事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、行動制限の緩和によりサービス業を中心とした個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復が見られ、景気は緩やかな回復基調にありました。一方で、人手不足による供給制約、物価上昇による消費者マインドの悪化、国際情勢の経済への影響などが景気回復の減速要因として懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移しております。

貨物自動車運送業界におきましては、原油価格など高いコスト水準のなか、海外のサプライチェーンの混乱や物価上昇などによる景気回復の遅れもあり、企業間物流の貨物輸送量が低迷するなど、厳しい状況で推移しております。また、働き方改革関連法によって2024年4月以降、自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用されることから発生する問題(以下、2024年問題という。)を背景に、荷主企業において物流再編などの動きが強くなってきており、運送事業者は安定的な輸送を継続するためにより一層の企業努力が求められる経営環境にあります。

このような状況のもと当社グループにおきましては、3PL拠点となる倉庫機能を有した流通センターの開設やお客様の物流を海外から受託する複合一貫輸送サービスの営業を強化するなど、貨物輸送量の増加に取り組んでまいりました。一方、ドライバー不足がより一層深刻化するなか、安定的な輸送サービスを提供し、かつ環境負荷低減にも貢献するため、ダブル連結トラックの認可を20コースに拡大するなど、効率的な輸送体制の構築に努めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,933億58百万円(前期比0.7%増)、営業利益は213億75百万円(前期比3.2%減)、経常利益は229億85百万円(前期比0.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は207億91百万円(前期比24.0%増)となりました。

事業区分別の概況

これらを事業別に見た事業の概要は、次のとおりであります。

売上高
前期比 %減
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

運送事業におきましては、昨年4月に岐阜かに支店(岐阜県)、3月に東かがわ営業所(香川県)を開設し、輸送品質向上のための集配拠点整備に努めてまいりました。また、9月に日本郵便株式会社と運送業務委託契約を締結し、配達業務を委託することで拡大するEC市場への参入を開始しましたが、円安などによる仕入価格の上昇や高インフレによる商品の買い控えなどの景気回復の下押し要因もあり貨物輸送量は低調に推移いたしました。なお、2024年問題や環境問題への対応、エネルギー価格高騰などのコストアップ要因が強まるなか、輸送品質の維持・向上を目的とし、2023年4月1日からの届出運賃の改定を公表しております。

以上の結果、売上高は2,529億45百万円(前期比0.6%減)、営業利益は201億16百万円(前期比3.3%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

流通加工事業におきましては、多様化するお客様ニーズにお応えするため、大型物流施設となる岐阜かに支店を開設するなど、3PL拠点を拡大してまいりました。また、既存施設の稼働率向上、加工業務の拡大による収益の確保に取り組むとともに、庫内作業における人件費、光熱費等の高騰を背景に作業料金の改定にも努めてまいりました。

以上の結果、売上高は211億4百万円(前期比6.6%増)、営業利益は34億64百万円(前期比3.2%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

国際事業におきましては、通関取扱件数は低調に推移いたしましたが、海上コンテナ取扱量の増加と上期までの海上運賃の高騰により増収となりました。

以上の結果、売上高は126億60百万円(前期比16.5%増)、営業利益は6億12百万円(前期比14.3%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

その他事業におきましては、行動制限の緩和により国内外の団体旅行が回復し、商品販売事業が堅調に推移いたしました。

以上の結果、売上高は66億47百万円(前期比6.5%増)、営業利益は14億75百万円(前期比9.4%減)となりました。

企業集団の財産及び損益の状況の推移

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、コロナ禍による経済社会活動への制約が概ね解消され、景気は緩やかな回復基調にありますが、エネルギー価格や物価上昇等による下振れ懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

貨物自動車運送業界におきましては、慢性的な労働力不足に加え2024年問題、環境問題、安全対策など対応すべき課題は多岐にわたり、依然として厳しい経営環境が続くものと懸念されます。

こうしたなか当社グループにおきましては、引き続き企業間物流における輸送品質と生産性の向上に努めるとともに、25mダブル連結トラックや専用ブロックトレイン、長距離フェリーの活用など、輸送モードの多様化による効率化を一層図るとともに、環境を意識した経営に取り組んでまいります。

連結計算書類