事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果

(1) 全般の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、一時的に持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。また、2022年3月16日に発生した福島県沖地震の影響により、東北新幹線が車両・設備等に被害を受け、一部区間は運転休止を余儀なくされました。皆さまにご不便をおかけしましたが、関係者が一体となり復旧作業を進めた結果、4月14日より全線で運転を再開しています。

このような状況の中、当社グループは、お客さまや社員等の感染防止対策の徹底と、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。また、2020年9月に発表したポストコロナ社会に向けた対応方針である「変革のスピードアップ」のもと、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」および「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速しました。

当連結会計年度の決算につきましては、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響による減収の反動や、不動産事業における回転型ビジネスモデルによる売上計上で増収となったことなどにより、営業収益は前期比12.1%増の1兆9,789億円となりました。また、これに伴って営業損失は1,539億円(前期は営業損失5,203億円)、経常損失は1,795億円(前期は経常損失5,797億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は949億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失5,779億円)となりました。

当期の業績
①「安全」がトッププライオリティ

「グループ安全計画2023」のもと、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。

(具体的な取組み)
  • ・2021年2月に発生した福島県沖地震の被害状況を踏まえ、新幹線高架橋上コンクリート製電化柱の地震対策をスピードアップ
  • ・新幹線区間の盛土・切取のり面および自然斜面のうち、記録的な大雨などにより土砂災害が発生する恐れのある約200箇所の対策工事を2021年度から2023年度まで実施
  • ・ホームドアの設置工事を推進し、当連結会計年度末までに80駅(線区単位では92駅)の整備を完了
  • ・台車の信頼性確認と耐久性評価のため、2024年夏頃の使用開始に向けて、JR東日本研究開発センターに新たな台車性能・耐久試験装置を導入する準備を推進
  • ・緊急時における駅社員・乗務員等の対応能力向上に向けて、テロ事件や津波等を想定した教育・訓練を実施するとともに、車両に護身用具を搭載

新幹線区間における盛土・切取のり面の降雨防災対策

列車内暴漢対応訓練

②収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)

鉄道事業を取り巻く環境が厳しさを増す一方で、ライフスタイルの多様化を大きなチャンスと捉え、成長・イノベーション戦略を再構築し、グループの強みであるリアルなネットワークとデジタルを掛け合わせ、「新しい暮らしの提案」や「新領域への挑戦」に取り組みました。

(具体的な取組み)
  • ・「東北デスティネーションキャンペーン」を2021年4月から6か月間実施して東北6県の魅力を発信するとともに、キャンペーン終了後の秋冬についてもプロモーションを継続して実施
  • ・2022年1月から「新幹線YEAR2022」キャンペーンを開始し、新幹線の未来感を表現したCG動画などでプロモーションを展開
  • ・㈱総合車両製作所がフィリピン南北通勤鉄道の延伸事業向けに鉄道車両304両を受注し、2022年3月に契約締結
  • ・2021年4月にJR東日本不動産投資顧問㈱を設立し、アセットマネジメント事業を通じて不動産事業を強化
  • ・駅空間に「JRE MALL」のショールーミング拠点を設置するとともに、オンライン接客販売などを実施
  • ・列車による荷物輸送サービスの名称を「はこビュン」と決定し、取扱荷物量を拡大するなど新たなビジネスとして本格的に展開
  • ・シェアオフィス事業「STATION WORK」について、西日本旅客鉄道㈱の駅構内に「STATION BOOTH」を導入するなど、当連結会計年度末までに503箇所へ拡大
  • ・2021年8月に㈱HIKKYとXR(空間拡張技術)領域での業務提携契約を締結し、2022年3月に世界初のメタバース・ステーション「Virtual AKIBA World」をオープン
  • ・ビューカードの利用で、より多く「JRE POINT」が貯まる「VIEWプラス」のサービスを2021年7月に改定し、「えきねっと」等のポイント付与率を向上

「新幹線YEAR2022」キャンペーン(仙台駅)

列車による荷物輸送サービス「はこビュン」

STATION DESK 東京 premium

③経営体質の抜本的強化(構造改革)

新技術を活用し、スマートメンテナンスをはじめとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに加速させ、生産性向上に取り組むとともに、グループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」、「働き方改革」、「職場改革」の3つの改革を進めました。

