事業報告(2017年4月1日から2018年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項

(1)事業の経過及びその成果
当期における世界経済は、前期から引き続き世界全体で安定的に拡大する傾向となりました。米国経済は、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費は回復が継続し、企業部門でも生産や輸出の回復が続き、拡大傾向を維持しました。欧州経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く、緩やかな回復が持続しました。中国経済は、良好な雇用・所得環境を受けて個人消費は安定的に拡大し、輸出も世界経済の回復を背景に拡大し、堅調に推移しました。わが国では、良好な雇用・所得環境が継続し個人消費は緩やかな回復を続け、企業部門では国内外の需要回復により、景気回復が継続しました。
海運市況のうち、ドライバルク船市況は、鉱石の荷動きが旺盛になり、南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭の荷動きも概して好調だったため、全体的に前期より上昇した水準で推移しました。原油船市況は、船腹供給が増加する中、老齢船撤退の進捗が遅かったことによる船腹過剰感や、OPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前期の水準を下回りました。コンテナ船については、北米、欧州、南米の各航路において需給環境の改善を背景にスポット運賃市況の回復が見られました。上記のように、一部回復基調も見られましたが、全体としては勢いが鈍く、本格的回復にまでは至りませんでした。
当期の対ドル平均為替レートは、前期比¥2.51/US$円安の¥111.08/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$70/MT上昇しUS$354/MTとなりました。
なお、コンテナ船事業統合会社(Ocean Network Express Pte. Ltd.)設立に伴い、次期以降に同社への貸船に関わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を計上しました。
以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆6,523億円、営業利益226億円、経常利益314億円といずれも前期を上回ったものの、親会社株主に帰属する当期純損益は△473億円となりました。
(2)財産及び損益の状況

(注)
- 売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)、総資産、純資産の金額は、百万円未満を切捨てて表示しております。
- 当社は、2017年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。2014年度の期首に当該株式併合が行われたものと仮定して1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)を算定しております。
各事業別の概況
2017年4月1日付の組織再編に伴い、従来、「不定期専用船事業」、「コンテナ船事業」、「フェリー・内航RORO船事業」及び「関連事業」としておりました事業領域を、「ドライバルク船事業」、「エネルギー輸送事業」、「製品輸送事業」及び「関連事業」に変更しています。2016年度の数値につきましては、2017年度の事業領域に合わせて組替再表示しています。
-
ドライバルク船事業
事業別売上高構成比 詳細はこちら
ドライバルク船事業
主な事業内容
あらゆるドライカーゴ(鉄鉱石や原料炭、穀物、木材、チップ、セメント、肥料、塩など)を運ぶ、ばら積み船や貨物特性に合わせた専用船の保有・運航。
2017年度の概況
- ケープサイズ市況は、上半期は下落が続いたが、夏場以降、旺盛なブラジル積鉄鉱石荷動きを背景に上昇し、堅調に推移。
- パナマックス市況は、特に大豆・とうもろこし等の南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭の荷動きも概ね好調であったため、需給が引き締まり、堅調に推移。
