事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

経営環境

当期の世界経済は、前年度に引き続き米中貿易摩擦に翻弄されつつも、両国の貿易交渉の進展により先行きに若干の明るさが期待された一方、新型コロナウイルス感染拡大により世界的な経済危機に陥る等、目まぐるしい変化に晒されました。期初から2020年初めまでは、米国が堅調な雇用情勢と内需に支えられた息の長い好景気を謳歌する一方、中国では貿易摩擦の影響による輸出の減退や政府の投資抑制策により、経済成長は力強さを欠きました。欧州においては英国のEU離脱問題を抱えながら低成長が継続、我が国においては外需の減速や消費税増税に伴う内需の落ち込みにより10-12月期はマイナス成長となりました。その後、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、各国における経済活動が大きく制限される事態となり、その影響の規模は未だ図り知れません。

当期の業績

このような状況の下、当社グループの事業は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の変化が今後の損益変動要因となるものの、当期の業績に与える影響は限定的でした。ドライバルク船事業においては、輸送需要の減退から年始以降の市況は下落したものの、当期のスポット契約等は既に確定済みの契約が多く、損益への影響は軽微でした。油送船事業においては、産油国の減産協議決裂の報道が流れたこと等を背景として原油価格が下落、貯蔵を目的としたタンカーの引き合いが多くなり市況が上昇しましたが、この影響は主に来期の損益へ織込まれます。コンテナ船事業においては、荷動きは減少しましたが柔軟に減便で対応する等の策を講じ、3月に入ると中国の状況が改善し積高が一時的に回復する場面もありました。自動車船事業においては、第4四半期の後半から、新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した完成車の荷動き減少及び出荷遅延の影響を受けましたが、影響の及んだ期間は短く、当期の業績に与える影響は限定的でした。

なお、当期の対ドル平均為替レートは、前期比\1.35/US$円高の\109.28/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は前期比US$11.19/MT上昇し、US$467/MTとなりました。以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆1,554億円、営業利益237億円、経常利益550億円、親会社株主に帰属する当期純利益は326億円となりました。

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各事業別の概況

ドライバルク船事業

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[ 主な事業内容 ]

  • ・鉄鉱石や原料炭、穀物、木材、チップ、セメント、肥料、塩、鋼材などを運ぶ、ばら積み船や貨物特性に合わせた専用船の保有・運航。

2019年度の概況

  • ケープサイズ市況は、上半期はブラジル鉱山ダム決壊事故などの影響による低迷から回復し、スクラバー(排ガス浄化装置)搭載工事に伴う入渠隻数増加による需給の引き締まりもあり上昇。下半期はブラジル積み鉄鉱石の出荷減速等により下落し、年始以降、新型コロナウイルスの影響による中国向け貨物の減少等により低迷。
  • パナマックス市況は、上半期は南米積み穀物の堅調な出荷に支えられ上昇。下半期は米中通商交渉の不透明感及び中国の石炭輸入量規制等を背景に下落基調で推移し、ケープサイズ同様新型コロナウイルスの影響による中国向け荷動きの低迷により、さらに下落。
  • ハンディマックス船型以下は、上半期は概ね堅調に推移するも、下半期以降は大型船型に連動し下落基調で推移。
  • ドライバルク船事業全体では、前期比減益となったものの、効率的な運航に努め、黒字を計上。

主な取り組み

鉄鋼原料船

  • 国内・海外顧客向け新規契約及び延長契約を獲得。
  • 鉄鉱石輸送用大型船2隻竣工。
  • スクラバー搭載による環境規制(SOx規制)への対応。
  • LNG燃料ケープサイズバルカー及び「ウィンドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載計画」等の環境ソリューションの検討・提案。

不定期船

  • 国内・海外顧客向け新規契約及び延長契約を獲得。
  • バイオマス燃料輸送の顧客層の拡大に向けた営業強化。

木材チップ船

  • 国内顧客向け長期契約及び延長契約を獲得。
  • 発電用バイオマス燃料チップの輸送を成約。
  • 環境規制(SOx規制)へ対応したスクラバー搭載の新造船が竣工。