(具体的な取組み)
  • ・2021年11月に相模線、2022年3月に宇都宮線、日光線に新型車両E131系を投入し、八高線、川越線とともに2022年3月からワンマン運転を開始
  • ・電気・軌道総合検測車(East-i)に搭載したカメラとAIを活用して、2021年11月から架線設備の良否を自動判定する「架線設備モニタリング」、12月から上越新幹線の散水消雪設備の残雪を画像解析により検知する「残雪検知システム」を導入
  • ・気仙沼線BRT(柳津~陸前横山間)で自動運転レベル3をめざして実証実験を実施し、2021年9月に自動運転を体験できる試乗会を開催
  • ・2021年10月に上越新幹線(新潟駅〜新潟新幹線車両センター間)、2022年2月に山手線の営業時間帯において、自動運転導入に向けた試験を実施
  • ・小型ドローンを用いて点群データ等を取得し建設工事や設備の維持管理に活用することをめざして、2021年7月にJR東日本スタートアップ㈱およびJR東日本コンサルタンツ㈱等でCalTa㈱を設立
  • ・ソナス㈱と協業して、2021年11月から鉄道インフラ向け電化柱傾斜監視システムを導入
  • ・駅の価値最大化を目的に、2021年4月に㈱JR東日本リテールネット、㈱JR東日本フーズ、㈱JR東日本ウォータービジネスおよび㈱鉄道会館を合併し、㈱JR東日本クロスステーションを設立
  • ・新型コロナウイルスワクチン職域接種を2021年6月から開始
  • ・グループ会社における副業を2021年7月から開始

気仙沼線BRTにおける自動運転バス試乗会の実施

小型ドローンによる点群・3D画像データ取得

④ESG経営の実践

2050年度までに当社グループ全体のCO₂排出量「実質ゼロ」に向けて、省エネ設備の導入や再生可能エネルギー開発を推進しました。また、地域との共創を通じた地方創生の実現をめざすとともに、「東京2020 オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として大会期間を通して安全・安定輸送を提供しました。

(具体的な取組み)
  • ・JR東日本グループ「ゼロカーボン・チャレンジ2050」について、新たに2030 年度までの当社グループ全体のCO₂排出量削減目標を2013 年度比▲50%に設定するとともに、社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)の適用範囲を拡大
  • ・再生可能エネルギーの開発を推進し、2021年4月に市貝太陽光発電所(栃木)、11月に大子太陽光発電所(茨城)および2022年3月に野辺地柴崎風力発電所(青森)を稼働
  • ・川崎火力発電所1号機の更新工事が完了し2021年6月から運転開始となり、天然ガスを燃料とした高効率な設備によりCO₂排出量を低減
  • ・2022年3月より、南武線(川崎~登戸間)、鶴見線および南武線尻手支線において、水素をエネルギー源とした水素ハイブリッド電車「HYBARI」の実証試験を開始
  • ・古民家を活用した「沿線まるごとホテル」の事業展開に向けて、2021年12月に沿線まるごと㈱に出資
  • ・東京 2020 大会中における鉄道のセキュリティ強化に向け、危険物探知犬や不審者・不審物検知機能を有した防犯カメラを活用した手荷物検査を実施したほか、警備業務にウェアラブルカメラを導入
  • ・2021年6月の東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード改訂に伴い、11月に当社のコーポレートガバナンス・ガイドラインを改訂
  • ・2022年4月から開始する東京証券取引所における新市場区分において、2021年11月に「プライム市場」を選択申請し、「プライム市場」への移行が決定

市貝太陽光発電所

川崎発電所(火力発電所)

セグメント別の状況

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運輸事業では、新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底と、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。

(具体的な取組み)

  • ・2021年6月に「えきねっと」をリニューアルし、「JRE POINT」との連携や割引きっぷの予約・購入への対応などを実施するとともに、2022年3月から「Googleマップ」に「えきねっと」へのリンクが表示されるサービスを開始
  • ・車いす用フリースペースを設置した北陸新幹線E7系を、2021年7月から導入
  • ・Suica定期券でオフピーク通勤されるお客さま向けの「オフピークポイントサービス」について、利用のさらなる拡大に向けた取組みを推進
  • ・スノーレジャーの需要を喚起するため、「JR SKISKI」30 周年を記念したキャンペーンを実施
  • ・2021年12月に品川駅山手線外回りと京浜東北線北行を同一ホーム化し、乗換利便性の向上を図るとともに山手線ホームの混雑を緩和
  • ・2022年3月に新幹線・特急列車のグリーン料金を改定するとともに、山形新幹線を全車指定席化
  • ・2022年3月から仙石線、磐越西線、小海線などの一部の駅で、乗務員が携帯スロープを用いて、車いすをご利用のお客さまの乗降をお手伝いする取組みを実施

この結果、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響による減収の反動で、運輸収入が増加したことなどにより、売上高は前期比15.8%増の1兆3,328億円となり、営業損失は2,853億円(前期は営業損失5,485億円)となりました。

北陸新幹線E7系の車いす用フリースペース(一部列車で設置)

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流通・サービス事業では、駅を交通の拠点からヒト・モノ・コトがつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Stations構想」などを推進しました。

