第2号議案 当社株式の大量取得行為に関わる対応方針(買収防衛策)承認の件
当社は、2018年5月23日の第93期定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針(買収防衛策)」(以下、「現防衛策」といいます。)について、株主の皆さまのご承認をいただき導入しました。現防衛策の有効期間は、2021年5月26日に開催予定の当社定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。)終結時までであることから、当社では、経営方針の変更に伴う地域社会への影響、社会・経済情勢の変化、買収防衛策をめぐる種々の議論等を踏まえ、現防衛策の是非を含めその在り方について検討を進めてまいりました。その結果、2021年4月9日開催の当社取締役会において、本定時株主総会において株主の皆さまのご承認が得られることを条件に、現防衛策を継続することを決議しました。(以下、継続後の対応方針を「本件方針」といいます。)
当該取締役会には社外取締役4名を含む当社取締役7名全員が出席し、本件方針の内容および本定時株主総会への付議につき全員一致により決定しました。なお、現時点におきましては、大量株式取得者(以下に定義されます。)は現れていません。
今般、本定時株主総会に提案させていただく本件方針は、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株式等(注3)の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、このような買付行為を「大量株式取得」といい、大量株式取得を行いまたは行おうとする者を「大量株式取得者」といいます。)に関する対応方針であります。当社株式の大量取得にかかわる提案を受け入れるか否かは株主の皆さまの判断によるべきものですが、買収提案があった際に、株主の皆さまが、十分かつ正確な情報と十分な時間のもとにご判断いただけるよう、また、明らかに株主一般の利益を害すると判断される大量取得行為への対応策として、本件方針は、極めて重要な意義を有するものと考えております。
株主の皆さまにおかれましては、是非、本件方針の内容、その趣旨および重要性につきご理解賜り、今後も本件方針を継続していくことについてご賛同いただきますよう、お願い申し上げます。
本件方針の内容は下記のとおりであります。
1.会社の支配に関する基本方針
⑴ 基本方針の内容およびその実現に資する取り組み
当社およびグループ各社(以下、本項において「イオン」といいます。)は、お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献するという不変の理念を堅持しながら、「お客さま第一」の実践を通じて企業価値の向上を実現してまいりました。
グループの基軸となる小売業は平和であってこそ成り立つ平和産業であり、人間産業です。店舗には、日々多くのお客さまが来店され、対応する従業員や多くのお取引先の皆さまなど人と人とのつながりのなかで事業を行っています。また、小売業は、生活を支えるインフラ機能を有するとともに、暮らしに根ざし、お客さまをはじめとする地域の皆さまに支えていただくことで成り立つ地域産業です。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、世界各地で毎日の暮らしを根本から変え、個人の意識や生活は、大きく変化しました。健康への意識が高まるとともに、テレワークの浸透により、都市部から地方への人の移動が促進され、生活者や地域の価値が益々高まっています。くわえて、近年の気候変動による影響など、地球環境の様々な課題が以前にも増して拡大しています。お客さまや地域社会が企業に対して抱く期待や企業が果たすべき責任の重要性の高まりに応えるために、当社は、利益の追求のみならず、長期的、持続的な視点に立ち、社会全体の豊かさや幸福感の実現に貢献することがこれまで以上に求められています。
イオンは、企業による環境や社会貢献活動が日本において未だ本格化していないなか、時代の変化を見据え、1989年にお客さまからいただいた利益を地域社会の発展にお役立てする公益財団法人イオンワンパーセントクラブ、1990年に地球環境を守るため国内外で植樹活動を含めた環境活動等を行う公益財団法人イオン環境財団を設立し、お客さまとともに社会貢献活動に取り組んでまいりました。また、日本各地の自治体と協働し、特産品の拡販や防災・健康・福祉・環境保全の推進、イオンのインフラを活用した商業・観光の振興などの包括連携協定を現在125の自治体(1道、2府、41県、その他81市区町村)と締結しています。さらに、各地域で災害が発生した場合に地域の生活インフラとしての機能を果たせるように、防災協定を全国約700の自治体と締結しています。
当社は、小売業を中心に地域の皆さまと密接な関係を築き、営業収益は国内小売業No.1となる8兆円超、株主数は78万名になりました。また、国内外の上場子会社19社を含む315社のグループに成長し、グループの事業は小売業の他、小売業発ならではの柔軟で革新的なサービスを提供する銀行業、商業専業ディベロッパー、サービス等の多様な事業を、アジアを中心に14ケ国、約2万店舗で展開しています。
