事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過およびその成果
当連結会計年度における日本経済は、企業収益が改善し、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費は堅調に推移しましたが、昨年末から世界経済の不透明感が増し、海外需要を主とする産業を中心に成長の鈍化が認識され始めました。世界経済においても、米国が堅調な企業業績を中心として世界経済をけん引しておりましたが、米中の貿易摩擦の影響のほか、各国の金融政策や為替動向等のリスク要因が顕在化し、先行きの不透明感が増しております。
このような状況の下、当連結会計年度の業績は、国内販売は4,126億1千万円(前連結会計年度比4.3%増)、海外販売は3,951億3千万円(同1.7%増)となった結果、売上高は8,077億5千万円(同3.0%増)となり、過去最高を更新しました。
利益面につきましては、国内外における全般的な増収や製造子会社における収益性の改善等により、売上総利益は1,054億4千万円(同2.7%増)、営業利益は252億2千万円(同4.6%増)となりました。経常利益は266億4千万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は201億3千万円(同17.2%増)となり、各利益とも過去最高を更新しました。
セグメント別の概況
当連結会計年度より報告セグメントの区分を一部変更しており、前連結会計年度比の金額および比率については、前連結会計年度を当連結会計年度において用いた報告セグメントの区分に組替えて算出しております。
-
機能素材
売上構成比
詳細はこちら
機能素材
売上高
1,796億円
(前連結会計年度比2.7%増)機能素材につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
機能化学品事業は、国内外における自動車生産台数の堅調な推移やナフサ価格の上昇等により塗料原料およびウレタン原料の売上が増加したことに加え、前第2四半期連結会計期間に買収した米国のディストリビューターの売上が、当連結会計年度においては全期間にわたり反映されていることから、事業全体として売上は増加しました。
スペシャリティケミカル事業は、海外では売上が減少したものの、国内では半導体関連等の電子業界向けを中心としてエレクトロニクスケミカル、樹脂原料・添加剤の売上が増加したことから、事業全体として売上は微増となりました。
この結果、売上高は1,796億2千万円と前連結会計年度に比べ、47億円(同2.7%増)の増収となりました。営業利益は54億9千万円と前連結会計年度に比べ、3億円(同6.0%増)の増益となりました。 -
加工材料
売上構成比
詳細はこちら
加工材料
売上高
2,752億円
(前連結会計年度比4.7%増)加工材料につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
カラー&プロセシング事業は、国内における工業用および包装材料用の合成樹脂、顔料・添加剤の売上および国内外における情報印刷関連材料等の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は2,752億円と前連結会計年度に比べ、123億7千万円(同4.7%増)の増収となりました。営業利益は80億9千万円と前連結会計年度に比べ、13億9千万円(同20.8%増)の増益となりました。 -
電子
売上構成比
詳細はこちら
電子
売上高
1,223億円
(前連結会計年度比5.4%減)電子につきましては、国内・海外ともに売上は減少しました。
電子化学品事業は、半導体業界向け等の変性エポキシ樹脂関連の売上は堅調に推移したものの、フォトリソ材料や装置関連の売上が減少したことにより、事業全体として売上は減少しました。
電子資材事業は、半導体中間工程用の研磨剤関連ビジネスは堅調であったものの、ディスプレイ関連部材の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は1,223億1千万円と前連結会計年度に比べ、70億円(同5.4%減)の減収となりました。営業利益は74億円と前連結会計年度に比べ、15億1千万円(同17.0%減)の減益となりました。 -
自動車・エネルギー
売上構成比
詳細はこちら
自動車・エネルギー
売上高
1,392億円
(前連結会計年度比7.3%増)自動車材料事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて樹脂ビジネスが好調に推移したことに加え、カーエレクトロニクス関連部材の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は1,392億3千万円と前連結会計年度に比べ、95億2千万円(同7.3%増)の増収となりました。営業利益は30億5千万円と前連結会計年度に比べ、6億3千万円(同26.4%増)の増益となりました。(注)自動車・エネルギーセグメントは、2019年4月1日よりモビリティ・エネルギーセグメントに名称変更しております。
-
生活関連
売上構成比
詳細はこちら
生活関連
売上高
907億円
(前連結会計年度比4.9%増)生活関連につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
ライフ&ヘルスケア製品事業は、食品素材分野において、トレハ®等の売上は海外では増加し、国内では微増となりました。スキンケア・トイレタリー分野では、AA2G®の国内外での売上が増加しました。医療・医薬分野では、医薬品原料・中間体、医用材料および製剤事業の売上が増加しました。この結果、事業全体として売上は増加しました。
