事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

みずほリースグループ(企業集団)の現況

(1) 事業の経過およびその成果

当社グループを取巻く環境

2020年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により大きく落ち込んだ後、持ち直しの動きもありましたが、足もとでは一部の地域における変異株のまん延が回復の足かせとなっています。日本経済は、感染拡大を受けた経済活動の制約によって大幅に落ち込んだ後、消費や輸出を中心に持ち直しの動きが見られましたが、足もとの感染再拡大によるサービス関連消費の落ち込みは避けられず、景気回復の重石となっています。また、政府・日本銀行による政策対応もあり、企業倒産件数は抑制されていますが、先行きの不確実性には留意が必要な状況が続くと認識しております。

リース業界におきましては、感染拡大に伴う経済活動の制約やその影響を受けた企業の設備投資意欲の減少などにより、リース取扱高は前年度を下回る実績となりました。

営業および損益の状況等

当社グループは、2019年度より2023年度までの5年間を計画期間とする第6次中期経営計画に取り組んでおり、お客様と共同での事業推進と社会構造・産業構造の変化を捉えた注力分野(環境・エネルギー、医療・ヘルスケア、不動産、グローバル、航空機、テクノロジー)への取り組みを推進するとともに、みずほフィナンシャルグループや丸紅グループ等の戦略的ビジネスパートナーとの連携・協業による事業基盤の拡充と新たな事業領域への挑戦を行うこととしております。

また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆様に提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「親会社株主に帰属する当期純利益300億円」、「グローバル分野の残高 2019年3月末比3倍」および「配当性向25%以上を目指す」を掲げております。

第6次中期経営計画の2年目となる2020年度は、コロナ禍での厳しい事業環境のなかではありましたが、コロナ対応を図られるお客様の事業戦略や財務戦略上のニーズを捉えたソリューションの提供に注力しつつ、みずほフィナンシャルグループや丸紅グループ等との連携を拡充させ、以下のとおり、注力分野への取り組みを着実に遂行してまいりました。

環境・エネルギー分野では、再生可能エネルギー領域への取り組みを強化し、風力発電プロジェクトへのファイナンスやバイオマス発電事業への参画、太陽光発電所の運営開始等、設備のリースに留まらず事業そのものへの取り組みを推進いたしました。

医療・ヘルスケア分野では、メーカーと連携したPCR検査装置の普及に向けた協力体制の構築や、メンテナンスや付帯サービスを含めた医療機器の月額利用サービスの提供等、医療・介護機器メーカー等のパートナーと連携したサービスビジネスの展開に注力いたしました。

不動産分野では、お客様からの依頼に基づき当社が一時的に物件を保有する取引として、物流施設等の社会的ニーズが高い物件に加え、ヘルスケア研究施設や工場の底地など多様な物件を手掛けたほか、大手デベロッパーと共同して国内外で不動産開発事業に着手するなど、取り組みをより深化させました。

グローバル分野では、注力するアジア地域において新型コロナウイルスの影響を受け厳しい営業状況となりましたが、今後の事業拡大に向け、ベトナムのリース会社に出資したほか、ASEANの物流・金融のハブであるシンガポールにて現地法人の営業を開始いたしました。また、当社と丸紅株式会社の共同運営会社であるみずほ丸紅リース株式会社にて、チリの上下水道事業会社とフィリピンの水力発電事業会社への出資を実行し、海外インフラ事業での事業基盤を拡大いたしました。

航空機分野では、世界的に航空機需要が大きく落ち込むなか、2020年度は航空機担保ローンや機体保有などの新規取り組みを抑制しました。しかしながら、中長期的には市場の回復を見込んでおり、引き続き市場環境を注視しながら取り組んでまいります。

また、丸紅グループとの海外ビジネスでの連携や株式会社リコーおよびリコーリース株式会社との業務提携では、既存事業の強化及び新たな事業機会の創出に向けた取り組みを推進いたしました。

以上の結果、契約実行高は前年度に比べ6.4%増加して1兆3,650億21百万円となり、営業資産残高は前年度末に比べ11.1%増加して2兆3,223億98百万円となりました。

