事業報告(2019年1月1日から2019年12月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過およびその成果
当連結会計年度の主要な取り組み
1.ゴールデン・スポーツイヤーズにおけるブランドアピール
Rugby World Cup 2019を皮切りに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、2021年の関西ワールドマスターズゲーム2021関西と3年連続で日本にて世界的なスポーツイベントが開催される“ゴールデン・スポーツイヤーズ”が幕を開けました。このチャンスを最大限に活用し2019年を攻勢の年とすべく取り組みました。
Rugby World Cup 2019でのブランド露出
アシックスは南アフリカ共和国代表チーム「SPRINGBOKS(スプリングボクス)」およびオーストラリア代表チーム「WALLABIES(ワラビーズ)」をサポートしており、「SPRINGBOKS(スプリングボクス)」が見事に優勝を果たしました。両代表チームには、選手と意見交換を行いながら開発した最先端の技術が活用されたジャージを提供し、レプリカジャージ等も発売しました。

「国立競技場 ASICS FIRST RUN」の開催
2019年12月21日に新国立競技場がオープンしました。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の応援プロジェクトとして、国立競技場(オリンピックスタジアム)内のトラックを、一般の方々が世界で初めて走ることができるイベント「国立競技場 ASICS FIRST RUN」を実施しました。
※アシックスは、東京2020オリンピック・パラリンピック ゴールドパートナー(スポーツ用品)です。

2.アクションプランの実行
アシックスのさらなる成長に向けた行動計画「アクションプラン」(2018年8月策定)に基づき諸施策を着実に実行しております。
カテゴリー基軸の経営管理体制への移行
機能ごとに分かれていた組織を統合し、それぞれのカテゴリートップが商品の企画から開発、生産、マーケティング、販売に至るまで責任を負い、コミットした目標の達成に向け邁進しました。
重点施策の実行
以下の4つを重点施策に設定し、グローバルレベルでの顧客基盤の拡大、ブランド価値の向上を図ってきました。
① パフォーマンスランニングで勝つ
アシックスの強みはなんといってもパフォーマンスランニング分野にあります。この分野での圧倒的なシェア獲得に向け尽力しました。
アシックス史上最も革新的な機能を搭載したランニングシューズ「METARIDE(メタライド)」や「GLIDERIDE(グライドライド)」などを市場投入しました。東京、パリ、無錫(中国)、ゴールドコーストなどの世界各地のマラソン大会に協賛しました。また、ロサンゼルスマラソンのスポンサーを再度獲得いたしました。

② オニツカタイガーの拡大
オニツカタイガーを真のプレミアムファッションブランドに育てるため社内カンパニー化し、ブランドポジションの確立を図りました。
ドレッシーとコンフォートを兼ね備えた日本製の高価格シリーズ「THE ONITSUKA(ジ・オニツカ)」を投入しました。
俳優/映画プロデューサーであるウィル・スミス氏とのコラボレーションムービーを発表しました。

③ 中国本部により成長を加速
2019年に「健康中国」達成のため行動計画や「スポーツ強国建設綱要」を発表するなど、国家レベルで健康志向が高まっている中国。そんな中国ではスポーツトレンドが到来しており、市民マラソンの大会数、ランナーが急増しております。大いに成長の余地がある地域だと認識し、注力しています。
中国市場向けの独自の商品など、現地のニーズを反映した商品を迅速に投入しました。
無錫マラソンに加え、参加者数3万人超の西安マラソンとスポンサー契約を結びました。

④ デジタルを新たな成長ドライバーに
アシックスにとってもデジタルは極めて重要な分野です。製品・販売チャネルへの取り組みの強化のみならず、デジタルを用いたサービスを強化し、お客様の体験価値を最大化することで、アシックスのビジネスを成長させていきます。
レース登録プラットフォーム北米3位の「Race Roster」の事業を買収しました。
■「Race Roster」の事業概要
・2019年の米国での取り扱いレース数は約5,000
・登録ランナー(約130万人)は女性や若いランナー層が多い
世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2020」に出展を決定し、ランニングサイエンス分野について発表しました。この分野にも継続フォーカスし、製品、サービスにてデジタルシフトを進め新たな顧客価値を創造します。

戦略的マーケティングの強化
2020年に向け、広告宣伝費を確実に露出が増加するよう集中して投下しました。
① 重点施策におけるマーケティング
カテゴリー体制強化によるマーケティングの効率化を図りました。
メディア投資拡大による商品認知の向上に取り組みました。
② 国際的イベントにおけるマーケティング
グランドスラムにおいて、男子プロテニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手の意見を取り入れた商品を発売しました。
東京マラソンでの新しいテクノロジーの公開とエキスポ売上の最大化を図りました。

③ 販売に直結した店頭及びデジタルを使用したマーケティング
ブランドヒートを狙ったコラボレーションによる取り組みを行いました。
(KIKO KOSTADINOV, Vivienne Westwood, 隈研吾など)
店頭などで試履きによる履き心地の訴求、専門店との連携強化などの草の根活動の強化に尽力しました。

3.サステナビリティ(ESGの向上)
サステナビリティは企業経営の中心に据えて取り組むべき課題だと認識しています。アシックスは、世界の代表的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Indices」の「Asia/Pacific Index」対象銘柄に5年連続で選定されました。主要な取り組みは以下の通りです。
環境への配慮
① 2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指し、2030年に向けたCO2排出量削減目標を設定
② スポーツメーカーで世界初「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明
③ 2020年から全世界の直営店で使い捨てプラスチック製ショッピングバッグを廃止し、環境配慮型紙製ショッピングバッグへ順次切り替え

