事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

当社の現況に関する事項

企業集団の事業の経過及び成果等

[企業集団の主要な事業内容]

当社グループは、金融持株会社である当社、子会社12社および関連会社1社で構成され、北海道、北陸三県、東京・名古屋・大阪の三大都市圏に拠点を持つ広域地域金融グループを形成しております。当社グループでは、北陸銀行と北海道銀行を中心に、金融商品取引業、リース、クレジットカード、ベンチャーキャピタル、ソフトウェア開発・販売、サービサー業務等、お取引先の様々なニーズに対応する総合金融サービスを提供しております。

[金融経済環境]

当期のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という。)感染拡大の収束や政府の支援もあり経済活動に持ち直しの動きが見られたものの、足元では世界的な金融引き締めによる海外経済の下振れやウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や供給面の制約といった様々なリスクが重なり、依然として先行きが不透明であり状況を注視する必要があります。

金融面では、日本銀行による強力な金融緩和措置の継続や政府による資金繰り支援策を背景に、国内における企業等の資金調達環境は、全体として緩和的な状態が維持されております。一方、欧米を中心とした各国の中央銀行は新型コロナ対応としての緩和政策から、高インフレの抑制を目的とした引き締め政策に軸足を移しており、その影響は為替相場の急激な変動や国内金融政策の修正にも表れています。

当社グループの主要営業地域である北陸三県および北海道においては、製造業では原材料価格の高騰や中国市場の減速懸念等から回復に向けた動きに一服感がみられるものの、行動制限の緩和や全国旅行支援等による人流の回復を背景に飲食・サービス業をはじめとする個人消費は持ち直しの動きがみられ、経済動向全体としては緩やかに持ち直しております。

[企業集団の事業の経過及び成果]

当社グループは、2022年度からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画『Go forward with Our Region』をスタートさせ、課題解決を通じて地域・お客さまとともに持続的成長を実現するため、以下の各種施策に取り組みました。

「総合的なコンサル対応力の向上」

さまざまな環境変化の影響を受けたお客さまに向けて伴走型の支援に取り組みながら、お客さまの事業発展に資する資金供給に取り組んでまいりました。またお客さまの事業課題やニーズの多様化に伴い、当社グループの果たすべきコンサルティング業務の領域を拡大させてきました。

従前から取り組んでいるコンサルティングメニューについても高度化に取り組みながら、より多くのお客さまに提供できる体制の整備に努めております。

「環境分野への取り組み」

環境先進金融グループとしての役割を発揮すべく、当社・取引先・地域の3つの視点から取り組んでまいりました。当社グループの取り組みでは、再生可能エネルギーの活用や水素自動車の導入など、脱炭素に向けた取り組みを積極的に進めております。取引先の支援では、各種サステナブルファイナンスの商品メニュー充実を行ったほか、脱炭素化に資するサービスを他業態と連携しながら提供しております。地域との連携では、自治体や各種団体との積極的な対話を重ね、地域全体の持続可能な環境・社会の実現に向けて取り組んでおります。

これらの取り組みを強化するため、2023年4月には「SX推進部」を新たに設け、体制強化を図っております。

「DXの推進」

デジタル技術を活用した金融サービスの高度化、機能拡充を進めております。北陸銀行・北海道銀行では、お客さまのDXをサポートするため、ERPパッケージ(統合基幹業務システム)の販売を開始しました。インターネットバンキングとの連携により、受発注業務などの煩雑な間接業務を適切に管理できる機能を提供しています。金融インフラの安定性・信頼性を確保しながら、バンキング機能の更なる高度化に向けた動きを今後も取り組んでまいります。

「ウェルビーイングのある働き方の実現」

従業員の健康増進につながる働きやすい環境づくりを進め、北陸銀行・北海道銀行ともに「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を6年連続で取得しております。社内の意識改革も進めたことにより、女性管理職の比率や男性育児休暇の取得状況も着実に改善しております。また、スキルアップ支援強化の一環として、公的資格の取得奨励や、チャレンジジョブ制度の拡充を進め、職員の働きがいとパフォーマンスの向上に繋げました。

「グループ総合力の強化」

当社グループの強みである広域営業基盤を最大限に活用し、お客さまの課題解決に努めました。ビジネスマッチングでは、地域を超えたお客さま同士を繋げることで、各地域のポテンシャルを引き出すことに貢献してまいりました。引き続き、証券、リース、カード、ソフトウェア開発など、関連子会社のリソースも活用することで、金融サービスとしての付加価値を高めてまいります。

「グループガバナンスの強化」

ガバナンス態勢においては、社外取締役を女性1名を含む2名増員して5名とし、その多様な経験・知見を当社グループの企業価値向上に繋げるべく、社外取締役との議論を充実させました。多様化するリスクへ対応するため、グループ一丸となったリスク管理体制を構築し、北陸銀行・北海道銀行における業務効率の改善に努めました。