- ハンディマックス船型以下はドライバルク市況の全体的な底上げを受け、概ね堅調に推移。
- ドライバルク船事業全体では、従前に取り組んだ構造改革の効果もあり安定的に利益を確保。
主な取組み
- 国内・海外顧客向け中長期輸送契約を中心とした、新規契約及び延長契約の獲得。(ギニアからのボーキサイト輸送に関する5年契約の新規締結含む)
- LNG燃料ケープサイズバルカー建造に向けた共同研究・検討の継続。
ばら積船「DYNA CRANE」
鉄鋼原料船「AZUL BRISA」 -
エネルギー輸送事業
事業別売上高構成比 詳細はこちら
エネルギー輸送事業
主な事業内容
- 原油タンカー、ナフサやガソリンなどの石油精製品を運ぶプロダクトタンカー、液体化学品を運ぶケミカルタンカーなどの、油送船の保有・運航。
- 液化天然ガスを運ぶLNG船の保有・運航、及びFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)・FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)等の海洋事業の展開。
- 火力発電用の石炭を運ぶ石炭船の保有・運航。
2017年度の概況
●油送船
- 原油船市況は、船腹供給の増加やOPEC加盟国減産の浸透等を背景に需給が緩み、冬場の需要期にも大きな上昇が見られず、年間を通して前期の水準を下回った。
- 石油製品船市況は、新造船竣工や荷動きの低迷により全般に需給は引き締まらず、前期に比べ低調に推移。LPG船市況は、通期では前期と概ね同水準で推移。
- 油送船部門全体では、前期比で減益となったものの、長期契約に基づく安定利益を背景に黒字を計上。
●LNG船・海洋事業
- LNG船部門においては、世界初の砕氷LNG船プロジェクト向け第1船を含む5隻が新たに竣工。既決案件の稼動に伴い安定利益が着実に増加、黒字を計上。
- 海洋事業部門は、既存プロジェクトに加えFPSO1隻、FSRU1隻が新たに稼働し始めたこともあり、安定的に利益を確保。
●石炭船
- 国内石炭火力発電向け荷動きが堅調に推移し、中長期契約船は高稼働を維持。スポット市況改善により短期契約船の採算も改善し、前期比で増益。
主な取組み
●油送船
- 国内外顧客向け新規契約締結。
- プール運航による運航効率の改善と継続的なコスト削減。
●LNG船
- 世界初の砕氷LNG船プロジェクト向け第1船が竣工。ロシア・サベッタ港で初の積荷役を実施。
●海洋事業
- インドで初めての新造FSRU案件(LNG受入ターミナル建設・運営プロジェクト)に参画。
- 世界最大のFSRU“MOL FSRU CHALLENGER”が竣工。トルコ向けFSRUプロジェクトに投入。
FSRU「MOL FSRU CHALLENGER」
VLCC「KIRISHIMA」 -
製品輸送事業
事業別売上高構成比 詳細はこちら
製品輸送事業
うち、コンテナ船事業
主な事業内容
- コンテナ船の保有・運航、コンテナターミナルの運営、航空・海上フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管及び重量物輸送などの「トータル・物流ソリューション」の提供。
- 完成車、建設機械を運ぶ自動車専用船の保有・運航、及び陸送・ターミナル運営等総合的な自動車輸送サービスの展開。
- 主として太平洋沿海及び瀬戸内海でのフェリーの運航による、旅客及び貨物輸送。
2017年度の概況
●コンテナ船
- 北米航路のスポット運賃市況は、荷動きが過去最高のペースで推移する中、年間を通して概ね堅調に推移。
- 欧州航路の荷動きは大幅に回復した一方で、各社大型船の就航もあり、スポット運賃市況は安定して推移。
- 南米東岸航路は、ブラジル経済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇、損益改善に大きく貢献。
- 大型船投入によるスペースの増加を活かすため、春先に精力的に年間契約貨物を確保したことから、北米・欧州航路において夏場以降に上昇したスポット運賃市況の享受は限定的。
- コンテナ船事業全体では、大型船投入の効果等により、前期比で損失が縮小。
