事業報告(2023年3月1日から2024年2月29日まで)
会社の現況に関する事項
(1) 当期の経営成績の概況
当事業年度における国内及び北海道の経済活動は、新型コロナウイルス感染症の分類引き下げにより社会経済活動が正常化し、景気は回復基調が続いております。一方、エネルギーや原材料価格の高騰などによる物価上昇などの影響で、生活防衛意識は依然として高いまま推移しております。
このような環境下、当社は経営ビジョンである「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業」の実現に向け、中期5カ年経営計画の3年目となる2023年度を事業モデル確立の年度と位置づけ、「商品と店舗の付加価値向上」「顧客化の推進」「収益構造の改革」「地域との連携」に取り組んでまいりました。
当事業年度における経営成績は、売上高3,331億60百万円(前期比105.0%)となり、過去最高を更新しました。営業総利益は、売上高の伸長やテナント収入増加の影響で、1,072億86百万円(前期比104.9%)となりました。販売費及び一般管理費は、969億19百万円(前期比103.2%)となりました。営業利益は103億66百万円(前期比124.2%)、経常利益は103億96百万円(前期比122.3%)と、いずれも過去最高となりました。当期純利益は61億93百万円(前期比131.6%)と増益となりました。
業態別の売上高は、GMS(総合スーパー)は1,865億14百万円(前期比103.8%、既存店前期比103.8%)、SM(スーパーマーケット)は1,018億43百万円(前期比104.7%、既存店前期比103.5%)、DS(ディスカウントストア)は498億8百万円(前期比112.6%、既存店前期比109.2%)となりました。なお、業態別の売上高、前期比、既存店前期比においては、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用していない数値となります。ライン別の売上高は、衣料部門は前期比101.5%(既存店前期比101.6%)、食品部門は前期比105.9%(既存店前期比104.8%)、住居余暇部門は前期比101.8%(既存店前期比101.6%)となりました。
当事業年度において、当社が実施した取り組みは、次のとおりであります。
「商品と店舗の付加価値向上」では、札幌市にSM業態として「マックスバリュエクスプレス新川3条店」「マックスバリュ山鼻店」「イオン南平岸店」を新規出店し、重点エリアのシェア拡大を図りました。大型活性化は8店舗実施し、品揃えの見直し、設備の一新などを行い、店舗の魅力向上を図りました。
GMS店舗において地域交流拠点としての役割を果たすべく、文化芸術の披露や地域の方々のためのイベントを実施したほか、大きな集客が見込めるブラックフライデーや初売りのセールスを強化したことで来店動機につながり、館全体の客数増に寄与しました。
商品においては、当社ならではの差別化商品の開発、販売に注力し、食品では「イオン北海道 本気!のザンギ」を6月に販売開始して以来、3億円を超える売上となる大ヒットとなりました。1月からは「イオン北海道 本気!の肉じゃが」を販売開始するなど、オリジナル商品約760品目を開発、リニューアルしました。衣料、住居余暇においては、外出意欲の高まりや社会、学校行事再開による需要を取り込むため、浴衣やセレブレイトスーツ、化粧品などの品揃えを拡充し、好調に推移しました。また、キャリーケースやアウター、防滑靴などにおいて、当社オリジナルの商品をメーカーと共同開発しました。イオンのプライベートブランド「トップバリュ」は、新しいブランド体系のもと、新商品、リニューアル商品を販売強化したほか、一部商品において原材料価格が安定し始めたことに加え、イオングループ一丸となった対象商品の販売数量拡大、スケールメリットを活用したことによる値下げや増量で、対象商品が好調に推移し、トップバリュの売上高前期比は110.5%となりました。
