事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
企業グループの現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過および成果
当期のわが国経済は、企業収益および雇用環境の改善が続く中、個人消費の持ち直しが見られる等、景気は緩やかに回復しました。航空業界を取り巻く環境は、国内・海外経済の緩やかな回復が続く中で、訪日外国人の増加等により、需要は概ね堅調に推移しました。
このような経済情勢のもと、2018年2月に発表した「2018~2022年度ANAグループ中期経営戦略」で掲げた各種施策を遂行し、安全と品質・サービスの向上を追求するとともに、2020年の首都圏空港発着枠の拡大に向けた人財・設備投資を積極的に進めました。
以上の結果、当期における連結業績は、航空事業を中心に増収となったことから売上高は2兆583億円(前期比4.4%増)となり、営業利益は1,650億円(前期比0.3%増)と4期連続で過去最高を更新しました。一方、整備部品の除却が増加したこと等により、経常利益は1,566億円(前期比2.5%減)となりました。前期にPeach・Aviation株式会社を連結子会社としたことに伴って計上した特別利益の反動等があったため、親会社株主に帰属する当期純利益は1,107億円(前期比23.0%減)となりました。
また当社は、経済産業省と東京証券取引所から、積極的なIT利活用に取り組んでいる企業として「攻めのIT経営銘柄2018」に選定されました。今後もデジタル技術の可能性を活かしながら、革新的な働き方、独創的なサービスや事業等、持続的な価値創造に取り組んでまいります。
連結業績

セグメント別業績

(注)売上高にはセグメント間の取引を含みます。また、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
セグメント別の概況
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航空事業
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航空事業
グループ経営ビジョンに掲げている「世界のリーディングエアライングループ」を目指すための中核となるのが航空事業です。
ANAグループは、英国スカイトラックス社※から、顧客満足度で最高評価となる「5-Star」に7年連続で認定された他、公益財団法人日本生産性本部が実施しているJCSI(日本版顧客満足度指数)調査において、国際航空部門の顧客満足で初の第1位となりました。※ スカイトラックス社は1989年創立、英国ロンドンに拠点を置く航空業界の格付け会社です。
- 航空事業の概況について
- 当期は、成長戦略推進に必要な「安全と品質・サービスの総点検」と位置づけた期間であり、「安全の堅持」「お客様の利便性・快適性の向上」への取り組みを着実に進めました。
国内線旅客国内線旅客は、上期に相次ぐ自然災害やボーイング787型機のエンジンの点検整備による欠航の影響があったものの、堅調なビジネス需要と訪日旅客の国内移動需要を取り込むとともに、需要に応じた各種割引運賃の設定等に取り組んだ結果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、サマーダイヤから中部=宮古線、福岡=石垣線を通年運航とし、日本各地から石垣島、宮古島への直行便を拡大する等、需要の取り込みを図りました。
営業・サービス面では、10月からシンプルでわかりやすい運賃ラインナップへ変更し、予約・発売を搭乗の355日前から開始する等、運賃体系をリニューアルした他、自然災害からの復興支援として「でかけよう北海道」プロジェクトおよび「訪日旅客向け関西空港利用促進キャンペーン」の実施により、国内外からの渡航需要喚起を図りました。また、4月から機内Wi-Fiサービスの無料提供を開始した他、全席シートモニターを装着したエアバスA321neo型機の導入を更に進め、本年2月に隈研吾氏監修のもと、伊丹空港、福岡空港、那覇空港の国内線ラウンジをリニューアルする等、サービス向上に努めました。国際線旅客国際線旅客は、日本発ビジネス需要が好調に推移していることに加え、旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、6月から羽田=バンコク線を1日3便へ増便し、10月からアリタリアとのコードシェア便の運航を開始した他、本年2月から羽田=ウィーン線を新規開設する等、ネットワークの更なる拡充を図りました。
営業・サービス面では、プレミアムエコノミーにおいて、マイルを利用した特典航空券やエコノミークラスからのアップグレードの予約を開始し、お客様の利便性向上を図りました。また、本年3月からビジネスクラスにおいて機内食の事前予約サービスを拡充した他、食物アレルギーを持つお客様が安心してお食事をお楽しみいただけるよう、新たに開発したグルテンフリー米粉パンを提供する等、すべてのお客様に、より安心・快適に飛行機をご利用いただける環境づくりに努めました。