化粧品・健康食品の販売を行うビューティケァ製品事業は、全般的に販売が低調であったことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は907億9千万円と前連結会計年度に比べ、42億7千万円(同4.9%増)の増収となりました。営業利益は46億4千万円と前連結会計年度に比べ、4億4千万円(同10.6%増)の増益となりました。
-
機能素材
売上高
1,796億円(前連結会計年度比2.7%増)機能素材につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
機能化学品事業は、国内外における自動車生産台数の堅調な推移やナフサ価格の上昇等により塗料原料およびウレタン原料の売上が増加したことに加え、前第2四半期連結会計期間に買収した米国のディストリビューターの売上が、当連結会計年度においては全期間にわたり反映されていることから、事業全体として売上は増加しました。
スペシャリティケミカル事業は、海外では売上が減少したものの、国内では半導体関連等の電子業界向けを中心としてエレクトロニクスケミカル、樹脂原料・添加剤の売上が増加したことから、事業全体として売上は微増となりました。
この結果、売上高は1,796億2千万円と前連結会計年度に比べ、47億円(同2.7%増)の増収となりました。営業利益は54億9千万円と前連結会計年度に比べ、3億円(同6.0%増)の増益となりました。 -
加工材料
売上高
2,752億円(前連結会計年度比4.7%増)加工材料につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
カラー&プロセシング事業は、国内における工業用および包装材料用の合成樹脂、顔料・添加剤の売上および国内外における情報印刷関連材料等の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は2,752億円と前連結会計年度に比べ、123億7千万円(同4.7%増)の増収となりました。営業利益は80億9千万円と前連結会計年度に比べ、13億9千万円(同20.8%増)の増益となりました。 -
電子
売上高
1,223億円(前連結会計年度比5.4%減)電子につきましては、国内・海外ともに売上は減少しました。
電子化学品事業は、半導体業界向け等の変性エポキシ樹脂関連の売上は堅調に推移したものの、フォトリソ材料や装置関連の売上が減少したことにより、事業全体として売上は減少しました。
電子資材事業は、半導体中間工程用の研磨剤関連ビジネスは堅調であったものの、ディスプレイ関連部材の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は1,223億1千万円と前連結会計年度に比べ、70億円(同5.4%減)の減収となりました。営業利益は74億円と前連結会計年度に比べ、15億1千万円(同17.0%減)の減益となりました。 -
自動車・エネルギー
売上高
1,392億円(前連結会計年度比7.3%増)自動車材料事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて樹脂ビジネスが好調に推移したことに加え、カーエレクトロニクス関連部材の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は1,392億3千万円と前連結会計年度に比べ、95億2千万円(同7.3%増)の増収となりました。営業利益は30億5千万円と前連結会計年度に比べ、6億3千万円(同26.4%増)の増益となりました。(注)自動車・エネルギーセグメントは、2019年4月1日よりモビリティ・エネルギーセグメントに名称変更しております。
-
生活関連
売上高
907億円(前連結会計年度比4.9%増)生活関連につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
ライフ&ヘルスケア製品事業は、食品素材分野において、トレハ®等の売上は海外では増加し、国内では微増となりました。スキンケア・トイレタリー分野では、AA2G®の国内外での売上が増加しました。医療・医薬分野では、医薬品原料・中間体、医用材料および製剤事業の売上が増加しました。この結果、事業全体として売上は増加しました。
化粧品・健康食品の販売を行うビューティケァ製品事業は、全般的に販売が低調であったことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は907億9千万円と前連結会計年度に比べ、42億7千万円(同4.9%増)の増収となりました。営業利益は46億4千万円と前連結会計年度に比べ、4億4千万円(同10.6%増)の増益となりました。
その他
特記すべき事項はありません。
対処すべき課題
当社は、2032年までを対象とする「長期経営方針」および2016~2020年度の5ヵ年を対象とする中期経営計画「ACE-2020」に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。
基本理念
当社は、グループの共通の価値観として、以下の経営理念、ビジョン、NAGASEウェイを掲げています。
長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。
「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
中期経営計画の骨子と施策
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
また、中期経営計画の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社単位で「ACE-2020」ローリングを行いました。ローリングは外部および内部環境の分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、一部の事業体制および施策の修正を決定しました。なお、ローリングによる定量・定性目標の変更はありません。