インターネット販売事業においては、ネットスーパー事業において拠点を増やし、受注件数増加や配送時間の短縮を図り、売上高前期比102.7%、前期のコロナ支援物資売上影響を除くと108.7%となりました。
「顧客化の推進」では、最重要の顧客接点であるイオンのトータルアプリ「iAEON」について、利便性拡大と会員数拡大に取り組みました。AEON Pay機能の充実や懸賞企画、一部売場におけるスタンプカード機能の実装のほか、前事業年度の約1.6倍となる約800種類のクーポン企画を実施し、会員数は前事業年度末と比較し約1.7倍となりました。
「収益構造の改革」では、生産性の向上を図るべく、電子棚札においては29店舗、セルフレジは追加導入含め38店舗に導入し、導入店舗数はそれぞれ35店舗、117店舗となりました。業務効率化により、当事業年度の総労働時間について前期比2%改善を目指しておりましたが、想定以上に売上高が伸長したことで、前事業年度並みの水準となりました。また、省エネを推進するため高効率の機器への入替などを積極的に行い、電気使用量の削減に努めましたが、夏の猛暑の影響で使用量が増加し、前期比4%削減の目標に対し、前期比97.7%となりました。
「地域との連携」については、「フードドライブ」の取り組みを進め、実施店舗数は当事業年度末で35店舗となりました。また、地域の経済循環を推進するため、学校法人酪農学園と包括連携協定を締結しました。12月には酪農学園大学の近隣に所在するイオン江別店で「酪農学園フェア」を実施し、イオン江別店で排出された食品廃棄物を家畜用飼料に活用し、それを給与した肉牛を販売するとともに、店舗でインターンシップを受け入れ、学生との交流を行いました。また、脱炭素の推進の取り組みにおいては、8月、太陽光発電によるオフサイトPPAに関する契約を締結し、1月より供給を開始しました。この取り組みは2025年まで段階的に発電所を増やして行く計画で、現段階で道内最大規模のオフサイトPPAとなります。
当社は、お客さまに「イオンのあるまちに住みたい」と思っていただけるよう事業改革を進めてまいります。

(2) 設備投資の状況
当事業年度における設備投資額の総額は、102億68百万円であります。主たるものは、新店(イオン南平岸店・マックスバリュ山鼻店)の出店及び既存店の維持修繕並びに売場活性化によるものであります。
(3) 資金調達の状況
当事業年度の資金調達は、経常的な資金調達のみであり、特に記載すべき事項はございません。
(4) 財産及び損益の状況







- 百万円単位の記載金額は、百万円未満を切捨て表示しております。
- 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
- 1株当たり純資産は、期末発行済株式数(自己株式を除く)に基づき算出しております。
(5) 重要な親会社及び子会社の状況
- ①
- 親会社の状況
当社の親会社は、イオン株式会社であり、同社は当社の議決権比率67.2%(うち間接保有1.6%)を保有しております。
- ②
- 親会社等との間の取引に関する事項
- イ.
-
当該取引をするにあたり当社の利益を害さないように留意した事項
親会社等の取引をするにあたっては、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違ないこと等に留意し、合理的な判断に基づき決定しております。
- ロ.
-
当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由
親会社等との重要な取引については、独立性確保の観点等も踏まえ、独立社外取締役が出席する取締役会において多面的な議論のうえ、実施の可否を決定しており、当該取引が当社の利益を害するものではないと判断しております。
- ハ.
