事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

みずほリースグループ(企業集団)の現況

(1)事業の経過およびその成果

当社グループを取巻く環境

2019年度の経済環境は、世界経済・日本経済ともに、緩やかに成長いたしましたが、各国の貿易政策を巡る下押しに加え、年明け以降の新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、先行きについては景気低迷の懸念が急速に強まっております。

また、金融市場では金融緩和政策が継続されるなか、長期金利、短期金利ともに引き続き低位で推移いたしました。

リース業界におきましては、新型コロナウイルスの蔓延による影響はありながらも、リース取扱高は情報通信機器の取り扱い増加等により、前年度を上回る実績となりました。

事業の経過およびその成果

当社グループは、2019年4月より2023年度までの5年間を計画期間とする第6次中期経営計画を開始いたしました。この計画に基づき、お客様と共同での事業推進と社会構造・産業構造の変化を捉えた注力分野への取り組みを加速するとともに、みずほフィナンシャルグループならびに丸紅グループとの連携・協業による事業基盤の拡充と新たな事業領域への挑戦を行ってまいります。また、最終年度の連結数値目標として「親会社株主に帰属する当期純利益300億円」、「グローバル分野の残高 2019年3月末比3倍」および「配当性向25%以上を目指す」を掲げ、当社グループのさらなる成長とステークホルダーに提供する価値の向上を目指しております。

2019年度はみずほフィナンシャルグループならびに丸紅グループとの連携体制の構築に注力し、第6次中期経営計画で掲げる戦略を実行してきた結果、契約実行高は1兆2,824億38百万円、営業資産残高は2兆903億5百万円となりました。最終年度の連結数値目標に対しては次表の実績となり、親会社株主に帰属する当期純利益は175億12百万円と7期連続で最高益を達成いたしました。

*1 グローバル分野の残高は、グループ会社が保有する営業資産を含みます。

*2 株主総会でのご承認を前提とさせていただいた数値です。

(営業および損益の状況等)

2019年度につきましては、第6次中期経営計画で掲げるビジネス戦略を着実に実行してまいりました。当社グループは「モノ」に関する広範な知見と高度な金融ノウハウを用いて、お客様の事業推進に資するソリューションを提供し、社会構造・産業構造の変化を背景とした成長が見込める注力分野で事業を拡大してまいりました。これらの取り組みを既存のお客様に加えて、みずほフィナンシャルグループのお客様に展開することで、一層の事業基盤の拡大を図っております。さらに、当社グループの飛躍的な成長のためには、グローバルな営業・事業基盤の拡充が必要との認識のもと、丸紅グループとの協業を進めております。

注力分野の取り組みについては、環境・エネルギー分野では、風力発電設備のリースやお客様と協働した太陽光発電を用いた自家消費型エネルギー供給サービスの展開、株式会社みずほ銀行と連携したバイオマス発電プロジェクトへのファイナンス等、再生可能エネルギー領域での取り組みを強化いたしました。

医療・ヘルスケア分野では、医療・介護施設で導入される設備のリースを中心に、国内ではメーカーと協働で介護施設向け省人化機器のレンタルサービスを新たに開始し、海外ではフィリピンで現地医療機器販社向けのベンダーファイナンスサービスを手掛ける等、ビジネス領域を拡充しております。

不動産分野では、有力な事業者が手掛けるREIT向けに物流施設・倉庫などを対象としたブリッジ案件が伸長したほか、株式会社みずほ銀行およびみずほ証券株式会社と連携し、REITの物件取得に対する大型ファイナンスプロジェクトに参画いたしました。さらに、お客様の不動産戦略に沿い、工場・事業所・商業施設等の不動産ソリューションを提供しております。

航空機分野では、中長期的な市場成長が見込まれる同分野で事業基盤を拡大させていくために、高度なノウハウ・機能を持つプラットフォームが必要であるとの認識のもと、2020年3月に米国の大手航空機リース会社であるAircastle社の持分25%を取得し、同社を当社と丸紅株式会社の共同運営会社といたしました。

グローバル分野では、引き続きお客様の設備投資やファイナンスニーズの捕捉、ならびに海外でのインフラ整備ニーズを捉えたビジネスにも取り組み、さらに2020年3月には丸紅グループの完全子会社であった米国最大手の冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル専業事業会社であるMAC Trailer Leasing, Inc.(現商号:PLM Fleet, LLC)の持分50%を取得し、同社を当社と丸紅株式会社の共同運営会社とする等、新たな事業領域へ進出しております。

