事業報告(2020年9月1日から2021年8月31日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「本感染症」という)の影響により厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっております。本感染症の影響により個人消費や雇用情勢は弱い動きとなっており、企業収益は一部に弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直しております。

当家電小売業界における売上は、スマートフォン等が好調、テレビ等が堅調に推移いたしましたが、冷蔵庫、エアコンやパソコン等が低調であったため、総じて低調に推移いたしました。

このような状況の中、当社は、「お客様第一主義を実践し、最高のサービスをお客様に提供することで社会に貢献する」の経営理念のもと、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をスローガンに掲げ、ビックカメラとの統合効果を最大限に発揮し、企業価値の向上に取り組んでおります。また、本感染症拡大防止のために、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、マスク着用、丁寧な手洗い・消毒、従業員の出退勤時の検温、店内消毒、レジ・カウンター等への飛沫感染防止シート設置、ソーシャルディスタンスの確保、営業時間短縮などの対策を継続して実施しております。当社は、お客様の住まいに近く、くらし関連の不可欠な商品やサービスを提供し、地域のお客様の“必要”にお役に立てるよう、店舗運営やサービスの推進に取り組んでおります。

ビックカメラグループの幅広い取り扱い商品を強みに、品揃えの拡充や専門性の向上に取り組み、モノからコト軸への提案を進め、更に、お客様に体験価値や満足感を得ていただける展示・接客の充実に努めております。非家電商品の導入につきましては、2021年3月6日に「コジマ×ビックカメラ ワンズモール稲毛店」で、自転車の販売を開始しております。5月29日には「コジマ×ビックカメラ 宇都宮本店」で、全国で8店舗目となる酒類の販売を開始し、同店においては栃木県内酒蔵のお酒コーナーを特設するなど、地域に密着した商品の取り扱いも進めております。また、コロナ禍で店頭実演や体験・体感イベントの実施が困難な状況下においても、当社従業員が、自ら商品の便利さ・快適さをお客様にご説明するための動画コンテンツを作成し、店頭にて配信するなど、引き続き店舗の魅力度向上に努めております。

さらに、デジタル商品の買取・購入後のサポートを充実させた「サービスサポートカウンター」の設置店舗拡大や、社員が直接お客様宅を訪問しお困り事を解決する「コジマくらし応援便」の対象エリア拡大・サービスメニュー拡充を進めるとともに、連携を強化し、店舗のみで行っていたサービスをお客様宅でも行えるよう努めております。これらの地域密着のサービスをより一層強化し、地域の皆様からもっとも身近で愛され必要とされる店舗づくりに取り組んでおります。また、生活スタイルの変化により需要が増えた、テレワーク関連や巣ごもり関連等、ご家庭でのくらしに役立つ商品・サービスを充実させるなど、お客様の変わりゆくニーズにいち早く気づき、素早く対応し、少しでも快適になっていただくためのご提案を進めております。

2020年10月には全店舗において、「dポイント」の利用をスタートさせました。2021年4月にはインターネット通販サイトである「コジマネット」のシステムをリニューアルし、店舗との販売施策の連動が可能となったほか、8月には「PayPay」の決済をスタートさせるなど、お買い物がもっと便利になる仕組みづくりに取り組んでおります。

また、地域密着による地方自治体との連携強化に関する取り組みとして、2021年5月7日に栃木県警察本部より、特殊詐欺被害の防止を目的として「防犯機能付き電話機普及促進アドバイザー」を受嘱いたしました。6月9日には、洪水発生時等の避難場所として、「コジマ×ビックカメラ 足利店」の屋上駐車場を地域住民にご利用頂けるよう、足利市(栃木県)と「洪水発生時等における施設の提供に関する協定」を締結いたしました。

店舗展開におきましては、2021年7月2日に「コジマ×ビックカメラ イオンモール新利府北館店」(宮城県宮城郡利府町)を始め3店舗を開店した一方、「与野店」(埼玉県さいたま市)など6店舗を閉店し、2021年8月末現在の店舗数は 140店舗となりました。なお、9月23日には「コジマ×ビックカメラ ニトリホームズ宮原店」(埼玉県さいたま市)を開店しております。

また、ビックカメラ流の体験提案型の売場や豊富な商品を扱う「コジマ×ビックカメラ店」への転換を引き続き進めており、2021年1~2月には、「足利店」を始め3店舗を「コジマ×ビックカメラ」ブランドに変更し、コロナ禍において需要が高まっている商品やサービスを新たに取り入れ、他社との差別化を図り、競争力の強化に努めております。

ご来店いただいたお客様の声を店舗づくりに反映し、更なる進化を目指すとともに、異業種とのコラボ店舗など、新たな店舗モデルの構築や出店形態の多様化にも取り組んでおります。

