事業報告(2019年9月1日から2020年8月31日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当事業年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が一転し、新型コロナウイルス感染症(以下「本感染症」という)の影響により厳しい状況にありますが、このところ持ち直しの動きがみられます。個人消費は持ち直しているものの、本感染症による影響で、企業収益は大幅な減少が続いており、雇用情勢は弱い動きとなっております。

当家電小売業界における売上は、2019年9月に消費増税前の駆け込み需要がありましたが、その後の反動減が続く中で、2020年2月以降、本感染症による大きな影響が生じております。商品別にはOS(Windows7)のサポート終了に伴う駆け込み、及びテレワークに伴う需要が生じたパソコンやパソコン周辺機器のほかテレビが好調だったことに加え、冷蔵庫や洗濯機等が堅調に推移いたしました。一方、スマートフォンやデジタルカメラ等は低調に推移いたしました。

このような状況の中、当社は、「お客様第一主義を実践し、最高のサービスをお客様に提供することで社会に貢献する」の経営理念のもと、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をスローガンに掲げ、ビックカメラとの統合効果を最大限に発揮し、企業価値の向上に取り組んでおります。2020年3月以降、本感染症拡大防止のために、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、マスク着用、丁寧な手洗い・消毒、従業員の出退勤時の検温、店内消毒、レジ・カウンター等への飛沫感染防止シート設置、ソーシャルディスタンスの確保などの対策を継続して実施しております。4月から5月の緊急事態宣言下においては、14店舗での休業やほぼ全店舗での営業時間短縮、店頭イベントの中止を実施しております。当社は、お客様の住まいに近く、くらし関連の不可欠なサービスを提供し、地域のお客様の“必要”にお役に立てるよう、店舗運営に取り組んでおります。

ビックカメラグループの幅広い取扱い商品を強みに、品揃えの拡充や専門性の向上に取り組み、モノからコト軸への提案を進め、更に、お客様に体験価値や満足感を感じていただける展示・接客の充実に努めております。当期における非家電商品の導入につきましては、2019年10月12日に「コジマ×ビックカメラ 梶ヶ谷店」で腕時計の販売を開始し、2020年7月23日の「コジマ×ビックカメラ 福岡春日店」をはじめ2店舗で酒類の販売を開始、また、8月22日の「コジマ×ビックカメラ善福寺店」をはじめ3店舗において自転車の販売を開始しております。これらの取り組みにより、店舗の更なる魅力度向上に努めております。

また、デジタル商品の買取・購入後のサポートを充実させた「サービスサポートカウンター」の設置店舗拡大や、社員が直接お客様宅を訪問し困り事を解決する「コジマくらし応援便」の対象エリア拡大・サービスメニュー拡充など、コジマ独自の試みにより、地域の皆様からもっとも身近に親しまれ必要とされる店舗づくりに取り組んでおります。2020年3月以降は、外出自粛要請により家の中で過ごす機会が多くなる中、テレワークやオンライン授業、ご家庭でのくらしに役立つ商品・サービスを充実させるなど、お客様が少しでも快適になるためのご提案を進めております。

さらに、2019年10月にヤフー株式会社が新たにオープンしたインターネット通販サイト「PayPay モール」へ出店し、2020年1月からコジマネットにおいて、新たな決済サービス「楽天ペイ」を導入しました。店舗においては、2019年10月に65歳以上のお客様を対象として、新たなポイントカード「アクティブ65倶楽部」を発行し、ポイントアップ特典を付与するなど、サービスを充実したほか、2020年4月には「楽天ポイントカード」の利用をスタートさせるなど、お買物がもっと便利になる仕組みづくりも進めております。

また、地域密着による自治体や地元企業との連携強化に関する取り組みとしましては、2020年6月15日に、新型コロナウイルス感染症対策に取り組む地域の医療機関や地域医療を支える医療従事者を支援するため、株式会社東邦銀行を通して、銀行保証付私募債「新型コロナ対策 福島応援債」を発行いたしました。8月21日には、地域社会の発展と県民サービスの更なる向上に関する取り組みにおいて、相互協力の下に推進するため、栃木県と「包括連携協定」を締結いたしました。

店舗展開におきましては、2020年6月19日の「コジマ×ビックカメラ イーアス沖縄豊崎店」(沖縄県豊見城市)をはじめ4店舗を開店した一方、「古河店」(茨城県古河市)など3店舗を閉店し、2020年8月末現在の店舗数は143店舗となりました。