鉄鋼原料船「AWOBASAN MARU」

木材チップ運搬船「SOUTHERN TREASURE」

エネルギー輸送事業

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[ 主な事業内容 ]

  • ・ 原油タンカー、ナフサやガソリンなどの石油精製品を運ぶプロダクトタンカー、液体化学品を運ぶケミカルタンカーなどの、油送船の保有・運航。
  • ・ 液化天然ガスを運ぶLNG船の保有・運航、及びFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)・FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)等の海洋事業の展開。
  • ・火力発電用の石炭を運ぶ石炭船の保有・運航。

2019年度の概況

油送船

  • 原油船市況は、上半期は春先の原油需要の減少や極東域の製油所における定期修繕等を受け、総じて低調に推移。下半期は中東情勢を背景とした突発的な高騰や、イラン産原油輸送を巡る中国船社への制裁による需給の引き締まり等を背景に、堅調に推移。
  • 石油製品船市況は、上半期は新造船の増加や製油所の定期修繕を受け、上値重く推移。下半期は原油船市況上昇の影響を受けた需給の引き締まりや、環境規制(SOx規制)を背景とした軽油輸送需要の増加を受け、堅調に推移。
  • LPG船市況は、市況が軟化する局面があったものの、需給の引き締まりを受け、総じて堅調に推移。
  • 油送船部門全体では、前期比で増益。

LNG船・海洋事業

  • LNG船部門においては、新規に竣工した8隻を含め長期貸船契約を主体に安定的な利益を確保し、前期比で増益。
  • 海洋事業部門においては、FSRU・FPSO・サブシー支援船等の既存プロジェクトが順調に稼働し、黒字を計上。

石炭船

  • 堅調な国内石炭火力発電所向け荷動きを背景に、中長期契約船は高稼働を維持し、安定的な利益を確保。

LPG運搬船「PHOENIX GAIA」

主な取り組み

油送船

  • 新造VLCC 1隻、LPG船1隻が竣工、国内・海外顧客向け新規契約に従事。
  • 当社100%出資子会社 MOL Chemical Tankers社による韓国・蔚山における化学品タンクターミナル事業への参画に関する契約を締結。
  • 深海油田からの効率的輸送に資するCargo Transfer Vessel(貨物積替え船)事業で、Total社と新規契約を締結。

LNG船・海洋事業

  • 新造LNG船8隻が竣工、国内・海外顧客向け長期契約に従事。
  • オランダにおけるLNG燃料供給船事業につき、Total社と新規契約を締結。
  • トルコKarpowership社と、新興国の電力需要に応えるLNG発電船事業を「KARMOL」のブランドで推進。
  • FSRU向けLNG再ガス冷熱発電システムの設計基本承認を取得。

石炭船

  • 環境や安全性を追求した次世代石炭船「EeneX」2隻を発注。
  • 九州電力(株)向け世界初の「LNG燃料大型石炭専用船」に関する基本協定書を締結。
  • 東北電力(株)と「ウィンドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載石炭船」の本格導入検討を開始。

ケミカルタンカー「TARANAKI SUN」

LNG船「LNG MERAK」

ウィンドチャレンジャー搭載石炭船(イメージ)

製品輸送事業

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** 当社持分法適用会社Ocean Network Express社の営業開始に伴い、コンテナ船サービスに関する売上は、2018年度より当社の売上高に計上しておりません。

[ 主な事業内容 ]

  • ・コンテナ船の保有・運航、コンテナターミナルの運営。
  • ・航空・海上フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管及び重量物輸送などの「トータル・物流ソリューション」の提供。
  • ・完成車、建設機械を運ぶ自動車専用船の保有・運航、及び陸上輸送・ターミナル運営等総合的な自動車輸送サービスの展開。
  • ・太平洋沿海・瀬戸内海でのフェリー及び内航RORO船の運航による旅客及び貨物輸送。