このような長期的な視点での地域や社会と共生する経営、広範かつ複合的な事業展開が、グループ全体の企業価値向上に資する一方で、経営方針の著しい変更は、グループへ与える影響が大きく、同時に地域社会への影響も懸念され慎重な対応が求められます。当社グループの経営にあたっては、多くのステークホルダーとの間に築かれた関係、財務資本のみならず、長年培った経営資源である人的資本、社会・関係資本、自然資本などの価値を十分にご理解いただきたいと考えております。
こうした観点から当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、その内容や企業価値の源泉を十分に理解し、企業価値ひいては株主の皆さまの共同の利益を維持、向上することを可能とする者であることが望まれます。
現在も金融商品取引法によって、濫用的な買収を規制する一定の対応はなされていますが、株主の皆さまへの十分な情報提供や検討期間の確保等の点で有効に機能しないことも考えられ、短期的な利益追求や企業価値を毀損しかねない大量株式取得行為に対する必要かつ相当な手段として本件方針を継続すべきであると考えております。
① 当社が目指す企業の在り方
イオンは、不変の基本理念を貫きながら、「絶えず革新し続ける企業集団」として、リスクを恐れず挑戦し自己変革を重ねてまいりました。イオンの規模、事業領域、展開国や地域が拡大するなか、イオンの基本理念や革新のDNAを基盤とした長期的な視野に立った経営を行うために、以下のコーポレートガバナンスにおける基本姿勢を堅持し、「お客さま第一」の実践に努め、企業価値の最大化を追求しています。
<コーポレートガバナンスにおける基本姿勢>
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1)お客さま基点、現場主義による価値創造
お客さまの幸福感の実現を最大の企業使命として、お客さまとの接点である現場主義を貫き、常にお客さま基点で考えることで、変化するお客さまのニーズに対応した最適な価値創造を追求します。 -
2)最大の経営資源である人間の尊重
人間こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、従業員を尊重し、多様性を重視し、教育機会を積極的に提供することで従業員が自己成長に努め、強い絆で結ばれ、お客さまへの貢献を至上の喜びとする従業員で構成された企業を目指します。 -
3)地域社会とともに発展する姿勢
地域社会の一員、心を持った企業市民として、同じ地域社会の参加者であるお客さま、従業員、株主、取引先とともに発展し、地域社会の豊かさ、自然環境の持続性、平和に貢献することを目指します。 -
4)長期的な視野と絶えざる革新に基づく持続的な成長
お客さま、地域社会の期待に応え続けるために、変化する経営環境に対応するための絶えざる革新に挑戦することで、長期的な視野に立った価値創造を伴う持続的な成長と、グループ全体の継続的な価値向上を志向する経営に努めます。 -
5)透明性があり、規律ある経営の追求
お客さま、ステークホルダーとの積極的な対話に努め、評価を真摯に受け止め、常に自らを律することで、透明性と規律がある経営を追求します。
② 成長戦略
イオンは、アジア各地でバリューチェーンの構築を進め、アジアトップクラスのスーパーリージョナルリテイラーへと成長してまいりました。2025年度に向けたイオングループ中期経営計画においては、持続可能な成長を可能にする事業基盤の構築に向け、グループ共通戦略として「5つの変革」(デジタルシフトの加速と進化、サプライチェーン発想での独自価値の創造、新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化、イオン生活圏の創造、アジアシフトの更なる加速)に取り組むことで、グループの事業構造を大きく変え、高い収益性を実現する企業グループへと変革を図ってまいります。
同時に、総合スーパーやスーパーマーケット等、小売業を中心に各事業が有機的に連携し、それぞれの地域・領域におけるNo.1企業の集合体を目指しています。
③ サステナブル経営
イオンは企業市民としての社会的責任を果たし、企業価値を継続的に高めるために、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」を両立するサステナブル経営を推進しています。「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、環境課題である「脱炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「資源循環の促進」や、社会課題である「社会の期待に応える商品・店舗づくり」「人権を尊重した公正な事業活動の実践」「コミュニティとの協働」を優先課題と位置付け、店舗における省エネ・創エネや廃棄物の削減、お客さまとともに行う植樹活動や買物袋持参運動、サプライチェーンにおける持続可能な調達、東北復興支援などの取り組みを進めています。また、公益財団法人イオンワンパーセントクラブによる次世代育成や諸外国との友好親善事業、公益財団法人イオン環境財団による植樹活動や環境活動助成事業など、多方面で環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
④ コーポレートガバナンス体制
