事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

当期における当社グループの事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が第5波、第6波と断続的に拡大し、一部では持ち直しの動きがあったものの、経済活動を制限される状況が長期化しました。加えて半導体不足やサプライチェーンのリスクが顕在化したことにより、企業の設備投資においては厳しい状況が継続しました。

リース業界において、2021年度のリース取扱高は、前年同期比で8.1%減少し、4兆1,811億円となりました。(公益社団法人リース事業協会統計)

このような状況のなか、当社グループにおいては、2020年度よりスタートさせた3ヵ年中期経営計画(中計)の2年目として、中計で定めた事業成長戦略及び組織能力強化戦略を遂行してまいりました。中長期ビジョン『循環創造企業へ』実現に向け、新たに定義したESGの事業ドメインの下、事業成長戦略の遂行により事業の拡大に取り組んでまいりました。

その結果、売上高は減少しましたが、資産利回りの改善に加え、レンタル分野の伸長等により、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加しました。

事業区分別の概況

当期における報告セグメント別の概況は次のとおりです。

リース&ファイナンス事業

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  • 主な事業内容

事務用・情報関連機器、医療機器、産業工作機械、計測器等のファイナンス・リース、オペレーティング・リース、割賦・クレジット(賃貸取引の満了・中途解約に伴う物件売却等を含む)
法人向け融資・業界特化型融資・マンションローン等の貸付等

リース&ファイナンス事業は、収益性重視の方針の下、新規契約獲得利回りの改善が継続しました。
新型コロナウイルス感染症、半導体不足の影響などによる取扱高の減少によりリース・割賦の営業資産は減少したものの、マンションローンや仕組融資への注力により融資が伸長し、営業資産は増加しました。また、販売費及び一般管理費の増加を、利回りの改善やレンタル分野の伸長による売上総利益の増加により吸収し、セグメント利益は増加しました。

サービス事業

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  • 主な事業内容

請求書発行・売掛金回収等の代行サービス、医療・介護報酬ファクタリングサービス

サービス事業は、集金代行サービスにおいては、コロナ禍における非対面・非接触のニーズから、家賃や診療費等の請求に関する取扱件数が継続して増加した結果、全体としても取扱件数は堅調に増加しました。医療・介護報酬ファクタリングサービスにおいては、公的支援等の充実による解約申請が発生し取扱高は減少しました。また、当連結会計年度より、前連結会計年度に子会社化したエンプラス株式会社の業績を連結業績に反映しております。その結果、売上高は増加しましたが、セグメント利益は減少しました。

インベストメント事業

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  • 主な事業内容

太陽光発電、住宅賃貸・不動産関連

インベストメント事業は、太陽光発電においては、セカンダリー案件、自家消費モデル等への事業投資の実行により、営業資産を積み上げました。住宅賃貸・不動産関連においては、アセットや条件面を厳選し、ファイナンス手法の多様化を図りながら事業投資を実行した結果、営業資産は着実に増加しました。その結果、売上高、セグメント利益ともに増加しました。

【セグメント別売上高及びセグメント利益】

(単位:百万円)

【セグメント別営業取扱高・事業投資額】

(単位:百万円)

【セグメント別営業資産残高】

(単位:百万円)

(注)割賦は、割賦債権から割賦未実現利益を控除した数値で記載しています。

【財務目標】

当社では、中期経営計画の最終年度である2023年3月期において、以下の財務目標の達成を目指しております。

本中計期間では、事業成長を目的としているため、稼ぐ力を表す「営業利益」とストックビジネスの将来の利益の源泉である「営業資産残高」を目標に置いております。これに加え、投下資本全体、及び株主資本の運用効率・収益性を測る指標である「ROA」及び「ROE」を中長期目標として置いております。

それぞれの指標の目標は以下のとおりです。

  • イ.営業利益                   
    200億円
  • ロ.営業資産残高(リース債権流動化控除前)   
    12,000億円
  • ハ.ROA(総資産当期純利益率)        
    1.1%以上
  • ニ.ROE(自己資本利益率)          
    6.7%以上

