事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
市場環境
サステナビリティを強く意識した経営が求められるなか、デジタル技術を活用した生産性の改善や付加価値の創出からデジタル化の重要性は一層高まっています。デジタル化の広がりとテクノロジーの進化に対応するためには、安全かつ高品質なネットワークインフラが必要不可欠です。
当社グループは、「世界最高水準のネットワーク技術」と、市場環境・最先端技術・お客様の実課題から中立的な立場で最適解を導く「目利き力」、そして、複数の製品とサービスを組み合わせる「インテグレーション力」を併せ持つことにより、お客様の社会課題解決に向けた最適なシステムの設計・構築と導入後の利活用を考慮したサービスの提供を実現しています。
中期事業計画と当連結会計年度の取組
当社グループは、「人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で、豊かな未来を創る」をPurposeとし、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指し、2023年3月期から2025年3月期を対象期間とする中期経営計画を策定しております。
中期経営計画の達成を目指し、再定義した新理念体系(Purpose、Mission、Vision、Values)に基づき「成長戦略の遂行」、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に注力しております。各施策の具体的な取組は次のとおりです。
【成長戦略の遂行】
事業、サービス、財務の3つの戦略について以下のとおり取り組みました。
事業戦略
社会課題の解決に貢献するため、既存事業に隣接する3つの注力領域で事業成長を加速します。
「スマートマニュファクチャリング」では、自動車・電機・機械などの製造業を対象として、データ利活用による事業価値向上、事業領域セキュリティ強化、脱炭素経営に向けた見える化に取り組んでいます。
「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」では、当連結会計年度において注力分野及び当社の提供価値を明確化し、電力・ガス、鉄道、医療、建設、金融、情報通信の6つのセグメントを対象に、社会基盤のデジタル化による社会課題解決への貢献に取り組んでいます。
「デジタルガバメント」では、自治体を対象として、セキュリティ強靭化や情報セキュリティクラウド、地域社会のICTインフラ高度化、デジタル化による地域課題解決や地域活性化に取り組んでいます。
当連結会計年度では、市場全体ではICT利活用が進む中でセキュリティ強化、クラウド活用のニーズが高まりました。また、半導体等の政策や国内公共領域におけるDX方針等への浸透が進み、年間を通じてICTへの期待値、国内需要は旺盛でした。