当社は、世界水準の開かれた経営を目指し2003年の商法改正を機に、国内企業ではいち早く指名委員会等設置会社へ移行し、経営の監督と執行の機能を各々取締役と執行役に明確に分離するガバナンス体制を構築しました。取締役会においては、各界から広く社外取締役を招聘し、メンバー7名のうち過半数の4名を社外取締役とするとともに、指名・報酬・監査の各委員会の議長を全て社外取締役とすることで、より一層の透明性・公正性の維持・向上と株主利益向上に努めています。また、2008年には、グループマネジメント改革の一環として「グループの新たな成長モデルの構築」「事業構造の再構築」「集中と分権のさらなる強化」を実現するため、純粋持株会社へ移行するなど、継続的に企業価値向上を図る基盤づくりに努めています。2016年には、「コーポレートガバナンス基本方針」を定め、イオンの基本理念や革新のDNAを基盤とし、長期的な視野に立った経営を時代を超えて実践しています。
取締役会&3委員会の構成
※社外取締役4名全員は、東京証券取引所の定める独立役員の要件を満たしており、独立役員として同取引所に届け出ています。
コーポレートガバナンス ハイライト
⑵ 大量株式取得に関わる対応方針と大量株式取得に際して守るべきルール
当社の株式に対する買収提案がなされた場合、これを受け入れるか否かは、最終的には当社株主の皆さまの判断によるべきものと考えますが、株主の皆さまが当該買収による株主価値への影響を、法律等に定められた時間内で正確に且つ適切に判断されることが容易でない場合もあると想定されます。当社取締役会としましては、買収提案に対し、当社株主の皆さまが判断に必要とされる十分な情報と時間を確保できるよう、以下の内容による大量株式取得者による情報提供および当社による対抗措置の発動に関するルール(以下、「本件ルール」といいます。)を引き続き設定することとしました。
2.本件ルールの内容
当社取締役会が設定する本件ルールとは、①大量株式取得者は当社取締役会に対して大量株式取得に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ、大量株式取得者は大量株式取得を開始することができるというものです。
⑴ 意向表明書の提出
大量株式取得者が大量株式取得を行おうとする場合には、事前に、当社宛に、本件ルールに従う旨の意向表明書を日本語の書面により提出していただきます(注4)。当該意向表明書には、大量株式取得者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先(注5)、および提案する大量株式取得の概要(大量株式取得者が現に保有する株式数、取得予定の株式数を含みます。)を示していただきます。
⑵ 情報提供の要請
当社取締役会は、株主の皆さまの判断および当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下、「本必要情報」といいます。)を大量株式取得者から提供していただくため、上記⑴の意向表明書を受領した後5営業日(初日不算入)以内に、回答期限を定めて、当初提供いただくべき情報のリストを大量株式取得者に交付します。本必要情報の具体的内容は、大量株式取得者の属性または大量株式取得の内容によって異なりますが、原則として次の項目を含むものとします。
① 大量株式取得者に関する詳細な情報(大量株式取得者の全メンバーの資本構成、財務内容、事業内容、役員の氏名および略歴・他の会社役員兼務状況、当社の事業と同種の事業についての経験、他の会社の経営権もしくは事業の取得時に実施した営業上、経営上、労務上の施策等に関する情報を含みます。)
② 大量株式取得に至る経緯
③ 大量株式取得の目的および内容(取得対価の価額・種類、関連する取引の仕組み、取得方法の適法性等を含みます。)
④ 当社株式の取得対価の算定根拠(算定の前提となる事実・仮定条件、予想されるシナジーの額およびその算定根拠等を含みます。)
⑤ 当社株式の取得資金の詳細な説明(資金の調達方法、関連する取引の仕組み、資金を直接または間接に提供する者もしくは提供する予定の者の名称または氏名を含みます。)
⑥ 大量株式取得後において、当社および当社のグループ会社に期待し、または大量株式取得者において計画する経営方針(イオンの理念に対する態度表明を含みます。)、ガバナンス、経営戦略、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策、CSRへの取り組み方針等(以下、「買付後経営方針等」といいます。)
⑦ 当社およびグループ各社のお客さま、取引先、従業員、地域関係者およびその他のステークホルダーへの対応方針
⑧ その他大量株式取得の妥当性、適法性等を当社取締役会および独立委員会が評価・検討するために合理的に必要と判断する情報
当社取締役会は、当初提供していただいた情報を精査した結果、それだけでは不十分と認める場合には、合理的な範囲で、期限を定めて追加的に情報提供を求めます(ただし、最終回答期限は必要かつ十分な情報が提出されない場合においても、意向表明書を受領した日から起算して60日を超えないものとします。)。当社取締役会は、大量株式取得の提案があった事実については速やかに開示します。また、当社取締役会に提出された本必要情報について当社株主の皆さまの判断のために必要であると認める場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
