取締役会において多面的な議論のうえ、実施の可否を決定しており、当該取引が当社の利益を害するものではないと判断しております。
- ハ.
-
取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見
該当事項はございません。
- ③
- 子会社の状況
該当事項はございません。
(6) 対処すべき課題
全国より早い少子高齢化による人口減少で市場が縮小し、競争が激化する北海道において、さまざまな経営課題を解決し、中長期的な経営戦略を推進すべく、中期5ヵ年経営計画(2021-2025)の4つ方針に沿って、施策を進めています。
- ①
-
商品と店舗の付加価値向上
当社の成長には、事業の核である商品と店舗の付加価値を上げ、地域一番の商品力、地域一番の便利な店を実現することが不可欠です。商品においては食品の強化を最重点とし、安全・安心、鮮度、美味しさ、バリューを追求すべく、競争力のある自社商品の開発と、産地と連携した道産生鮮品を強化します。当事業年度はイオン石狩PCを新設し、開発商品の製造・供給を開始しました。次年度は自社独自商品を更に拡大し競争力を高めるとともに、店舗作業の削減による効率化を進めます。また、衣食住が揃うGMSの魅力を再構築すべく、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による外出自粛で、マイナス影響が大きかった衣料商品と住居余暇・H&BC商品は、ニューノーマル時代に伸長するカテゴリーを更に精査し、品揃えの見直しを図ります。店舗においてはリアルとデジタルの多様な業態で、様々なお買物ニーズにお応え出来るのが当社の強みですが、地域ごとのお客さまのニーズの変化に、よりきめ細かく対応する売場構成への変更を進めます。また、食品業態を中心に継続的に新規出店しますが、あわせて中小型の新業態店舗の開発を進めます。店舗機能の強化では、お客さまの利便性と業務効率の向上を図るべく、セルフレジの導入を加速しており、当事業年度末においてはGMS/SM/DS店舗の7割以上で導入が完了し、Eコマースの店舗受取サービスの拡充などと合わせ、ストレスフリーで便利な店づくりを進めています。重要な販売チャネルであるネットスーパーは、当事業年度に品揃えや受注・配送のキャパシティを拡充し、急激に高まるお客さまニーズにお応えしましたが、次年度には拠点を拡大し、成長市場を確実に取り込みます。
- ②
-
顧客化の推進
お客さまニーズの変化に加え、販売チャネルの多様化や広告媒体が急激に変化する中、新たな顧客戦略を進めています。リアルとデジタルの様々な顧客接点で得られるデータを活用し、一人ひとりのお客さまに最適な商品とサービスを提案・提供するためのOne to Oneマーケティング体制を構築し、イオンファンを増やし、顧客と固い絆を結びます。当事業年度は、新たな顧客接点としてイオンのトータルアプリ「iAEONアプリ」を導入しました。スマホ決済によりお客さまの利便性を高めるとともに、次年度はデータを活用した顧客販促を強化していきます。
- ③
-
地域との連携
地域の成長なくして当社の成長はありません。また、更なる環境配慮経営が課題となっています。地域とともに地域課題の解決に取り組み、地域になくてはならない店と住み良いまちを実現するために、商品や店舗だけでなく、地域と連携した環境・社会貢献活動に引き続き取り組みます。当事業年度は地域の暮らしを支えるインフラとして、新たに「協働のまちづくりに関する包括連携協定」を室蘭市・名寄市と、「災害時における支援に関する協定」を八雲町・栗山町・恵庭市など9市町と締結しました。また、売上の一部を当社が地域の活動に寄付するスキームを持つ「さっぽろ中枢都市圏WAON」(電子マネーカード)を発行し、地域連携を拡大しました。また、SDGs推進においては、脱炭素の取り組みを最重点に、引き続きCO2排出削減、排出プラスチックの削減、食品廃棄物の削減に取り組みます。
- ④
-
収益構造の改革
成長を支える強固な経営基盤づくりとして、収益構造を改革します。特に衣料と住居余暇については店舗の品揃えと売場面積の適正化を図り、売場効率を上げ、収益力を改善します。あわせて、デジタルテクノロジーを活用した省人省力化と業務オペレーションの見直しにより、人時生産性を高めます。課題となる人件費や光熱費の増加に耐えうるコスト構造を確立し、コントロールを図ります。
2022年度に注力する取り組み
中期5ヵ年経営計画の2年目として「事業の実験・検証」の年度と位置付け、2025年度の「ありたい姿の実現」に向け、2021年度投資のイオン石狩PC、iAEONアプリ、セルフレジなどの施策効果の最大化を図るとともに、特に食品と衣料の強化に注力します。