サービス戦略
既存コア事業の強化を起点としたサービス事業の探索により、新たな価値を創造する「DX戦略コンサルティングサービス」、「マネージドサービス」、「自社クラウドサービス」の3つのサービスを創出するとともに、機能提供型サービスとプラットフォームを確立し、ストック型ビジネスの強化に取り組んでいます。
「DX戦略コンサルティングサービス」はICT利活用の在り方、事業貢献に向けたIT戦略策定を支援するサービスです。お客様のインフラや運用業務、DX(Digital Transformation)の実行を支援するICTマネジメント変革支援サービスや、データ利活用の推進を実現する戦略の構想から計画の実行支援まで伴走するデジタルプラットフォームコンサルサービスを提供しています。また、お客様のニーズ、ステージに応じた最適なシステムデザインの提示を開始しました。
「マネージドサービス」はシステムの継続的な稼働を行うための機能と運用を一括提供するサービスです。多様な働き方に対応して複雑化したネットワークとセキュリティの機能を高度に統合するSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションの調査、実証実験、設計構築、運用を包括的に支援するサービスや、お客様のシステム環境に合わせて柔軟に構築できるセキュリティ監視・分析のサービスを提供しています。
「自社クラウドサービス」はICTシステムの様々な機能が準備された環境を、ネットワークを通じて安全に利用できるサービスです。デジタル庁のテンプレートや設計ガイドラインに準拠したクラウド接続サービスの提供を開始しました。
当連結会計年度では、全体受注が低調な中、保守サービスが増加したことで前年同水準の受注を維持しました。サービス比率については、当連結会計年度に想定していた50.0%には至りませんでした。引き続き、ストック型ビジネスの確立によって共創関係を築くことで、継続的な競争力の強化に取り組んでまいります。
財務戦略
中期経営計画に基づく成長戦略の遂行に向けた「戦略的な投資による収益力強化」、「最適な資本構成の追求」、「積極的な株主還元」の取組を継続して推進しました。また、資本効率を重視した経営をさらに推進していくため、策定した「キャピタルアロケーションポリシー」に基づき「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を実行し、企業価値の更なる向上に努めました。さらに、投融資案件の運用段階でも定期的に資本効率をモニタリングできるプロセスを確立しました。
「戦略的な投資による収益力強化」では、徹底した見える化に向けた社内DX基盤への投資を行いました。経営状況や経営課題に関するデータの迅速な把握・活用を可能にすることで業務効率の向上を図りました。また、事業用サービス基盤の強化及び当社グループの強みである技術力を担う人財を多数輩出するため、採用活動の活性化や教育・研修システムの高度化などに経営資源を投入することにより人財の獲得と育成に注力しました。
「最適な資本構成の追求」では、キャピタルサービスの拡大やデットファイナンスの活用に取り組んでいます。また、運転資金の機動的かつ安定的な調達を行うため、2024年3月にコミットメントライン契約を締結しました。なお、2024年3月期末の有利子負債は約285億円になりました。
「積極的な株主還元」としては当連結会計年度の中間配当金(1株あたり37.00円)と、期末配当金(1株あたり40.00円)を合わせて、年間配当金は1株あたり77.00円の予定です。連結配当性向は40%の目安に対して、45.3%となる予定です。また原則として累進配当制度を2024年度より導入することとしました。
【経営基盤の強化】
企業文化改革、徹底した見える化、人財戦略について以下のとおり取り組みました。
企業文化改革
過去の不祥事を二度と繰り返さないため「企業文化改革」を重要施策と位置づけ、専門組織「ガバナンス・企業文化諮問委員会」を取締役会の諮問委員会として設置しております。企業文化改革と再発防止策の履行・浸透のさらなる推進を図るべく、ガバナンスの強化、企業文化改革、再発防止策の継続的な履行、内部統制システムの強化の取組を進めました。
徹底した見える化
経営状況・経営課題に関するデータやファクトをタイムリーに把握し、経営戦略の推進力を高めるために、重要指標の推移から適切な判断を実現する「経営の見える化」、採算情報の共通理解を促す「業務プロセスの見える化」、より生産性の高い働き方を推進する「組織・人の見える化」の視点で、データの可視化・分析のための情報基盤を構築しました。
人財戦略
テクノロジーの本質や利活用から価値を生み出せるよう、自ら考え行動する優秀な人財の育成・輩出を行っていくことが人的資本経営と考えています。経営陣の強力なコミットメントのもと、人財の育成と多様な人財の活躍を推進する仕組みを構築しました。
例えば、サービス提供型のビジネスモデルへのシフトを加速させるため、ネットワークに限らず「クラウド」、「セキュリティ」等IT技術領域の知識習得を支援する体制を整え、セキュリティ人財・クラウド人財の育成を強化しました。また、コーポレート部門の機能強化を目的としたDXスキルの獲得を支援し、DX人財の育成を進めています。
また、人財マネジメントポリシーで掲げている「Team」「TAKUMI(匠)」「Fairness」を軸に、新たな人事制度を当連結会計年度から導入しました。事業と働き方の変化に適した「等級制度」、市場競争力を確保した「報酬制度」、社員の長期的な成長・人財育成に寄与する「評価制度」により、社員一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮し、社会への価値提供に貢献してまいります。
【サステナビリティ】
当社グループは、2021年に策定したサステナビリティ方針のもと、持続的成長における重要課題として特定した4つのマテリアリティについて、KPIを定め、各取組を進めました。
「安心・安全な高度情報社会の実現」では社会課題を解決するサービスの提供とサービスビジネスの拡大を掲げ、堅調に進捗いたしました。
「プロフェッショナル人財の活躍」では次世代を担う人財の育成とダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組み、ICT人財の増加と女性活躍を進めております。
「脱炭素社会への貢献」では温室効果ガス排出量削減に貢献するグリーンソリューションや低消費電力製品及びサービス販売の拡大を推進しております。
「持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化」では企業文化の醸成と内部統制の強化に取り組み、再発防止策の運用状況の詳細を当社ウェブサイトに公開しております。また2024年3月期には健康経営優良法人認定を取得いたしました。
当連結会計年度の業績概要
デジタル化に伴うネットワーク増強やセキュリティ強化の需要を捉えた提案を進めたものの、前年度受注していた大型機器案件が剥落したこと、また、通信事業者市場、パブリック市場及びパートナー事業が低調に推移したことによって、受注高は2,014億48百万円(前年度比8.4%減)となり、売上高は2,051億27百万円(前年度比2.2%減)となりました。この結果、受注残高は1,453億88百万円(前年度比2.5%減)となりました。
損益につきましては、売上総利益率が前年度比で改善したことで、売上総利益は525億55百万円(前年度比4.3%増)となりました。販売費及び一般管理費が330億22百万円となった結果、営業利益は195億33百万円(前年度比5.3%減)、経常利益は191億51百万円(前年度比7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は137億20百万円(前年度比5.1%減)となりました。
不正事案の再発防止:当連結会計年度の総括
二度と不正を起こさない企業文化醸成の基盤運営を引き続き推進しております。ガバナンス・内部統制システムの更なる強化、企業文化改革の推進を継続し、健全かつ継続的な事業成長を図り、企業価値の向上に向け取り組んでまいります。
1.当連結会計年度に達成した事項

