事業報告(2022年3月1日から2023年2月28日まで)

1.企業集団の事業の概要

当社を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の行動制限緩和により、国内の社会経済活動に回復の兆しが見え始めた一方で、世界的なエネルギー・原材料価格の高騰や円安などにより消費者の生活防衛意識が高まるなど、不透明な状況が続きました。このような中、GMS(総合スーパー)事業は収益構造改革をさらに進め大幅な損益改善を図り黒字化したほか、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業は店舗の活性化やデジタルシフトに取り組むことで内食特需の反動の影響を抑制しました。また、ディベロッパー事業、ヘルス&ウエルネス事業、サービス・専門店事業、国際事業は変化する環境に迅速に対応し増益となりました。加えて総合金融事業は各事業のセグメントの中で最大の営業利益を計上しました。その結果、当社ならびに連結子会社301社の連結営業収益は9兆1,168億円、営業利益2,097億円、持分法適用会社27社を加えた経常利益は2,036億円、親会社株主に帰属する当期純利益は213億円と大幅な増益となりました。

【グループ共通戦略】

生活必需品の値上げが続き家計への負担が増していく中、お客さまのくらしに寄り添い、より良い品質・お値打ち価格で商品を提供し続けるため、トップバリュの食品・日用品約5,000品目中、ほとんどの商品の価格据え置きを実施しました。同時にコロナ下におけるお客さまの行動変容や新たなニーズに対応した、付加価値型商品の開発も拡大することで売上が伸長しました。今後もグループのスケールメリットと独自のサプライチェーンの機能を最大限活用し価値ある商品の提供に努めるとともに、多様なニーズにお応えする商品開発を強化してまいります。

イオンの電子マネーWAONは、2022年4月に15周年を迎え年間利用金額が2兆円を超え、ご利用金額の一部が地域社会への貢献につながる「ご当地WAON」の累計寄付金額は約26億円になりました。

新たな成長分野への取り組みでは、2022年9月にイオン九州株式会社およびウエルシアホールディングス株式会社が、両社の事業を発展的に融合して新業態の開発と運営を行うことを目的に、イオンウエルシア九州株式会社を設立しました。地域の皆さまの健康に寄り添い「well-being(ウェルビーイング)」を実現する新たなビジネスモデルの構築を進めてまいります。

また、急速に高まるデジタル事業の強化に向けAIとロボットを駆使した最先端CFC(顧客フルフィルメントセンター)の建設を千葉市内で進めており、2023年度中にオンラインマーケットを稼働する予定です。さらに2つめのCFCも東京都八王子市に2026年稼働予定で準備を進めています。

今後も既存の事業モデルの革新を図り、新たな成長モデルを確立するとともに収益性を高め、生み出した経営資源を成長領域へ集中的に投下することで、更なる成長を実現してまいります。