損益状況につきましては、売上高及び売上原価は、前年度に比べ不動産案件の満了に伴う物件の売却が減少したことを主因として、売上高は前年度に比べ7.7%減少して4,978億52百万円となり、売上原価についても前年度に比べ8.6%減少して4,465億05百万円となりました。売上総利益はフィー収益や営業投資有価証券の売却収益が減少しましたが、営業資産残高の積み上げによりリース収益が増加したことに加え、外貨調達金利の低下を主因に資金原価が減少したことなどから、同1.6%増加して513億47百万円となりました。営業利益は、ビジネス領域の拡大に伴う人件費が増加したことや、貸倒引当金が前年度の戻入から小幅ながら繰入に転じたことなどから、同1.2%減少して259億63百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益の増加により、同3.1%増加して275億42百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加えて、特別利益に投資有価証券売却益を計上したこともあり、同24.3%増加して217億72百万円となり、8期連続で最高益を更新いたしました。また、純資産は期間利益の蓄積により引き続き増加し、2,108億52百万円となりました。

なお、第6次中期経営計画最終年度の連結数値目標に対する実績は以下のとおりです。

*1 グローバル分野の年度末残高は、グループ会社が保有する営業資産を含みます。(括弧内は倍率)

*2 株主総会でのご承認を前提とさせていただいた数値です。

(2) 対処すべき課題

当社グループは、これまでお客様の事業戦略・財務戦略上の課題解決に取り組み、豊かな未来へ繋がる価値ある金融サービスの提供を通じて、広く社会に貢献する企業グループを目指し、事業活動を通じて「お客様」「株主」「従業員」「社会」などのステークホルダーの皆様と共有できる価値の創造に努めてまいりました。

環境問題への意識の高まりや社会課題解決の重要性の高まり、デジタル技術の革新等、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化しており、当社グループが更なる飛躍を遂げていくためには、既存の枠組みを超えた事業展開やサステナビリティへの取り組み、社員とのより一層の一体感の醸成が不可欠であると考えております。

このような認識に基づき、当社の使命やあるべき姿と改めて向き合い、2021年5月に以下のとおり、経営理念を改定いたしました。

新たな経営理念は、これまでの経営理念の根幹となる普遍的な価値観は継承しつつ、金融に留まらない多様な事業活動とお客様とのパートナーシップによる相乗的な価値創出により、多様な課題を率先して解決し、持続可能な社会の実現へ貢献していくことを示しております。

また、当社グループは、持続可能な社会の実現と当社グループの成長を更に目指すため、サステナビリティへの取り組み方針を定めました。

豊かな未来を創り、持続可能な社会の実現に貢献するため、社会全体と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、これらのマテリアリティに対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進いたします。

当社グループは、ファイナンスを超える新たな発想と飽くなき挑戦で、循環型社会を共創し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

<特定したマテリアリティ>

2021年度の世界経済・日本経済は、ともに緩やかに回復していくと見込まれますが、新型コロナウイルスの変異株の発生やワクチンの普及状況等について不確実性も高く、引き続きそれらの影響には留意を要する状況にあると認識しております。また、モノの「所有」からサービスの「利用」へのニーズの変化やデジタル化がさらに加速していくなか、お客様とパートナーシップを築き、社会のニーズに迅速に対応していくことがより一層重要となっていくものと考えております。

このようななか、当社グループは、新たな経営理念ならびにサステナビリティへの取り組み方針のもと、第6次中期経営計画の目標達成に向け一層注力いたします。お客様と共同での事業展開や注力分野への取り組み、メーカー・商社・金融等の業務提携先との協業等を通じて事業領域を拡充してまいります。ビジネスを支えるさまざまな経営基盤・ガバナンス・内部統制の強化、取締役会における意思決定プロセスの透明性や実効性の向上を継続的に図ってまいります。また、ITシステム投資や業務プロセスの改善による業務生産性の向上を図るとともに、女性活躍の推進、介護・育児と仕事の両立支援およびテレワークによる柔軟な働き方の推進等の実施により、社員が健康かつ充分にその能力を発揮できる環境の整備を行ってまいります。