また、ご来店いただいたお客様の声を店舗づくりに反映し、更なる進化を目指すとともに、異業種とのコラボ店舗など、新たな店舗モデルの構築や出店形態の多様化に取り組んでおります。

以上の結果、当事業年度の売上高は 2,882億16百万円(前年同期比 7.5%増)、営業利益は72億21百万円(前年同期比 12.4%増)、経常利益は 73億82百万円(前年同期比 3.0%増)、税引前当期純利益は 68億32百万円(前年同期比 21.2%増)、当期純利益は 60億56百万円(前年同期比 8.3%減)となりました。

品目別売上高、同構成比

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重要な親会社の状況

① 親会社との関係

当社の親会社は株式会社ビックカメラで同社は当社の普通株式39,000千株を保有し、その議決権比率は50.25%であります。

当社は株式会社ビックカメラとの間で資本業務契約を締結し、商品仕入面での連携、物流・システム面での連携、店舗開発、店舗運営ノウハウ及び店舗マネジメント並びに販売促進の連携、什器・間接資材の共同購入、人材交流の多方面にわたり両社で共同して提携を推進することにより、収益性の改善及び競争力の強化に努めております。

② 親会社との間の取引に関する事項

イ.当該取引をするに当たり当社の利益を害さないように留意した事項

当社は親会社との間で「商品の発注及び代金の支払業務の委託」等の取引を実施しておりますが、当該取引をするに当たっては、少数株主の保護のため、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違しないこと等に留意し、合理的な判断に基づき、公正かつ適正に決定しております。

ロ.当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由

当社は、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、独立社外取締役からも当社経営に対する適切な意見を得ながら、取締役会において多面的な議論を経たうえで、当該取引の実施の可否を決定しております。

事業運営に関しては、取締役会を中心とした当社独自の意思決定に基づき業務執行をしており、上場企業としてのお互いの立場を尊重しつつ経営の独立性を確保しながら、適切に経営及び事業活動を行っております。

ハ.取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見

該当事項はありません。

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対処すべき課題

当社は、「お客様第一主義を実践し、最高のサービスをお客様に提供することで社会に貢献する」というビックカメラグループの経営理念のもと、「お客様のくらしを『より快適に』 『より便利に』 『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をスローガンに掲げ、地域の皆様から最も身近で愛され、必要とされるコジマを目指してまいります。

引き続き当社は、「生産性の向上」と「持続的な成長」を2大戦略に掲げ、企業価値の向上に努めてまいります。

① 生産性の向上

株式会社ビックカメラとの統合効果を最大限に発揮し、プライベートブランド商品、新分野の商品、新サービス商材の開拓と販売強化や、ウィズコロナ時代の巣ごもり需要や省エネ、テレワーク・オンライン授業に関連する商品の訴求力向上に努め、更に効率的な経費のコントロールに取り組むことで、営業利益の向上に努めてまいります。

また、株式会社ビックカメラとの人材交流や女性従業員の活躍機会拡大などを通じて組織活性化を図り、更に新しい生活様式に対応した健康経営や多様な働き方の推進、オンラインを活用した研修の拡大に取り組むことで、生産性の向上につなげてまいります。

② 持続的な成長

当社では、ビックカメラグループの幅広い専門性を活かした、トイズや自転車、酒類など、生活様式の変化に伴い需要が増加している新たな商品カテゴリの拡充や、立地・商圏の将来性等を見据えた店舗網の構築を進め、年間数店舗の新規出店や店舗改装に取り組んでまいります。

さらに、お客様ニーズの変化に素早く対応し、地域に愛される店舗づくりを進めるとともに、商品の買取・購入後のサポートを充実させた「サービスサポートカウンター」と、社員が直接お客様宅を訪問し困り事を解決する「コジマくらし応援便」の連携を強化し、相乗効果の創出に取り組み、65歳以上のお客様を対象とするポイントカード「アクティブ65倶楽部」の付加価値向上につなげてまいります。

また、各自治体との連携や地元企業とのコラボを推進するなど、地域密着型のサービスをより一層強化してまいります。

インターネット通販事業においては、システムのリニューアルによって店舗との販売施策連動などを予定しており、「コジマネット」(自社サイト)を強化することで更なる売上拡大と収益性向上に努めてまいります。

株主の皆様におかれましては、何卒倍旧のご支援とご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

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計算書類