事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過及び成果

① 経済環境

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の抑制などにより、厳しい状況が続きました。政府の経済対策の効果もあり一部で景気持ち直しの動きも見られましたが、緊急事態宣言の再発令など未だ収束時期が見通せない中で、先行きに対する不透明感が増す状況になっております。

リース業界におきましては、2020年度のリース取扱高は前年度比14.1%減少して4兆5,517億円(公益社団法人リース事業協会統計、速報値)となりました。

② 企業集団の状況

こうした環境の下、当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでおります。中期経営計画の4年目となる2020年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。

2020年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

【ビジネス戦略】

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」のビジネス戦略を着実に実行するため、不動産やエネルギー・環境など成長ドライバーとなる戦略分野に経営資源を積極的に投入することで、事業領域の拡大を進めるとともに、収益性の高い事業ポートフォリオの構築に取り組みました。

不動産分野では、大型ショッピングセンターや介護施設など、多様な用途の物件を対象とした取組を進めるとともに、有力デベロッパーとの協働を推進し、中期経営計画で設定した営業資産残高の最終年度目標を前倒しで達成しました。

エネルギー・環境分野では、脱炭素化に取り組むお客様に対して、初期投資なく再生可能エネルギーを導入できる「グリーン電力供給サービス」の提供を開始するなど、気候変動問題の解決に資するサービスメニューの拡充に努めました。また、環境省が推進する「ゼロカーボンシティ」の取組を後押しする当社グループ独自のファイナンスプログラム「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」をスタートさせ、地域における脱炭素化をサポートしております。

医療・福祉分野では、持続的かつ安定的な介護サービスを実現するため、様々な課題を抱える中小介護事業者の事業運営を支援する枠組みの構築を進めました。また、非対面・非接触というニーズの高まりに対応し、診療・介護報酬債権早期支払サービス「FPSメディカル」をオンラインで利用可能な専用WEBサイト「Medicare in」を開設いたしました。

航空機分野では、航空旅客需要の低下を踏まえ、航空機リースの新規取組については慎重な姿勢で臨みながらも、航空機関連のベンチャー企業との資本業務提携や退役航空機の部品を販売するパーツアウト事業に取り組むことで、事業領域の拡大を図りました。

海外分野では、台湾現地法人の設立やタイ拠点の再編など、積極的なビジネス展開に向けて海外ネットワークを拡充いたしました。

BPO(※)分野では、働き方改革の推進やテレワークの拡大等に伴うBPOニーズの高まりに対応するため、グループ間の連携体制を強化し、顧客基盤の拡充に取り組みました。

モビリティビジネス分野では、2020年4月に連結子会社化したヤマトリース株式会社との早期のグループシナジー発揮に向けた連携営業を進めるとともに、車両・物流関連事業者との協働に向けて多面的なアプローチを実施いたしました。

※BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、お客様の業務の効率化や経営資源の集中などを目的に、一部業務処理を受託する事業です。

【マネジメント戦略】

マネジメント戦略では、新型コロナウイルス感染症の拡大への対応として、テレワーク環境の整備に向けたITインフラの拡充を進めるなど、持続可能な事業推進体制を構築いたしました。

資金調達では、ESG目標の達成状況に応じて条件が変動するサステナビリティ・リンク・ボンド並びにサステナビリティ・リンク・ローンによる調達にも積極的に取り組むなど、調達手段の多様化を図りました。

また、CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)経営の実現に向けてCSV推進委員会を新たに立ち上げるとともに、社員一人ひとりが基本的な考え方を理解し、グループ全体のCSV推進に向けた意識の定着化を図るための取組を進めました。

以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

当連結会計年度の契約実行高は前年度比1.2%減少の1兆3,438億8千2百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比1,718億6千5百万円(7.2%)増加して2兆5,558億5千7百万円となりました。

損益面では、売上高は前年度比3.9%増加の7,402億6千3百万円、営業利益は前年度比7.6%増加の445億5千5百万円、経常利益は前年度比9.0%増加の479億9千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比12.9%増加の295億6千6百万円となりました。

セグメントの業績

当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりであります。

[リース及び割賦]

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リース及び割賦の契約実行高は前年度比16.3%減少して4,855億5千4百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比6.2%増加して1兆7,968億3千6百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比2.4%増加して5,417億1千8百万円となり、セグメント利益は前年度比0.5%増加して333億3百万円となりました。