また、当社は、成長著しいアジア地域のネットワーク強化、プレゼンス向上を目的として、フィリピン航空の親会社であるPALホールディングスと資本業務提携をしました。フィリピン航空との中長期的な戦略的パートナー関係を更に強化してまいります。貨物国際線貨物は、第4四半期において中国発着貨物の需要が落ち込みましたが、第3四半期までは北米・欧州向けの自動車関連部品や電子部品を中心とした旺盛な貨物需要を背景に、好調に推移しました。輸送重量は前期を下回ったものの、イールドマネジメントの強化や、エアラインチャーター(他社機材を使用した貨物チャーター便)を活用する等の結果、収入は前期を上回りました。また、下期から沖縄ハブネットワークの規模適正化や、一部路線の直行便化を行い、収益性の改善を図りました。
LCC・その他LCCは、路線の拡大や旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、Peach・Aviation株式会社が4月から沖縄=高雄線、8月から関西=釧路線を新規開設した他、バニラ・エア株式会社が7月から成田=石垣線、沖縄=石垣線を新規開設し、10月から沖縄=台北線を増便する等、国内線・国際線ともにネットワークの拡充を図りました。
営業面では、Peach・Aviation株式会社とバニラ・エア株式会社の両社が、統合に向けて「恋するピーチとバニラ 甘すぎる!全路線合同セール」を実施する等、需要の取り込みに努めました。また、本年3月にPeach・Aviation株式会社とバニラ・エア株式会社は、那覇空港において新設されたターミナルへ移転し、モノレール駅から直接アクセスできる等、お客様の利便性が更に向上しました。また、LCC以外の航空事業におけるその他の収入は2,118億円(前期比6.8%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
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航空関連事業
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航空関連事業
主に航空事業をサポートするため、空港地上支援、航空機整備、車両整備、貨物・物流、ケータリング(機内食)、コンタクトセンター等の事業をグループ各社が展開しています。
またANAグループ以外の航空会社からも業務を受託する等、事業の拡大と深化を追求しています。福岡空港をはじめとした旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増加したことや、外国航空会社から機内食関連業務の受託が増加したこと等により、増収増益となりました。
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旅行事業
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旅行事業
航空券を販売する航空セールス事業と、ANAグループの航空運送サービスと宿泊等を素材としたパッケージ商品等の企画・販売を行う旅行商品事業をANAセールスグループが担っています。国内旅行商品の「ANAスカイホリデー」、海外旅行商品の「ANAハローツアー」「ANAワンダーアース」、国内・海外ダイナミックパッケージ商品の「旅作」の販売や旅行積立プラン等、幅広い旅行ビジネスを展開しています。
国内旅行は、ダイナミックパッケージ商品「旅作」において、需要の早期取り込みを図ったこと等により堅調に推移したものの、「ANAスカイホリデー」においては、自然災害の影響や沖縄方面を中心に集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。
海外旅行は、添乗員付き商品において、ヨーロッパ方面の集客が堅調に推移したものの、ダイナミックパッケージ商品「旅作」の集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。 -
商社事業
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商社事業
全日空商事株式会社を中心に、航空機部品の調達、航空機の輸出入・リース・売却、機内サービス・販売用物品の企画・調達、および全国空港売店(「ANA DUTY FREE SHOP」・「ANA FESTA」)の航空附帯事業の他、紙・パルプやバナナ等の食品の輸入販売、半導体・電子部品の輸出入、広告代理業、インターネットショッピングサイトの運営等を行っています。
空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」等のリテール部門において訪日旅客の需要を取り込んだことに加え、食品部門での生鮮食品の取扱高が増えたこと等により、売上高は前期を上回りました。一方、航空・電子部門や生活産業部門の利益が減少したこと等が影響し、営業利益は前期を下回りました。
