事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

当社グループの現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当期の経済環境

当期における世界経済を概観すると、貿易摩擦の激化を主因とする減速傾向から、12月の米中交渉第一段階合意を受けて一時は回復への期待が高まりましたが、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大するにつれ、企業活動や人の移動の制限により経済活動が制約される等、期末にかけて急速かつ大幅に悪化しました。そうした中で、原油価格(WTIベース/1バレルあたり)は、期初の60ドル台前半から中東情勢の緊張を受けて一時的に上昇した後、世界経済を覆う不透明感により低下傾向で推移し、年末にかけては米中合意や主要産油国の減産拡大等により一時60ドル台を回復したものの、その後は減産協議の決裂や、世界経済の悪化懸念が下押しし期末には20ドル近くまで下落しました。

日本経済は、10月の消費増税直前には駆込み需要もあって個人消費は持直したものの輸出回復の遅れ等から停滞、増税後は台風被害の影響もあって悪化、年明け後には新型コロナウイルスの影響も加わり一段と落込みました。ドル・円相場は、期初の111円から、米中貿易摩擦への懸念を主因に8月には105円付近まで円高が進んだ後、米中合意を受けて2月には112円近くまで円安に振れましたが、その後は新型コロナウイルスの影響で乱高下し、期末は108円台で終えました。日経平均株価は、期初の21,500円から、円高や米国株価の低下を背景に一時20,000円付近まで下落した後、1月には24,000円台を回復しましたが、以降は乱高下し、一時は16,500円台まで下げたものの、期末は19,000円近くで終えました。10年物国債利回りは、欧米中銀の利下げ観測を背景に、期初のマイナス0.07%から8月末にマイナス0.3%付近まで低下、米中合意を受けて一時プラス圏へ上昇した後、期末にかけてゼロ%を挟んだ動きが続きました。

当社グループの当期の業績

当期の収益は、エネルギー・化学品はエネルギー関連事業及び化学品関連取引の販売価格下落及び取引減少等により減収、住生活は国内物流施設開発案件の取引減少及び海外連結子会社の持分法投資への変更等により減収、繊維は暖冬及び新型コロナウイルスの影響等によるアパレル関連事業の販売不振に加え、繊維原料等を含む全般的な低迷により減収となり、一方、食料は食糧関連取引の減少はあったものの、プリマハム(株)の子会社化等により増収となりましたが、全体としては前期比6,175億円(5.3%)減収の10兆9,830億円となりました。

売上総利益は、第8は前第2四半期の(株)ファミリーマート(注)の子会社化により増益、情報・金融は伊藤忠テクノソリューションズ(株)の堅調な推移に加え、前第2四半期のポケットカード(株)の子会社化等により増益、食料はDoleの青果物販売価格の下落はあったものの、(株)日本アクセスの堅調な推移及びプリマハム(株)の子会社化等により増益、金属は石炭価格の下落はあったものの、鉄鉱石価格の上昇等により増益となり、全体としては前期比2,340億円(15.0%)増益の1兆7,978億円となりました。

(注)(株)ファミリーマートは、2019年9月1日にユニー・ファミリーマートホールディングス(株)から社名を変更しております。
以下、前期に係る記載についても、現社名の(株)ファミリーマートと表記しております。

販売費及び一般管理費は、前第2四半期の(株)ファミリーマート及びポケットカード(株)の子会社化の影響に加え、プリマハム(株)の子会社化の影響等により、前期比1,876億円(15.7%)増加の1兆3,809億円となりました。

貸倒損失は、海外債権に対する引当金及び前第2四半期のポケットカード(株)の子会社化に伴う増加等により、前期比84億円増加の174億円(損失)となりました。

有価証券損益は、前期の(株)ファミリーマートの子会社化に伴う再評価益及び北海油田開発事業の売却益の反動により、住生活の海外事業の一部売却に伴う利益及びプリマハム(株)の子会社化に伴う再評価益等はあったものの、前期比1,452億円(71.5%)減少の578億円(利益)となりました。

固定資産に係る損益は、(株)ファミリーマートやDoleでの減損損失はあったものの、土地、物流倉庫の売却益等により、前期比76億円改善の44億円(損失)となりました。