[ファイナンス]

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ファイナンスの契約実行高は前年度比8.6%増加して8,463億4千1百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比9.0%増加して7,257億4千5百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比28.8%増加して205億8千8百万円となり、セグメント利益は前年度比35.1%増加して153億3百万円となりました。

[その他]

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その他の契約実行高は前年度比118億2千3百万円増加して119億8千6百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比26.1%増加して332億7千6百万円となりました。その他の売上高は前年度比6.2%増加して1,779億5千6百万円となり、セグメント利益は前年度比5.1%減少して87億8千6百万円となりました。

企業集団の対処すべき課題

① 経営理念

当社グループは、次の4つを恒久的な経営理念として掲げ、その実現に努めております。

  • ・リース事業を通じて企業活動をサポートし、社会の発展に貢献する。
  • ・顧客第一主義に徹し、最高のサービスを提供する。
  • ・創造と革新を追求し、株主・市場から評価される企業を目指す。
  • ・自ら考え積極的に行動する社員を育て、働き甲斐のある職場を創る。

② 中期的な経営方針・戦略

今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により引き続き経済活動が抑制され、不透明な状況が続くものと予測しております。

このような状況の下、当社グループは、コーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じた新しいビジネス領域やビジネスモデルへのたゆまぬ挑戦により事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化していく中でも力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」の最終年度となる2021年度は、計画で掲げている3つの戦略、『戦略分野の選択と集中』、『フロンティアへの挑戦』、『グループシナジーの追求』を軸として、【ビジネス戦略】及び【マネジメント戦略】を着実に推進することで、計画の完遂と経営目標の達成に向けて取り組んでまいります。

【ビジネス戦略】

1 戦略分野の選択と集中

最も成長が期待できる6つの「戦略分野」に経営資源を集中的に投入することで、持続的な利益成長を実現します。不動産、エネルギー・環境などの良質な営業資産を積み上げつつ、新領域であるBPOやモビリティビジネスをはじめとした収益性の高い事業領域を拡大させることで、ROAの向上を図ってまいります。

「コア分野」においては、顧客基盤の維持・拡大により、当社グループの強みを維持・強化してまいります。

[戦略分野]

  • ・不動産
  • ・エネルギー・環境
  • ・医療・福祉
  • ・航空機
  • ・海外
  • ・新領域(※1)

[コア分野]

  • ・国内コーポレート(※2)
  • ・ベンダーリース
  • ・ファイナンス

※1 新領域は、BPOやモビリティビジネスをはじめとした新規事業やビジネス領域の拡大など新しい取組となるビジネスの総称であります。

※2 国内コーポレートは、グループ各社の国内法人のお客様を中心としたビジネス分野を表しております。

2 フロンティアへの挑戦

中期経営計画の最終年度として、これまでに種まきを行い、育成してきた、BPOやモビリティビジネスなど「新領域」のビジネスを、新たな利益成長のドライバーとして強化してまいります。

また、気候変動問題や医療・福祉の充実、企業の生産性の向上といった社会課題に対して、「CSV」の考え方を更に推し進め、新たな事業領域を拡大してまいります。

さらには、持続可能な社会づくりに貢献するため、様々な「モノ」を扱うリース会社として、サーキュラー・エコノミー(※)の実現に向けた新たなビジネスモデルの構築も進めてまいります。

※製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済システムを指します。

3 グループシナジーの追求

グループ各社が持つ商品・サービスを有機的に結び付け、グループベースのビジネス展開を加速させることで、お客様の多様なニーズに応じたソリューションを柔軟かつ迅速に提供するとともに、従来の枠組みを超えた新たな事業領域を拡大し、グループシナジーの最大化を図ってまいります。

【マネジメント戦略】

ビジネス戦略を支える経営基盤の強化戦略として、次のマネジメント戦略を推進してまいります。

1 フロンティア拡大に伴う新たなリスクへの対応力強化

2 コーポレート機能強化及び生産性向上

3 グループ力発揮のためのガバナンス体制の強化

引き続き新型コロナウイルス感染防止に取り組むとともに、不透明な事業環境下において多様化するリスクに適切に対応しつつ、企業価値の継続的な向上に取り組んでまいります。

③ 目標とする経営指標

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」では、計画最終年度である2021年度の目標を以下のとおり設定しております。

経営目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

株主の皆様におかれましては、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

連結計算書類