株主の皆様へ

株主の皆様には日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2019年度の事業報告をご覧いただくにあたり、ご挨拶を申し上げます。

当期2019年度は、前年度から続く米中貿易摩擦などに加え年度後半からは世界景気の減速感も鮮明になる中、年度末にかけては新型コロナウイルスの影響もあり、海上荷動きの伸びには力強さを欠く1年となりました。そのような環境下、ドライバルク船事業やエネルギー輸送事業においては中長期契約により積み上げられた安定利益と比較的堅調であった油送船市況による利益上積みを果たし、製品輸送事業においては事業統合2年目となったコンテナ船事業統合会社Ocean Network Express(ONE)社が黒字化を達成しました。また燃料油SOx規制への十分な準備と対応も実行した結果、当社は全てのセグメントにおける経常黒字、並びに全社合計で前年度を大きく上回る経常利益と当期純利益を達成いたしました。配当につきましては、当期の収益を踏まえて株主の皆様への利益還元を実施すべく、1株当たりの年間配当金を前期比20円増の65円(中間配当30円、期末配当35円)とする予定です。

2020年度に入り、新型コロナウイルスの感染拡大と原油価格の大幅下落が当社業績に大きな影響を及ぼす可能性が高く、現時点での経常損益見通しは▲100億円~▲400億円としており、次期年間配当は未定としています。

かかる緊急事態下において、事業をしっかりと継続する守りの策と事業への影響把握・対応を最優先に取り組む体制として、「ローリングプラン特別委員会」を設置しました。同委員会にて投資計画の見直しや市況エクスポージャーの縮減と、需要回復期に備えた反転攻勢の戦略を策定しています。株主の皆様にはご心配をおかけしますが、損益への悪影響を最小限にとどめるべく全社一丸となって取り組んでまいりますので引き続きご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

また、これまで経営計画「ローリングプラン」では10年後の目指す姿「相対的競争力No.1事業の集合体」、及びその実現に向けた経営方針の3本柱「海洋事業を中心に強み分野への経営資源の重点投入(ポートフォリオ戦略)」、「顧客目線にたったストレスフリーなサービスの提供(営業戦略)」、「環境戦略の推進とエミッションフリー事業のコア事業化(環境戦略)」を掲げてきました。2020年度においてもこれらを基本としつつ、新型コロナウイルス収束後のメガトレンドを見極めたうえで、中長期的な視点で当社が更なる成長を遂げるための戦略について検討を進めてまいります。

当社は創業以来、時代の要請とお客様のニーズを先取りし、変革と挑戦を積み重ね、総合輸送グループとして、世界の産業と人々の暮らしに貢献してきました。新型コロナウイルス等、時代の荒波を受けるいまこそ当社の真の実力が試されている時であり、この難局を乗り切った先にステークホルダーの皆様から当社の価値をあらためて認めていただけることを期して、事業を推進してまいります。

引き続きご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役 社長執行役員