直前3事業年度の財産及び損益の状況

企業集団の財産及び損益の状況の推移

(注)連結1株当たり当期純利益は、自己株式数を控除した期中平均株式数より算出し、連結1株当たり純資産は、連結純資産から非支配株主持分を控除した自己資本と、自己株式数を控除した期末発行済株式数により算出しています。

対処すべき課題

わが国の経済は、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の断続的な感染拡大により深刻な影響を受けてまいりました。2022年度においては新型コロナウイルス感染症の影響に加え、当連結会計年度より顕在化した半導体不足や部品の調達難が継続するものと見込まれる一方、企業の設備投資については一部で先送りにしていた投資の再開などの動きもあり、徐々に回復するものと予想されます。当社グループの収益環境も、設備投資の再開に合わせ、事業機会の増加が見込まれるものと認識しております。

さらに少子高齢化や生産年齢人口割合の低下など人口動態の変化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化、またAI、IoT、5G、フィンテックなどの技術革新の進展により、当社グループを取り巻く事業環境は今後も大きく変化することが予想されます。

こうした環境下、当社グループは、2020年度より3ヵ年の中期経営計画をスタートさせており、『循環創造企業へ』という中長期ビジョンのもと、「E:環境循環」、「S:ソーシャル&コミュニティ」、「G:ビジネス&ガバナンス」の3つの事業ドメインにおいて、事業成長戦略を推進し、組織能力強化戦略により事業基盤を強化することで更なる企業価値の向上を目指します。

  • 中長期ビジョン:『循環創造企業へ』
    「個を中心に据えた経営」で環境・社会・経済における良い循環を創造し豊かな未来への架け橋となる
  • 中期経営計画の戦略

    • Ⅰ.事業成長戦略
      • 1.ベンダーリースの更なる進化と顧客提供価値の強化
        ベンダー支援機能の更なる充実とお客様向けポータル構築による提供価値を強化します。また、資産の更なる優良化のための施策を展開します。
      • 2.安心・安全・快適な「住まう」、「暮らす」環境の創造
        住宅賃貸事業プラス周辺サービスによる地域社会再生への貢献、外部環境に合わせた多様なローンの提供及びヘルスケア&ウェルネス分野のソリューション営業を強化します。
      • 3.環境循環に根ざしたクリーンな地球環境への貢献
        再生可能エネルギー分野へのファイナンス提供と発電事業投資を行い、環境循環・環境負荷低減に資する3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進めます。
      • 4.新たな事業領域の開拓とビジネスモデルの創造
        ファイナンス手法の多様化による新分野の開拓、出資先・提携先との協働による新規ビジネスの創出を進めます。また、「E・S・G」にフォーカスした事業投資や海外へのチャレンジに取り組みます。
      • 5.レンタル事業の再構築
        リコーグループとの協業によるレンタル事業とICT分野の取り組みを拡大し、新しいレンタルサービスを展開します。
      • 6.アセットに拠らないビジネスの拡大
        既存商品での新分野開拓を強化するとともに、社会・お客様の期待や要望に応えるサービスを開発していきます。
      • 7.みずほリースとの提携による事業拡大
        既存事業の強化及び新たな事業機会を創出します。
    • Ⅱ.組織能力強化戦略
      • 1.高品質・高効率化を追求する基幹システム及び業務体制の構築
        新基幹システムを構築し、審査・与信機能改革(仕組みとAI活用)を行なうとともに、標準化・自動化による業務効率の推進と品質の改善を進めます。
      • 2.社員の幸福を会社業績拡大につなげる人財マネジメント
        社員の幸福(ハピネス)向上のための施策の展開やダイバーシティ&インクルージョンの継続を推進し、事業成長実現のための人材獲得と育成を行います。
      • 3.ガバナンス強化
        企業価値向上のための施策を展開し、内部統制・内部監査の充実を図ります。

連結業績予想、中期経営計画の財務目標は、以下のとおりです。

連結業績予想

中期経営計画の財務目標

(注)上記2023年3月期業績予想は、現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は、様々な要因により大きく異なる場合があることをご承知おきください。

連結計算書類