当社取締役会は、本件ルールの透明・公平な運用のために、上記⑴の意向表明書を受領し次第、独立委員会を設置します。
独立委員会は、①当社の社外取締役全員(この中から互選により本委員会の議長を選任します。)および②当社の社外取締役によって意向表明書を受領後原則として10営業日(初日不算入)以内に推薦され取締役会により選任される専門家委員1名以上(原則として弁護士1名および大学教授等の社外の学識経験者1名。ただし、専門家委員選任前であっても、独立委員会としての活動は開始されるものとします。)によって構成されるものとします。
次項⑶に規定される取締役会評価期間が開始する前の独立委員会の主なミッションは、①大量株式取得者から受領した資料が本必要情報として十分なものであるかどうか、②大量株式取得者に対して追加提出を要請すべき資料の有無・項目および提出期限、③大量株式取得者の提出資料が不足しているなどの理由から、「大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合」に該当するかどうか、ならびに、新株予約権無償割当て等の対抗措置の内容・要否、その中止の要否、④その他取締役会から意見を求められた事項につき、その意見および理由を当社取締役会に対して提出することであります。
当社取締役会は、これらの資料提出状況等を自らも十分に評価・検討するとともに、独立委員会の意見を最大限尊重して、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、決定します。当社取締役会は、この意見とりまとめにあたっては、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受けることができるものとします。また、当社株主の皆さまの判断のために必要であると認める場合には、適切と判断する時点でその間の状況、決定の内容および理由等の全部または、一部を開示します。
⑶ 取締役会による検討期間
大量株式取得者は、上記⑵に従った大量株式取得者による当社取締役会に対する本必要情報の提出の完了後、大量株式取得の提案が以下のものに該当する場合には90日間、それ以外の場合には60日間(初日不算入。以下、「取締役会評価期間」といいます。)は、大量株式取得を開始することはできません。
① 大量株式取得の対価に株式など、金員以外のものが含まれる場合。
② 大量株式取得の対価の支払いが日本円以外の金員により行われる場合。
③ 大量株式取得後において、大量株式取得者において計画する経営方針にグループ会社構成・事業構成に関する大幅な変更が含まれている場合。
当社取締役会は、取締役会評価期間中、まず独立委員会による大量株式取得の評価を求めます。当該独立委員会は、本必要情報の提出を受け、①当該大量株式取得が当社株主全体の利益を損なうかどうかの評価、②大量株式取得者に対して追加提出を求める情報の有無、項目および提出期限、③新株予約権無償割当て等の対抗措置の内容・要否、その中止の要否、④その他取締役会から意見を求められた事項につき、本必要情報をはじめとする資料等に基づき総合的に評価・判断し、その意見および理由を当社取締役会に対して提出することとします。
当社取締役会は、提出された本必要情報を自らも十分に評価・検討するとともに、独立委員会の意見を最大限尊重して、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。当社取締役会は、この意見とりまとめにあたっては、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受けるものとします。また、必要に応じ、大量株式取得者との間で大量株式取得に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として当社株主の皆さまに対し代替案を提示することもあります。そして、取締役会評価期間の開始について速やかに開示するとともに、当社株主の皆さまの判断のために必要であると認める場合には、適切と判断する時点で、その間の状況、決定の内容および理由等の全部または一部を開示します。
3.大量株式取得が行われた場合の対応方針
⑴ 大量株式取得者が本件ルールを遵守した場合
大量株式取得者が本件ルールを遵守した場合には、原則として当該大量株式取得に対する対抗措置はとりません。上記2.⑶に記載のとおり、取締役会は、提出された本必要情報を十分に評価・検討し、当該買付提案の評価、代替案の有無・内容等についての独立委員会の意見を最大限尊重して、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。この場合には、大量株式取得者の買付提案に応じるか否かは、当社株主の皆さまにおいて、当該買付提案および当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。
ただし、取締役会が当該大量株式取得が当社株主全体の利益を著しく損なうもの(注6)と評価した場合、または独立委員会において当該大量株式取得が当社株主全体の利益を著しく損なうものと評価された場合には当該評価を最大限尊重した上で、当社取締役会は、取締役としての善管注意義務に従い、当社株主の皆さまの利益を守るために適切と考える方策をとることがあります(注7)。
