事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

みずほリースグループ(企業集団)の現況

(1)事業の経過およびその成果

当社グループを取巻く環境

2022年度の経済情勢を顧みますと、世界経済はウィズコロナへの転換と社会経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に加え、世界的なインフレによる金融引き締めなど、先行きは不透明な状況となっております。日本経済においても、設備投資の伸び悩みや半導体不足等から製造業の生産活動が弱含んでいるものの、行動制限の緩和等に伴い、サービス業等を中心に緩やかな回復基調にありました。一方、欧米の金融引き締めに伴う海外経済の減速、国内の物価高や労働需給のひっ迫、金融政策の動向等、先行きに留意が必要な状況が続くと認識しております。

リース業界におきましては、経済活動の回復を背景に設備投資が持ち直しつつあり、リース取扱高は前年度並みの実績となりました。

営業および損益の状況等

当社グループは、2019年度より2023年度までの5年間を計画期間とする第6次中期経営計画において、お客さまと共同での事業推進と社会構造・産業構造の変化を捉えた注力分野(環境・エネルギー、医療・ヘルスケア、不動産、グローバル、航空機、テクノロジー)に取り組むとともに、〈みずほ〉グループや丸紅グループ等のアライアンスパートナーとの連携、協業による事業基盤の拡充と新たな事業領域への挑戦を行いました。

また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「親会社株主に帰属する当期純利益 300億円」、「グローバル分野の残高 2019年3月末比 3倍」および「配当性向25%以上を目指す」を掲げております。

このような中、2022年度は、コロナ禍から社会経済活動が正常化へ向かう中、お客さまの事業戦略や財務戦略上のニーズを捉えたソリューションの提供に注力し、以下のとおり、注力分野への取り組みを着実に遂行してまいりました。

〔環境・エネルギー〕
再生可能エネルギー領域への取り組みを強化し、非FIT太陽光発電設備由来の電力供給、自己託送やコーポレートPPA等を活用した太陽光発電ビジネスの推進、英国陸上風力発電所プロジェクトへの投資等、設備のリースに留まらず事業そのものへの取り組みを推進しました。また、商用電気自動車とエネルギーマネジメントシステムの普及に取り組む企業への出資に併せ、電気自動車の利便性向上と車載用蓄電池を活用した新たなソリューション開発を行うなど、再生可能エネルギーの拡大に貢献し、お客さまの脱炭素、サステナビリティの取り組みを支援しております。

〔不動産〕
子会社であるエムエル・エステート株式会社を通じてリート等のお客さまのニーズに合った期間で不動産を一時的に保有するビジネスに引き続き取り組んだほか、日本を代表するビジネスエリアに立地し、最高水準の環境性能を備える大手町プレイスを取得するファンドへの出資を行いました。また、持分法適用会社とした日鉄興和不動産株式会社との連携を一段と深化させ、CRE提案力の強化、商品ラインナップの拡充を図るなど、新しいビジネスへの挑戦にも取り組みました。

〔グローバル〕
アライアンスパートナーとの協業を推進し、関係当局からの許認可等を前提としてインドのエクイップメント(機器設備)リース会社のRent Alpha Pvt.Ltd.の51%の株式を取得することに合意するなど、ビジネスフィールドの拡大に取り組みました。

〔航空機〕
コロナ禍、ウクライナ情勢の緊迫化等により、厳しい経営環境にありましたが、世界的な航空需要の回復と航空機オペレーティングリースの中長期的な回復を見据え、アライアンスパートナーとの協業強化を通じた案件組成への取り組みを進めました。

アライアンスパートナーとの連携、協業につきましては、〈みずほ〉グループ各社と当社グループとの連携を一段と深化させ、双方の機能を掛け合わせることにより、様々なソリューションをお客さまに提供してまいりました。〈みずほ〉グループ各社と当社が連携して取り組んだ、国内最大規模となる「自己託送方式による低圧・分散型太陽光発電設備を通じた再生可能エネルギー調達」は、国内初の取り組みとなります。また、丸紅グループとの海外ビジネスでの連携や株式会社リコーおよびリコーリース株式会社との業務提携では、既存事業の強化および新たな事業機会の創出に向けた取り組みを推進いたしました。

さらに、新たな事業領域への挑戦として、TREホールディングス株式会社と「高度循環型社会」・「脱炭素社会」の実現に向け、サーキュラーエコノミーに向けた事業スキーム構築に係る基本合意を行いました。また、コーポレートベンチャーキャピタル事業へ参画すべく、未来創造キャピタル株式会社を設立し、持分法適用会社としたみずほキャピタル株式会社との協業を通じて、スタートアップ企業への投資やビジネスにおける連携を推進しております。

以上の結果、契約実行高は前年度に比べ7.3%増加して1兆4,705億円となり、営業資産残高は前年度末に比べ6.8%増加して2兆5,801億円となりました。

損益状況につきましては、以下のとおりです。

〔売上高および売上原価〕
売上高は、前年度に不動産案件の満了に伴う物件の売却が重なったことから、前年度に比べ4.5%減少して5,297億円となり、売上原価については前年度に比べ6.4%減少して4,683億円となりました。