■連結営業成績および財産の状況の推移
■事業の種類別セグメントの状況

(1)各事業の成果

小売・サービス

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  • ・GMS事業では、イオンリテール株式会社が営業総利益を最大化する営業・商品戦略を全社一丸となって実行し、ネットスーパーをはじめとする成長領域の拡大と荒利益率の向上に注力しました。衣料・住居余暇を中心に、季節商品の早期展開・売り切り等の時期の見直しやVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)拡大で抜本的な売り方の改善を図り、食品・H&BCでは成長領域であるデリカ・フローズン・調剤の取り組みを強化しました。同時に、収益構造改革としてコストの見直しやバックオフィス改革を加速させ、後方人時の削減とネットスーパー等の規模拡大、品揃えの強化への取り組みを推進しました。さらに、AIやRPAを活用した効率の改善を進め、営業利益は黒字に転換しました。
  • ・SM事業では、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社が、店舗の活性化やお客さまの利便性向上への取り組み、フルセルフレジの導入や「Scan&Go ignica」の展開拡大等を図りました。また、米国の植物由来代替肉製造企業と独占販売契約を締結したほか、完全室内栽培を実現した植物工場を本格稼働しました。株式会社フジでは、2022年3月にマックスバリュ西日本株式会社と経営統合し、お客さま視点で最新ニーズへの対応に注力するなど、地域とお客さまのくらしに密着した活動を深めるとともに、2024年3月の合併による統合新会社設立を見据え、シナジー創出に向けた取り組みを推進しています。マックスバリュ東海株式会社は、地域との連携を通じた健康な食生活の提案に努めました。また、小分け商品の品揃えやデリカ商品の品揃え強化、冷凍商品の展開拡大に取り組むなどお客さまニーズにお応えするとともに、セルフレジの導入を進め生産性の向上に努めました。
  • ・DS事業では、イオンビッグ株式会社がグループ内再編による統合後の商品政策、売価政策の共通化を推進し、本社業務の間接コストの削減や店舗営業力の強化に取り組みました。
  • ・ヘルス&ウエルネス事業では、ウエルシアホールディングス株式会社および同社連結子会社が、コロナ下での感染症対策として各自治体のPCR等検査無料化事業に取り組みました。医薬品部門の関連商品が好調に推移したほか、処方箋受付枚数が前期より伸長しました。燃料単価の高騰により水道光熱費が大きく増加したものの、調光機能を活用した節電や店舗人時数の適正化に向けた継続的な取り組みや自働発注などの店舗業務の効率化を進め経費削減に努めました。さらに子会社統合を行うなど事業の効率化や、M&Aによる地域拡大・ドミナント化を進めました。
  • ・サービス・専門店事業では、イオンディライト株式会社が、照明のLED化や空調機の更新、ノンフロンケースの販売などを通じて省エネに貢献したほか、使用電力を可視化するツールを開発しました。また、IoTなどの技術を活用し、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」を展開し、点検業務を自動化するための設備投資やカスタマーサポートセンターへの一部業務の集約などを進めました。株式会社イオンファンタジーでは、国内事業が堅調に推移したほか、海外ではマレーシア、フィリピン、ベトナムが好調に推移しました。また株式会社キャンドゥは、当社グループとの協業によるシナジー最大化に向け「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」に取り組みました。株式会社コックスでは、「ブランド力強化・MD改革による荒利率の改善」「EC運営改善・DtoC強化によるEC売上の拡大」「売り方改革・売場改革による店舗売上の回復」に向けた施策が奏功し、黒字化を果たしました。

金融

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  • ・総合金融事業では、グループ共通ポイントを活用した利便性の向上、モバイルサービスの拡充、新規事業の創出など中長期的な成長に向けた投資および基盤整備を進めました。イオンカードではカードデザインを刷新し、Webや店頭で入会キャンペーンを実施する等、会員獲得を強化しました。またコード決済サービス「AEON Pay」をイオンカード公式アプリ「イオンウォレット」に機能追加するとともに、外部加盟店を拡大し利便性向上に努めました。海外では、カードショッピングや個人ローン、個品割賦取扱高が順調に回復しました。さらに、マレーシアで初となるデジタルバンクライセンスを取得しました。

ディベロッパー

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  • ・ディベロッパー事業では、イオンモール株式会社が、国内では新たに2モールをオープン、既存12モールをリニューアルしました。同社は「CX(カスタマー・エクスペリエンス)の創造によるリアルモールの魅力の最大化」を掲げ、集客力の向上に取り組んでいます。また、再生可能エネルギーの活用、フードロス削減など社会課題解決に向けた取り組みを進めています。このような取り組みや人流の活発化を捉えた集客施策などにより、国内における既存モール専門店の売上高は対前年比110.0%と伸長しました。また海外では、成長著しいベトナムで、新たにショッピングモール開発に関する投資決定についての包括的覚書を締結するなど出店強化に向けた取り組みを推進しました。

国際

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  • ・マレーシアでは、各モールで継続的に様々なイベントを開催したことによりテナント売上が回復基調を保つとともに、GMSにおいても、衣料、住居余暇を中心に全ラインで売上が回復しました。また、高度に自動化された物流システムやAIを活用した高い顧客提案力を有する米国のECプラットフォームを活用したネットスーパーは登録者数が伸長しました。また、ベトナムでは、外出機会の拡大により、テナント売上が回復したほか、GMS、SMにおいても売上が大きく伸長しました。加えてDX推進による業務効率化と経費削減に取り組み、大幅増益となりました。中国においては展開を強化しネットスーパーの食品売上は日本を上回る構成比となりました。
●営業収益 構成比
●営業利益(百万円)

(2)環境・社会への取り組み

「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指す「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、事業活動を通じて様々な環境・社会課題の解決に取り組んでいます。

【脱炭素社会の実現】

イオンは、2030年までに国内での店舗使用電力の50%を再生可能エネルギーに切り替える目標を掲げています。再エネ100%の店舗・事業所は、2022年度に7店舗増え、全国20カ所となりました。

また、オフサイトPPAによる再エネ調達の取り組み「イオンモール まちの発電所」を2022年9月から開始、約740カ所の太陽光発電所から、自己託送方式でイオンモールに電力供給しています。イオンモール豊川(愛知県)では、商業施設として国内最大級の発電容量(1,300kW)の大型カーポートソーラーパネルを設置。駐車場を活用した再エネ調達手段として、このモデルを導入拡大する計画です。今後も様々なリソースを活用し、脱炭素化に向けた取り組みを加速してまいります。