-
取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見
該当事項はございません。
- ③
- 子会社の状況
該当事項はございません。
(6) 対処すべき課題
当社は、2025年のありたい姿の実現に向け、中期5ヵ年経営計画(2021-2025)において4つの方針を定め、経営課題の解決に取り組んでおります。
- ①
-
商品と店舗の付加価値向上
市場競争が激化する中で競争力を格段に高めるために、事業の核である「商品」と「店舗」の継続的な付加価値向上が、最重要の課題であると認識しております。
商品においては、売上高の約8割を占める食品を最重点とし、安全・安心、鮮度や美味しさを基本に、当社にしかない魅力ある商品を強化いたします。当事業年度においては、インフレ下において品揃えを拡充したイオングループのプライベートブランドであるトップバリュ商品が、その品質と価格を多くのお客さまから評価され、売上を大きく伸長させました。また、自社開発商品においては「本気!のザンギ」などの看板商品が誕生いたしました。また、低温物流センターの機能を持つイオン石狩プロセスセンターにて、自社開発のデリカや畜産商品を製造し、店舗へタイムリーに供給することで、店舗の品揃えレベルの向上と作業削減による効率化を図りました。衣料・住居余暇商品は今後の売場モデルとして、新たな品揃えと売場構成の導入を開始し、検証・修正をすすめております。翌事業年度においては、食品は引き続き独自商品を強化するとともに、衣料・住居余暇商品は、新たな売場モデルの導入をすすめてまいります。
店舗においては、継続的な出店と既存店舗の価値向上をすすめております。当事業年度においては、計画しておりましたSM3店舗を出店いたしました。既存店舗の価値向上では、店舗ごとのお客さまニーズをより深く掘り下げ、品揃えの見直しや設備を刷新する店舗活性化を実施いたしました。また、お客さまの利便性の向上と共に働き手不足に対応する店舗DX推進においては、セルフレジの導入をほぼ完了し、投資についてはセルフレジから電子棚札にシフトしております。ネットスーパーについては、受注配送キャパシティを拡大するとともに、地域ニーズにきめ細かに対応する店舗型拠点を拡充いたしました。翌事業年度の出店は、GMS1店舗、SM2店舗に加え、まいばすけっとの出店再開を計画しております。また、引き続き店舗活性化に注力してまいります。
- ②
-
顧客化の推進
厳しい競争環境下においてもお客さまに選ばれる、強固な顧客基盤の早期構築に取り組んでおります。当社の顧客であるイオンカード、電子マネーWAON、iAEONアプリ等の会員さまへ、決済やアプリ利用を通じてお預かりしたデータを活用し、お一人おひとりに最適な商品やサービスを提案・提供するOne to Oneマーケティングにより、顧客の利便性と満足度を格段に高めることで、顧客基盤を強化いたします。当事業年度は、アプリ会員の拡大と決済利用の促進、クーポン販促に注力いたしました。翌事業年度も、販促の強化とともにデータ分析と活用領域の拡大により、顧客満足の向上に取り組んでまいります。
- ③
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地域との連携
地域の毎日の暮らしに寄り添う小売業として、地域の成長なくして当社の成長はありません。「ご当地WAON」など、当社のプラットフォームを最大限に活用し、地域の様々なパートナーとともに、地域経済の活性化や生活サービスの向上を図り、「住みよいまち」の実現を目指してまいります。行政との連携においては、北海道及び12市・1都市圏と包括連携協定を締結し、各地域課題の解決に取り組んでおります。また、当社は防災拠点の役割を担っており、店舗が所在する42市町村と防災協定を締結しております。当事業年度は、2023年3月に当社27店舗が国民保護計画の避難施設に指定され、有事への備えを更にすすめております。翌事業年度においても、引き続き地域課題の解決に取り組んでまいります。
- ④
-
収益構造の改革
光熱費や人件費をはじめ、さまざまな経費高騰に耐えうる収益構造を確立いたします。その取り組みとして、当事業年度はグループのスケールメリットを最大限に活用し、競争力の高いトップバリュの売上拡大やグループ共同調達の拡大による値入改善を図りました。また、店舗オペレーション改革による生産性の向上をすすめてまいりましたが、生産年齢人口の減少が止まらない中で、少ない人数で無理なく可能な業務オペレーションの早期実現には、改革の更なる加速が不可欠となっております。翌事業年度は、特に店舗オペレーション改革については、本社やバックオフィスの改革と合わせた全社的な業務改革として、推進体制を強化する組織変更を行い、省人化投資の拡大から働き方の見直しまで、徹底的に取り組んでまいります。