〔売上総利益〕
収益性の高いファイナンスや不動産分野での資産積上により、同12.5%増加して614億円となりました。

〔営業利益〕
売上総利益が増加したことに加え、信用コストが低位で推移したことから、営業利益は同77.5%増加して318億円となりました。

〔経常利益〕
持分法投資損益の大幅な増加により、同99.9%増加して401億円となりました。

〔親会社株主に帰属する当期純利益〕
経常利益の増加等により、同90.6%増加して284億円となりました。

この結果、純資産は期間利益の蓄積により引き続き増加し、2,758億円となりました。

なお、第6次中期経営計画最終年度の連結数値目標に対する実績は以下のとおりです。

(2)対処すべき課題

2023年度の経済環境は、政府のウィズコロナ政策の下、緩やかな回復が見込まれる一方、世界的なインフレ、欧米の金融引き締めの影響等には引き続き留意を要する状況にあると認識しております。

モノの「所有」からサービスの「利用」へのニーズの変化やデジタル化がさらに加速していくなか、お客さまとパートナーシップを築き、社会のニーズに迅速に対応していくことがより一層重要となっていくものと考えております。

当社グループは、2019年度に2023年度を最終年度とする第6次中期経営計画を策定し、お客さまのパートナーとして社会構造・産業構造の変化を捉えた注力分野における取り組みを推進するとともに、みずほ・丸紅との提携を通じた国内外のビジネスフィールドの拡大に取り組んでまいりました。

その結果、2022年度には、第6次中期経営計画で掲げた数値目標に対し概ね達成が見込まれる水準まで到達いたしました。

また、環境問題への意識や社会的課題解決の重要性の高まり、デジタル技術の革新等、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化しており、当社グループが継続的な成長を実現するためには、既存の枠組みを超えた事業展開やサステナビリティへの取り組み、経営基盤の更なる高度化が不可欠であると考えております。

かかる認識のもと、当社グループが目指す姿の実現に向け更なる飛躍を遂げるために、第6次中期経営計画の終了を1年前倒し、2023年度より開始する新たな中期経営計画を本年5月に公表いたしました。

当社グループは、お客さまの抱える課題を金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして解決し、事業活動に貢献する、マルチソリューション・プラットフォーマーを目指してまいります。中期経営計画の3年間はその実現に向けた変革に挑戦するための期間として位置づけ、ビジネスを推進してまいります。

ファイナンスを中心とした財務面のサポートはもとより、〈みずほ〉グループや丸紅グループ、国内外の事業会社等の様々な業種のパートナーとの協働を通じて、金融にとどまらない高い自由度を活かしたサービスを提供することで、お客さまの抱える事業戦略上の課題や社会的課題に率先して取り組み、ステークホルダーの皆さまと共有できる新しい価値を創造し、お客さまの事業活動の発展と、それを通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

当社グループは、サステナビリティへの取り組み方針として、豊かな未来を創り、持続可能な社会の実現に貢献するため、社会全体と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から特定した、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)、「脱炭素社会実現への貢献」「健康で豊かな生活への貢献」「生活を支える社会基盤づくりへの貢献」「循環型経済の牽引」「テクノロジーによる新しい価値の創出」「あらゆる人が活躍できる社会・職場づくり」に対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進いたします。また、女性活躍の推進、介護・育児と仕事の両立支援およびテレワーク等による柔軟な働き方の推進等の実施により、従業員が健康かつ充分にその能力を発揮できる環境の整備を行ってまいります。

株主の皆さまにおかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

(3)設備投資の状況

当年度に実施した主な設備投資は新規契約に伴うオペレーティング・リース資産の取得であり、その金額は1,866億46百万円であります。

(4)資金調達の状況

当年度末の有利子負債は1,623億11百万円増加し2兆5,375億55百万円となりました。

(5)重要な組織再編等の状況

該当事項はありません。

(6)直前3事業年度の財産および損益の状況

(注) 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2021年度の期首から適用しており、2021年度以降に係る各数値については、当該会計基準等を適用した場合の数値を記載しております。

(7)重要な子会社等の状況

①重要な子会社の状況
②重要な関連会社の状況

(8)企業集団の主要な事業内容(2023年3月31日現在)

(9)主要な営業所(2023年3月31日現在)

①当社
本社
東京都港区虎ノ門一丁目2番6号
支店等
札幌支店、仙台支店、首都圏営業第二部(さいたま市)、新潟支店、富山支店、静岡支店、名古屋支店、京都支店、大阪営業部、神戸支店、広島支店、高松支店、福岡支店
②子会社
第一リース株式会社
本社(東京都港区)
みずほ東芝リース株式会社
本社(東京都港区)
エムエル・エステート株式会社
本社(東京都港区)
みずほオートリース株式会社
本社(東京都港区)
瑞穂融資租賃(中国)有限公司
中国(上海市、広州市)
Mizuho Leasing(Singapore)Pte.Ltd.
シンガポール
PT. MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk
インドネシア
③関連会社
みずほ丸紅リース株式会社
本社(東京都千代田区)
リコーリース株式会社
本社(東京都千代田区)
日鉄興和不動産株式会社
本社(東京都港区)
みずほキャピタル株式会社
本社(東京都千代田区)
Krungthai Mizuho Leasing Co., Ltd.
タイ
PNB-Mizuho Leasing and Finance Corporation
フィリピン
PLM Fleet, LLC
米国
Aircastle Limited
米国
Vietnam International Leasing Co., Ltd.
ベトナム
Affordable Car Leasing Pty Ltd
オーストラリア

(10)使用人の状況(2023年3月31日現在)

①企業集団の使用人の状況
②当社の使用人の状況

(11)企業集団の主要な借入先の状況(2023年3月31日現在)

連結計算書類