事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、前期に比べ企業業績は総じて改善がみられました。一方、年明けからの新型コロナウイルス変異株の感染拡大により、個人消費は持ち直しの勢いが鈍化いたしました。さらにロシアがウクライナに侵攻したことで、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社事業と関連性が高い国内証券市場においては、国内企業の業績回復に伴い、日経平均株価が28,000円台(前期は24,000円台)を中心に推移いたしました。ただし、米国の金融政策やウクライナ情勢などリスク要因への警戒感が強い状況にありました。

このような状況のもと、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードを背景として、投資家への情報提供をさらに強化する動きが高まりました。また、前期に比べて国内証券市場・J-REIT市場が回復したことや投資信託への資金流入が続いたこと等から、関連製品の受注が増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度の連結売上収益は、前期比4.6%増の26,142百万円となりました。

売上原価は、サービス体制の強化による労務費の増加や、受注増に対応する外注費の増加を主因として、前期に比べ641百万円増加いたしました。売上原価率につきましては、増収効果により前期比0.3ポイント減の61.4%となりました。この結果、売上総利益は前期比5.3%増の10,087百万円となりました。販売費及び一般管理費は、営業体制強化に伴う人件費増加等により、前期比5.8%増の7,574百万円となりました。この結果、営業利益は前期比16.6%増の2,483百万円となりました。

また、金融収益を68百万円、金融費用を6百万円、持分法による投資利益を79百万円それぞれ計上し、税引前利益は前期比4.8%増の2,624百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比4.2%増の1,763百万円となり、連結業績予想を全て上回る結果となりました。

なお、前期の営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響等により、その他の費用として連結子会社の減損損失351百万円を計上しております。また、前期の税引前利益は、持分法適用関連会社の株式を追加取得し、完全子会社化したことに伴う段階取得に係る差益139百万円を計上しております。

製品区分別の概況

売上収益
前期比 %増
詳細はこちらを閉じる
構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 株主総会関連書類(招集通知等)
  • 決算関連書類(決算短信、有価証券報告書等)開示業務支援システム
  • IPO・ファイナンス関連書類(目論見書等)

主力製品である株主総会招集通知については、従来からのカラー化・情報拡充に加え、個人株主数の増加により受注単価が上昇いたしました。また、業務効率化ニーズの高まりを受け、開示書類作成アウトソーシングサービスの増収が寄与いたしました。これらの結果、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は、前期比3.6%増の11,267百万円となりました。

売上収益
前期比 %増
詳細はこちらを閉じる
構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • IR関連書類(株主通信等)
  • IRサイト構築・更新サービス
  • 英文翻訳
  • 株主総会運営支援

改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応を背景として、英文翻訳サービスの受注が順調に推移いたしました。また、前期はコロナ禍により規模を縮小していた株主総会のビジュアル化サービスや、バーチャル株主総会支援サービスの受注が増加いたしました。これらの結果、上場会社IR関連等の売上収益は、前期比8.0%増の6,914百万円となりました。

売上収益
前期比 %増
詳細はこちらを閉じる
構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 目論見書、有価証券届出書、運用報告書
  • 投資信託書類作成システム
  • 販売用資料・Webコンテンツ制作

国内の投資信託市場は、前期に比べ国内外の株式市場の回復等を背景に資金流入が続き、各種販売用ツールの受注が拡大いたしました。また、J-REIT市場の回復に伴うファイナンス・IPOの増加や、外国債券の発行が前期に比べて改善したことで、関連製品の受注が増加いたしました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は、前期比3.9%増の6,890百万円となりました。

売上収益
前期比 %減
詳細はこちらを閉じる
構成比率 %

(単位:

取扱製品
  • 企業情報データベース
  • 経済統計・ファイナンスデータベース

新規顧客の受注があったものの、既存顧客との契約更改に際し、一部解約や単価ダウンがありました。その結果、データベース関連の売上収益は、前期比1.6%減の1,071百万円となりました。

なお、グループシナジーを最大化すべく、当社のデータベース事業を簡易吸収分割により連結子会社である株式会社アイ・エヌ情報センターに承継(2021年5月)させ、データベース事業の再編を実施いたしました。

親会社株主に帰属する当期純利益/
親会社の所有者に帰属する当期利益

(注)当社は、2021年3月期よりIFRSに準拠して連結計算書類を作成しております。
また、前期比較のため2020年3月期もIFRSに準拠した数値を表示しております。

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、株主への利益還元を経営の重要課題と認識し、諸施策を実施しております。配当につきましては、安定配当をベースに業績および経営環境等を総合的に加味した配当の継続を基本方針とし、原則50%以上の連結配当性向を基準としております。

当社は会社法第459条の規定にもとづき、剰余金の配当を株主総会の決議によらず、取締役会の決議によっておこなうことができる旨を当社定款に定めております。当事業年度の期末配当につきましては、業績が当初の予想を上回る水準となったことを勘案し、2022年5月19日の取締役会決議にもとづき、当初予想から3円増配し、当社普通株式1株につき19円とさせていただく予定です。なお、2021年10月29日の取締役会決議にもとづき、当社普通株式1株につき、16円の中間配当を実施しておりますので、この結果、年間配当は35円となり、連結配当性向は51.3%となります。

また当社は、株主への利益還元と資本効率の向上に資する自己株式取得を重視しております。当事業年度においても、1,176千株の自己株式を取得するとともに、2021年8月23日付で1,000千株を消却いたしました。この結果、2022年3月末時点で発行済株式総数の8.0%、2,207千株を保有しております。また、配当と当事業年度中の自己株式取得を合わせた総還元性向は、119.6%と引き続き高水準にあります。

連結計算書類