事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

事業の状況

当連結会計年度の世界経済を概観しますと、世界的な新型コロナウイルス感染症の相次ぐ変異株の感染再拡大による経済活動の停滞や、物流停滞による供給制約により、サプライチェーンの混乱が生じました。一方、先進国を中心にワクチン接種が進展し、経済活動が本格再開する中、ウクライナ危機の発生により、市況価格の更なる高騰等、先行き不透明な状況が深刻化しました。

米国経済は、ワクチン接種の進展と大規模な経済対策を背景に景気は回復し、経済正常化へ進捗しました。一方、供給制約等による物価高は継続しインフレ率が高まりました。欧州経済は、長期化した感染拡大がピークアウトし、製造業、サービス業が復調し、景気回復基調となったものの、ウクライナ危機によるロシアへの経済・金融制裁の影響等により景気は一転減速となりました。中国経済は、輸出入の拡大により世界経済を牽引する回復を遂げる中、感染再拡大に伴うゼロコロナ政策や不動産販売の急減、及び個人消費の伸び悩み等により、景気は減速基調となりました。新興国経済は、ワクチン接種遅れによる経済活動制限の長期化や、半導体不足等を背景とするサプライチェーンの混乱等、景気低迷が継続しました。

こうした中、わが国経済は、度重なる緊急事態宣言による経済活動制限や、インバウンド需要低迷等により、景気停滞が継続しました。製造業及びサービス業の回復や、個人消費等も一時回復基調となったものの、限定的な改善に留まりました。

このような環境のもと、豊田通商グループの当連結会計年度の収益は、自動車生産関連の取り扱い及び自動車販売の増加等により、前連結会計年度を1兆7,187億円(27.2%)上回る8兆280億円となりました。

利益につきましては、営業活動に係る利益は販売費及び一般管理費、その他の費用の増加の一方で、売上総利益の増加により、前連結会計年度を811億円(38.1%)上回る2,941億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は営業活動に係る利益の増加に加え、金属本部における関連会社の持分除外益及び持分法投資損益の増加等により、前連結会計年度を876億円(65.1%)上回る2,222億円となりました。

事業本部別の概況

事業本部別当期利益(親会社所有者帰属)構成比

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

普通鋼、特殊鋼、建設鋼材、非鉄金属地金、貴金属地金、軽圧品、伸銅品、鉄くず、非鉄金属くず、合金鉄、銑鉄、使用済み自動車・部品、廃触媒、レアアース・レアメタル 他

インドでの使用済み車両の不法投棄削減と適正処理等を目的に、2019年10月に設立した使用済み車両の解体とリサイクルを行う合弁会社Maruti Suzuki Toyotsu India Private Limitedが、2021年11月に稼働を開始しました。同国におけるカーボンニュートラル及び循環型社会の実現に貢献していきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い増加及び市況の上昇に加え関連会社の持分除外益等により、前連結会計年度を504億円(223.7%)上回る729億円となりました。

使用済み車両の適正処理および解体・リサイクル

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

自動車用構成部品、物流事業、タイヤ組付事業 他

デジタル変革推進やカーボンニュートラル実現への貢献を目的に、2021年8月に立ち上げたオンラインプラットフォーム「Streams」(ストリームス)に、新機能として豊田通商グループのネットワークを通じてお客様のビジネスモデル開発を支援する「Streams Capital」を、2022年3月に搭載しました。お客様と共に、持続可能な社会を実現する事業開発を加速させていきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車部品の取り扱い増加等により、前連結会計年度を56億円(27.5%)上回る256億円となりました。

オンラインプラットフォーム「Streams」(ストリームス)

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

乗用車、商用車、二輪車、トラック、バス、産業車輛、車両部品、販売周辺事業(小・中規模生産、架装、中古車、販売金融等) 他

途上国等におけるワクチン輸送の改善による接種率向上を目的に、世界保健機関が定める医療機材品質認証を取得したワクチン保冷輸送車10台を、初めてガーナ共和国の保健省に2021年11月に納車しました。ワクチン保冷輸送車の供給事業を通じて、グローバルヘルスに貢献していきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、海外自動車販売会社の取扱台数増加等により、前連結会計年度を134億円(88.8%)上回る285億円となりました。