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その他
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その他
ANAファシリティーズ株式会社やANAスカイビルサービス株式会社が、不動産の資産管理、建物・施設の総合保守管理事業等を行っている他、ANAビジネスソリューション株式会社等が人材派遣業等を行っております。また、株式会社ANA総合研究所はANAグループのシンクタンクとして、航空企業経営に関する中長期的な諸課題に関する研究、コンサルティングを行っております。
航空保安警備事業が堅調に推移したこと等の結果、当期のその他の売上高は前期を上回りましたが、不動産関連事業において、土地売買に伴う仲介手数料収入が減少したため、営業利益は前期を下回りました。

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航空事業
グループ経営ビジョンに掲げている「世界のリーディングエアライングループ」を目指すための中核となるのが航空事業です。
ANAグループは、英国スカイトラックス社※から、顧客満足度で最高評価となる「5-Star」に7年連続で認定された他、公益財団法人日本生産性本部が実施しているJCSI(日本版顧客満足度指数)調査において、国際航空部門の顧客満足で初の第1位となりました。※ スカイトラックス社は1989年創立、英国ロンドンに拠点を置く航空業界の格付け会社です。
- 航空事業の概況について
- 当期は、成長戦略推進に必要な「安全と品質・サービスの総点検」と位置づけた期間であり、「安全の堅持」「お客様の利便性・快適性の向上」への取り組みを着実に進めました。
国内線旅客国内線旅客は、上期に相次ぐ自然災害やボーイング787型機のエンジンの点検整備による欠航の影響があったものの、堅調なビジネス需要と訪日旅客の国内移動需要を取り込むとともに、需要に応じた各種割引運賃の設定等に取り組んだ結果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、サマーダイヤから中部=宮古線、福岡=石垣線を通年運航とし、日本各地から石垣島、宮古島への直行便を拡大する等、需要の取り込みを図りました。
営業・サービス面では、10月からシンプルでわかりやすい運賃ラインナップへ変更し、予約・発売を搭乗の355日前から開始する等、運賃体系をリニューアルした他、自然災害からの復興支援として「でかけよう北海道」プロジェクトおよび「訪日旅客向け関西空港利用促進キャンペーン」の実施により、国内外からの渡航需要喚起を図りました。また、4月から機内Wi-Fiサービスの無料提供を開始した他、全席シートモニターを装着したエアバスA321neo型機の導入を更に進め、本年2月に隈研吾氏監修のもと、伊丹空港、福岡空港、那覇空港の国内線ラウンジをリニューアルする等、サービス向上に努めました。国際線旅客国際線旅客は、日本発ビジネス需要が好調に推移していることに加え、旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、6月から羽田=バンコク線を1日3便へ増便し、10月からアリタリアとのコードシェア便の運航を開始した他、本年2月から羽田=ウィーン線を新規開設する等、ネットワークの更なる拡充を図りました。
営業・サービス面では、プレミアムエコノミーにおいて、マイルを利用した特典航空券やエコノミークラスからのアップグレードの予約を開始し、お客様の利便性向上を図りました。また、本年3月からビジネスクラスにおいて機内食の事前予約サービスを拡充した他、食物アレルギーを持つお客様が安心してお食事をお楽しみいただけるよう、新たに開発したグルテンフリー米粉パンを提供する等、すべてのお客様に、より安心・快適に飛行機をご利用いただける環境づくりに努めました。
また、当社は、成長著しいアジア地域のネットワーク強化、プレゼンス向上を目的として、フィリピン航空の親会社であるPALホールディングスと資本業務提携をしました。フィリピン航空との中長期的な戦略的パートナー関係を更に強化してまいります。貨物国際線貨物は、第4四半期において中国発着貨物の需要が落ち込みましたが、第3四半期までは北米・欧州向けの自動車関連部品や電子部品を中心とした旺盛な貨物需要を背景に、好調に推移しました。輸送重量は前期を下回ったものの、イールドマネジメントの強化や、エアラインチャーター(他社機材を使用した貨物チャーター便)を活用する等の結果、収入は前期を上回りました。また、下期から沖縄ハブネットワークの規模適正化や、一部路線の直行便化を行い、収益性の改善を図りました。
