事業報告(2021年9月1日から2022年8月31日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当事業年度におけるわが国経済は、緩やかに持ち直しております。企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善しており、個人消費及び雇用情勢は緩やかに持ち直しております。

当家電小売業界における売上は、スマートフォン等が好調、冷蔵庫等が堅調に推移いたしましたが、テレビ、ゲームやパソコン等が低調であったため、総じて低調に推移いたしました。

このような状況の中、当社は、「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」をパーパスと定め、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンに掲げ、ビックカメラとの連携による相乗効果を最大限に発揮し、「生産性の向上」及び「持続的な成長」を2大戦略として取り組み、企業価値の向上に努めております。また、当社はお客様の住まいに近く、くらし関連の不可欠な商品やサービスを提供し、地域のお客様の“必要”にお役に立てるよう、店舗運営やサービスの推進に取り組んでおります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策につきましては、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、マスク着用、丁寧な手洗い・消毒、従業員の出退勤時の検温、店内消毒、レジ・カウンター等への飛沫感染防止シート設置、ソーシャルディスタンスの確保等を継続して実施しております。

当事業年度は、店舗における「集客力の強化」にこだわり、競合他社との差別化を図るため、「くらし応援」企業として地元企業や地方自治体と連携し、地域に密着したイベントの開催に取り組んでおります。包括連携協定を締結した地方自治体(栃木県、静岡市等)と連携し、2022年2月には「栃木物産展」を大阪府の店舗で開催し、3月には「しずおか市フェア」を神奈川県の店舗で開催しました。5月にはプロサッカーチーム「清水エスパルス」と連携した「お子様向けサッカー大会」を静岡市で開催、6月には、プロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」と連携した「お子様向けバスケットボール教室」を宇都宮市で開催するなど、地域社会の活性化に貢献する取り組みを実施しております。そのほか、新たな形のイベントとして、野菜や果物の店頭販売イベント「コジマの朝イチ」やお得なギフト商品を集めた「大特価市」を開催し、家電製品の購入以外でも、お客様のご来店につながる機会の創出に取り組んでおります。さらに、ビックカメラグループの幅広い取り扱い商品や専門性を活かして、トイズや自転車、酒類などの商品カテゴリの拡充を引き続き進めており、2021年11月には、「コジマ×ビックカメラ 港北東急S.C.店」の増床リニューアルを実施し、当社最大級となるトイズコーナーを新規に導入するなど、よりお買物を楽しんでいただける店舗づくりに取り組んでおります。

また、「女性・Smile推進室」のもと、女性メンバーならではの目線で行う実演や提案販売、商品展開を強化し、商品の使用や所有によって感じられる喜びや満足感がお客様に伝わる、魅力ある売場づくりや接客に努めております。住設事業においては、専任担当者を50店舗に配置し、太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、環境に優しく、安心にもつながる商品のご提案に努めております。引き続き、お客様に快適なくらしをご提案できる売場や商品、接客の拡充に取り組んでまいります。

インターネット通販サイト「コジマネット」においては、お申し込みいただいた商品を店頭でお支払い・お受け取りができる「店舗で受け取りサービス」を2021年11月に一部の店舗に導入し、さらに、2022年5月には全店舗に拡大いたしました。引き続き、店舗とインターネット通販サイトの連携強化に努めております。また、全店舗に導入していた「d払い」を2月に「コジマネット」でスタートさせ、決済手段の拡充にも努めるなど、より便利でお買い物しやすい仕組みづくりに取り組んでおります。

店舗展開におきましては、2022年4月27日に「コジマ×ビックカメラ COTOE流山おおたかの森店」(千葉県流山市)、翌28日に「コジマ×ビックカメラ KAMEIDO CLOCK店」(東京都江東区)を2日連続でオープンし、8月26日には「コジマ×ビックカメラ 宇都宮テラス店」(栃木県宇都宮市)をオープンするなど、計6店舗を開店いたしました。一方で、「加須店」(埼玉県加須市)など5店舗を閉店し、2022年8月末現在の店舗数は141店舗となりました。

当社は、企業活動を通じて社会課題を解決し、企業価値を高め成長することを目的とした「サステナビリティ経営」を推進すべく、「サステナビリティ推進室」を設置し、2022年4月に「コジマSDGs宣言」を公表いたしました。さらに、6つの優先課題(マテリアリティ)を特定し、具体的な取り組みについて策定を進めております。また、8月には、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」を新設するとともに、気候変動問題がもたらすリスク等の把握やその対策に取り組むことを宣言するため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明いたしました。これらの活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