ワクチン保冷輸送車

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %減
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

自動車産業を中心とした製造・物流設備、部品・工具類、建設機械等、風力・太陽光、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業、天然ガス・石油製品・バイオ燃料、電力・空港・港湾等のインフラ事業 他

インドネシアの輸出力向上や物流コストの低減を目的に、同国の国営企業が暫定的に行ってきたパティンバン新国際港の自動車ターミナル運営事業を引き継ぎ、2021年12月より運営を開始しました。国際競争力のある港湾運営を図り、インドネシア経済の更なる発展に貢献していきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、持分法投資損益の増加及び子会社清算に伴う税金費用の減少の一方で、エネルギー事業における一過性損失等により、前連結会計年度を18億円(7.9%)下回る212億円となりました。

パティンバン新国際港の自動車ターミナル

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

自動車用構成部品、半導体・電子部品、モジュール製品、自動車用組込みソフト、ネットワーク構築・保守・運用・ヘルプデスク、情報通信機器、海外ITインフラ輸出、パソコン・周辺機器及び各種ソフトウェア、ITS(インテリジェント トランスポート システムズ)機器、合成樹脂、ゴム、電池・電子材料、精密無機化学品、油脂化学品、添加剤、医薬品及び医薬品原料 他

脱炭素社会移行への貢献を目的に、2021年11月、車載用リチウム電池の生産を行う合弁会社Toyota Battery Manufacturing, North Carolinaの設立に参画しました。同社の2025年の稼働開始に向けて準備を進めていきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業及び化学品事業における取り扱い増加等により、前連結会計年度を158億円(57.8%)上回る430億円となりました。

車載用リチウム電池(セル・電池モジュール)

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %減
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

飼料原料、穀物、加工食品、食品原料、農水畜産物、酒類、損害・生命保険、証券仲介、繊維製品、衣料、介護・医療関連用品、建築・住宅資材、オフィス家具、総合病院事業、ホテルレジデンス事業 他

必要な医薬品をタイムリーに病院・薬局へ届ける仕組みを構築することを目的に、インド医薬品卸のSKITES PHARMA Private Limitedに、2021年3月に出資しました。当期は、インドで運営するSAKRA WORLD HOSPITALの医薬品調達効率化を進めるとともに、病院側ニーズを把握する知見を生かし、同社を通じて日本の医薬品・サプリメントのインド市場への供給を開始しています。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、食料事業及びライフスタイル事業の取り扱い増加の一方で、食料事業における持分法投資損益の減少等により、前連結会計年度を28億円(33.6%)下回る54億円となりました。

倉庫内での医薬品ピッキング作業

当期利益(親会社所有者帰属)
前連結会計年度比 %増
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事業本部別
当期利益構成比
%
主な取扱品目及び事業

アフリカにおける、製造・販売・サービス(自動車、ヘルスケア、消費財・リテール事業等)、電力インフラ、農業、ICT 他

TOYOTA TSUSHO MANUFACTURING GHANA CO. LIMITEDは、自動車市場のニーズに合わせた現地生産を目的に、ガーナ共和国で日本企業初となる車両組立工場を新設し、トヨタ「ハイラックス」の組立生産を2021年6月に開始しました。また、スズキ株式会社の小型車「スイフト」の2022年内の生産開始に向けて準備を進めています。高品質なクルマづくりを推進し、同国の自動車産業・経済発展に貢献していきます。

当期利益(親会社の所有者に帰属)については、西アフリカ地域・南アフリカを中心とした自動車販売の増加等により、前連結会計年度を107億円(69.2%)上回る260億円となりました。

TOYOTA TSUSHO MANUFACTURING GHANA 「ハイラックス」の組立生産ライン

連結計算書類