2.2025年3月期以降の更なる飛躍に向けた活動方針

商品群別概況
当連結会計年度において、商品群別の受注高・売上高・受注残高は以下の表のとおりとなります。

機器商品群では、受注高及び売上高は、前年度における大型機器案件の反動減が生じたこと、及び、通信事業者市場・パブリック市場・パートナー事業の受注が低調に推移したことから、前年度比で減少しました。
サービス商品群では、受注高及び売上高は、全体受注が低調な中、保守サービスを中心に前年度比で増加しました。
ご参考:商品群について
当社グループでは、機器商品群(ICT製造メーカーから仕入・販売)と、サービス商品群(当社の人財が役務サービスとして提供)に分けて記載しています。
当社独自の付加価値でお客様に最適なICT基盤を提供できるようサービス比率向上に努めてまいります。
市場別概況
お客様ニーズが多様化する中、ICT市場は地域や企業の状況によってマーケット特性が異なります。市場を注視し、お客様に応じた最適なソリューションを提供するため、当社グループでは、市場を大きく4つに区分しています。当連結会計年度において、市場別の受注高・売上高・受注残高は次のとおりとなります。

エンタープライズ市場
民間企業向け
主な事業内容
製造業(自動車、電機等)、非製造業(運輸、サービス等)、国内金融機関、外資系企業等、大手民間企業に向けてビジネスを展開しております。競争力強化に向けた情報活用や働き方改革・コスト削減等を、ICT基盤の利活用を通じて支援しております。
当連結会計年度の概況
製造業は自動車メーカーや電機メーカーを中心にセキュリティ案件やスマートマニュファクチャリング案件を獲得、非製造業はセキュリティ強化ビジネスの大型案件を複数獲得しました。金融業は弱含んでいるものの、クラウド活用及びセキュリティ強化の継続案件を獲得しました。

通信事業者市場
通信事業者向け
主な事業内容
通信事業者向けにビジネスを展開しております。お客様とともに、社会インフラとしての安心・安全なインターネット基盤やクラウドコンピューティング基盤の整備を行っております。
当連結会計年度の概況
テレワーク等による通信量増加に対応した回線増強投資が一巡する中で、法人向け共創ビジネスが拡大したものの期初想定水準には至りませんでした。

パブリック市場
公共向け
主な事業内容
自治体、文教、社会インフラを提供している企業(ケーブルテレビ、電力等)、ヘルスケア(病院)等の公共機関向けにビジネスを展開しております。公的情報等に対するセキュリティの強化や、投資コストを最適化する共通基盤の整備を行っております。
当連結会計年度の概況
自治体においてデジタル化を見据えた大型案件を複数獲得した一方で、大型案件の失注が生じました。社会インフラやヘルスケアにおいてクラウド基盤案件を獲得する一方で、複数の受注見込み案件の受注が来期へ遅延しました。

パートナー事業(ネットワンパートナーズ株式会社)
パートナー向け
主な事業内容
パートナー企業との協働事業(再販ビジネスモデル)により、当社グループのみでは対応できない、幅広い市場に向けたビジネスを展開しております。当社グループのICT基盤ソリューションと、パートナー企業のシステムソリューションを融合して、市場ごとに最適な付加価値を創出しております。
当連結会計年度の概況
セキュリティ強化ビジネスが好調に推移した一方で、機器納期改善に伴い低価格帯製品を中心に競争が発生し、複数の受注見込み案件の受注が来期以降に遅延しました。また、前年度におけるMSP向けWi-Fiサービスビジネスの反動減が生じました。