新たに重要性が高まった課題は以下の3点になります。
- A)グローバルでの環境規制強化による供給問題
- B)海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンス
- C)製造事業におけるコンプライアンス体制のさらなる強化
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「注力領域」、「育成領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ってまいります。
【注力領域】:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、スイスのロンザ社との長期パートナーシップ契約を背景とした今後の需要拡大を見据え、生産能力向上を目的に、天然多糖類のプルランと各種酵素を生産する新工場の建設に着手しました。また、フード事業戦略室の新設を決定し、食品素材市場の戦略構築および事業拡大を図ります。
同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、次世代通信規格対応高周波製品の展開および半導体事業拡大を目的に、3D Glass Solutions社へ出資を行いました。また、電子セグメントの電子資材事業部と電子化学品事業部を統合し、新たにエレクトロニクス事業部の新設を決定し、業界全体を俯瞰し、技術、用途、産業構造の変化に柔軟に対応した事業展開を図ってまいります。
「育成領域」では、LiDAR関連技術を持つ米国TriLumina社、加国LeddarTech社との協業を開始し、自動運転技術分野に参入しました。また、ドメインをすべてのモビリティ関連ビジネスに拡げ、「次世代モビリティ社会において環境に配慮し、安心・安全・快適を実現するソリューション提供」を掲げて、「自動車・エネルギー」セグメントの名称を、2019年4月より「モビリティ・エネルギー」セグメントへ変更することを決定しました。
また、人工知能や高速データ処理システムを活用した新規材料や代替材料を探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のプラットフォームをIBM社と共同開発することを合意し、2020年度のサービス提供開始を目指しております。
「基盤領域」では、国内外の化学品や合成樹脂の販売活動に加え、国土交通省の「インフラメンテナンス大賞」優秀賞を受賞した防錆󠄀塗料の「Pat!naLock®」の拡販活動、排気・排水処理設備販売の開発活動、中国をはじめとする各国の環境規制対応等、環境関連事業を推進しました。
また、透明性と耐久性等に優れた合成樹脂「Tritan™」の日本代理店として、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で採用されたほか、生活用品のデザインを通して素材の可能性を探ることを目的として、武蔵野美術大学や多摩美術大学との産学共同研究の成果発表会を開催しました。
「改善領域」では、一部の不採算事業の撤退を決定し、経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開のさらなる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を目的として、海外における地域統括会社の設立を決定し、台湾・香港を含むグレーターチャイナ地域においては期中に、メキシコ・ブラジルを含む米州地域においては2019年度期首に、それぞれ地域統括会社を設立しました。また、米国現地法人では、産業用途3Dプリンター向け特殊材料の開発・製造を目的に、Infinite Material Solutions社を米国Interfacial Consultants社との合弁会社として設立しました。
製造業は、主に原料およびエネルギーコスト対応の施策を中心に損益分岐点の改善活動を継続しました。なお、当社100%子会社の福井山田化学工業株式会社が、省エネルギー管理優良事業者表彰の「福井県知事賞」を受賞しました。また、グループ製造業責任者会議を開催し、コンプライアンスや安全操業の徹底等の共通課題について、対応策の改善を図りました。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、「モニタリングとPDCAの徹底」として、「ACE-2020」ローリングを実施し、計画策定時の前提条件や市場環境の見直しと、計画達成に向けた施策の精査を行いました。また、国内外グループ会社37社のマネージャー以上を対象に、「ACE-2020」の意識調査アンケートを行いました。回答結果から、「ACE-2020」全般の理解や浸透が確認されました。その他、トップメッセージの動画配信やインナーブランディング活動を継続して行ってまいりました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として、コーポレート機能の強化とコア業務の生産性向上を目的に、間接部門業務の機能と組織の見直しを継続しました。シェアードサービス会社である長瀬ビジネスエキスパート株式会社は、国内販売会社を対象とした与信管理システムの運用を開始し、また、RPAの活用により業務範囲を拡大し、業務の標準化と効率化を進めました。
「人財育成」においては、キャリアプランの選択肢拡大と成果を発揮した人財の早期抜擢󠄀と処遇反映を目的とし、新人事制度の運用を開始しました。また、健康経営優良法人2019(ホワイト500)の認定取得や健康宣言を行う等、働きやすい職場環境の整備を進めました。
連結計算書類
- 連結貸借対照表を見る
- 連結損益計算書を見る