事業報告(2021年 3 月 1 日から2022年 2 月28日まで)
会社の現況
当事業年度の事業の状況
① 事業の経過及び成果
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大2年目となり、ワクチン接種は進展しているものの、新たな変異株の感染拡大を受け、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が相次いで発出され、個人消費は落ち込みと持ち直しを繰り返す状況が続いておりました。2021年末に感染拡大が落ち着いてきたことで、経済活動は再開され個人消費の持ち直しが見られましたが、2022年年初からはオミクロン株の急激な感染拡大が続き、まん延防止等重点措置が改めて発出され、個人消費は再び減少に転じ、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社が属する外食産業におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大と収束が繰り返され、営業時間短縮に伴い来店客数に大きな影響を受けることとなりました。繰り返し発出されていた緊急事態宣言は2021年9月に解除されましたが、その後のオミクロン株による急激な感染拡大による営業時間短縮及び酒類の提供自粛要請により厳しい経営環境が続いておりました。
当事業年度はこのような環境のもとで、当社は「美味しい料理を真心こめて提供します」を経営理念とし、「お客様に美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしていただく」、このことを基本姿勢とし、新商品の投入、新規出店を行うことで、より多くのお客様に美味しい料理を提供させていただくことに注力いたしました。引き続きお客様と従業員の感染防止対策を徹底し、首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準の向上に向けた取組みや新商品の投入などを行い、業容拡大を図ってまいりました。
店舗展開については、従来からの駅前立地への出店を進める一方、ロードサイドにも6店出店を行い、24店舗出店(東京都10店舗、埼玉県6店舗、神奈川県3店舗、千葉県5店舗)、退店は14店舗となりましたので、2022年2月末の直営店舗数は442店舗(FC5店舗は含まず)となりました。業態別の店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が404店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が28店舗、その他の業態が10店舗となりました。
新たな取り組みとして、一部店舗において配膳・運搬ロボットの試験導入を行いました。お客様の各テーブルまでロボットが配膳・運搬することによって、今までは従業員が何度も往復しながら行っていた配膳や下膳をロボットが行い、複数卓の片付けが可能となり、ピークタイムのお客様のスムーズなご案内が実現し営業効率が向上致しました。従業員が重たいものを持たないことで、足腰の負担軽減にもつながりました。また、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、ソーシャルディスタンスの確保にもつながっております。試験投入の結果を踏まえ、今後50台の配膳・運搬ロボットを順次店舗に配属する予定であり、すでに導入を開始しているタッチパネル式オーダーシステムやキャッシュレス決済と併せ、ITデジタル技術を活用したお店作りに取り組んでまいります。
また、通信事業者が提供し、多くの小売・外食店舗で利用でき、すでに多数のユーザーが利用しているポイントサービスの取り扱いを開始し、ポイントを貯めていただき貯めたポイントでお食事をしていただけるようになりました。今後もお客様の利便性を追求し、もっと日高屋を楽しんでいただけるよう様々な施策に取り組んでまいります。
売上高につきましては、前年を上回る営業時間の短縮・酒類の提供自粛等により既存店売上高前年比率は87.3%となりました。
生産、原価面につきましては、ラード・食用油等一部食品の購入単価の上昇と、工場の生産量減少に伴う稼働率の低下もありましたが、業務用米価の改善等もあり、原価率は27.6%(前期は28.3%)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、フレンド社員(当社におけるパート・アルバイト社員の呼称)の雇用を維持しつつも店舗の人員を適切にコントロールすることで人件費の抑制に努めた一方で、各種キャッシュレス決済の取扱額の増加による支払手数料等の増加、本社移転にかかる諸経費の増加および売上高減少の影響が大きく、販管費の対売上高比率は85.7%(前期は81.2%)となりました。
営業外収益には協力金収入として、当期入金分時短営業協力金等を60億11百万円計上しました。この結果、当期の売上高は264億2百万円(前期比10.7%減)、営業損失は35億23百万円(前期営業損失27億99百万円)、経常利益は25億86百万円(前期経常損失27億78百万円)となりました。
特別利益には固定資産売却益1億円を計上しましたが、特別損失として、スクラップアンドビルドに伴う閉鎖店舗及び新型コロナウイルス感染症拡大により収益性の低下がみられる店舗について減損損失2億94百万円を計上したこと等により、当期純利益は15億79百万円(前期当期純損失29億46百万円)となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
② 設備投資の状況
当期中における設備投資につきましては、当期中に新規開設した24店舗の差入保証金及び内装設備工事費用、既存店の改装費用、本社移転費用などにより総額19億39百万円となりました。その内訳は、次期開設店舗分も含めた新規出店9億28百万円、改装費用など5億35百万円、本社移転費用4億75百万円であります。
③ 資金調達の状況
特に記載すべき事項はありません。
対処すべき課題
今期においても、前期に続き新型コロナウイルス感染症の繰り返される感染拡大の影響により、多くの制約がある中での業務運営となりました。
当社を取り巻く環境は、コロナウイルス感染症の他にも、少子高齢化・人口減少、業種業態を超えた競争の激化や、原材料価格・物流費等の高騰によるコストの上昇が続き、外食産業を取り巻く環境は厳しい状況が続くものと予想されます。
このような環境の中ではありますが、首都圏はさらなる成長が見込める国内最大の消費マーケットであると考えており、引き続き首都圏600店舗体制を目指し、以下の課題に取組み、事業の拡大と収益基盤の強化を目指してまいります。
① 新型コロナウイルス感染症対策
店舗でのアルコール消毒液の設置、間仕切りを設ける等の対策を継続し、タッチパネル式オーダーシステムの拡大を行い、お客様と店舗スタッフの安心安全を第一に営業を行ってまいります。
② 売上増加施策・出店
今後も、テイクアウトやデリバリー等を推進し、新しい生活様式においてもご満足いただけるお店づくりに努めます。
出店におきましては、従来からの駅前繁華街への出店を進めるとともに、ロードサイドへの出店とスクラップアンドビルドも積極的に行います。
③ 就労環境の改善
配膳ロボットの導入と、タッチパネル式オーダーシステムを導入し店舗従業員の就労環境改善に努めます。このことは店舗業務の効率化・コスト削減にもつながります。
また、有給休暇取得の推進やインターバル時間の確保に努めます。
④ コーポレートガバナンスコード
東京証券取引所プライム市場において求められる、独立社外取締役の1/3以上の選任に向け、第44回定時株主総会において取締役の選任を行い、取締役候補者8名の内3名は社外取締役であります。
⑤ 持続可能な開発目標(SDGs)への取組み
テイクアウト・デリバリー用容器の原材料に、バイオマス原料を使用し環境負荷に配慮した取組みを行っております。また、セントラルキッチンにおいては野菜くずを資源循環工場で肥料化し環境にやさしい工場を目指しております。
株主の皆様におかれましては、当社のこれらの取組みにご理解を賜りますとともに、今後とも一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。