うち、コンテナ船事業

2019年度の概況

コンテナ船(Ocean Network Express社)

  • 当社持分法適用会社Ocean Network Express社(ONE社)は、サービスが安定し積高が増加。コスト削減も進み前期比で損益が改善し、通期で黒字を計上。
  • 北米航路の運賃市況は、米中貿易摩擦による影響により夏場のピークシーズンでの盛り上がりに欠けたものの、需要減少に対応した断続的な減便実施により、運航費の削減に努めた。
  • 欧州航路の運賃市況は、需給バランスの悪化により低調に推移したものの、閑散期の賃率下落は最小限で踏み止まった。新型コロナウイルスの影響により荷動きは減少したものの、柔軟に減便で対応する等の対策を講じた。

自動車船

  • 当社輸送台数は、米中貿易摩擦問題や中国の排ガス規制強化による影響に加え、豪州向けや欧州近海域内での荷動きが弱含んだため、前期比減少。
  • 船隊規模の適正化や三国間航路を中心とした配船合理化に取り組み、前期比で損益が改善。

フェリー・内航RORO船

  • 荷動きは、トラックドライバーの不足や高齢化、陸運業界における働き方改革を背景としたモーダルシフトにより、上半期は堅調に推移したものの、秋口以降は景気悪化により低迷。
  • 旅客については、「カジュアルクルーズ」のコンセプトが浸透し、全般的に前期を上回って推移したものの、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響で2月後半以降は客足が大幅に減少。
  • フェリー・内航RORO船部門全体では、前期比増益。

コンテナ船
「ONE COMMITMENT」

MOL LOGISTICS
ハイフォンロジスティクスセンター

主な取り組み

コンテナ船(Ocean Network Express社)

  • インド・中近東発アフリカ向けサービス、及び業界初となる東インド発欧州向け直行サービスを開始。
  • 2020年4月より、ONE社の属する「ザ・アライアンス」に現代商船が参画することを決定。ハパックロイド・陽明海運と合わせ4社による運営となる。
  • 2020年4月より、コスト競争力に優れた20,000TEUクラスによる2本目のアジア発着・北欧州サービスを開始することを決定。

ターミナル・ロジスティクス

  • ターミナル事業において、米国オークランド港のコンテナターミナルを拡張し取扱い能力を大幅に増強。
  • ロジスティクス事業において、商船三井ロジスティクス社の現地法人がベトナム・インドネシアで新倉庫を開業。また、同社のタイ現地法人とMOL Thailand社の物流事業を集約し、地域物流事業を強化。

自動車船

  • 当社自動車船事業とのシナジー拡大を目指し、欧州近海輸送会社Euro Marine Logistics社を完全子会社化。
  • 完成車のトレードパターン変化に合わせたサービス・運航効率向上に資する新システムが全面稼働。2015年7月から4年間取り組んできたACEプロジェクトが完了。

フェリー・内航RORO船

  • 大阪~別府航路への投入に向け、日本初となるLNG燃料フェリー2隻の建造を決定。
  • 東京~苅田航路に新造RORO船「すおう」が就航。
  • 「カジュアルクルーズ」の更なる浸透を狙い、ICTを活用した旅客マーケティングを推進。

次世代型自動車船
「ORCA ACE」

LNG燃料フェリー(イメージ)

関連事業

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[ 主な事業内容 ]

  • 不動産事業、客船事業、曳船業、商社事業(燃料・舶用資材・機械販売等)等。

2019年度の概況

  • 不動産事業は、首都圏を中心に賃貸オフィスマーケットが堅調に推移し、当社グループ不動産事業の中核であるダイビル(株)の売上が増加したことから、安定的に利益を計上。
  • 客船事業は、燃料費の増加のほか、改装工事による不稼働期間もあり、前期比で減益。
  • その他の曳船や商社等の業績は概ね堅調に推移。
  • 関連事業セグメント全体は前期比で減益。