契約実行高につきましては、リース・割賦セグメントの契約実行高は6,923億50百万円と前年度比26.0%増加しましたが、短期の商流ファイナンスの減少によりファイナンスセグメントの契約実行高が5,900億88百万円と同40.8%減少したため、全体では同17.2%減少の1兆2,824億38百万円となりました。営業資産残高は、リース・割賦セグメントでの増加により、前年度比3.4%増加の2兆903億5百万円となりました。

損益状況につきましては、売上高は不動産ブリッジ案件の満了に伴う物件の売却が増加したこと等により、前年度比40.1%増加の5,392億41百万円となりました。差引利益(資金原価控除前の売上総利益)は、注力分野への取り組みやみずほフィナンシャルグループとの協業をはじめとした第6次中期経営計画で掲げる戦略の推進ならびに投資物件の入れ替えに伴う売却収益が寄与したことで、前年度比で増加し、営業利益は同14.7%増加の262億75百万円となりました。経常利益は前年度営業外収益で計上した大口投資収益剥落を打ち返し、同10.3%増加の267億14百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.5%増加の175億12百万円となりました。

純資産は期間利益の蓄積により引き続き増加し、1,957億80百万円となりました。

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(2)対処すべき課題

今後の当社グループを取り巻く事業環境につきましては、世界経済・日本経済ともに、新型コロナウイルスの世界的な蔓延による景気減速が見込まれ、消費・生産活動の減退による企業業績への影響等、今後の動向には一層注意を要する状況にあると認識しております。このような状況ではありますが、より持続性の高い生産・サービス体制の構築や労働環境の改善等、企業のビジネスモデルの改善ニーズは、益々高まっていくものと見込んでおります。お客様のファイナンスニーズのみならず、事業に関わる多様な課題に対し、金融と事業会社の性質を併せ持つリース会社ならではの柔軟なソリューション提供により、当社グループは、現在推進中の第6次中期経営計画(2019年度~2023年度)に基づき、お客様と共同での事業推進と注力分野への取り組みを加速し、お客様との価値共創や海外での新たな拠点・事業展開に挑戦してまいります。

また、当社グループのさらなる飛躍のため、当社は2020年4月にリコーリース株式会社の株式の一部を取得し、株式会社リコーおよびリコーリース株式会社との業務提携を開始いたしました。大企業・中堅企業向けホールセール中心の事業基盤を有する当社と、中小企業向けベンダーファイナンス中心の事業基盤を有するリコーリース株式会社との間には、顧客層および事業領域の重複が少ないことに加えて機能補完性が高く、リコーリース株式会社が有するベンダーファイナンスやリテール向け金融サービスのノウハウやインフラの共通活用により、当社グループの成長を加速させてまいります。

当社グループは、全てのステークホルダーからの信頼と期待にお応えするため、企業の社会的責任(CSR)をはじめとし、ステークホルダーの皆様と共有できる価値を創造していくことで、持続的な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。そのためには、コーポレート・ガバナンス体制のより一層の充実、ならびに業務生産性の向上やダイバーシティを通じた社員がその能力を最大限に発揮できる環境の整備が必要であると認識しております。取締役会の実効性評価をはじめ、取締役会における意思決定のプロセスの透明性や実効性の向上に取り組み、コンプライアンスの徹底やリスクリターン運営の高度化など内部管理体制の強化にも努めております。加えて、女性活躍の推進ならびにITシステム投資や業務プロセスの改善による介護・育児と仕事の両立支援およびテレワークによる柔軟な働き方の推進等の実施により、さまざまな経験と能力に基づく多様な視点や価値観を有する人材が健康に活躍できる環境の整備を進めております。

株主の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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(3)設備投資の状況

当年度に実施した主な設備投資は新規契約に伴うオペレーティング・リース資産の取得であり、その金額は1,873億16百万円であります。

(4)資金調達の状況

当年度に実施した資金調達は、主にリース、割賦、貸付など営業資産の取得に充当いたしました。この結果、当年度末の有利子負債は1,658億78百万円増加し2兆6億36百万円となりました。

(5)吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

当社の連結子会社であるPT. VERENA MULTI FINANCE TbkとPT. IBJ VERENA FINANCEは、2019年7月23日付でPT. VERENA MULTI FINANCE Tbkを存続会社、PT. IBJ VERENA FINANCE を消滅会社とする吸収合併を行いました。