【資源循環の促進】

使い捨てプラスチックの削減に向けて、容器包装資材の削減や、環境配慮型の素材への転換、店舗を拠点とした資源循環モデルの構築を進めています。

日用品や食品の容器を耐久性の高いものに変えて繰り返し利用する「Loop(ループ)」は、取り扱い店舗を100店舗まで拡大しました。地域での資源循環の促進を目指し、自治体と連携した取り組みも進めています。

今後もお客さま、自治体、サプライヤーの皆さまとともに循環型社会の実現を目指してまいります。

【次世代育成・支援】

地域のこども食堂の活動を応援するため、「イオン こども食堂応援団」プロジェクトの一環として、2022年度 冬に「全国こども食堂応援募金」を実施、約4,199万円を認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付しました。

2022年度はプロジェクトの深化を目指し、地域の子ども支援を行う団体や企業の皆さまと連携し、情報発信や意見交換、フードドライブ等の場を設ける試みを開始。すべての子どもたちが健やかに成長できる未来を目指し、活動を推進してまいります。

■イオンの森づくり

「自然の恵みを失うことは、豊かさの根源を失うこと」と危機感を抱き、植樹を通じて環境問題の解決に取り組むという想いのもと、1991年より植樹活動を継続して行っています。店舗の敷地内に、地域に自生する樹木を植樹する「イオン ふるさとの森づくり」や、公益財団法人イオン環境財団と連携のもと、伐採や自然災害等で荒廃した森林の再生に向けた植樹など、日本および世界各地のお客さまとともに進めてきた植樹活動は、植樹本数が累計約1,255万本となりました。

年数を経たイオンの森は、多くの地域固有の動植物が生息する自然豊かな森へ成長しています。こうしたイオンの森の生態系機能や生物多様性価値を、お客さまや従業員とともに学び、測定する「いきもの調査」を実施しており、2022年は全国70店舗のイオンの森で、在来種や希少種を含む、鳥、昆虫、植物など1,100種以上の生き物を観測しました。

また、2020年より、イオンの森づくりをさらに進化させ、持続可能な地域の実現に向けて自治体や行政、大学、国際機関等と協働した「イオンの里山づくり」に取り組んでいます。「綾町イオンの森(宮崎県)」や「南島原イオンの里山(長崎県)」など、生物多様性の保全に加え、各地の伝統文化、地形、産業、歴史を考慮し、人と自然が共生する新たな里山を目指しています。

イオンは、自然豊かな森・地域を次代につなぐため、これからも、お客さま、地域の皆さまとともに木を植え、育てていきます。

■次世代育成(イオン チアーズクラブ)

公益財団法人イオンワンパーセントクラブでは、1996年より、自然や環境などに興味を持ち、考える力を育む場として、小学生を中心に、全国のイオンを拠点として395クラブが体験学習を行っています。

2022年は、新たにウエルシア薬局22店舗と協力し、イオン チアーズクラブ「ウエルシアつくば」が活動を開始しました。農場での稲刈りやニンジン収穫、食料に含まれる栄養の学習、薬剤師体験などを通じて、子どもたちが楽しみながら環境や社会について学ぶ様々な活動を今後も展開してまいります。

■ウクライナの子どもたちへの支援

イオンは、平和の追求を基本理念とし、あらゆる戦争に反対します。突然の争いに巻き込まれ慣れない避難生活を余儀なくされている子どもたちを支援するため、2022年3月8日から4月30日まで、「イオン ウクライナ子ども救援募金」を実施しました。お客さまからお寄せいただいた募金約4億6,665万円に、当社およびイオングループ各社が寄付を行っている公益財団法人イオンワンパーセントクラブからの寄付金を加えた合計約9億3,331万円を公益財団法人日本ユニセフ協会に贈呈しました。避難場所や物資の提供にとどまらず、教育支援や心のケアなど、ウクライナの子どもたちのための支援を行いました。