株主の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

(3) 設備投資の状況

当年度に実施した主な設備投資は新規契約に伴うオペレーティング・リース資産の取得であり、その金額は1,547億88百万円であります。

(4) 資金調達の状況

当年度に実施した資金調達は、主にリース、割賦、貸付など営業資産の取得に充当いたしました。この結果、当年度末の有利子負債は2,547億51百万円増加し2兆2,553億87百万円となりました。

(5)吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

該当事項はありません。

(6) 他の会社の株式その他の持分または新株予約権等の取得または処分の状況

① ‌2020年4月23日、当社はリコーリース株式会社の議決権20%を取得し、同社は持分法適用関連会社となっております。

② ‌2020年4月3日、当社はVietnam International Leasing Co.,Ltd.の議決権18.35%を取得し、同社は持分法適用関連会社となっております。

(7)直前3事業年度の財産および損益の状況

(注)

‌「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を2018年度の期首から適用しており、2017年度に係る総資産の額については、当該会計基準を遡って適用した後の数値となっております。

(8) 重要な子会社等の状況

① 重要な子会社の状況

(注)

2021年3月1日、Mizuho Leasing(Singapore)Pte.Ltd.は、シンガポール国内におけるリース・ファイナンスサービスの提供、並びにASEAN周辺諸国との取引等のビジネス拠点としての事業活動を開始しました。

② 重要な関連会社の状況

(注)
  • 2020年5月18日、みずほ丸紅リース株式会社は、エムジーリース株式会社から商号を変更致しました。
  • 2020年4月23日、当社はリコーリース株式会社の議決権20%を取得し、同社は持分法適用関連会社となっております。
  • ‌2020年3月27日、当社はAircastle Limitedの議決権の25%を間接保有することとなりましたが、バミューダの会社法の規定に従った合併手続きにより、資本金は上記のとおりとなっております。
    なお、Aircastle Limitedの資本金は、Common Stockの額を記載しております。また、Common StockとAdditional paid-in capitalを合計した払込資本の額はUS$1,485百万です。
  • 2020年4月3日、当社はVietnam International Leasing Co.,Ltd.の議決権18.35%を取得し、同社は持分法適用関連会社となっております。
  • 「当社の議決権比率」欄の( )は子会社による間接所有の割合(内書き)です。

(9) 企業集団の主要な事業内容(2021年3月31日現在)

(10) 主要な営業所(2021年3月31日現在)

① 当 社
本 社 東京都港区虎ノ門一丁目2番6号
支店等 札幌支店、仙台支店、首都圏営業第二部(さいたま市)、新潟支店、富山支店、静岡支店、
名古屋支店、京都支店、大阪営業部、神戸支店、広島支店、高松支店、福岡支店
② 子会社
みずほ東芝リース株式会社 本 社
(東京都港区)
第一リース株式会社 本 社
(東京都港区)
みずほオートリース株式会社 本 社
(東京都港区)
エムエル・エステート株式会社 本 社
(東京都港区)
瑞穂融資租賃(中国)有限公司 中 国
(上海市、広州市)
PT. VERENA MULTI FINANCE Tbk インドネシア
Mizuho Leasing(Singapore) Pte. Ltd. シンガポール
③ 関連会社
みずほ丸紅リース株式会社 本社
(東京都千代田区)
リコーリース株式会社 本社
(東京都千代田区)
PLM Fleet, LLC 米 国
Krung Thai IBJ Leasing Co., Ltd. タ イ
PNB-Mizuho Leasing and Finance Corporation フィリピン
Aircastle Limited バミューダ
Vietnam International Leasing Co., Ltd. ベトナム

(11) 使用人の状況(2021年3月31日現在)

① 企業集団の使用人の状況
(注)

使用人数は就業員数であり、臨時使用人は( )内に年間の平均人数を外数で記載しております。
臨時使用人には、パートタイマーおよび派遣社員を含んでおります。

② 当社の使用人の状況
(注)

使用人数は就業員数であり、臨時使用人は( )内に年間の平均人数を外数で記載しております。
臨時使用人には、パートタイマーおよび派遣社員を含んでおります。

(12) 企業集団の主要な借入先の状況(2021年3月31日現在)

連結計算書類