(6)他の会社の株式その他の持分または新株予約権等の取得または処分の状況

① 2020年3月30日、当社の100%子会社であるMM WHEEL LLCは、PLM Fleet, LLCの議決権の50%(出資額の比率)を取得し、同社は持分法適用関連会社となりました。

② 2020年3月27日、当社の100%子会社であるTDP 1 Limitedが議決権の50%を保有するMM Air Limitedは、Aircastle Limitedの議決権の50%を取得いたしました。この結果、Aircastle Limitedは当社の持分法適用関連会社となりました。

③ 2020年4月23日、当社はリコーリース株式会社の議決権の20%を取得し、同社は持分法適用関連会社となっております。

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(7)直前3事業年度の財産および損益の状況

(注)

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を2018年度の期首から適用しており、2017年度以前に係る総資産の額については、当該会計基準を遡って適用した後の数値となっております。

(8)重要な子会社等の状況

① 重要な子会社の状況
(注)
    • ・2020年1月1日、IBJL東芝リース株式会社は、みずほ東芝リース株式会社に商号を変更いたしました。
    • ・2019年10月1日、興銀オートリース株式会社は、みずほオートリース株式会社に商号を変更いたしました。
    • ・2019年10月1日、ケイエル・リース&エステート株式会社は、エムエル・エステート株式会社に商号を変更いたしました。
    • ・2019年12月30日、興銀融資租賃(中国)有限公司は、瑞穂融資租賃(中国)有限公司に商号を変更いたしました。
  • 2019年7月23日、PT. IBJ VERENA FINANCEは、PT. VERENA MULTI FINANCE Tbkと合併したため、重要な子会社から除いております。
② 重要な関連会社の状況
(注)
  • エムジーリース株式会社は、2020年5月18日付でみずほ丸紅リース株式会社に商号を変更する予定です。
  • 2020年3月30日、当社の100%子会社であるMM WHEEL LLCは、PLM Fleet, LLCの持分の議決権の50%(出資額の比率)を取得いたしました。
  • 2020年3月3日、PNB-IBJL Leasing and Finance Corporationは、PNB-Mizuho Leasing and Finance Corporationに商号を変更いたしました。
  • 2020年3月27日、当社の100%子会社であるTDP 1 Limitedが議決権の50%を保有するMM Air Limitedは、Aircastle Limitedの議決権の50%を取得いたしました。この結果、当社は、Aircastle Limitedの議決権の25%を間接保有することとなりました。なお、Aircastle Limitedの資本金は、Common Stockの額を記載しております。また、Common StockとAdditional paid-in capitalを合計した払込資本の額はUS$1,447百万です。
  • 「当社の議決権比率」欄の( )は子会社による間接所有の割合(内書き)です。

(9)企業集団の主要な事業内容(2020年3月31日現在)

(10)主要な営業所(2020年3月31日現在)

① 当社
本社 東京都港区虎ノ門一丁目2番6号
支店等 札幌支店、仙台支店、首都圏営業第二部(さいたま市)、新潟支店、富山支店、静岡支店、
名古屋支店、京都支店、大阪営業部、神戸支店、広島支店、高松支店、福岡支店
② 子会社
みずほ東芝リース株式会社 本 社
(東京都港区)
第一リース株式会社 本 社
(東京都港区)
みずほオートリース株式会社 本 社
(東京都港区)
エムエル・エステート株式会社 本 社
(東京都港区)
瑞穂融資租賃(中国)有限公司 中 国
(上海市、広州市)
PT. VERENA MULTI FINANCE Tbk インドネシア
IBJ Air Leasing Limited バミューダ
IBJ Air Leasing(US)Corp. 米 国
③ 関連会社
エムジーリース株式会社 本社
(東京都千代田区)
Krung Thai IBJ Leasing Co.,Ltd. タ イ
PLM Fleet, LLC 米 国
PNB-Mizuho Leasing and Finance Corporation フィリピン
Aircastle Limited バミューダ

(11)使用人の状況(2020年3月31日現在)

① 企業集団の使用人の状況
(注)

使用人数は就業員数であり、臨時使用人は( )内に年間の平均人数を外数で記載しております。
臨時使用人には、パートタイマーおよび派遣社員を含んでおります。

② 当社の使用人の状況
(注)

使用人数は就業員数であり、臨時使用人は( )内に年間の平均人数を外数で記載しております。
臨時使用人には、パートタイマーおよび派遣社員を含んでおります。

(12)企業集団の主要な借入先の状況(2020年3月31日現在)

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連結計算書類