事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界規模で拡大した新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、国内外における企業活動や個人消費が制限され、経済活動は大きなマイナス影響を受けました。現状、段階的に経済活動が再開され、企業活動の一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社事業と関連性が高い国内証券市場においては、このような状況への警戒感から昨年4月の緊急事態宣言時に下落していた日経平均株価は、期初の18,000円台から本年2月には約30年ぶりに一時30,000円の大台まで回復いたしました。

このような状況のもと、国内外の投資家に向けた開示・IR強化の動きが継続し、株主総会招集通知や英文翻訳サービス等の売上が増加いたしました。加えて、ファイナンス・IPO関連製品やWeb制作関連の売上が増加いたしました。これらの増収が、投資信託の新規設定減や前期の消費税率改定関連特需の反動減等に伴う金融商品関連製品の減収を補った結果、当連結会計年度の連結売上収益は、前期比2.3%増の24,997百万円となりました。

売上原価は、制作体制の強化およびサービスの向上に伴う労務費の増加を主因として、前期に比べ568百万円増加となりました。これにより売上原価率は前期比1.0ポイント増の61.7%となりました。この結果、売上総利益は前期比0.2%減の9,583百万円となりました。また、販売費及び一般管理費については、営業体制強化に伴う人件費増や新型コロナウイルス感染症対策費用、アフターコロナを見据えたDX投資等により、前期比1.4%増の7,162百万円となりました。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響等により、連結子会社の株式会社レインボー・ジャパンおよびPRONEXUS VIETNAM CO.,LTDの減損損失351百万円をその他の費用に計上したこと等から、営業利益は前期比18.1%減の2,130百万円となりました。

その他、金融収益は受取配当金等により163百万円、金融費用は9百万円、持分法による投資利益は80百万円、持分法適用関連会社であった株式会社ディスクロージャー・プロの株式を2020年7月に追加取得し、完全子会社化したことに伴う段階取得に係る差益を139百万円計上した結果、当期利益は前期比8.5%減の1,696百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比8.4%減の1,691百万円となりました。

なお、2020年8月28日公表の2021年3月期の通期連結業績予想と比較いたしますと、売上収益および各利益科目において、すべて目標を達成しております。

製品区分別の概況

売上収益
前期比 %増
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構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 株主総会関連書類(招集通知等)
  • 決算関連書類(決算短信、有価証券報告書等)開示業務支援システム
  • IPO・ファイナンス関連書類(目論見書等)

株主総会招集通知のカラー化による増収に加えて、開示書類作成アウトソーシングサービスの増収も寄与いたしました。また、国内証券市場の株価回復を背景にファイナンス・IPO関連製品の受注規模が拡大したことにより、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は、前期比5.8%増の10,880百万円となりました。

売上収益
前期比 %増
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構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • IR関連書類(株主通信等)
  • IRサイト構築・更新サービス
  • 英文翻訳
  • 株主総会運営支援

株主通信の減収に加えて、コロナ禍において対面形式のイベント・セミナー中止等の一部マイナス影響がありました。一方、コーポレートガバナンス・コードへの対応を背景として、英文翻訳サービスの受注が増加したほか、2019年10月1日付で連結子会社化した、Web制作会社の株式会社レインボー・ジャパンの売上収益も加わった結果、上場会社IR関連等の売上収益は、前期比4.3%増の6,400百万円となりました。

売上収益
前期比 %減
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構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 目論見書、有価証券届出書、運用報告書
  • 投資信託書類作成システム
  • 販売用資料・Webコンテンツ制作

金融商品関連製品の印刷物の受注が、前期の消費税率改定に伴うスポット需要の反動により減少いたしました。また、投資信託市場は、一部ファンドの新規設定減や電子化の進展等により、目論見書の受注ボリュームが縮小したほか、資金調達需要の変化を受け外国債券関連製品も減収となりました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は、前期比4.2%減の6,629百万円となりました。

売上収益
前期比 %減
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構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 企業情報データベース
  • 経済統計・ファイナンスデータベース

企業情報データベース、経済・産業情報データベースともに新規開拓の一方で一部解約や単価のダウンがありました。これらの結果、データベース関連の売上収益は、前期比1.3%減の1,088百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益/
親会社の所有者に帰属する当期利益

(注)当社は、2021年3月期よりIFRSに準拠して連結計算書類を作成しております。
また、前期比較のため2020年3月期もIFRSに準拠した数値を表示しております。

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、株主への利益還元を経営の重要課題と認識し、諸施策を実施しております。配当につきましては、安定配当をベースに業績および経営環境等を総合的に加味した配当の継続を基本方針としております。株主還元に関する指標につきましては、連結配当性向原則40%以上を基準としておりましたが、株主への一層の利益還元を目的として、50%以上に引き上げることといたしました。

当社は会社法第459条の規定にもとづき、剰余金の配当を株主総会の決議によらず、取締役会の決議によっておこなうことができる旨を当社定款に定めております。当事業年度の期末配当につきましては、業績が当初の予想を上回る水準となったことを勘案し、2021年5月20日の取締役会決議にもとづき、当初予想から1円増配し、当社普通株式1株につき16円とさせていただく予定です。なお、2020年10月30日の取締役会決議にもとづき、当社普通株式1株につき、17円(普通配当15円、創業90周年記念配当2円)の中間配当を実施しておりますので、この結果、年間配当は33円となり、連結配当性向は52.5%となります。

また当社は、株主への利益還元と資本効率の向上に資する自己株式取得を重視しております。当事業年度においても、2021年2月15日付で2,000千株を消却するとともに、2021年1月29日開催の取締役会決議にもとづき、設定した上限株数500千株のうち234千株の自己株式を取得いたしました。この結果、2021年3月末時点で発行済株式総数の7.1%、2,031千株を保有しております。また、配当と当事業年度中の自己株式取得を合わせた総還元性向は、69.4%と引き続き高水準にあります。

連結計算書類