なお、この場合の対抗措置については、次項⑵に準じる内容・手続となります。
⑵ 大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合
大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社および当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款により認められる対抗措置をとり、当該大量株式取得に対抗する場合があります。具体的にいかなる手段を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択することとします。具体的対抗措置として、現状では、その実施が相当と認められる限り、原則として、株主割当てにより別紙3に記載のような新株予約権を無償発行することを考えていますが、これに限定するものではありません。なお、実際に新株予約権を発行する場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件とするなど、対抗措置としての効果を勘案した行使条件および行使期間を設けることがあります。また、当社は、機動的に新株予約権の発行を行うことができるように、引き続き新株予約権の発行登録を行います。
次に、株主共同の利益が害されるおそれが大きいと判断される場合に、大量株式取得者の権利行使が制限される行使条件差別型新株予約権を発行するときは、新株予約権は、会社による取得条項付とさせていただきます。会社による取得条項が付されていない新株予約権の行使に際しては、新株予約権者となった株主の皆さまに行使価額の払込み等の手続をとっていただくことになり、約78万人(2021年2月28日現在)の株主の皆さまにとって、大変わずらわしいことになります。つきましては、そのようなお手数をお掛けしなくても済むように、当社取締役会決議により大量株式取得者以外の株主の皆さまの新株予約権を取得しその対価として新株を株主の皆さまにお届けすることができるようにするものであります。
なお、かかる方策の内容・採否は、取締役としての善管注意義務に従い取締役会が決定すべき事項であると考えますので、原則として当社取締役会が決定・実施してまいります。ただし、例外的には、その内容・効果等に鑑みて株主の皆さまのご判断を仰ぐべきであるとして、当社株主総会においてその採否をご決議いただくことがあります。その場合にも、基本的には取締役会の責任事項であると考えますので、株主総会において十分なご説明を申し上げたいと存じます。
⑶ 新株予約権の無償割当て決議後の中止等
当社取締役会が新株予約権の無償割当ての決議を行った後に、大量株式取得者が大量株式取得の撤回または変更を行った場合等、当社取締役会において対抗措置の発動が適切でないと判断するに至った場合には、当社取締役会は、新株予約権の無償割当ての中止を行うことができるものとします。ただし、原則として、本新株予約権の無償割当ての「割当基準日(以下の5.⑵において定義します。)」の3営業日前(証券取引所における現行の3日目決済を前提としており、これが変更されればそれにスライドして変更されます。以下同じとします。)以降の中止は行わず、3営業日前の日以後に対抗措置を中止すべき事情が発生したと当社取締役会が判断した場合には、実質的に中止と同様の効果を持たせるために、原則として大量株式取得者を含む全株主の新株予約権を当社が当社株式と交換に取得するものとします(注8)。また、その他の対抗措置についても、当社取締役会は適宜同様の中止や見直しをすることができるものとします。
4.透明性・公平性の確保のための措置
本件ルールにおきましては、次のような透明性・公平性の確保のための措置を講じています。
⑴ 買収防衛策に関する企業価値研究会等の指針の要件を充足していること
本件方針は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則「①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性確保の原則」を充足しています。
また、本件方針は、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境を踏まえた買収防衛策の在り方」その他の買収防衛策に関する議論等を踏まえた内容となっています。
さらに、本件方針は、東京証券取引所の定める買収防衛策に関する諸原則等の趣旨に合致するものであります。
⑵ 株主意思を重視するものであること
今般の本件ルールの効力発生のためには、本定時株主総会において株主の皆さまにご承認いただくことを条件としており、また、ご承認いただいた後も、法令改正等に伴う形式的な変更が必要となった場合を除き、当社株主の皆さまに実質的に影響を与えるような変更を行う場合には、改めて株主総会に付議し株主の皆さまのご判断を仰ぐこととしています。そのような変更を行わない場合も、有効期間は3年間に限定することとしており、本件ルールの改廃および継続には、株主の皆さまの意思が十分反映される仕組みとなっています。
