事業報告(2022年 3 月 1 日から2023年 2 月28日まで)
会社の現況

当事業年度の事業の状況
① 事業の経過及び成果
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大と沈静化を繰り返すなか、行動制限が緩和されたことで緩やかに回復し、個人消費は持ち直してきました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、為替相場の円安の影響、原材料価格やエネルギー価格、運送費の高騰、物価上昇が続くことで消費マインドの冷え込みが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましても、コロナ禍での生活習慣の変化、人手不足による人件費関連コストの上昇が続き、依然として厳しい状況が続いております。
このような環境の中ではありますが、当社は「美味しい料理を真心込めて提供します」を経営理念とし、「お客様に美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしていただく」、このことを基本姿勢とし、新商品の投入、新規出店を行うことで、より多くのお客様に美味しい料理を提供させていただくことに注力いたしました。首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準の向上に向けた取り組みや新商品の投入などを行い、業容拡大を図ってまいります。
店舗展開につきましては、15店舗出店(東京都5店舗、埼玉県5店舗、千葉県2店舗、神奈川県1店舗、茨城県1店舗、群馬県1店舗)、退店・FC移行が17店舗となりましたので、当事業年度末の直営店舗数は440店舗となりました。業態別店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が405店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が27店舗、その他業態が8店舗となりました。12月には新たな商圏となる群馬県に進出したことで、関東地方の1都6県で店舗展開を進めています。従来の駅前繁華街への出店に加えて、郊外ロードサイド、乗降客が比較的少ない駅前への出店を行っております。
既存店につきましては、キャッシュレス決済、ポイントサービスを拡充、テイクアウト・デリバリーサービスを継続し、お客様の多様なご要望に対応してまいりました。タッチパネル式オーダーシステムへの切り替えを進めることでお客様の利便性を高めるとともに、一部の店舗では配膳ロボットを導入するなど、店舗オペレーションの見直し・改善も継続的に行うことで生産性向上にも努めております。また、コロナ禍によって短縮していた営業時間を適宜延長しております。
新たな取り組みとして、5月に行田工場の敷地内で開始した自動販売機による冷凍食材の販売は順調に推移しており、8店舗の敷地内にも設置し、販売しております。自動販売機は24時間稼働し、店舗の営業時間外もご利用いただけます。
商品面では、継続的に季節限定商品や新商品を投入するとともに、当社初となるカップ麺の監修を行い、4月から6月にかけて日高屋店頭のほか、量販店でも販売され、多くのお客様に訴求することができました。
食材価格、人件費、光熱費などのコスト上昇を受けて、8月26日より「日高屋」業態で商品価格を改定いたしました。「中華そば」の価格は税込み390円で据え置き、その他の商品は概ね5%程度の値上げを行いました。同時にグランドメニューを変更したことで、価格改定後もご来店客数は増加し、お客様のご利用単価も上昇して、売上高も順調に増加しております。
2023年2月には、お蔭様で創業50周年を迎えることができました。今後も品質・サービスのより一層の向上に取り組んでまいります。
売上高につきましては、繰り返される感染症拡大の影響があったものの、経済・社会活動の維持に対策がシフトされたことから総じて回復傾向にあり、通期累計の全店売上高前年同期比率は144.6%となりました。
生産、原価面につきましては、ラード、小麦粉、豚肉等の各種食材購入価格上昇もあり、原価率は28.1%(前期は27.6%)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、フレンド社員の増員・時給アップに伴う人件費の増加、光熱費、消耗品、ステンレス価格高騰に伴う厨房設備などのコスト上昇が続いた一方で、増収効果と店舗運営の効率化・生産性の向上により、対売上高比率は70.3%(前期は85.7%)となりました。
営業外収益には、2023年2月末までに受領した時短営業協力金収入12億63百万円、雇用調整助成金4億80百万円を計上しました。
この結果、2023年2月期の売上高は381億68百万円(前期比44.6%増)、営業利益は6億15百万円(前年同期営業損失35億23百万円)、経常利益24億70百万円(前期比4.5%減)、当期純利益は15億19百万円(前期比3.8%減)となりました。
なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
② 設備投資の状況
当期中における設備投資につきましては、当期中に新規開設した15店舗の差入保証金及び内装設備工事費用、既存店の改装費用などにより総額14億5百万円となりました。その内訳は、次期開設店舗分も含めた新規出店7億74百万円、改装費用など6億30百万円であります。
③ 資金調達の状況
特に記載すべき事項はありません。
対処すべき課題
今期においても、前期に続き新型コロナウイルス感染症の繰り返される感染拡大の影響により、多くの制約がある中での業務運営となりました。
当社を取り巻く環境は、コロナウイルス感染症の他にも、少子高齢化・人口減少、業種業態を超えた競争の激化や、原材料価格・物流費等の高騰によるコストの上昇が続き、外食産業を取り巻く環境は厳しい状況が続くものと予想されます。
このような環境の中ではありますが、首都圏は更なる成長が見込める国内最大の消費マーケットであると考えており、引き続き首都圏600店舗体制を目指し、以下の課題に取組み、事業の拡大と収益基盤の強化を目指してまいります。
① 新型コロナウイルス感染症対策
店舗でのアルコール消毒液の設置、間仕切りを設ける等の対策を継続し、タッチパネル式オーダーシステムの拡大を行い、お客様と店舗スタッフの安心安全を第一に営業を行ってまいります。
② 売上増加施策・出店
今後も、テイクアウトやデリバリー等を推進し、新しい生活様式においてもご満足いただけるお店づくりに努めます。
出店におきましては、従来からの駅前繁華街への出店を進めるとともに、ロードサイドへの出店とスクラップアンドビルドも積極的に行います。
③ 就労環境の改善
配膳ロボットの導入と、タッチパネル式オーダーシステムを導入し店舗従業員の就労環境改善に努めます。このことは店舗業務の効率化・コスト削減にもつながります。
また、有給休暇取得の推進やインターバル時間の確保に努めます。
④ コーポレートガバナンスコード
第45回定時株主総会における承認を条件として監査等委員会設置会社に移行予定です。取締役会における監督機能を強化し、より一層のコーポレートガバナンスの充実を図ることと経営に関する意思決定の迅速化により更なる企業価値向上を図ることを目的としております。
⑤ 持続可能な開発目標(SDGs)への取組み
テイクアウト・デリバリー用容器の原材料に、バイオマス原料を使用し環境負荷に配慮した取組みを行っております。また、セントラルキッチンにおいては野菜くずを資源循環工場で肥料化し環境にやさしい工場を目指しております。なお、環境・社会・ガバナンスへの取り組みをより一層強化するため、サステナビリティ委員会を新設いたしました。
株主の皆様におかれましては、当社のこれらの取組みにご理解を賜りますとともに、今後とも一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。