■イオンの基本理念を具現化する公益財団法人

事業活動を通じた取り組みに加えて、「公益財団法人イオンワンパーセントクラブ」「公益財団法人イオン環境財団」と連携し、環境・社会貢献活動を推進しています。

誰もが活き活きと働く、働きがいのある会社を目指しています。

【ダイバーシティの推進】

ダイバーシティ&インクルージョンの推進を経営戦略の一つとして捉え、多様な人材が能力を十分に活かし、革新し続ける組織の実現を目指しています。活躍する女性管理職のリーダーとしての成長、次期・次世代管理職候補者の育成推進を目的とする研修には387名が参加し、グループ各社の従業員の交流を深め、切磋琢磨する仲間との出会いを通じた動機付けの機会といたしました。グループ会社の経営幹部・管理職730名が参加したオンライン研修を通じて、多様性と心理的安全性が尊重された組織を堅持し、求められるマネジメントスタイルの改革を推進しました。また、「仕事と育児の両立支援」のオンライン研修に男性育休促進の要素を取り入れ、女性社員に限らず育児中の男性社員、上司、人事担当者等約500名が参加し、グループ企業の好事例紹介等を通じ、意識改革の一助となりました。「障がい者活躍研修」は毎月開催し、様々な障がいを知り、採用・雇用上の留意点を理解することで、違いを認めて、活かしあうという風土を醸成しています。グループ各社のベストプラクティスを共有し、表彰するアワードでは、女性、障がい者、LGBTQの方の活躍推進から、世代の多様性、自らを多様化させるチャレンジなど、多様性が生み出す新たな価値創造につながる取り組みが紹介されました。

【健康経営への取り組み】

イオンは、グループとして社員の健康づくりが企業活動の要であり、社員が健康であってこそ地域のお客さまの健康と幸せの実現に貢献できるという考えのもと、従業員とその家族の健康増進に取り組んでいます。受動喫煙対策・卒煙の取り組みとしてグループ国内115社で従業員の就業時間内禁煙・敷地内の禁煙を実施、生活習慣改善に向けた特定保健指導実施率向上や健康チャレンジキャンペーン、女性の健康に対する学習など、心と身体の健康づくりと安全安心で活力ある職場づくりに取り組んでいます。こうした取り組みが評価され「健康経営優良法人2023(ホワイト500)」に認定されました。健康経営優良法人は、グループ50社が取得しています。

(3)コーポレート・ガバナンス

【コーポレート・ガバナンス改革の歩み】

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当社は、企業価値を継続的に高める基盤づくりとして、「コーポレート・ガバナンス」の改革に継続的に取り組んでいます。2003年には、取締役会の経営の監督機能と業務執行機能を分離する「委員会等設置会社(現:指名委員会等設置会社)」に移行しました。また、当社では取締役の過半数を社外取締役とし、「指名」「報酬」「監査」の各委員会の議長をすべて社外取締役とすることで、経営の透明性と公平性を一層高めています。2016年にはグループの企業経営と企業統治に関する基本姿勢などを示した「コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、企業活動の指針としています。今後も、最適な企業統治体制を目指して改革してまいります。

♦コーポレート・ガバナンス ハイライト
取締役会&3委員会の構成

※社外取締役4名全員は、東京証券取引所の定める独立役員の要件を満たしており、独立役員として同取引所に届け出ています。

【各機関の主な役割と開催状況】
【取締役会の活動報告】

取締役会では、会社の持続的な成長と企業価値の向上にむけて、長期的な視点のもと、活発な議論を行っています。取締役会を補完するものとして、独立社外取締役が参加する政策審議ミーティングを実施し、2025年度までの中期経営計画の進捗状況や経営上の課題を中心に議論を重ねてまいりました。さらに独立社外取締役のみが参加する討議を実施し、取締役会の場においてグループガバナンスのあり方や取締役会の実効性向上に資する意見や提言を執行側に示しています。取締役会の場に限らずグループ全体の企業価値向上を目指して充実した議論がなされており、当社の持続的な成長を促す監督機能が実質的に機能していることを確認しております。今後もコーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めてまいります。

2.企業集団の対処すべき課題

「中期経営計画(2021~2025年度)」の始動から約2年が経過し、当初の予想を超えた物価の高騰や地政学リスクの高まりなど、世界規模で未曾有の環境変化が生じています。イオンは、激動の環境下でこそ、社会の変化を先取りした新たな商品・サービスを創出し、地域社会に貢献し続けることが存在価値であると考えています。

新たな価値創造に向けたグループ共通戦略として、「デジタル」「商品」「ヘルス&ウエルネス」「地域」「アジア」という5つの柱に沿った変革に加えて、急速に重要性が高まる「環境・グリーン」の取り組みをグループ各社で加速・進化させています。

<中期経営計画におけるグループ共通戦略>

デジタルシフトの加速と進化

リアルとデジタルが融合したOMO(Online Merges with offline)の実現に向けて、リアルをベースに構築してきた事業基盤を、デジタル起点に変革するため、イオングループが一体となってデジタルシフトに取り組んでいます。