(具体的な取組み)

  • ・「KINOKUNIYA」の新店舗を、2021年5月に広島、11月に名古屋および2022年3月に大阪で開業
  • ・「エキュートエディション」の新店舗を、2021年7月に飯田橋駅、2022年3月に新橋駅で全面開業
  • ・コーヒー、駅そばおよびシェアオフィスをサブスクリプション方式で利用できる「JREパスポート」のトライアルを2021年7月から9月まで実施し、2022年4月からの本格展開に向けた準備を推進
  • ・2021年10月から「JRE MALL」において、地域での飲食や買い物等に利用できる電子チケット「エキトマチケット」を販売
  • ・対面(リアル)および非対面(オンライン)で複数の診療科による総合的な受診ができるハイブリッドクリニックを、2022年4月に中央線西国分寺駅ホーム上で開業する準備を推進

この結果、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響による減収の反動で、駅構内店舗の売上が増加したものの、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日、以下「収益認識会計基準」という。)の適用の影響などにより、売上高は前期比17.8%減の3,122億円となり、営業利益は前期比440.3%増の141億円となりました。

エキュートエディション新橋

スマート健康ステーション

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不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進し、地域とともに街の魅力を高めました。

(具体的な取組み)

  • ・2021年5月に、オフィス・商業・ホテルからなる大規模複合開発ビル「KAWASAKI DELTA」(神奈川)を全面開業
  • ・2021年5月に、「ホテルメトロポリタン 秋田 ノースウイング」を開業
  • ・2021年8月に、JR東日本グループとしてホテルの海外初出店となる「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」(台湾)を開業
  • ・ワクチン接種済証の提示で「ホテル共通利用券」をプレゼントするキャンペーンを、2021年7月から日本ホテル㈱で実施
  • ・2021年12月に不動産事業における回転型ビジネスモデルを開始し、当社が保有する不動産の流動化を実施
  • ・㈱西武ホールディングスとの包括的連携の一環として、日本ホテル㈱が「横浜・八景島シーパラダイス」および「西武園ゆうえんち」の入園チケット付き宿泊プランを販売
  • ・賃貸住宅・分譲住宅・オフィスの3棟からなる複合型まちづくり街区「MEGURO MARC」(東京)において、オフィス棟「JR目黒MARCビル」が2022年3月に竣工

この結果、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響による減収の反動で駅ビルの売上が増加したことや、オフィスビルの賃貸収入が増加したことに加え、不動産事業における回転型ビジネスモデルによる売上を計上したことなどにより、売上高は前期比28.9%増の3,756億円となり、営業利益は前期比611.3%増の1,078億円となりました。

ホテルメトロポリタン プレミア 台北

JR目黒MARCビル

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その他の事業では、Suicaの利用シーンのさらなる拡大と、シームレスでストレスフリーな移動を実現する「MaaSプラットフォーム」の拡充などに取り組みました。

(具体的な取組み)

  • ・Suicaの共通基盤化を推進した結果、当連結会計年度末までにSuicaの発行枚数は約8,964万枚、「モバイルSuica」の発行数は約1,661万枚、Suica電子マネーの利用可能店舗数は約132万店に到達
  • ・Suicaサービス開始20周年にあわせて、2021年11月から記念キャンペーンを実施
  • ・地方におけるSuicaの利用基盤拡大に向けて、バス定期券等の地域独自サービスとSuicaサービスを1枚でご利用いただける地域連携ICカードを、当連結会計年度末までに9エリアに拡大
  • ・まちづくりや地域活性化への活用をめざして、Suica統計情報の定型レポート「駅カルテ」を作成し、2022年5月から販売開始する準備を推進
  • ・東北6県や軽井沢で地域・観光型MaaSを展開するとともに、2021年11月から当社外でも活用可能な地域・観光型MaaSパッケージ「Tabi-CONNECT」を稼働
  • ・通信事業者向けインフラシェアビジネスの拡大を図るため、駅構内などに5G基地局の整備を推進し、当連結会計年度末までに累計19箇所に設置

しかしながら、ICカード事業関連の売上の減少や、収益認識会計基準の適用の影響などにより、売上高は前期比14.4%減の2,084億円となり、営業利益は前期比21.1%減の116億円となりました。

「Suica20周年」ロゴ

地域連携ICカード「totra」

セグメント別の業績の状況

当社グループにおけるセグメント別の業績の状況は、次のとおりです。

(注)  当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益又は損失について、各セグメントの営業利益又は営業損失としております。

対処すべき課題

① 経営の基本方針(グループ理念)

〇私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。

〇技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。

② 今後の経営環境の変化

わが国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けており、今後、お客さまのご利用は着実に回復していくと想定していますが、ライフスタイルの変容により、その水準は感染症拡大以前には戻らないと考えられます。また、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等のリスクが懸念されます。