対処すべき課題
長期ビジョン
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期を対象期間とする中期経営計画を策定しております。中期経営計画の最終年度となる2025年3月期は、引き続き経営基本方針に掲げた「成長戦略の遂行」と、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に取り組んでまいります。
【成長戦略の遂行】
事業、サービス、財務の3つの戦略を融合させることで、デジタル化による社会課題の余地の大きい分野への進出による事業領域の拡大、収益性の高いサービスの拡充、最適な資本構成を追求してまいります。
1.事業戦略
市場環境として、より一層の事業回帰や拡大するICTインフラに対するセキュリティ需要等は、各産業、市場問わず一層の拡大が見込まれる中、3つの注力領域「スマートマニュファクチャリング」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「デジタルガバメント」で売上高合計300億円の伸長(2022年3月期比)に向けて、お客様の課題解決への提案活動を加速します。

2.サービス戦略
当社の強みであるネットワーク技術、目利き力、インテグレーション力を生かしたサービスの確立と実践に向け、競争力のある自社クラウドサービスの創出とDXコンサルティング領域の拡大を目指します。また、効果的な戦略遂行のために、市場ごとに注力サービスを明確化してアプローチします。お客様がご要望される分野を見きわめ、投入リソースを最適化し、カスタマーフェーシングを改善することで、成長の最大化を目指します。
3.財務戦略
企業価値の更なる向上に向けて「戦略的な投資による収益力の強化」、「最適な資本構成の追求」、「積極的な株主還元」に継続して取り組んでまいります。
あわせて、策定した「キャピタルアロケーションポリシー」のもと、「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を実行し、資本効率を重視した経営を推進してまいります。キャピタルアロケーションの原資となる営業キャッシュフローは、事業活動による継続的創出に加え、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善を通じ拡大を図ります。また、資本コストを基準とした投資判断とモニタリングプロセスにより資本効率の高い投資を推進し、収益力の強化を図ってまいります。
【経営基盤の強化】
企業文化改革、徹底した見える化、人財戦略を軸に、盤石な経営体制の構築に向けて全社一丸となって取り組みます。
企業文化改革
継続した事業成長とガバナンス強化による企業価値の向上を目指し、過去の不祥事を二度と繰り返さない企業文化を根付かせるための企業文化改革活動を、経営陣・社員全員が一丸となって加速させてまいります。3年目となる企業理念体系の浸透については、全社員を対象とした「面」の施策から、組織別や階層別など「個」に対する施策にシフトさせ、継続して浸透を図ります。
これらの取組については企業文化モニタリング調査及び「ガバナンス・企業文化諮問委員会」にてモニタリングを継続し、企業文化改革と再発防止策の履行・浸透のさらなる推進を図ります。
徹底した見える化
全社共通の情報に基づくコミュニケーションを活性化し、組織のパフォーマンスを最大限に引き出すとともに、意思決定に資する経営基盤を支えることにより、企業価値の向上、再発防止、企業文化改革の促進につなげてまいります。具体的には、経営層をはじめとした社員のデータ利活用促進に向けて、データ民主化による全社での利用環境の整備とデータ分析の高度化を進め、サービスシフトなど戦略の進捗状況のモニタリングを推進してまいります。主管部門と連携のうえで利益の最大化に貢献し、経営・事業戦略達成に資するアウトプットの創出を進めてまいります。
人財戦略
多様な人財の成長と活躍で経営を支えることを目指し、「プロフェッショナル人財の育成」「人財が活躍するための環境の提供」に継続して取り組んでまいります。
2030年ビジョン実現に向けて人財ポートフォリオを構築し、持続可能な成長と競争力向上を目指しています。社員が専門性を軸に成長し続け、生き生きと働ける環境を整備することで、さまざまな“個”の力を“チーム”の力として最大化し、風通しのよい企業風土の醸成と生産性向上による持続的な成長を目指します。また、ダイバーシティ&インクルージョンに関する施策においては、女性管理職の輩出に向けた育成プログラム等の方策や障がい者雇用の促進に向けた施策、シニア人財の活躍促進策の検討を進めてまいります。
【サステナビリティ】
サステナビリティ方針のもと、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的成長の両立に向けて特定した4つのマテリアリティ(重要な経営課題)について、以下のKPIに取り組みます。
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・課題・領域別ソリューション・サービスの提供