その他の損益は、為替損益の悪化及び取引先に対する返還金による損失等により、前期比121億円悪化の14億円(損失)となりました。

受取利息、支払利息の合計である金利収支は、新会計基準適用の影響及び前第2四半期の(株)ファミリーマートの子会社化等により前期比81億円悪化の223億円(費用)となり、受取配当金は、鉄鉱石関連投資からの配当の増加等により、前期比181億円(37.4%)増加の665億円となりました。その結果、金利収支に受取配当金を加えた金融収支は、前期比100億円増加の441億円(利益)となりました。

持分法による投資損益は、その他及び修正消去(注)は前期のCITIC Limitedに対する投資に係る減損損失の反動等により増加となり、一方、住生活はパルプ市況下落によるITOCHU FIBRE LIMITED(欧州パルプ事業)の取込損益減少に加え、日伯紙パルプ資源開発(株)での減損損失等により減少、第8は前第2四半期の(株)ファミリーマートの子会社化により減少となりましたが、全体としては前期比1,078億円(109.9%)増加の2,059億円(利益)となりました。

(注)「その他及び修正消去」は、各事業セグメントに帰属しない損益及びセグメント間の内部取引消去が含まれております。

以上の結果、税引前利益は、前期比60億円(0.9%)増益の7,014億円となりました。法人所得税費用は、堅調な利益拡大及び前期の金融関連事業に係る税金費用減少の反動はあったものの、資源案件に係る税金費用の減少に加え、前期の(株)ファミリーマートの子会社化に伴う再評価益に係る税金費用増加の反動等により、前期比75億円(5.0%)減少の1,422億円となり、税引前利益7,014億円から法人所得税費用1,422億円を控除した当期純利益は、前期比135億円(2.5%)増益の5,592億円となりました。このうち、非支配持分に帰属する当期純利益579億円(利益)を控除した当社株主に帰属する当期純利益は、前期比8億円(0.2%)増益の5,013億円となりました。

(ご参考)
 日本の会計慣行に基づく営業利益(売上総利益、販売費及び一般管理費、貸倒損失の合計)は、第8は前第2四半期の(株)ファミリーマートの子会社化により増益、金属は石炭価格の下落はあったものの、鉄鉱石価格の上昇等により増益となり、一方、繊維は暖冬及び新型コロナウイルスの影響等によるアパレル関連事業の販売不振に加え、繊維原料等を含む全般的な低迷及び海外債権に対する引当金等により減益となりましたが、全体としては前期比379億円(10.5%)増益の3,994億円となりました。

見通しに関する注意事項
 本事業報告に記載されているデータや将来予測は、現在入手可能な情報に基づくもので、種々の要因により影響を受けることがありますので、実際の業績は見通しから大きく異なる可能性があります。従って、これらの将来予測に関する記述に全面的に依拠することは差し控えるようお願いいたします。また、当社は新しい情報、将来の出来事等に基づきこれらの将来予測を更新する義務を負うものではありません。

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主要な事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、国内及び海外におけるネットワークを通じて、繊維、機械、情報・通信関連、金属、石油等エネルギー関連、生活資材、化学品、食糧・食品等の各種商品の国内、輸出入及び海外取引、更には損害保険代理業、金融業、建設業、不動産の売買、倉庫業並びにそれらに付帯または関連する業務及び事業への投資を多角的に行っています。

セグメント別業績
連結財政状態

総資産は、円高に伴う為替影響や前期末休日要因の反動等による営業債権の減少はあったものの、新会計基準(IFRS第16号「リース」)適用の影響及びプリマハム(株)の子会社化等により、前期末比8,209億円(8.1%)増加の10兆9,196億円となりました。

有利子負債から現預金を控除したネット有利子負債は、配当金の支払や自己株式の取得はあったものの、堅調な営業取引収入と着実な資金回収による借入金の返済等により、前期末比1,499億円(6.2%)減少の2兆2,569億円となりました。有利子負債は、前期末比1,069億円(3.6%)減少の2兆8,770億円となりました。