LCC・その他LCCは、路線の拡大や旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、Peach・Aviation株式会社が4月から沖縄=高雄線、8月から関西=釧路線を新規開設した他、バニラ・エア株式会社が7月から成田=石垣線、沖縄=石垣線を新規開設し、10月から沖縄=台北線を増便する等、国内線・国際線ともにネットワークの拡充を図りました。
営業面では、Peach・Aviation株式会社とバニラ・エア株式会社の両社が、統合に向けて「恋するピーチとバニラ 甘すぎる!全路線合同セール」を実施する等、需要の取り込みに努めました。また、本年3月にPeach・Aviation株式会社とバニラ・エア株式会社は、那覇空港において新設されたターミナルへ移転し、モノレール駅から直接アクセスできる等、お客様の利便性が更に向上しました。また、LCC以外の航空事業におけるその他の収入は2,118億円(前期比6.8%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
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航空関連事業
主に航空事業をサポートするため、空港地上支援、航空機整備、車両整備、貨物・物流、ケータリング(機内食)、コンタクトセンター等の事業をグループ各社が展開しています。
またANAグループ以外の航空会社からも業務を受託する等、事業の拡大と深化を追求しています。福岡空港をはじめとした旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増加したことや、外国航空会社から機内食関連業務の受託が増加したこと等により、増収増益となりました。
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旅行事業
航空券を販売する航空セールス事業と、ANAグループの航空運送サービスと宿泊等を素材としたパッケージ商品等の企画・販売を行う旅行商品事業をANAセールスグループが担っています。国内旅行商品の「ANAスカイホリデー」、海外旅行商品の「ANAハローツアー」「ANAワンダーアース」、国内・海外ダイナミックパッケージ商品の「旅作」の販売や旅行積立プラン等、幅広い旅行ビジネスを展開しています。
国内旅行は、ダイナミックパッケージ商品「旅作」において、需要の早期取り込みを図ったこと等により堅調に推移したものの、「ANAスカイホリデー」においては、自然災害の影響や沖縄方面を中心に集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。
海外旅行は、添乗員付き商品において、ヨーロッパ方面の集客が堅調に推移したものの、ダイナミックパッケージ商品「旅作」の集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。 -
商社事業
全日空商事株式会社を中心に、航空機部品の調達、航空機の輸出入・リース・売却、機内サービス・販売用物品の企画・調達、および全国空港売店(「ANA DUTY FREE SHOP」・「ANA FESTA」)の航空附帯事業の他、紙・パルプやバナナ等の食品の輸入販売、半導体・電子部品の輸出入、広告代理業、インターネットショッピングサイトの運営等を行っています。
空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」等のリテール部門において訪日旅客の需要を取り込んだことに加え、食品部門での生鮮食品の取扱高が増えたこと等により、売上高は前期を上回りました。一方、航空・電子部門や生活産業部門の利益が減少したこと等が影響し、営業利益は前期を下回りました。
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その他
ANAファシリティーズ株式会社やANAスカイビルサービス株式会社が、不動産の資産管理、建物・施設の総合保守管理事業等を行っている他、ANAビジネスソリューション株式会社等が人材派遣業等を行っております。また、株式会社ANA総合研究所はANAグループのシンクタンクとして、航空企業経営に関する中長期的な諸課題に関する研究、コンサルティングを行っております。
航空保安警備事業が堅調に推移したこと等の結果、当期のその他の売上高は前期を上回りましたが、不動産関連事業において、土地売買に伴う仲介手数料収入が減少したため、営業利益は前期を下回りました。
直前3事業年度の財産および損益の状況

(注)
- 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数(自己株式数を控除後の株式数)に基づき算出しております。1株当たり純資産は、期末発行済株式総数(自己株式数を控除後の株式数)に基づき算出しております。また、自己株式(普通株式)については、ANAグループ従業員持株会信託(従持信託)が所有する株式数および取締役への株式交付信託が所有する株式数を加算しております。なお、従持信託は、2017年7月をもって終了しております。