人と社会への貢献
① 持続可能性に配慮した調達を推進するため「サプライチェーンCSRセミナー」を開催
② 「PRIDE指標2019」において最高位であるゴールドを受賞
③ 日本の一般事業会社で初めてサステナビリティボンドを発行

連結決算ハイライト




① 売上高
現地通貨ベースでパフォーマンスランニングおよびオニツカタイガーが好調に推移しました。ただし、アパレル・エクィップメントが低調であったことに加え、為替換算レートの影響により売上高は3,780億円と前年同期間比2.2%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合1.6%増)となりました。
② 売上総利益
原価率の改善などはありましたが、円高による為替換算レートの影響などにより、売上総利益は1,796億円と前年同期間比0.5%の減益となりました。
③ 営業利益
積極的なマーケティング投資を実行しましたが、前連結会計年度末に実施した事業構造改革の効果などにより販売費及び一般管理費が1,690億円と前年同期間比0.6%の減少でした。よって、営業利益は106億円と前年同期間比1.1%の増益となりました。
④ 経常利益
営業外収益の増加および為替差損の大幅な減少などにより、経常利益は101億円と前年同期間比15.3%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
翌連結会計年度から適用予定の国内連結納税に伴い繰延税金資産を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は70億円となりました。
カテゴリ―別の概況
プロダクトカテゴリー体制の導入
アシックスグループは、更なる成長の礎を築くため、「ASICS Growth Plan(AGP)2020」の行動計画である「アクションプラン」に基づき、カテゴリー基軸の経営管理体制の下、機能ごとに分かれていた組織を統合し、それぞれのカテゴリートップがコミットした目標の達成に向けて邁進しております。


(単位:)
売上高は、日本、北米、オセアニア、南米が好調であったものの、欧州が低調であったことに加え、為替換算レートの影響などにより1,701億円と前年同期間比0.4%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合4.4%増)となりました。
営業利益につきましては、39億円(前年同期間比53.7%減、前年度の為替換算レートを適用した場合49.2%減)でした。
なお、前年と同基準とした場合のカテゴリー別業績は営業利益58億円(前年同期間比31.2%減、前年度の為替換算レートを適用した場合25.9%減)となります。

(単位:)
売上高は342億円と前年同期間比12.1%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合7.7%減)となりました。営業損失は4億円でした。
なお、前年と同基準とした場合のカテゴリー別業績は営業損失7百万円となります。

(単位:)
売上高は、日本、北米において好調であったことなどにより、417億円と前年同期間比1.4%の増収(前年度の為替換算レートを適用した場合4.4%増)となりましたが、積極的なマーケティング投資を実行したことなどにより、営業損失は13億円でした。
なお、前年と同基準とした場合のカテゴリー別業績は営業損失10億円となります。

(単位:)
売上高は、392億円と前年同期間比13.3%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合10.4%減)となり、引き続き営業損失でした。

(単位:)
売上高は、日本、東南・南アジア、韓国が好調に推移したことにより、455億円と前年同期間比6.3%の増収(前年度の為替換算レートを適用した場合10.1%増)となりました。
営業利益につきましては、83億円(前年同期間比10.9%増、前年度の為替換算レートを適用した場合14.6%増)でした。
なお、前年と同基準とした場合のカテゴリー別業績は営業利益84億円(前年同期間比13.3%増、前年度の為替換算レートを適用した場合17.1%増)となります。
各カテゴリーには、間接費を一定の方法で配賦しております。
また、第1四半期連結会計期間よりグループ会社に対するECプラットフォーム使用料等を各カテゴリー別の業績に含めておりますが、これを除いた営業利益を前年同基準として表示しております。
報告セグメント別の概況
報告セグメント別の業績は、次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。








対処すべき課題
(Ⅰ)会社の経営の基本方針
アシックスグループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし- "Anima Sana In Corpore Sano" 」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。
(Ⅱ)中期経営計画「ASICS Growth Plan(AGP)2020」のアクションプラン
アシックスは、中期経営計画「ASICS Growth Plan(AGP)2020」の具体的な行動計画である「アクションプラン」を策定しました。このアクションプランに基づき、本社のカテゴリートップが企画・開発からマーケティング、販売までを統括するカテゴリー基軸の経営管理体制のもと、以下の重点施策を着実に実行しております。
重点施策
(ⅰ)パフォーマンスランニングで勝つ
✓全てのランナーに向けてラインナップを拡充
・新しいお客様に向けた価値ある商品の提供
✓ランニング専門店でのサービス向上
・ランニング専門店限定商品の販売
・テックレップによる店舗スタッフ教育やテクノロジーの発信

(ⅱ)デジタル
✓デジタルドリブンカンパニーの実現
・お客様視点の追求により、EC売上高成長
・デジタルサービスを強化し、顧客価値の最大化
✓ランニングエコシステムの構築
・RACE ROSTERの活用
・ランナーとのタッチポイントを拡大
✓スマートランニングシューズの開発
・CES2020(デジタル見本市)にて、先進的なデジタル技術をアピール
✓先進的なサービスを開発(カシオ計算機株式会社との協業)
・カシオのデジタル技術×アシックスのランニングサイエンス
・パーソナライズされた独自のランニング体験の提供
・国内最大規模の展示会 ウェアラブルEXPOにアシックスとして初出展

(ⅲ)オニツカタイガー
✓プレミアムファンションブランドへ
・ブランド価値を高める活動に注力し、高利益水準を維持
・デジタルツールを駆使したブランド発信
・インフルエンサーとの協業
・メディアイベントでブランド価値認知度向上
✓ブランドの世界観を発信
・世界の主要地域での大型店開店
中国:広州、成都
欧米:ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、ロサンゼルス
東南アジア:バンコク
・国内外でのファッションショー開催

(ⅳ)成長市場の拡大 東南アジア、インド、中東