これらの取り組みにより、当社グループの当期の連結業績につきましては、以下のとおりとなりました。

預金等

預金・譲渡性預金の期末残高は、個人預金の増加を主因として、前期末比3,111億円増加の13兆5,137億円となりました。

貸出金

貸出金の期末残高は、事業性貸出、個人ローン、公金貸出の増加により、前期末比3,401億円増加の9兆5,334億円となりました。

有価証券

有価証券の期末残高は、国債および外国証券の減少により、前期末比3,527億円減少の1兆8,542億円となりました。

収益状況

連結経常収益は、前期比100億円増加し1,878億円となりました。その主な要因は、有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が43億円増加したことと、株式等売却益の増加によりその他経常収益が70億円増加したことです。

連結経常費用は、前期比139億円増加し1,614億円となりました。その主な要因は、営業経費が35億円減少し、また、与信費用も減少したことによりその他経常費用が58億円減少しましたが、海外金利の上昇を主因に資金調達費用が81億円増加し、外国証券売却損の増加によりその他業務費用が162億円増加したことです。

以上の結果、連結経常利益は前期比38億円減少し263億円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、連結経常利益が38億円減少しましたが、税金費用が減少したことから、前期比9億円増加の214億円となりました。

なお、当期の1株当たり期末配当につきましては、普通株式は前期比2円増配の37円、第1回第5種優先株式は所定の7円50銭の配当実施を株主総会にお諮りするものであります。

(ご参考)
当社は、中期経営計画において、親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向(優先株式の配当・自己株式取得を含む)50%を目標としております。

主要な子会社の業績につきましては、以下のとおりとなりました。

北陸銀行(単体)の業績及び預貸金期末残高

本業の収益力を表すコア業務純益は、海外金利の上昇により外貨調達費用が増加したことによりコア業務粗利益が減少した一方で経費の減少もあり、前期比9億円減少の258億円となりました。

経常利益は、国債等債券損益の減少や与信費用の増加により、前期比63億円減少の145億円、当期純利益は前期比12億円増加の143億円となりました。

貸出金の期末残高は、事業性貸出、個人ローンの増加により、前期末比1,246億円増加の5兆1,863億円となりました。

預金・譲渡性預金の期末残高は、個人預金の増加を主因に、前期末比1,434億円増加の7兆6,803億円となりました。

北海道銀行(単体)の業績及び預貸金期末残高

本業の収益力を表すコア業務純益は、海外金利の上昇により外貨調達費用や外国為替売買損失が増加したことによりコア業務粗利益が減少した一方で経費の減少もあり、前期同水準の192億円となりました。

経常利益は、国債等債券損益が減少したものの与信費用が減少したことから、前期比28億円増加の124億円、当期純利益は前期同水準の87億円となりました。

貸出金の期末残高は、事業性貸出、個人ローン、公金貸出の増加により、前期末比2,092億円増加の4兆3,587億円となりました。

預金の期末残高は、個人預金の増加を主因に、前期末比1,638億円増加の5兆8,603億円となりました。

 
[企業集団の対処すべき課題]

当社グループを取り巻く経営環境は、ウィズコロナを前提に経済活動が正常化の方向へ徐々に進んできており、全体として緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻等に起因する供給制約、エネルギーや食糧等の価格高騰、労働需給の逼迫などを背景に、世界的なインフレ圧力が高まり、各国で大幅な金融引き締めが実施されました。日米金利差拡大を背景とした歴史的な円安進行などがあり、2022年12月には日本銀行は金融緩和策を修正し、長短金利幅が拡大されました。目まぐるしく変わる情勢下で、今後も先行きは不透明な状況にあります。

銀行には、お客さま本位の金融商品・サービスや分かりやすい情報の提供が一層求められております。また、外部環境は、社会・経済の急速なデジタルシフトやカーボンニュートラルをはじめとする環境課題への意識の高まりなどにより大きく変化しております。こうした中で、各ステークホルダー(地域社会、お客さま、株主の皆さま、従業員等)の当社グループに対する期待・ニーズに応えるため、課題解決力の強化やビジネスモデル変革への挑戦が不可欠であると認識しております。

このような認識のもと、グループ長期ビジョンである「課題解決を通じて地域・お客さまとともに持続的成長を実現する」の達成に向けて、2022年度から中期経営計画『Go forward with Our Region』のもとで6つの重点戦略を進めてまいりました。

当社グループは、地域金融機関にとって「地域に根差した活動こそ原点である」との考えに基づき、地域社会やお客さまの課題解決を起点として、地域の発展と当社グループの成長を両立する姿を目指してまいります。

株主の皆さまには、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

    (注)

  • 記載金額は単位未満を切り捨てて表示しております。
  • 2022年度の状況については、前記「⑴ 企業集団の事業の経過及び成果等」のとおりであります。なお、2020年度の連結包括利益はその他有価証券評価差額金が時価の上昇により増加したことを主因に2019年度に比べ751億円増加しており、2021年度の連結包括利益はその他有価証券評価差額金が時価の下落により減少したことを主因として2020年度に比べ564億円減少しており、2022年度の連結包括利益はその他有価証券評価差額金が時価の上昇により増加したことを主因に2021年度に比べ15億円増加しております。
  • 信託財産額は、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務に係る信託財産額を記載しております。なお、連結会社のうち、該当する信託業務を営む会社は北陸銀行1行であります。

連結計算書類