事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
企業集団の現況
事業の経過及び成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和に伴う経済活動の正常化を背景に人の流れが活発化するとともに、インバウンド需要の増加などにより、景気は回復基調にありました。一方、資源高や円安等を背景とした物価上昇などの国内景気への影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
貨物自動車運送業界におきましては、物価上昇などによる消費活動の下押し要因により、荷動きは低調に推移するなか、物流の2024年問題や環境問題などへの対応に加え、人件費や燃料費をはじめとしたコストアップもあり、厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと当社グループにおきましては、倉庫機能を兼ね備えた物流センターの増設により複合一貫輸送サービスを活用した売上の拡大に取り組むとともに、業務形態に対応した職種の新設による採用強化やダブル連結トラックの導入等による自社の輸送力の増強と業務の効率化を図ってまいりました。また、持続可能な輸送サービスの提供の実現に向け、浪速運送株式会社との業務提携、ハコベル株式会社及び株式会社タイミーへの資本参画を行うなどパートナーシップの強化を進め、パートナー企業と協業し安定した輸送体制の構築にも努めるとともに、専用ブロックトレイン「福山レールエクスプレス号」へのモーダルシフトや水素燃料電池トラックや電気小型トラック等の導入による環境負荷の低減にも取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,875億63百万円(前期比2.0%減)、営業利益は104億48百万円(前期比51.1%減)、経常利益は129億73百万円(前期比43.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は78億34百万円(前期比62.3%減)となりました。
事業区分別の概況
これらを事業別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
構成比率 %
(単位:)
運送事業におきましては、昨年9月に千葉八千代支店、11月に北海道北広島支店を新設し、12月に大阪船場支店のリニューアルを行うなど、複合一貫輸送サービスの強化に努めてまいりました。また、共同運行、輸送マッチングシステムとの連携、人材マッチングアプリ活用等のパートナー企業との協業により、輸送力の増強と業務の効率化に取り組んでまいりましたが、物価上昇などによる消費活動の下押し要因もあり、貨物輸送量は低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は2,488億41百万円(前期比1.6%減)、営業利益は102億9百万円(前期比49.2%減)となりました。
構成比率 %
(単位:)
流通加工事業におきましては、新設の千葉八千代支店、北海道北広島支店、大阪船場支店は倉庫機能のさらなる拡充を図るなど、多様化するお客様ニーズに対応した営業強化をすすめてまいりました。また、人件費や光熱費の上昇などのコスト増加要因に対応した料金改定を行ってまいりましたが、取扱量の減少により低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は208億73百万円(前期比1.1%減)、営業利益は29億71百万円(前期比14.2%減)となりました。
構成比率 %
(単位:)
国際事業におきましては、コロナ禍からの回復もあり通関取扱い件数は増加いたしましたが、海上コンテナ不足を起因とした国際物流の混乱が正常化したことに伴い、高騰していた海上運賃も下落傾向となり低調に推移いたしました。なお、7月にASEAN域内での海上貨物の自社での取り扱いを目的に総合物流会社を連結子会社化いたしました。
以上の結果、売上高は107億5百万円(前期比15.4%減)、営業利益は3億7百万円(前期比49.8%減)となりました。
構成比率 %
(単位:)
その他事業におきましては、新たに連結子会社化した事業会社による工事収入の増加や国内外の団体旅行の回復により、商品販売収入が増加いたしました。
以上の結果、売上高は71億43百万円(前期比7.5%増)、営業利益は12億5百万円(前期比18.3%減)となりました。
企業集団の財産及び損益の状況の推移
対処すべき課題
今後の見通しにおきましては、経済活動の正常化や賃上げに伴う国内景気の回復に期待が寄せられるものの、物価上昇などが消費活動の下押し要因となることも懸念されるなど、依然として、先の見通せない状況が続くものと予想されます。
貨物自動車運送業界におきましては、物流の2024年問題に伴う深刻な輸送力不足が想定されており、ドライバーの拘束時間の短縮、休憩時間の確保、長距離輸送や過疎地域への対応力確保、労働時間抑制によるドライバー賃金低下への対応など、対応すべき課題は多岐にわたり、依然として厳しい経営環境が続くものと懸念されます。
こうしたなか当社グループにおきましては、「物流業務の効率化」「輸送能力の確保」「賃金水準向上に向けた適正運賃の収受」に取り組むとともに、専用ブロックトレイン等への積極的なモーダルシフト、水素燃料電池トラックや電気小型トラックなど環境配慮型車両の導入及び物流施設における太陽光発電をはじめとした環境対応型設備の導入を推進し、環境負荷低減への取り組みも強化してまいります。
当社グループは、2024年を初年度とする中期経営計画を策定し、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応し、経営課題をひとつひとつ解決するとともに、お客様の物流における課題解決の支えとなる総合物流ソリューションを提供してまいります。