株主資本は、配当金の支払及び自己株式の取得に加え、円高に伴う為替影響や保有株式の公正価値下落による減少はあったものの、当社株主に帰属する当期純利益の積上げ等により、前期末比590億円(2.0%)増加の2兆9,960億円となりました。

株主資本比率は、前期末比1.6ポイント低下の27.4%となり、NET DER(ネット有利子負債対株主資本倍率)は、前期末比改善の0.75倍となりました。

連結キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、第8、金属、エネルギー・化学品及び食料の営業取引収入の堅調な推移等により、8,781億円のネット入金となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、第8での投資の取得に加え、機械での東京センチュリー(株)の第三者割当増資引受及び住生活での北米設備資材関連事業の取得並びに情報・金融でのソフトウェア関連事業への投資実行等により、2,488億円のネット支払となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金及びリース負債の返済に加え、配当金の支払及び自己株式の取得等により、5,755億円のネット支払となりました。

現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末比392億円増加の6,112億円となりました。

中期経営計画「Brand-new Deal 2020」

当社グループは、中期経営計画「Brand-new Deal 2020」において、「連結純利益5,000億円の足場固め」、「累進配当」、「自己株式取得の積極推進」等の定量面、及び「ビジネス次世代化」他の定性面、双方での諸施策を推進してきました。

2019年度における具体的成果は、次のとおりです。

繊維カンパニー

ブランドビジネスの更なる多角化

世界初の3Dスキャンによるフルカスタムランニングシューズ等、数多くの革新的な機能を生み出してきた米国ランニングシューズブランド「ブルックス」の独占輸入販売権を取得しました。また、中国における知育・育児関連のコンテンツ配信やライセンス事業等を(株)主婦の友社及び香港のPPW Sports & Entertainment (HK) Limitedと推進しています。ライフスタイルや消費行動がますます多様化する中、今後も「マーケットインの発想」で、ブランドビジネスの更なる多角化に取組んでいきます。

「レニュー(RENU)」プロジェクト始動

繊維業界が抱える廃棄問題の解決を目指すプロジェクト「レニュー(RENU)」を始動させました。第一弾として、残布や使用済みの衣類を原料とする再生ポリエステルの展開を開始、米国高級バッグブランド「ハンティング・ワールド」のボルネオチャリティ コレクション2020にも採用されています。今後も、繊維カンパニーの有する原料から製品までのバリューチェーンを活用しながら、他社には追随できないビジネスモデルの確立に向けて取組んでいきます。

機械カンパニー

環境・再生可能エネルギー事業の推進

当社は、同分野を注力分野と位置付け、都市環境整備、温暖化ガスの削減に寄与するプロジェクトをグローバルに推進しています。環境面ではセルビア共和国ベオグラード市との連携により、同国が環境汚染対策として推進する廃棄物処理発電施設の建設工事を開始しました。また、米国の再生可能エネルギー事業への取組も強化しており、米国ミネソタ州・ネブラスカ州で新たに2ヶ所の風力発電プロジェクトに参画する等、取組を更に推進していきます。

建機・建設分野における東京センチュリー(株)との協業推進

当社は、伊藤忠建機(株)の株主に東京センチュリー(株)を迎えて共同経営体制を構築しました。伊藤忠建機(株)は、社名を「伊藤忠TC建機(株)」に変更するとともに、今後、当社と東京センチュリー(株)が持つ多彩なサービス機能並びに国内外の広範なネットワークを活用し、建機・資材の販売・レンタルのみならず、ソフトウェアやサービス、ファイナンス等のあらゆるニーズにワンストップで対応する次世代型総合ソリューション企業を目指していきます。

金属カンパニー

米国North Central Resources, LLC(NCR社)Longview原料炭炭鉱への出資

当社は、米国ウエストバージニア州で開発中のLongview原料炭炭鉱を保有するNCR社の持分25%を取得し、本炭鉱から産出される原料炭の独占販売権を有する新設販売会社への参画を決定しました。同炭鉱の生産量は原料炭単一炭鉱としては米国最大級の年間4百万トンを見込み、本件参画及び販売会社の設立を通じて、特に日本・アジアの需要家への安定供給を図っていきます。