●自動車船
- 完成車の荷動きは、北米・アジア・オセアニア向けが引き続き堅調に推移したものの、資源国向けは資源価格の低迷を背景に回復に遅れ。減船・運航効率改善を進め、前期を上回る黒字を計上。
●フェリー・内航RORO船
- トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景としたモーダルシフトの流れの加速により、荷動きは堅調に推移。
- 旅客については、カジュアルクルーズをコンセプトとしたプロモーション活動が奏功し、瀬戸内海航路・南九州航路を中心に堅調に推移。
- 燃料油高や一部フェリーのトラブルによる長期欠航等により、前期比で減益。
主な取組み
●コンテナ船
- 東西航路のアライアンスを再編。2017年4月より、5社による「ザ・アライアンス」にてサービス提供開始。
- 2018年4月サービス開始に向け、邦船3社による定期コンテナ船統合会社「Ocean Network Express Pte. Ltd.」を設立。
- ターミナル事業において、米国オークランドターミナルの拡張工事、2018年5月開業のベトナムラックフェンターミナルの建設等、順調に進捗。
- ロジスティクス事業において、東南アジア、インド、北米等での商圏拡大に努めると共に、当社グループと高いシナジー効果を見込めるタンクコンテナオペレーターへの資本参加を実施。
●自動車船
- 多様化する輸送需要や環境にも対応した、次世代型自動車船「FLEXIEシリーズ」の1番船が竣工。
- 老齢船の減船、グループ会社間の本船・スペース融通等によるトレードパターンの変化に対応した運航効率の改善。
●フェリー・内航RORO船
- 北海道航路における新造フェリー2隻の就航。
- 2018年度就航予定の南九州航路新造フェリー2隻のプロモーション強化。
- 「カジュアルクルーズ」の更なる浸透を狙い、ICTを活用した旅客マーケティングの推進。
コンテナ船「MOL TRUTH」
タン・カン・カイメップ
コンテナターミナル(ベトナム)次世代型自動車船「BELUGA ACE」
フェリー「さんふらわあ さっぽろ」 -
関連事業
事業別売上高構成比 詳細はこちら
関連事業
主な事業内容
不動産事業、客船事業、曳船業、商社事業(燃料・舶用資材・機械販売等)、人材派遣業等。
2017年度の概況
- 客船事業は、にっぽん丸は好調な集客を続けたものの、台風によるクルーズ催行中止等の影響により、前期比で減益。
- 不動産事業は、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル株式会社の売上が増加したこと等により、前期比で増益。
- その他の曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移。
- 関連事業セグメント全体は前期比で増益。
主な取組み
- 客船事業において、株式会社JTB九州(現株式会社JTB)との共同企画による「飛んでクルーズ九州~九州一周~」を催行。
1航海で九州全7県をつなぎ、運輸・観光業界や地元自治体から高い評価を獲得。 - 曳船事業において、LNG燃料タグボートを発注。2019年4月就航予定。
客船「にっぽん丸」
ダイビル本館 - その他
事業別売上高構成比 詳細はこちら
その他
主な事業内容
船舶管理業、金融業、造船業、情報サービス業、経理代行業、海事コンサルティング業等。
2017年度の概況
主として当社グループのコストセンターであるその他事業は、前期比で増益。
-
ドライバルク船事業
主な事業内容
あらゆるドライカーゴ(鉄鉱石や原料炭、穀物、木材、チップ、セメント、肥料、塩など)を運ぶ、ばら積み船や貨物特性に合わせた専用船の保有・運航。
2017年度の概況
- ケープサイズ市況は、上半期は下落が続いたが、夏場以降、旺盛なブラジル積鉄鉱石荷動きを背景に上昇し、堅調に推移。
- パナマックス市況は、特に大豆・とうもろこし等の南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭の荷動きも概ね好調であったため、需給が引き締まり、堅調に推移。
- ハンディマックス船型以下はドライバルク市況の全体的な底上げを受け、概ね堅調に推移。