新中期経営計画の注力3領域「デジタルガバメント」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「スマートマニュファクチャリング」を中心とした社会課題解決型のソリューション・サービスを提供することで、当社の事業成長と持続可能な社会の実現から、売上高として2025年3月期に300億円の伸長(2022年3月期比)を目指します。 -
・サービスビジネスの拡大と推進
ICT市場が大きな転換期を迎えている中で、当社が中長期的に、持続的に成長していくために、サービスビジネスを中核としたビジネスモデルへのシフトを加速することで、2025年3月期のサービス比率50%(従来目標の55%から修正)を目標にサービスビジネスを拡大します。
1.安心・安全な高度情報社会の実現
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・次世代を担うIT人財の育成
事業成長に向けてソリューション・サービスにおける競争力を高めるために、セキュリティ人財・クラウド人財の育成を強化するとともに、コーポレート部門の機能強化を目的として、DXスキルの獲得に注力していきます。2031年3月期には、セキュリティ人財としてCISSP取得者80名、安全確保支援士100名、クラウド人財の50%増(2022年3月期比)を目指します。また、2031年3月期までにデジタル化人財をコーポレート部門で150名増加させ、業務改善提案累計100件を目指します。そして、産学連携などを通じた次世代IT人財育成プログラムを拡充します。 -
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様な人財が相互に認め合い、個性を生かして活躍するための環境・制度を整備することで、生産性の向上やイノベーション創出の促進を図り、2031年3月期には女性役職者比率15%、新卒採用女性比率50%、男性の育休及び出産時の特別休暇取得率90%を目指します。
2.プロフェッショナル人財の活躍
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・ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減
お客様や社会における温室効果ガスの排出削減に貢献する「グリーンソリューション」の開発・提供によって、脱炭素社会の実現への貢献と当社の成長を両立します。 -
・自社の事業プロセスにおける排出量削減
自社の事業プロセス及びサプライチェーンにおけるCO2排出量を削減し、気候変動によるリスクの低減に努めます。低消費電力製品及びサービス販売を拡大することで、CO2排出量の大部分を占める「製品及びサービスの購入と販売」を主な削減対象とし、購入・販売価格あたりのCO2排出量削減に取り組みます。
3.脱炭素社会への貢献
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・企業文化の醸成と内部統制強化
新生netoneを具現化する企業文化を醸成するとともに、不祥事の再発防止をはじめとする内部統制を強化します。企業文化の醸成に向けた取組として社員意識調査を毎年実施(※将来的には調査結果を開示する予定)し、再発防止策の運用状況を半期に1回当社ウェブサイト上に掲載します。 -
・健康経営®の実現
事業の成長・継続において不可欠となる社員の心身の健康を維持するために、継続して健康経営に取り組みます。
4.持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化
業績目標
当社グループは、社会課題解決型のアプローチから価値提供領域を拡大し、収益性・効率性の更なる向上によって企業価値を向上してまいります。
経営基本方針で掲げた経営基盤強化につきましては、ガバナンス強化・企業文化改革において、一定程度の進捗・定着が図られました。当社グループの成長の土台として、継続して改善の取組を進めてまいります。
一方で、成長戦略につきましては、注力領域は着実に伸長したものの、受注高とサービスの収益性に課題が生じました。これに対して、以下の改善策に着手しております。
・受注高の伸長
拡大する需要を獲得するために、市場・サービスを明確化してアプローチする効果的な戦略遂行、再発防止策の一定の定着を踏まえた事業部門のリソース及び効率の拡大、そして2025年4月に稼働開始予定の新業務システムでの事業部門の業務効率化によって、受注キャパシティ及びカスタマーフェーシングを改善します。
・サービスの収益性の改善
各種コスト上昇を反映することによる提供価格の適正化、エンジニアの生産性向上に寄与する中核ソリューション及び運用サービス等の標準化・自動化、そして、これら収益性のモニタリングによって、適切な収益性の確保及び原価率の低減を図ります。
これらを踏まえ、中期経営計画の最終年度となる2025年3月期の連結業績の数値目標を以下のとおり修正することといたしました。

2025年3月期の連結業績につきましては、売上高2,200億円、営業利益210億円、経常利益208億円、親会社株主に帰属する当期純利益144億円を見込んでおります。
(注)上記の業績見通しは、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績と大きく異なることがあります。