LNG燃料タグボート「いしん」
LNG燃料供給実証実験風景

主な取り組み

  • 不動産事業において、ダイビル(株)が東京・秋葉原に初の自社開発商業ビル「BiTO AKIBA」オープン。さらに地方中核都市初進出となる札幌にて「PIVOT(ピヴォ)」ほか3物件を取得。
  • 曳船事業において、日本栄船(株)が運航するLNG燃料タグボート「いしん」 が、神戸港初・名古屋港初となるLNG燃料供給実証実験に協力。
  • 商船三井客船(株)が客船「にっぽん丸」の改装工事を実施。客室や船内設備をアップグレード。

自社開発商業ビル
「BiTO AKIBA」

その他

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[ 主な事業内容 ]

  • ・ 船舶管理業、金融業、情報サービス業、経理代行業、海事コンサルティング業等。

2019年度の概況

  • 主として当社グループのコストセンターであるその他事業は、前期比で増益。

会社の経営戦略と対処すべき課題

当社は2017年度から経営計画「ローリングプラン」を導入し、相対的競争力No.1事業の集合体を目指し、年度ごとの具体的な重点項目を設定しその実現に向けて取組んでまいりました。その枠組みの中で、財務規律を意識しながら当社グループが強みを発揮できる事業・プロジェクトに経営資源を優先的に投入し、将来に亘る安定利益の積み増しを図りました。

2020年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や原油価格の大幅下落による経済への影響が、当社の経営戦略に重大な影響を及ぼすとの認識の下、いち早く事業への影響を把握し必要な「守り」の方策を実行する、さらには新型コロナウイルス収束後のトレンドの変化を見極めながら商機を探り、新たな成長軌道を築きあげるため、「ローリングプラン特別委員会」を設置しました。この特別委員会が中心となり、2020年度は市況エクスポージャーの縮減や投資計画の見直しといった「守り」を固めながら、並行して新型コロナウイルス収束後の世界に向けて事業ポートフォリオの見直しに取り組みます。

(1)必要な「守り」の策の実行

当社は新型コロナウイルスの感染拡大リスクに対応し、本年2月3日に対策本部を立ち上げ、如何なる状況にあっても、当社の社会的使命である輸送インフラとしての役割を、物資の安定的な輸送継続を通じて果たすべく、次の3点を最重要課題と掲げ、対応してきました。

1当社運航船の安全運航、安定輸送の徹底

2顧客・取引先等と当社役職員の安全確保・感染拡大の防止

3感染拡大リスクの長期化を想定した上での事業継続体制の構築

尚、当社は日本政府の緊急事態宣言に先駆けて3月9日に本社・全支店を全面的な在宅勤務体制に移行させ、これを継続しています(5月20日現在)。

(2)当社事業への影響把握と対応方針

①事業への影響把握

次期(2020年度)の見通しにつきましては、日本だけでなく世界各国での新型コロナウイルス収束の時期が見通せない中、半年で収束に向かうケースと、1年に及ぶケースの2つのリスクシナリオを想定し、その双方のシナリオの下での事業への影響を試算したものを、業績見通しとして示しました。

各事業セグメントへの影響は、現時点で以下の通り見込んでいます。

ドライバルク船事業

ケープサイズバルカーは、太宗を占める中長期契約船は影響を受けないものの、短期契約船は自動車・建材等の消費減に伴う鉄鋼原料の荷動き減の影響を受ける可能性があります。
中小型バルカーは、一般産業向け原料・資材の荷動き減が想定されるも、調整可能な船隊構造としているため、業績の影響は限定的です。
木材チップ、パルプなどの特殊貨物船は、荷動きの変動に合わせた船腹調整が困難であるため、荷動き減による業績への影響が想定されます。

エネルギー輸送事業

原油価格下落による荷動き増と洋上備蓄に支えられて原油船・プロダクト船・ケミカル船・LPG船いずれも市況は好調に推移していますが(5月20日現在)、いずれ世界景気後退による実需の減少により市況は軟化するものと見込んでいます。
メタノール船・LNG船・海洋事業は、長期契約を前提に安定収益を生み出す事業であり、荷動きや生産活動の変動による当社業績への影響は極めて限定的です。