⑶ 当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本件ルールは、上記1.および2.⑶に記載のとおり、当社の株式に対する買収提案がなされた場合に、これに応じるべきか否かを株主の皆さまが判断されるために必要とされる十分な情報と時間を確保し、また、当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保すること等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるもので、この目的以外の目的、すなわち、当社経営陣の保身等のために利用されることはありません。
⑷ 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
当社は、企業統治体制として指名委員会等設置会社を選択しており、平素より、経営の透明性・公正性の確保に努めています。加えて、当社は、大量株式取得者から提出された資料が十分なものか否かや、大量株式取得への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断および対応の客観性および合理性を確保することを目的として、独立委員会を設置します。独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社社外取締役全員とその推薦に基づき当社取締役会が都度選任する専門家委員1名以上(原則として弁護士1名および大学教授等の社外の学識経験者1名)によって構成され、かつ、その意見の形成にあたってはさらに適宜の専門家の意見を当社の費用により聴取することができることとしています。
また、当社取締役会は、意見とりまとめにあたっては、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受けるものとしています。
情報開示については、株主の皆さまのご判断にとってミスリーディングとなる情報を除き、早期開示に努めてまいります。また、当社取締役会の意見の公表に際しては、判断理由を含めて、できるだけ具体的にご説明するように努めてまいります。
これらにより、当社取締役会の決定が当社の企業価値・株主共同の利益に資するものとなるよう本件ルールの透明な運営が行われる仕組みを確保しています。
⑸ 大量株式取得者以外の株主・投資家に不測の損害を与えるものではないこと
本件ルールが遵守されなかった場合に対抗措置として発行される新株予約権については、大量株式取得者だけが行使を制限される行使条件差別型を原則として想定しており、これ以外の対抗措置を採用する場合にも、大量株式取得者以外の株主・投資家に不測の損害を与えないものを選択します。
また、この新株予約権についても、会社による取得条項付として、大量株式取得者以外の株主の皆さまにできるだけお手数をお掛けしないようにすることとしています。
その他、本件方針の廃止につき特段の制約を設けていませんので、本件方針は、取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策には該当しません。また、当社取締役の任期は全員が1年であり、本件方針は、取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策にも該当しません。
5.株主・投資家に与える影響等
⑴ 本件ルールが株主・投資家に与える影響等
本件ルールは、当社株主の皆さまが大量株式取得に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を当社株主の皆さまに開示し、さらには、当社株主の皆さまが代替案の提示を受ける機会を確保することを目的としています。これにより、当社株主の皆さまは、適切な情報のもとで大量株式取得に応じるか否かについての適切な判断をすることが可能となり、そのことが当社株主全体の利益の保護につながるものと考えます。
なお、上記3.において述べたとおり、大量株式取得者が本件ルールを遵守するか否かにより大量株式取得に対する当社の対応方針が異なりますので、当社株主および投資家の皆さまにおかれましては、大量株式取得者の動向にご注意ください。
⑵ 対抗措置発動時に株主・投資家に与える影響等
大量株式取得者が本件ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社および当社株主全体の利益を守ることを目的として、会社法その他の法律および当社定款により認められる対抗措置をとることがありますが、当該対抗措置の仕組上、当社株主の皆さま(本件ルールに違反した大量株式取得者を除きます。)が法的権利または経済的側面において格別の損失を被るような事態が生じることは想定していません。当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令および証券取引所規則に従って適時適切な開示を行います。