- 当社は、2017年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を行っております。当該株式併合が第66期の期首に行われたと仮定して、「1株当たり当期純利益」および「1株当たり純資産」を算定しております。



対処すべき課題
2018~2022年度ANAグループ中期経営戦略
~足元をしっかり固め、未来へ動く~
ANAグループは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年、そしてその先の持続的な成長の実現に向けて、新たな5年間の成長戦略として「2018~2022年度ANAグループ中期経営戦略」を2018年2月に策定しました。
足元の経営環境は、アジア・新興国の経済成長などを背景とした航空需要の拡大や旺盛な訪日需要に加えて、2020年の首都圏空港の発着枠拡大など、ANAグループが大きく成長するビジネスチャンスを迎えます。
本戦略の実行を通じて、政府目標である訪日外国人4,000万人の達成に貢献するとともに、地方創生・超スマート社会の実現や様々な社会課題の解決にも積極的に取り組み、世界のリーディングエアライングループとして、日本と世界の発展に寄与していきます。
戦略の全体像

成長する5つのコア事業(売上高の推移)
グループ最大の収益基盤であるFSC(フルサービスキャリア)国内線事業の収益基盤を堅持し、FSC国際線事業を柱に、貨物・LCC・ノンエアすべての事業において収益を拡大させていきます。

エアライン収益基盤の拡充と最適ポートフォリオの追求

- ANAは、ANAグループの中核として、「ダントツ品質」により、お客様に満足していただける価値を提供し続けます。また、2020年の首都圏空港の発着枠拡大を機に、国際線ネットワークを大幅に拡大させ、お客様の利便性を更に高めます。
- LCC事業を担うPeach/バニラ・エアは、引き続き国内線における新たな需要の創出に取り組みます。また、両社の連携を強化しながら中距離LCC領域へ進出することで、エアライングループ全体の事業領域を拡大します。
- FSCおよびLCCの両事業を通じて、路線・運賃・サービスなどお客様の多様なニーズにお応えすることにより、お客様の利便性・満足度の向上を図り、最適なポートフォリオを追求します。
既存事業の選択・集中と新たな事業ドメインの創造
- 成長が見込まれる領域への投資を加速し、収益の拡大を目指します。
- 2016年度に設立した顧客資産会社「ANA X(エーエヌエーエックス)」を中心に、ANAグループが有するデータ等を分析・活用することで新たな価値を創出し、「ANA経済圏」を拡大します。
- これまで積み上げてきたブランド力、ノウハウ、技術などの有形・無形の資産、蓄積してきたデータと新しい技術との融合を図り、ノンエア事業においても収益の拡大につなげていきます。
オープンイノベーションとICT技術の活用
- スマートに「もの・こと・サービス」を提供することで、お客様の満足度向上を図るとともに、従業員のスマートな働き方の追求により生産性向上を実現します。
- ANAグループが持つ有形・無形資産をもとに、ICT技術とオープンイノベーションを活用し、新たな価値を創出し「*Society5.0(超スマート社会)」の実現に貢献します。
* Society5.0とは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」を指します(内閣府による定義)。
価値創造目標
- SDGs(持続可能な開発目標)を重視し、環境や人権などの社会課題にも積極的に取り組みつつ、事業基盤の強化・将来の成長に向けた投資を行い、2020年度に営業利益2,000億円、2022年度に2,200億円を目指します。
【経済的価値創造】

次期の見通し
航空事業 国内線旅客
国内線旅客では、底堅いビジネス需要に加え、訪日外国人旅客の国内移動の増加や改元に伴う大型連休等により、航空需要は堅調に推移することが見込まれます。こうした状況のもと、多様な保有機材を活かして需給適合を推進することにより、収益性の確保に努めてまいります。
路線ネットワークでは、本年5月から成田=中部線を増便し、国際線接続需要の取り込みを図ってまいります。
営業・サービス面では、当期リニューアルした運賃体系を活用し、早期から需要に応じた各種運賃の設定に取り組んでまいります。また、空港での手続きのわかりやすさ、待ち時間の極小化を目的として、出発カウンターのレイアウト変更や自動手荷物預け機「ANA Baggage Drop」サービスを、国内で4番目となる那覇空港に導入する他、佐賀空港をイノベーションモデル空港として位置づけ、手荷物の自動積み付け技術やコンテナ搬送の自動化技術等の検証に取り組み、空港における「人と技術の融合・役割の見直し」を図り、イノベーションを推進することで、サービス品質の向上と働き方改革に努めてまいります。