エネルギー・化学品カンパニー

自社ブランド蓄電池の販売容量が国内シェア第1位に

当社の強みのひとつである蓄電池関連ビジネスにおいては、自社ブランド蓄電池「Smart Star L」の累計販売台数が3万台を突破し、国内市場シェア(※容量ベース)第1位となりました。同分野では、蓄電池製造合弁会社の設立の他、中国での車載用電池の再生事業への参入、欧米・豪州市場への展開推進と2019年度においても着実に面展開を進めています。電力関連ビジネスの組織集約により、更に網羅的な取組態勢が整った2020年度においても、「マーケットインの発想」に根差した取組を一層拡大することで、電力供給の安定化と分散型エネルギー社会の実現に貢献していきます。

エネルギー分野における中長期安定収益基盤の強化

当社は、エネルギー分野において油価等をはじめとする経営環境の変化に耐えうる戦略的な資産ポートフォリオの形成を目指しています。具体的には、サハリン-1、東シベリア、ラスガスLNGプロジェクト等既存上流資産の磨きを進めるとともに2018年に実行したイラク西クルナ1油田権益の取得及び英領北海資産を保有する子会社の売却のような石油・ガス上流資産の入替えも視野に入れ取組んでいます。引続き当社戦略に資する中長期安定収益基盤を強化していきます。

食料カンパニー

シエラレオネにおけるパイナップル加工食品の生産

当社は、シエラレオネ共和国においてパイナップルの栽培及びパイナップル加工食品の商業生産を開始すべく、子会社のDoleを通じてSierra Tropical Limitedを設立しました。現地オペレーションはDoleが行う一方、投資に係る資金調達等を当社がサポートしています。生産拠点の多角化によりDoleの誇る世界規模の加工食品事業を更に強力なものとする他、地場産業の育成を通じて雇用増大・生活環境整備を実現し、地域コミュニティに貢献していきます。

豊かな食生活を支える(株)日本アクセス

当社子会社の(株)日本アクセスは、500を超える物流拠点と約10,000台の契約車両を抱える国内トップクラスの食品卸であり、全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等に安定的・効率的に商品を送り届けています。また、簡単に美味しく栄養バランスのとれた食事が楽しめる「からだスマイルプロジェクト」シリーズ等、消費者のニーズをとらえたオリジナル商品の開発にも力を入れており、皆様の食卓をますます彩り豊かなものとしていきます。

住生活カンパニー

北米建材事業-企業買収による事業会社群の収益力・企業価値向上戦略

当社は、米国フェンス製造卸Jamieson Manufacturing Co.及び米国木製フェンス製造業Reichert Shake & Fencing, Inc.を買収するとともに、単板・木質構造材製造業CIPA LUMBER CO. LTD.(CIPA社)、Pacific Woodtech Corporation(PWT社)の一部持分を大建工業(株)に売却し、共同経営を開始しました。

当社は従前から、CIPA社、PWT社、及びフェンス製造・卸業のMASTER-HALCO, Inc.の3社を起点として、主要先進国の中で安定した人口増加が見込まれ、底堅い成長が期待できる北米建材業界の再編を進めてきました。木製フェンス製造業のAlta Forest Products LLC(Alta社)の買収に続き、この度の両社の買収及び大建工業(株)を加えた7社にて業界での当社グループのシェアを拡大させています。

また、当社は買収・再編後の事業会社の経営改善、企業価値向上にも力を入れており、経験豊富な20名超の駐在員を各社に派遣しています。今後は長年にわたり蓄積した当社の知見に加え、日本一の建材メーカーである大建工業(株)の製造業のノウハウも導入しながら、伊藤忠グループ一丸となって北米建材市場における一層の収益力強化・企業価値の向上を目指していきます。

情報・金融カンパニー

ウイングアーク1st(株)(ウイングアーク)への戦略的事業投資

当社は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)(CTC)と共同で、ウイングアークの発行済株式の24.5%を取得しました。当社は2018年9月にウイングアークと資本業務提携し、当社の事業ノウハウと、ウイングアークが有する業界屈指のデータ活用技術を組み合わせることにより、企業のデジタル化を支援するデジタルトランスフォーメーション(DX)事業に注力してきました。今回の追加出資により、ウイングアーク及び豊富な顧客基盤を持つCTCと連携し、DX事業の更なる加速と事業領域拡大を目指していきます。