以上の結果、当事業年度の売上高は 2,975億35百万円(前年同期比 3.2%増)、営業利益は 88億61百万円(前年同期比 22.7%増)、経常利益は 92億44百万円(前年同期比 25.2%増)、税引前当期純利益は 85億25百万円(前年同期比 24.8%増)、当期純利益は 63億2百万円(前年同期比 4.1%増)となりました。

品目別売上高、同構成比

重要な親会社の状況

① 親会社との関係

当社の親会社は株式会社ビックカメラ(以下「親会社」という。)で同社は当社の普通株式39,000千株を保有し、その議決権比率は50.58%であります。

② 親会社との間の取引に関する事項

イ. 当該取引をするに当たり当社の利益を害さないように留意した事項

当社は親会社との間で「商品の発注及び代金の支払業務の委託」等の取引を実施しておりますが、当該取引をするに当たっては、少数株主の保護のため、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違しないこと等に留意し、合理的な判断に基づき、公正かつ適正に決定しております。

ロ. 当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由

当社は、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、独立社外取締役からも当社経営に対する適切な意見を得ながら、取締役会において多面的な議論を経たうえで、当該取引の実施の可否を決定しております。

事業運営に関しては、取締役会を中心とした当社独自の意思決定に基づき業務執行をしており、上場企業としてのお互いの立場を尊重しつつ経営の独立性を確保しながら、適切に経営及び事業活動を行っております。

ハ. 取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見

該当事項はありません。

③ 親会社との重要な財務及び事業方針等に関する契約等

当社は親会社との間で資本業務提携契約を締結し、商品仕入面での連携、物流・システム面での連携、店舗開発、店舗運営ノウハウ及び店舗マネジメント並びに販売促進の連携、什器・間接資材の共同購入、人材交流の多方面にわたり両社で共同して提携を推進することにより、収益性の改善及び競争力の強化に努めております。

また、当社は①親会社に支払っていた営業上の仕入れ、販売、経営戦略に係るノウハウ及びブランド使用料のうち、PB 商品の販売許諾料、ブランド使用許諾料、管理業務の役務提供料についての対価の支払い、②親会社より当社に提供されている、物流関連業務に係る費用負担の適正化、③親会社が行っているテレビCMなどの広告宣伝に係る当社の費用負担に関し、独立当事者間としての公正な取引価格として認められる基準により、当社から親会社に支払うことを合意する契約を締結しております。

当社と親会社の間で利益相反の恐れがある取引及び重要な契約等を締結する際、当社役員である中澤裕二氏及び木村一義氏は親会社の役職員を兼務しているため、本件意思決定の決議に参加しないこととして、利益相反を回避しております。

対処すべき課題

当社は、「お客様第一主義を実践し、最高のサービスをお客様に提供することで社会に貢献する」というビックカメラグループの経営理念のもと、「お客様のくらしを『より快適に』 『より便利に』 『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をスローガンに掲げ、地域の皆様から最も身近で愛され、必要とされるコジマを目指してまいります。

引き続き当社は、「生産性の向上」と「持続的な成長」を2大戦略に掲げ、企業価値の向上に努めてまいります。

①生産性の向上

株式会社ビックカメラとの連携による相乗効果を最大限に発揮し、商品施策と販売施策の連動による売上・粗利の向上を目指し、プライベートブランド商品の販売強化や、デジタル商品の専門性追求による新規顧客の開拓、さらに効率的な経費のコントロールや業務効率の改善に取り組むことで、営業利益の向上に努めてまいります。

また、若手管理職の積極登用やライフステージに合わせた活躍の場の拡大、女性従業員の活躍機会を増やすなど組織活性化を図り、さらに新しい生活様式に対応した健康経営の推進や、オンラインを活用した研修の強化、環境や社会とのかかわりを重視しながら事業を継続するためにサステナビリティ経営の推進にも取り組み、生産性の向上につなげてまいります。

②持続的な成長

集客力の強化にこだわり、競合他社との差別化を図るため「くらし応援企業」として、地元企業や地方自治体と連携した地域密着のイベントを実施してまいります。お客様の変わりゆくニーズにいち早く気付き、素早く対応し、ビックカメラグループの幅広い専門性を活かして、自転車や酒類、トイズなど、生活スタイルの変化に伴い需要が増加している新たな商品カテゴリを拡充し、さらに、商品の使用や所有によって感じられる喜びや満足感などが伝わる売り場づくりに努めてまいります。

店舗展開においては、立地・商圏の将来性等を見据えた店舗網の構築を進め、積極的に新規出店や店舗改装に取り組んでまいります。

インターネット通販事業においては、「コジマネット(自社サイト)」で商品をお申し込み頂き、店頭でお支払い・お受け取りができる「ネットで取り置き」サービスの導入を予定するなど、リアル店舗との融合を加速し、よりお買い物しやすい便利なサイトへと進化させることでお客様の満足度向上に取り組み、更なる売上拡大と収益性向上に努めてまいります。

株主の皆様におかれましては、何卒倍旧のご支援とご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

計算書類