中長期的には、より一層の人口減少や高齢化の進展が見込まれるとともに、自動運転等の技術革新やグローバル化の変容など、経営環境が大きく変化していくことが想定されます。

加えて、当社グループは、会社発足から30年以上が経過し、鉄道のシステムチェンジや社員の急速な世代交代など、様々な変革課題に直面しております。

③ 中期的な会社の経営戦略

グループ経営ビジョン「変革 2027」において、将来の環境変化を先取りした経営を進めてきましたが、今後もお客さまのご利用は以前の水準には戻らないという考えのもと、2020年9月にポストコロナ社会に向けた対応方針である「変革のスピードアップ」を発表しました。今後、様々な取組みのレベルとスピードを上げ、「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速させていきます。

私たちの強みであるリアルなネットワークとデジタルを掛け合わせ、「ヒト起点」の発想で鉄道を中心としたビジネスモデルを進化させ、構造改革を推進することにより、サステナブルなJR東日本グループをめざします。

輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの3つのサービスの融合により、グループの力を最大化し新たな価値を生み出すことで、2025年度には運輸事業セグメントとそれ以外のセグメントの営業収益の比率を「6:4」にしていきます。引き続き、成長分野に経営資源を重点的に振り向け、「5:5」の早期実現をめざします。

④ 目標とする経営数値

経営環境の急激な変化を踏まえ、2021年1月に2025年度をターゲットとした数値目標を設定しており、今後も目標達成に向けてグループ一体となって取り組んでまいります。

⑤ 「変革 2027」実現に向けた具体的な取組み

グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けて、「安全」は引き続き経営のトッププライオリティと位置づけ、「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」、「経営体質の抜本的強化(構造改革)」および「ESG経営の実践」に取り組んでまいります。

○ 「安全」がトッププライオリティ

安全・安定輸送に磨きをかけ、当社グループのすべての基盤であるお客さまや地域の皆さまからの「信頼」を高めます。また、社員一人ひとりが仕事の本質を理解してリスクに対して主体的に対処するとともに、昨今の自然災害の激甚化も踏まえた災害リスクの減少に取り組みます。これにより、重大事故に至るリスクを極小化し、「お客さまの死傷事故ゼロ、社員の死亡事故ゼロ」の実現をめざします。

また、今後は、国により創設された鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、ホームドア等の整備を拡大・加速していきます。

津波等を想定した駅社員・乗務員の訓練

○ 収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)

旅行気運・移動需要を喚起して鉄道事業のご利用を回復させるとともに、ライフスタイルの変化に対応した新しい商品・サービスを展開し、当社グループの持つ強みを活かして積極的に新領域へ挑戦します。

グループ一体となった「鉄道開業150年」事業の展開、「Beyond Stations構想」として駅のショールーミング化や「JRE MALL」商品の受取拠点化等の推進に取り組みます。また、「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」の2025年度中の全面開業に向けてまちづくりを推進するとともに、グループの総合力を発揮して持続可能な国際事業の展開などに取り組みます。

高輪ゲートウェイシティ(仮称)(イメージ)

○ 経営体質の抜本的強化(構造改革)

鉄道事業のオペレーションコスト削減を推進するなど、柔軟なコスト構造をめざすとともに、新技術の活用、設備のスリム化、仕事の仕組みの見直しを徹底し、構造改革に取り組みます。

運賃制度や列車ダイヤといった事業運営の基本となる事項について、ご利用状況等を踏まえ、より柔軟な運用に向けて検討を行うとともに、地方ローカル線については、沿線自治体等と持続可能な交通体系の構築に向けた協議を進めます。

また、急速なスピードで変化する経営環境に柔軟に対応し、一人ひとりの社員の働きがいの向上と生産性向上による経営体質の強化を図るため、2022年6月以降、当社の組織を改正します。権限移譲および系統間や現業機関と企画部門の融合を進め、お客さまに近い場所でスピーディーな価値創造・課題解決に取り組みます。

山手線E235系の自動運転導入に向けた試験

○ 「ESG経営」の実践

環境、社会、企業統治の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進します。

環境については、JR東日本グループ「ゼロカーボン・チャレンジ2050」に向けて、2030年度までに東北エリアにおけるCO₂排出量「実質ゼロ」をめざします。また、地方創生については、新駅開業や地方中核駅を中心としたまちづくり、6次産業化による地域経済の活性化などに取り組みます。さらに、内部統制については、グループの価値を向上させる観点での幅広いリスクマネジメントの考え方をとり入れ、社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進していきます。

水素ハイブリッド電車「HYBARI」

連結計算書類