- ドライバルク船事業全体では、従前に取り組んだ構造改革の効果もあり安定的に利益を確保。
主な取組み
- 国内・海外顧客向け中長期輸送契約を中心とした、新規契約及び延長契約の獲得。(ギニアからのボーキサイト輸送に関する5年契約の新規締結含む)
- LNG燃料ケープサイズバルカー建造に向けた共同研究・検討の継続。
ばら積船「DYNA CRANE」
鉄鋼原料船「AZUL BRISA」 -
エネルギー輸送事業
主な事業内容
- 原油タンカー、ナフサやガソリンなどの石油精製品を運ぶプロダクトタンカー、液体化学品を運ぶケミカルタンカーなどの、油送船の保有・運航。
- 液化天然ガスを運ぶLNG船の保有・運航、及びFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)・FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)等の海洋事業の展開。
- 火力発電用の石炭を運ぶ石炭船の保有・運航。
2017年度の概況
●油送船
- 原油船市況は、船腹供給の増加やOPEC加盟国減産の浸透等を背景に需給が緩み、冬場の需要期にも大きな上昇が見られず、年間を通して前期の水準を下回った。
- 石油製品船市況は、新造船竣工や荷動きの低迷により全般に需給は引き締まらず、前期に比べ低調に推移。LPG船市況は、通期では前期と概ね同水準で推移。
- 油送船部門全体では、前期比で減益となったものの、長期契約に基づく安定利益を背景に黒字を計上。
●LNG船・海洋事業
- LNG船部門においては、世界初の砕氷LNG船プロジェクト向け第1船を含む5隻が新たに竣工。既決案件の稼動に伴い安定利益が着実に増加、黒字を計上。
- 海洋事業部門は、既存プロジェクトに加えFPSO1隻、FSRU1隻が新たに稼働し始めたこともあり、安定的に利益を確保。
●石炭船
- 国内石炭火力発電向け荷動きが堅調に推移し、中長期契約船は高稼働を維持。スポット市況改善により短期契約船の採算も改善し、前期比で増益。
主な取組み
●油送船
- 国内外顧客向け新規契約締結。
- プール運航による運航効率の改善と継続的なコスト削減。
●LNG船
- 世界初の砕氷LNG船プロジェクト向け第1船が竣工。ロシア・サベッタ港で初の積荷役を実施。
●海洋事業
- インドで初めての新造FSRU案件(LNG受入ターミナル建設・運営プロジェクト)に参画。
- 世界最大のFSRU“MOL FSRU CHALLENGER”が竣工。トルコ向けFSRUプロジェクトに投入。
FSRU「MOL FSRU CHALLENGER」
VLCC「KIRISHIMA」 -
製品輸送事業
うち、コンテナ船事業
主な事業内容
- コンテナ船の保有・運航、コンテナターミナルの運営、航空・海上フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管及び重量物輸送などの「トータル・物流ソリューション」の提供。
- 完成車、建設機械を運ぶ自動車専用船の保有・運航、及び陸送・ターミナル運営等総合的な自動車輸送サービスの展開。
- 主として太平洋沿海及び瀬戸内海でのフェリーの運航による、旅客及び貨物輸送。
2017年度の概況
●コンテナ船
- 北米航路のスポット運賃市況は、荷動きが過去最高のペースで推移する中、年間を通して概ね堅調に推移。
- 欧州航路の荷動きは大幅に回復した一方で、各社大型船の就航もあり、スポット運賃市況は安定して推移。
- 南米東岸航路は、ブラジル経済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇、損益改善に大きく貢献。
- 大型船投入によるスペースの増加を活かすため、春先に精力的に年間契約貨物を確保したことから、北米・欧州航路において夏場以降に上昇したスポット運賃市況の享受は限定的。
- コンテナ船事業全体では、大型船投入の効果等により、前期比で損失が縮小。
●自動車船
- 完成車の荷動きは、北米・アジア・オセアニア向けが引き続き堅調に推移したものの、資源国向けは資源価格の低迷を背景に回復に遅れ。減船・運航効率改善を進め、前期を上回る黒字を計上。
●フェリー・内航RORO船
- トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景としたモーダルシフトの流れの加速により、荷動きは堅調に推移。
- 旅客については、カジュアルクルーズをコンセプトとしたプロモーション活動が奏功し、瀬戸内海航路・南九州航路を中心に堅調に推移。
- 燃料油高や一部フェリーのトラブルによる長期欠航等により、前期比で減益。
主な取組み
●コンテナ船
- 東西航路のアライアンスを再編。2017年4月より、5社による「ザ・アライアンス」にてサービス提供開始。
- 2018年4月サービス開始に向け、邦船3社による定期コンテナ船統合会社「Ocean Network Express Pte. Ltd.」を設立。
- ターミナル事業において、米国オークランドターミナルの拡張工事、2018年5月開業のベトナムラックフェンターミナルの建設等、順調に進捗。
- ロジスティクス事業において、東南アジア、インド、北米等での商圏拡大に努めると共に、当社グループと高いシナジー効果を見込めるタンクコンテナオペレーターへの資本参加を実施。
●自動車船
- 多様化する輸送需要や環境にも対応した、次世代型自動車船「FLEXIEシリーズ」の1番船が竣工。
- 老齢船の減船、グループ会社間の本船・スペース融通等によるトレードパターンの変化に対応した運航効率の改善。
●フェリー・内航RORO船
- 北海道航路における新造フェリー2隻の就航。
- 2018年度就航予定の南九州航路新造フェリー2隻のプロモーション強化。
- 「カジュアルクルーズ」の更なる浸透を狙い、ICTを活用した旅客マーケティングの推進。
コンテナ船「MOL TRUTH」 タン・カン・カイメップ
コンテナターミナル(ベトナム)次世代型自動車船「BELUGA ACE」 フェリー「さんふらわあ さっぽろ」 -
関連事業
主な事業内容
不動産事業、客船事業、曳船業、商社事業(燃料・舶用資材・機械販売等)、人材派遣業等。
2017年度の概況
- 客船事業は、にっぽん丸は好調な集客を続けたものの、台風によるクルーズ催行中止等の影響により、前期比で減益。
- 不動産事業は、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル株式会社の売上が増加したこと等により、前期比で増益。
- その他の曳船や商社等の業績も総じて堅調に推移。
- 関連事業セグメント全体は前期比で増益。
主な取組み
- 客船事業において、株式会社JTB九州(現株式会社JTB)との共同企画による「飛んでクルーズ九州~九州一周~」を催行。
1航海で九州全7県をつなぎ、運輸・観光業界や地元自治体から高い評価を獲得。 - 曳船事業において、LNG燃料タグボートを発注。2019年4月就航予定。
客船「にっぽん丸」
ダイビル本館 -
その他
主な事業内容
船舶管理業、金融業、造船業、情報サービス業、経理代行業、海事コンサルティング業等。
2017年度の概況
主として当社グループのコストセンターであるその他事業は、前期比で増益。
会社の経営戦略と対処すべき課題
経営計画 ローリングプラン2018
当社は2017年度をスタートとする経営計画「ローリングプラン2017」を策定し、財務規律を意識しながら当社グループが競争優位にある事業・プロジェクトに経営資源を優先的に投入し、将来の安定利益の積み増しを図ってまいりました。
2018年度はこの方向性を踏襲し、更に取組み内容を深度化させた「ローリングプラン2018」を策定しました。10年後のありたい姿に向けて、3つの長期目標(ストレスフリーなサービスの提供、環境・エミッションフリー事業のコア事業化、競争力No.1事業の集合体)を柱として、以下の施策を実行してまいります。
商船三井グループの10年後のありたい姿
- 世界中で「お客様にとって使い勝手がよくストレスフリーなサービス」を提供し、「いつもお客様の傍にいる強くしなやかな存在」をめざす。
- 環境・エミッションフリー事業をコア事業のひとつに育てる。
- 相対的に強い事業の選択と集中を行い、「競争力No.1事業の集合体」になる。
ありたい姿達成のための戦略
① 投資・事業戦略
- 2017年度に引き続き、新規投資を優先度が高い案件に絞り、投資と財務規律の両立を図る。