航空事業 国際線旅客
国際線旅客では、引き続き好調なビジネス需要や旺盛な訪日需要の取り込みに注力し、更なる販売力の強化を図ってまいります。
路線ネットワークでは、本年9月から成田=パース線(オーストラリア西部)、ウインターダイヤ期間中に成田=チェンナイ線(インド南部)を新規開設し、日本から直行便がなかった都市への就航を積極的に推進してまいります。
営業・サービス面では、本年5月から成田=ホノルル線の一部の便にエアバスA380型機「FLYING HONU」を順次投入し、ハワイ戦略を展開してまいります。世界最大の旅客機でホノルル線専用機材である特徴を最大限に活かし、完全個室型のファーストクラスをはじめ、ビジネスクラスのペアシートやエコノミークラスのカウチシートを導入する他、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港に自社ラウンジを新設する等、ANAにしか実現できない新たなハワイ体験を提供してまいります。また、本年4月から成田=シンガポール線、本年7月から成田=バンコク線にボーイング787-10型機を投入し、居住性と機能性を高めた新シートを装備する等、プロダクトとサービスの充実を図ってまいります。
航空事業 貨物
国際線貨物では、需要の減速がみられるものの、AI、IoT、ロボット等の次世代技術の浸透に伴うハイテク関連需要や自動車関連需要が引き続き堅調に推移するものと見込まれます。本年7月から大型貨物機ボーイング777F型機を導入し、アジア=北米間のネットワークを整備するとともに、大型貨物・特殊貨物等の新たな商材の取り込みを図り、引き続き収益基盤の強化を目指してまいります。
航空事業 LCC
LCCでは、旺盛な訪日需要を取り込むとともに、新たな旅行需要の創出を図ってまいります。
路線ネットワークでは、Peach・Aviation株式会社において、本年4月より新千歳=ソウル線を新規開設する等、ネットワークの拡充を図ります。
バニラ・エア株式会社は、本年6月以降10月末までに段階的にPeach・Aviation株式会社へ路線移管を進め、2019年度末までにPeach・Aviation株式会社と統合します。これまで築いてきたブランドの強みに加え、両社の路線ネットワークを融合することにより、アジアにおける競争力を高め、お客様満足・マーケットシェアにおいて、「アジアのリーディングLCC」を目指してまいります。
航空事業 機材計画
機材計画では、国際線の事業規模拡大や、貨物事業におけるネットワーク再編等を推進するため、以下の機材導入および退役を予定しています。


航空関連事業
航空関連事業では、旺盛な訪日需要に伴う外国航空会社の就航増加が見込まれること等から、国内空港における旅客・貨物の空港地上支援業務や機内食の供給等の受託拡大を通じて、グループ収益への貢献を目指してまいります。
旅行事業
旅行事業では、パッケージ商品離れが進む中、当期新しく立ち上げた「ANA Traveler’s」ブランドのもと、よりわかりやすく、これまで以上にお客様の声を反映した商品の提供を目指し、既存商品の競争力強化に加え、最新テクノロジーと旅の融合等、新しい商品・サービスの開発に取り組み、収入の拡大を図ってまいります。
国内旅行においては、ANAのマイルが使用できる商品・サービスの拡大やダイナミックパッケージ商品「旅作」の仕入強化による競争力向上、また主力商品「ANAスカイホリデー」の販売シェア拡大に向けた商品企画・販売の強化を図ってまいります。
海外旅行においては、エアバスA380型機導入のプロモーションや商品ラインナップの拡充により、ハワイ方面を重点的に販売強化する他、お客様のニーズを活かした商品開発や個別のご要望に応じたコミュニケーションの強化等による販売促進に努めてまいります。
商社事業
商社事業では、持続的な成長のために今後成長が見込まれる領域を明確に定め、選択と集中を実行することで既存事業の強化・新規事業の創造を行うとともに、グローバルマーケットでのビジネス創出・拡大により、更なる収益の拡大に取り組んでまいります。リテール部門では、消費者一人ひとりのニーズや購買履歴に合わせた「One to One マーケティング」を強化し、食品部門においては、主力商品であるバナナの仕入安定化、生産コスト低減等により収益力を強化する他、航空・電子部門では今後成長が見込まれる航空関連産業において、当期開始した航空機エンジンリース事業を基幹事業に育成してまいります。
その他
その他の事業では、グループ全体での総合力を発揮し、既存事業における構造改革や外部取引の拡大等を推進することで、当社グループ全体の利益拡大に貢献してまいります。
これらによって、ビジネスチャンスを確実に捉え、価値創造を実現し、安定的経営基盤の構築に取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
連結計算書類
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