お客さまとデジタルでつながるための共通基盤となるトータルアプリ「iAEON」の利便性向上や、店舗アセットを活用したネットスーパーの推進に加えて、2023年にはイオンネクスト株式会社が、AIやロボティクスを導入した最先端CFC(顧客フルフィルメントセンター)の稼働を計画しています。リアルとデジタルそれぞれの強みを活かし、いつでもどこでも欲しい商品やサービスを受けられるイオンOMOを構築してまいります。

サプライチェーン発想での独自価値の創造

商品の取り組みでは、お客さまの行動変容や新たなニーズに対応する、マーケットイン発想での商品開発を生産者さま、製造委託先さまらと一緒に進め、約2,500品目の新商品発売、商品リニューアルをして参ります。また、単身者、MZ世代をターゲットとした「スモールマス」への対応も行い、トップバリュの新たなファン獲得に努めて参ります。PB商品は、お客さまとの接点である“売場”をもつ我々にとって、お客さまの声を直接商品に反映するという、小売ならではの強みを発揮出来る領域と考えています。今後はこれまで手掛けていない新たなカテゴリーや、イオン独自の価値を付加した商品開発を強化し、トップバリュを「さあ、ワクワクするほうへ!」をコンセプトとする、毎日のくらしに新しいアイデアとワクワクをお届けするブランドへと進化させてまいります。

新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化

今後のグループの持続的成長に向けて「ヘルス&ウエルネス」は総力を挙げて注力すべき領域と認識しています。単なる「身体」の健康だけではなく、「精神的な充実」や「地域社会とのつながり」など、3つの側面を含めた相乗積とした価値の提供を目指してまいります。

その実現に向け、ドラッグストア業態の事業拡大に加え、グループシナジーを最大限活用することで、ウエルネスを軸に各事業の業容拡大を進めてまいります。

イオン生活圏の創造

各地域の生活圏を構成する重要な要素として、イオンの商業施設があり、日々のお買い物に加え、クリニックやジムなど健康に関するサービスを取り入れ、更には地域のコミュニティ施設の展開を強化しています。

今後も地域の魅力向上に資する施設開発を推進するとともに、事業を通じた地域経済の活性化、地方都市の抱える社会課題の解決、地球環境の改善の一翼を担うなど、地域の豊かさにつながる「生活圏」の構築を目指してまいります。

アジアシフトの更なる加速

海外事業については、特に成長著しいベトナムを重点エリアとして、現地・専門人材を活用した店舗開発力の強化、PB商品開発の拠点化、リアル店舗とデジタル事業拡充に向けた投資へのシフトなど、将来の成長を享受すべく事業基盤の拡充を図っています。

引き続きグループ一丸となり、今後も高い経済成長が見込まれるアジアでの事業拡大を推進してまいります。

グリーン戦略

イオンがこれまで30年以上にわたって取り組んできた植樹活動をはじめ、商業施設で使用する電力の再生可能エネルギーへの転換や、環境配慮型プライベートブランド商品の開発強化など、脱炭素、循環型社会の実現に向けた施策を強化しています。

今後は、グループ各社が「グリーン」を軸に事業機会を見出し、新たなライフスタイルのご提案につなげていきたいと考えています。すべてのステークホルダー、とりわけお客さまとともに、未来に向けて行動を起こし、豊かで持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

数字でみるイオン

イオンは、強い競争力を有する小売、金融、ディベロッパー、サービス等、グループ各事業・企業が有機的に結びつき、高いシナジーを創出する総合グループへの進化を目指し、革新に挑戦し続けています。

日本・中国・アセアンで店舗を展開しています。

3.配当金について

当社の株主還元政策は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重点施策と位置付け、連結業績を勘案した配当政策を行ってまいります。

1株当たり年間配当金につきましては、前年以上を維持しつつ、連結配当性向30%を目標として定め、さらなる利益成長ならびに株主還元に努めていきます。

また、当社は株主の皆さまの利益還元の機会を充実させる目的で、剰余金の配当を年2回実施することとし、会社法第459条の規定に基づき取締役会の決議によって剰余金の期末配当を行うことができる旨を定めています。

【当期の剰余金の配当について】

当期の剰余金の期末配当は、2023年4月12日開催の取締役会決議により、1株当たり普通配当18円とさせていただきます。これにより、中間配当18円と合わせた当期の年間配当金は1株当たり36円となります。なお、期末配当金の支払開始日(効力発生日)は2023年5月2日(火曜日)とさせていただきます。

年間配当金の推移(1株当たり)

連結計算書類(要旨)