ほけんの窓口グループ(株)(ほけんの窓口)の子会社化

来店型保険ショップ業界最大手であるほけんの窓口は、「お客さまにとって最優の会社」を経営理念に掲げ、業界随一の規模(2020年3月末時点で全国762の店舗網)と独自の社員教育システムに支えられたサービス品質を兼ね備えた保険ショップのリーディングカンパニーです。ほけんの窓口の子会社化を通じて、同社の経営理念に沿った顧客向けサービスの一層の品質向上と事業成長を支援するとともに、豊富な消費者接点を持つほけんの窓口との連携を深め、「マーケットインの発想」による当社グループの事業拡大を目指していきます。

第8カンパニー

(株)ファミリーマートとのデジタル戦略共同推進

当社子会社の(株)ファミリーマートは、2019年7月、毎日のファミリーマートでのお買い物を便利で楽しくする機能を備えたオールインワンアプリ「ファミペイ」をリリースし、ダウンロード数は既に515万に達しています。当社は、(株)ファミリーマートと共同で、ファミペイをベースにポイントや決済を通じて“便利さ”を追求する“デジタル戦略”を推進し、購買情報やお客様との接点を活用した広告・マーケティング、金融サービス等の新規事業展開・拡大を進めていきます。

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対処すべき課題

来期の見通し

来期の経営環境を展望しますと、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中に広がっており、これまでのところ、有効な治療方法等、未知のウイルスに対する出口が見通せない状況が続いております。中国では感染拡大に歯止めが掛かり景気は徐々に持直すと期待されるものの、感染再拡大の懸念も残ります。欧米では感染抑制のための経済活動に対する厳しい制約が維持されており、さらに大幅な景気の悪化が避けられないとみられます。日本経済も、緊急事態宣言を受けて個人消費を中心に経済活動がさらに抑制されるため、少なくとも新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛かるまでは厳しい落込みが続き、現時点で回復に転じる時期を見通すことは困難だと考えられます。世界経済全体としても、今後も当面の間は厳しい後退局面が続き、底入れの時期も見通し難い状況が見込まれます。そうした中で、ドル・円相場は強力な金融緩和を受けた米国の低金利政策の影響により、やや円高が進行するものと見込まれます。原油相場は景気悪化に伴う需要の大幅な減少を背景に低水準が続くと予想されます。

2020年度 経営計画

当社グループは、中期経営計画「Brand-new Deal 2020」において、「連結純利益5,000億円の足場固め」、「累進配当」、「自己株式取得の積極推進」等の定量面、及び「ビジネス次世代化」他の定性面、双方での諸施策を推進してまいりました。常に先手先手の対応を行った結果、定量面では2019年度までの2年間にてすべて達成、また、定性面の諸施策においても着実な進捗を遂げ、「Brand-new Deal 2020」は1年前倒しで達成し、完了しました。

一方、経営環境が激変し、「世界同時不況」の始まりとも言える2020年度は、新たな経営フェーズに入ったとの認識のもと、まずは足元を固める1年と位置付け、中期経営計画に属さない2020年単年度での経営計画を策定しました。

基本方針

経営環境の急激な変化を踏まえ、2020年度経営計画においては、改めてビジネスの基本である「稼ぐ・削る・防ぐ」を徹底します。

景気後退局面に入っていることを踏まえ、「防ぐ」の徹底により不測の損失発生を未然に防ぐとともに、「削る」においては単なる経費削減にとどまらず、より効果的な資金の使い方を常に考え企業努力を重ねます。「稼ぐ・削る・防ぐ」の再徹底を通じて、高効率経営の更なる推進を図ります。

また、「中長期的な株主還元方針」を継続し、中長期的視点に立った企業価値の持続的な向上を図ります。

株主還元方針

中長期的な株主還元方針を継続します。

2020年度の1株当たり配当金は、当社史上最高を更新する88円として累進配当を継続し、配当額、配当性向の更なる拡充を目指します。

自己株式取得についてもキャッシュ・フローの状況等に鑑み機動的、継続的に実行してまいります。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

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連結計算書類