製品輸送事業

コンテナ船・ロジスティクス事業は、足元では中国・韓国等の東アジアや東南アジアを中心とする供給側の状況が改善しつつあるものの、欧米を中心とした需要側における環境悪化の影響を今後受ける可能性があります。
自動車船は、メーカー各社の大幅減産に伴い、4月・5月は大幅な荷動き減となりましたが、中国向け輸送需要には回復傾向がみられます。
フェリー・内航RORO船は、荷動きへの影響は比較的小さいものの、フェリー旅客が大幅減少となっています。

財務面においては、荷動きの減少に伴う運賃収入等の減少が見込まれるものの、燃料消費量節減をはじめとする運航費の削減に加え、船腹調整や投資計画の見直し等により資金確保に努めます。また、想定を上回る資金需要が生じた際にも、大手都市銀行との間に約1,400億円、残存期間約2~4年におよぶコミットメントライン契約を有しており、必要な資金を確保できる体制を整えています。

②当社の対応方針

ⅰ)市況エクスポージャーの縮減

業績への影響を最小限にとどめるための市況エクスポージャー縮減策として、船腹調整(停船・短期傭船の返船・保有船腹の処分)を適宜実行し、加えて運賃先物取引による損益ヘッジ等の対策を講じることで、業績への影響を最小限に留めます。

ⅱ)投資計画の見直し

全世界的な需要の減退による経済状況の変化に対応し、またコロナウイルス収束後の世界経済のトレンドを見極めながら、機動的に投資計画を見直します。

(3)経営計画と新型コロナウイルス収束後の成長戦略

ローリングプランの目指す姿とそれを実現するための3本柱を基本としますが、新型コロナウイルスの影響による事業環境の変化に対応した守りの戦略と、これの収束後の世界経済のトレンドを見極めた戦略を盛り込むべく、本年度のローリングプランでは必要な見直しを行ないます。

新型コロナウイルスの収束後は、グローバリゼーションの動向や、エネルギーから製品に至るまで世界の商流のトレンド、一方で一層加速していくであろうデジタライゼーションの行方等、私たちの経済社会にはこれまでの想定を超える大きな変化が生じていく可能性があります。この「新型コロナウイルス収束後のメガトレンド」が当社の事業に与える影響を見極め、ポートフォリオ戦略については必要な見直しを行います。また変化のタイミングを的確にとらえ実行するためにも、迅速かつ柔軟な事業・投資判断を行う体制を整えて当社事業を再び成長軌道に乗せるべく、事業領域の変革を目指します。

また、当社にとって中長期的な成長を果たすためには、これを支える生産性の向上と、組織の力の向上等も重要な課題になると認識しています。今年度に新設した組織リフレッシュ担当役員の指揮のもと、業務プロセスの見直し、グループ会社の知見・リソースの活用、また既存組織に拘らないプロジェクト推進体制を構築することなどを通じて組織の持つ力を結集し、更なる競争力強化につなげてまいります。

サステナビリティ課題(マテリアリティ)への取り組み

2019年度に特定したサステナビリティ課題※における具体的な取り組みの例として、以下のプロジェクトを推進しています。海洋・地球環境の保全のみならず、これらプロジェクトの推進によって生み出される環境負荷の低いサービスは当社が提供しうる付加価値の一つであり、持続可能な社会への貢献を示すものと考えています。

※当社の社会価値向上に向け、事業活動を通じて優先的に取り組むべき社会課題

なお、当社グループは、2012年以降、完成自動車車両の海上輸送に関して各国競争法違反の疑いがあるとして、米国等海外の当局による調査の対象となっております。また、本件に関連して、当社グループに対し損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟がカナダ及び英国において提起されています。このような事態を厳粛に受け止め、当社グループでは独禁法をはじめとするコンプライアンス強化と再発防止に引き続き取り組んでまいります。

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財産及び損益の状況

連結計算書類