なお、対抗措置として考えられるもののうち、新株予約権の発行につきましては、新株予約権は、原則として会社による取得条項付とさせていただきます。会社による取得条項が付されていない新株予約権の行使に際して必要となる行使価額の払込手続のようなお手数をお掛けしなくても済むようにするために、当社取締役会決議により新株予約権を取得しその対価として新株を株主の皆さまにお届けすることができるようにするものであります。かかる手続の詳細につきましては、実際に新株予約権を発行することとなった際に、法令に基づき別途お知らせします。この場合において、新株予約権を取得するためには、振替株式の株主は、別途当社取締役会が決定し公告する新株予約権の割当対象となる株主の確定基準日(以下、「割当基準日」といいます。)における当社の最終の株主名簿に株主として記録されるよう、当該割当基準日における証券会社等の口座に当社普通株式が記録されている必要があり、また、特別口座の失念株主は失念救済手続が完了されている必要があります。
6.本件ルールの適用開始と有効期限
定期的に対応方針の見直しをするために、本件方針の有効期間を3年間(本年3月1日から起算して3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに係る定時株主総会の終結時まで)としています。
今後につきましては、会社法を含めた関係法令や今後の司法判断の動向、東京証券取引所が定める上場制度の整備等を踏まえ、上記対応方針のうち法令改正等に伴う形式的な変更が必要となった場合には随時取締役会にて見直しを行い、その内容を速やかにお知らせします。当社取締役会において本件方針の廃止を相当と判断した場合は、取締役会決議によって廃止しその旨および理由を開示することとしますが、本件方針の内容について当社株主の皆さまに実質的に影響を与えるような変更を行う場合には、改めて株主総会に付議し株主の皆さまのご判断を仰ぐこととします。なお、当社の取締役の任期は1年であり、毎年、定時株主総会において改選されます。
また、現防衛策は、本定時株主総会における本件方針の承認を求める議案の決議時点で廃止されるものとします。ただし、当該時点において大量株式取得者が登場しており、現防衛策に基づく意向表明書の提出、情報の提供等の手続が開始されている場合、本定時株主総会における本件方針承認後には本件方針に基づく手続として引き継ぐこととします。
各株式等保有割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)および発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書および自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
別紙1
(参考)本件方針に係る手続・判断の流れ
別紙2
独立委員会の概要および委員候補者
1.独立委員会の概要
独立委員会は、当社取締役会により設置・廃止される。
独立委員会の議長は、当社の社外取締役の中から互選により選任する。
独立委員会は、当社取締役会が大量株式取得者から提出を受けた本必要情報の交付を受け、原則として下記に規定する事項につき、当社取締役会の諮問に基づき評価・検討・審議を行い、その内容および結果を当社取締役会に対して提出するものとする。
2.独立委員会の委員候補者
独立委員会は臨時に設置されるものであり、また、一部の委員については設置に際して選任されることとしています。
なお、社外取締役全員が独立委員会委員となりますので、第1号議案をご承認いただくことを条件として、独立委員会委員になる社外取締役は、第1号議案に記載のとおりであります。
別紙3
新株予約権概要
1.新株予約権付与の対象となる株主およびその発行条件
当社取締役会で定める割当基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有する当社普通株式(ただし、当社の保有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割り当てる。
2.新株予約権の目的となる株式の種類および数
新株予約権の目的となる株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権の目的となる株式の総数は、12億株を上限とする。新株予約権1個当たりの目的となる株式の数は当社取締役会が別途定める数(以下、「対象株式数」という。)とする。ただし、当社が株式分割または株式併合等を行う場合は、所要の調整を行うものとする。
3.発行する新株予約権の総数
新株予約権の割当総数は、当社取締役会が別途定める数とする。
4.新株予約権の発行価額
無償とする。
5.各新株予約権の行使に際して出資される財産の内容および価額
各新株予約権の行使に際して出資される財産の内容および価額は1円以上で当社取締役会が定める額の金銭とする。
6.新株予約権の譲渡制限
新株予約権の譲渡については、当社取締役会の承認を要する。
7.新株予約権の行使条件
議決権割合が20%以上となる特定株主グループに属する者(以下、「大量株式取得者」という。)に行使を認めないこと等を行使の条件として定めることがある。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとする。
8.当社による新株予約権の取得
9.新株予約権証券の不発行
新株予約権証券は発行しないものとする。
10.新株予約権 の行使期間
新株予約権の行使期間については、当社取締役会が別途定めるものとする。
11.新株予約権の消滅事由等
新株予約権の消滅事由その他必要な事項については、当社取締役会が別途定めるものとする。