事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

当期における当社グループの事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の影響による海外経済の減速を受け、製造業を中心に厳しい環境となったものの、企業の設備投資は、人手不足を補う省力化や生産性向上に向けた投資を中心に堅調に推移しました。その一方で、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の急速拡大により、国内のみならず世界中が深刻な影響を受けており、先行きは不透明な状況が続くものと見込まれます。

リース業界において、2019年度のリース取扱高は、前期比6.2%増加の5兆2,983億円となりました。
(公益社団法人リース事業協会統計)

このような状況のなか、当社グループにおいては、2017年度よりスタートさせた3ヵ年中期経営計画(中計)の最終年度として、中計で定めた事業成長戦略及び組織能力強化戦略を遂行してまいりました。事業成長戦略のもと、既存事業領域に対する営業強化に加えて新規事業領域の拡大や新サービスの開発を進めると同時に、組織能力強化戦略では更なる成長に向けた基盤作りのための人員とITインフラの強化を推進してまいりました。

好調な契約獲得による取扱高の増加に加えて太陽光発電事業などへの事業投資も積極的に取り組み、当連結会計年度における営業資産残高は、前年に引き続き大幅に増加しました。

その結果、売上高及び売上総利益は増加しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による貸倒引当金を計上したこと等により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも減少しました。

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事業区分別の概況

当期における報告セグメント別の概況は次のとおりです。

リース・割賦事業

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  • 主な事業内容

事務用機器・情報関連機器、医療機器、産業工作機械、計測器等のファイナンス・リース、オペレーティング・リース及び割賦・クレジット(リース取引の満了・中途解約に伴う物件売却等を含む)

リース・割賦事業は、収益性重視の方針のもと、新規契約獲得利回りを改善させつつ営業資産を増加させました。パソコンのOSマイグレーションによる需要や消費増税前の駆け込み需要の後押しもあり、取扱高と営業資産は増加しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による貸倒引当金等が増加しました。その結果、売上高は増加しましたが、セグメント利益は減少しました。

金融サービス事業

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  • 主な事業内容

法人向け融資・業界特化型融資・住宅ローン・マンションローン等の貸付、請求書発行・売掛金回収等の代行サービス、医療・介護報酬ファクタリングサービス及び住宅賃貸事業等

金融サービス事業は、融資や住宅賃貸事業による営業資産の積み上げを進めました。また、集金代行サービスや医療・介護報酬ファクタリングサービスが順調に推移していることから受取手数料も増加しました。その結果、売上高、セグメント利益ともに増加しました。

報告セグメントに含まれない「その他」を加えた全体の概況は以下のとおりです。

【財務目標】

当社では、中期経営計画の最終年度である2020年3月期におきまして、以下の財務目標を目指してまいりました。

本中計期間では、事業成長を目的としているため、稼ぐ力を表す「営業利益」とストックビジネスの将来の利益の源泉である「営業資産残高」を目標としました。

本中計策定時のそれぞれの目標は以下の通りです。

イ.営業利益 183億円

ロ.営業資産残高(リース債権流動化控除前) 9,000億円

また、投下資本全体の運用効率・収益性を測る指標である「ROA」を中期的目標として、以下を目指してまいりました。

ハ.ROA(総資産当期純利益率) 
1.30%

直前3事業年度の財産及び損益の状況

企業集団の財産及び損益の状況の推移

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対処すべき課題

わが国の経済は、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の急速拡大により、国内のみならず世界中が深刻な影響を受けており、先行きは不透明な状況が続くものと見込まれます。当社の収益環境も、設備投資の抑制による取扱高の減少や企業倒産の増加懸念により、厳しい状況が続くものと認識しております。

さらに少子高齢化や生産年齢人口割合の低下など人口動態の変化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化やAI、IoT、5G、フィンテックなどの技術革新の進展により、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化することが予想されます。

こうした環境下、当社グループは、2020年度から始まる3ヵ年の中期経営計画を策定し、「循環創造企業へ」という新ビジョンのもと、事業ドメインを再定義しました。「E:環境循環」、「S:ソーシャル&コミュニティ」、「G:ビジネス&ガバナンス」の3つの事業ドメインにおいて、事業成長戦略を推進し、組織能力強化戦略により事業基盤を強化することで更なる企業価値の向上を目指します。

①中長期ビジョン:循環創造企業へ

「個を中心に据えた経営」で環境・社会・経済における良い循環を創造し豊かな未来への架け橋となる

②中期経営計画の戦略

Ⅰ.事業成長戦略

  • ベンダーリースの更なる進化と顧客提供価値の強化
  • ベンダー支援機能の更なる充実とお客様向けポータル構築による提供価値を強化します。また、資産の更なる優良化のための施策を展開します。

  • 安心・安全・快適な「住まう」、「暮らす」環境の創造
  • 住宅賃貸事業プラス周辺サービスによる地域社会再生への貢献、外部環境に合わせた多様なローンの提供及びヘルスケア&ウェルネス分野のソリューション営業を強化します。

  • 環境循環に根ざしたクリーンな地球環境への貢献
  • 再生可能エネルギー分野へのファイナンス提供と発電事業投資を行い、環境循環・環境負荷低減に資する3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進めます。

  • 新たな事業領域の開拓とビジネスモデルの創造
  • ファイナンス手法の多様化による新分野の開拓、出資先・提携先との協働による新規ビジネスの創出を進めます。また、「E・S・G」にフォーカスした事業投資や海外へのチャレンジに取り組みます。

  • レンタル事業の再構築
  • リコーグループとの協業によるレンタル事業とICT分野の取り組みを拡大し、新しいレンタルサービスを展開します。

  • アセットに拠らないビジネスの拡大
  • 既存商品での新分野開拓を強化するとともに、社会・お客様の期待や要望に応えるサービスを開発していきます。

  • みずほリースとの提携による事業拡大
  • 既存事業の強化及び新たな事業機会を創出します。

Ⅱ.組織能力強化戦略

  • 高品質・高効率化を追求する基幹システム及び業務体制の構築
  • 新基幹システムを構築し、審査・与信機能改革(仕組みとAI活用)を行なうとともに、標準化・自動化による業務効率の推進と品質の改善を進めます。

  • 社員の幸福を会社業績拡大につなげる人財マネジメント
  • 社員の幸福(ハピネス)向上のための施策の展開やダイバーシティ&インクルージョンの継続を推進し、事業成長実現のための人材獲得と育成を行います。

  • ガバナンス強化
  • 企業価値向上のための施策を展開し、内部統制・内部監査の充実を図ります。

Ⅲ.サステナブル経営の推進

SDGsコミットメントの実行によるCSVの実現を目指します。

連結業績予想は、以下のとおりです。

中期経営計画の財務目標について

新型コロナウイルス感染症の拡大は、国内外を問わず収束の見込みが立っておらず、感染症のさらなる拡大及び経済活動への影響の長期化が懸念されていることから、その影響を捉えきることは困難な状況です。

そのため、中期経営計画の財務目標については、影響を把握できるまで非公表とさせていただきます。

(注)

上記2021年3月期業績予想は、現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は、様々な要因により異なる場合があることをご承知おきください。

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連結計算書類