事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用環境が期初より概ね堅調に推移してきました。しかしながら2月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大により国民生活に多大なる影響が生じ、経済活動も停滞が避けられない状況になっております。また、海外においても米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などの不確定要素に加えて、国内同様に新型コロナウイルスの影響が急速に拡大して先行きの予測が困難な状況に至っております。当社事業と関連性が高い国内証券市場においては、このような状況への警戒感から、20,000円台を維持してきた日経平均株価が3月に一時16,000円台まで急落するなど、不安定な状態にありました。

このような状況のもと、コーポレートガバナンス・コードを背景とした投資家への情報提供強化の動きがより幅広い企業に浸透し、招集通知やIR関連製品の売上が増加いたしました。また、金融庁の電子開示システム「EDINET」に提出する開示書類データのXBRL対象範囲拡大に伴い、決算関連の売上も増加いたしました。加えて、M&AによりWeb関連やデータベース関連の売上が増加いたしました。これらの増収が投資信託関連製品や、IPO・ファイナンス関連製品の減収等マイナス要因を補った結果、当連結会計年度の売上高は、前期比5.6%増の24,446百万円となりました。

売上原価は、制作体制の強化およびサービスの向上による労務費の増加の一方、外注費および社内製造コストの抑制により、前期に比べ712百万円の増加に留まりました。これにより売上原価率は前期比0.3ポイント減の60.5%となりました。この結果、売上総利益は前期比6.3%増の9,657百万円となりました。一方、販売費及び一般管理費は、営業体制強化に伴う人件費増等により、前期比7.7%増の7,086百万円となりました。これらの結果、営業利益は前期比2.9%増の2,571百万円となりました。

営業外収益は、投資事業組合運用益および受取配当金等により159百万円となりました。設備賃貸費用を中心とした営業外費用13百万円との加減と、投資事業組合運用益が前期に比べ減少したことにより、経常利益は前期比2.0%減の2,717百万円となりました。

税金等調整前当期純利益は特別利益・特別損失を計上していないため経常利益と同額となり、投資有価証券売却益を計上していた前期に比べ7.2%減の2,717百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.8%減の1,816百万円となりました。

なお、これらの数値を「新中期経営計画2021」1年目の業績目標と比較いたしますと、売上高・営業利益・経常利益は達成、親会社株主に帰属する当期純利益はわずかながら未達成となりました。

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製品区分別の概況

売上高
前期比 %増
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(単位:

取扱製品
  • 株主総会関連書類(招集通知等)
  • 決算関連書類(決算短信、有価証券報告書等)開示業務支援システム
  • IPO・ファイナンス関連書類(目論見書等)

招集通知のカラー化と受注社数増による増収に加えて、上場企業が金融庁の電子開示システム「EDINET」に提出する開示書類データのXBRL対象範囲が拡大したことにより、決算関連の売上が増加いたしました。また、開示書類作成を支援するシステムサービス・アウトソーシングサービスの増収も寄与いたしました。これらの増収効果がIPO・ファイナンスの減収を補い、上場会社ディスクロージャー関連の売上高は、前期比4.4%増の10,286百万円となりました。

なお、本年3月末の国内上場会社数は約3,790社(前期比約50社増)と、6年連続で増加いたしました。

売上高
前期比 %増
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(単位:

取扱製品
  • IR関連書類(株主通信等)
  • IRサイト構築・更新サービス
  • 英文翻訳
  • 株主総会運営支援

コーポレートガバナンス・コードの制定を背景として、IRサイト構築等のWebサービスや株主総会ビジュアル化サービス等の受注が増加いたしました。また、2019年10月1日付で連結子会社化した、Web制作会社の株式会社レインボー・ジャパンの売上も加わりました。これらの結果、上場会社IR関連等の売上高は、前期比10.6%増の6,136百万円となりました。

売上高
前期比 %減
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(単位:

取扱製品
  • 目論見書、有価証券届出書、運用報告書
  • 投資信託書類作成システム
  • 販売用資料・Webコンテンツ制作

国内投資信託市場は、一部ファンドの新規設定が減速し、主力製品である目論見書や届出書が減収となりました。また、J-REIT市場のIPO・ファイナンス関連製品や、外国投信も減収となりました。一方、金融商品の各種販促ツールや金融機関のディスクロージャー誌等は増収となりました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上高は、前期比1.6%減の6,919百万円となりました。

売上高
前期比 %増
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(単位:

取扱製品
  • 企業情報データベース
  • 経済統計・ファイナンスデータベース

データベース関連では、既存顧客の契約更新が順調に推移するとともに新規顧客の開拓が進展いたしました。また、2018年11月1日付で株式会社アイ・エヌ情報センターを連結子会社化したことにより、データベース関連の売上高は前期比51.4%増の1,102百万円となりました。

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、株主への利益還元を経営の重要課題と認識し、諸施策を実施しております。配当につきましては、安定配当をベースに業績および経営環境等を総合的に加味した配当の継続を基本方針とし、原則40%以上の連結配当性向を基準としております。

当社は会社法第459条の規定にもとづき、剰余金の配当を株主総会の決議によらず、取締役会の決議によっておこなうことができる旨を当社定款に定めております。当事業年度の期末配当につきましては、2020年5月20日の取締役会決議にもとづき、当社普通株式1株につき15円とさせていただく予定です。なお、2019年10月31日の取締役会決議にもとづき、当社普通株式1株につき15円の中間配当を実施しておりますので、この結果、年間配当は30円となり、連結配当性向は44.5%となります。

また当社は、株主への利益還元と資本効率の向上に資する自己株式取得を重視しております。当事業年度においても362千株の自己株式を取得いたしました。この結果、2020年3月末時点で発行済株式総数の12.4%、3,797千株を保有しております。また、配当と当事業年度中の自己株式取得を合わせた総還元性向は、70.7%と引き続き高水準にあります。

連結計算書類