以上の結果、当事業年度の売上高は 2,793億74百万円(前年同期は 2,975億35百万円)、営業利益は 81億7百万円(前年同期は 88億61百万円)、経常利益は 85億25百万円(前年同期は 92億44百万円)、税引前当期純利益は 78億円(前年同期は 85億25百万円)、当期純利益は 57億61百万円(前年同期は 63億2百万円)となりました。

品目別売上高、同構成比

重要な親会社の状況

① 親会社との関係

当社の親会社は株式会社ビックカメラ(以下「親会社」という。)で同社は当社の普通株式39,000千株を保有し、その議決権比率は50.58%であります。

② 親会社との間の取引に関する事項

イ.当該取引をするに当たり当社の利益を害さないように留意した事項

当社は親会社との間で「商品の発注及び代金の支払業務の委託」等の取引を実施しておりますが、当該取引をするに当たっては、少数株主の保護のため、当該取引の必要性及び取引条件が第三者との通常の取引と著しく相違しないこと等に留意し、合理的な判断に基づき、公正かつ適正に決定しております。

ロ.当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の判断及びその理由

当社は、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、独立社外取締役からも当社経営に対する適切な意見を得ながら、取締役会において多面的な議論を経たうえで、当該取引の実施の可否を決定しております。

事業運営に関しては、取締役会を中心とした当社独自の意思決定に基づき業務執行をしており、上場企業としてのお互いの立場を尊重しつつ経営の独立性を確保しながら、適切に経営及び事業活動を行っております。

ハ.取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合の当該意見

該当事項はありません。

③ 親会社との重要な財務及び事業方針等に関する契約等

当社は親会社との間で資本業務提携契約を締結し、商品仕入面での連携、物流・システム面での連携、店舗開発、店舗運営ノウハウ及び店舗マネジメント並びに販売促進の連携、什器・間接資材の共同購入、人材交流の多方面にわたり両社で共同して提携を推進することにより、収益性の改善及び競争力の強化に努めております。

当社は取締役会の下に独立社外取締役で構成される独立諮問委員会を設置し、親会社または親会社グループ所属企業と当社少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について、当該取引等を開始する前に審議・検討を行っております。

また、当社と親会社の間で利益相反の恐れがある取引及び重要な契約等を締結する際、当社役員である中澤裕二氏及び木村一義氏は親会社の役職員を兼務しているため、本件意思決定の決議に参加しないこととして、利益相反を回避しております。

対処すべき課題

当社は、「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」のパーパスのもと、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンに掲げ、地域の皆様からもっとも身近で愛され、必要とされるコジマを目指してまいります。

引き続き「生産性の向上」と「持続的な成長」を2大戦略に掲げるとともに、厳しい市場環境の中においても長期的な維持発展を実現すべく、①収益性(短期的)、②成長性(中期的)、③社会性(超長期的)の3つの観点に基づき事業に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。

①収益性として

店舗における「接客力」の強化に努め、お客様が気付いていなかったニーズを引き出しご提案できる販売員を育成することで、お客様に選ばれる店舗を目指してまいります。他社との差別化を図るとともに、電子棚札の導入など業務効率の改善を推進することで、接客時間を創出し、販売力の向上を目指してまいります。

②成長性として

成長事業として「住設事業」ならびに「法人事業」の拡大を図ってまいります。

「住設事業」においては、今後需要が期待される太陽光発電・蓄電池等、再生可能エネルギーを活用した商品の拡充やイベント開催など、販売推進に取り組んでまいります。

「法人事業」においては、首都圏・関西エリアの新たな法人事業所の開設や、店舗における法人営業担当者の拡充など、販売体制の強化に努め収益拡大を図ってまいります。

③社会性として

社長がCWO(最高健康責任者)として、健康に関する課題の改善を目指す健康経営の推進や、活躍できる人財の育成等に取り組んでまいります。従業員が心身の健康づくりに主体的に取り組める環境を提供するほか、若手管理職の積極登用やライフステージに合わせた活躍の場の拡大、女性従業員の活躍機会を増やすなど、組織活性化を図り、「従業員」一人ひとりがいきいきと働ける職場環境を整え、エンゲージメントの向上を目指してまいります。

当社は、SDGs宣言において掲げた優先課題(マテリアリティ)に対する具体的な取り組みを通じて、環境や社会へ貢献し、持続的な企業成長を実現すべく、サステナビリティ経営を推進してまいります。

株主の皆様におかれましては、何卒倍旧のご支援とご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

計算書類