- 海運部門においては、当社が強みを持つ事業分野、及び安定利益が見込める事業分野に効果的な経営資源の投入を行う。
- 海洋事業、フェリー事業、ロジスティクス事業等の海運関連部門では、成長の見込める事業分野の拡大・強化を目指す。
② 長期目標の深度化と価格競争力の強化
- 従来の営業活動の枠組みを超えてお客様のニーズを把握し、デジタル技術も活用したソリューション(ストレスフリーなサービス)を提供する。
- お客様の声を受け、当社の価格競争力向上に向けた船隊コストや事務コストの競争力を高める。
- 目標達成に向けた施策を強力に推進していくための組織・体制の見直し。
③ 長期目標を支える重点強化項目のテーマ絞り込み
重点強化項目として、海技力強化、ICT活用、技術開発、環境・エミッションフリー事業とこれらを有機的に結びつける働き方改革推進の計5項目の取組みを継続し、活動2年目となる2018年度は、それぞれの項目において注力テーマを絞り込み、具体化に向けた取組みを推進する。
中長期的利益水準・財務指標、株主還元(ローリングプラン2017から継続)
中長期的利益水準・財務指標

コンテナ船事業統合により同事業の損益改善・黒字化を実現すると共に、ドライバルク船・油送船や成長分野であるLNG船・海洋事業においては、投資効率に十分留意しつつ中長期契約に基づく安定利益を一層積み上げていきます。加えて当社が強みを持つケミカル船やフェリー等においても事業を拡大・強化し、これらの施策を通じて、損益並びに財務指標の改善に道筋をつけてまいります。
株主還元
当面は連結配当性向20%を目安とし、中長期的課題として配当性向の向上に取り組む。
定期コンテナ船事業統合
定期コンテナ船事業統合後、Ocean Network Express社は当社にとって出資比率31%の持分法適用会社となりますが、コンテナ船事業は、引き続き当社にとってコア事業の一つと位置づけています。
当社はOcean Network Express社の持株会社の取締役6名中2名を派遣しており、今後もこの持株会社を通じたガバナンスを強化していく所存です。


技術革新本部の新設
当社は新たな取組みとして、「技術革新本部」を新設しました。「ストレスフリーなサービスの提供」の実現に向け、技術開発先行だけでなく、お客様の潜在ニーズを掘り起こした上でこれに技術的なシーズをマッチさせ、新たな物流革命を起こしていくことを目指していきます。当面は以下3つの分野について重点的に取り組む方針です。
LNG燃料船の推進
- 目的:
①NOx・SOx規制強化への対策
②LNG燃料の普及による地球温暖化防止 - ドライバルク船・自動車船・フェリーなどでLNG燃料船の建造を検討中
- LNG燃料供給船を2020年竣工予定で建造中

ウィンドチャレンジャープロジェクトの推進
- ウィンドチャレンジャー=風力を利用した帆を主体に推進機が補助する次世代の帆船
- 2018年に帆の搭載船を決定、詳細設計を実施の上、2020年の搭載を目指す

自律航行の推進
- 目的:
①ヒューマンエラーの防止
②将来の船員不足への対応
③貨物の状態の可視化やタイムリーな運航情報の共有などのサービス品質向上
④最適航路選定による環境負荷低減など - 2025~2030年頃に向けて自律航行の実現を目指す

対処すべき課題
2016年10月に合意した日本郵船株式会社、川崎汽船株式会社との定期コンテナ船事業統合について、これまで鋭意準備を進めてきましたが、2018年4月1日に統合新会社Ocean Network Express社が営業を開始しました。今後、同社が早期に統合によるシナジー効果を実現できるよう、適切なガバナンスの下、株主として同社の事業基盤確立に向け協力してまいります。
なお、当社グループは、2012年以降、完成自動車車両の海上輸送に関して各国競争法違反の疑いがあるとして、米国等海外の当局による調査の対象となっております。また、本件に関連して、当社グループに対し損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟が米国等において提起されています。このような事態を厳粛に受け止め、当社グループでは独禁法をはじめとするコンプライアンス強化と再発防止に引き続き取り組んでまいります。
連結計算書類
- 連結貸借対照表を見る
- 連結損益計算書を見る