事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
企業集団の現況
事業の経過及び成果
①全般の概況
2027年3月期を最終年度とする5カ年計画『中期経営計画2022』の2年目である当期については、人件費等の原価が上昇するなか、輸配送や荷役作業のオペレーション効率化に取り組みましたが、他方で主に海上・航空運賃の単価下落の影響により、連結営業収益は前期比402億42百万円減(13.4%減)の2,605億93百万円、連結営業利益は同52億7百万円減(20.1%減)の207億54百万円、連結経常利益は同55億23百万円減(20.8%減)の210億10百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、同35億9百万円減(22.5%減)の121億7百万円となりました。
『中期経営計画2022』で掲げる目標の達成に向け、引き続き「グループ総合力結集によるトップライン成長」、「オペレーションの競争力強化」、「深化を支える経営基盤の構築」の3つを成長戦略の柱とし、積極的な投資とともに各事業の伸長に取り組んでまいります。
②セグメントの概況
物流事業


物流事業の営業収益は前期比402億5百万円減(13.8%減)の2,518億17百万円となり、営業利益は同45億円減(18.8%減)の194億22百万円となりました。
<事業環境>
- ・企業の在庫調整局面が継続していたことから、国際輸送の荷動きは低調に推移しました。
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・コロナ禍における海運市況の混乱や、航空旅客便の減便に伴う貨物スペースの供給制約は解消しており、このため海上・航空運賃の単価は前期との比較では下落しました。
一方で、紅海情勢やパナマ運河の通行制限の影響や、足元で国際貨物の荷動きは底打ちの様子を見せていることから、運賃単価の水準は下げ止まり、概ね横ばいで推移しております。
<営業の状況>
- ・フォワーディング業務は海上・航空運賃の単価下落の影響により減収減益となりました。
- ・家電メーカー向けの物流は、海外の生産拠点から日本国内への国際輸送が低調に推移しました。
- ・家電量販店向けの物流は、国内において大型の白物家電の保管・輸配送業務や宅配設置業務が好調に推移し取扱量が増加しました。
- ・国内の家電や日用品等の輸配送におけるトラック積載効率の向上や、物流センターにおけるオペレーションの効率化に取り組み、コスト削減と同時に人件費や燃料費の高騰への対応も行いました。
不動産事業


不動産事業の営業収益は前期比36百万円減(0.4%減)の95億92百万円、営業利益は同33百万円増(0.6%増)の59億42百万円となりました。
<事業環境>
- ・東京ビジネス地区の既存オフィス物件の平均空室率はほぼ横ばいで推移しました。平均賃料は前期比で微減の傾向が続いておりましたが、足元では横ばいで推移しております。
<営業の状況>
- ・当社所有のオフィス物件の空室率及び賃料水準に大きな変動はなく、営業収益、営業利益ともに横ばいとなりました。
(企業集団の事業別の連結営業収益)

財産及び損益の状況の推移
連結






剰余金の配当等の決定に関する方針
当社グループは「中期経営計画2022」(2023年3月期~2027年3月期)のもと、積極投資と株主還元強化の両立を資金配分に係る基本方針とし、配当につきましては、連結配当性向30%を基準とする業績に連動した機動的な配当を実施する方針としております。
当方針に則り、当期の配当につきましては、通期の連結配当性向が30%程度となるよう期末配当を1株当たり79円とし、中間配当67円と合わせて年間146円といたします。
なお、次期の業績は不動産事業におけるMSH日本橋箱崎ビルのテナント入替に伴う空室の発生やマルチテナント化バリューアップ工事の実施に伴う減価償却費の増加等の一過性の要因により減益が予想されるものの、上記「中期経営計画2022」の想定の範囲内で進捗しており、今後も最終年度である2027年3月期の数値目標達成を目指してまいります。
ついては、次期の配当は、株主との対話を踏まえ安定的に配当を行うことを重視し、年間配当は当期と同額の、中間配当73円、期末配当73円、年間配当1株当たり146円を予定しております。
(注)本事業報告中に記載の金額及び株式数の表示については、いずれも表示単位未満を切り捨てております。
業務の適正を確保するための体制
取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制、その他会社の業務の適正を確保するための体制に関する決定事項の概要は、以下のとおりであります。
①当社グループ各社の取締役・従業員の職務執行が法令・定款に適合することを確保するための体制
当社グループ各社は、諸法令、定款及び社会規範の遵守、反社会的勢力との決別、人権の尊重、環境保全への取組み、情報管理等に関するグループ企業倫理規範を定め、当社グループ各社の取締役及び従業員の行動規範とする。
当社のリスク管理部はグループ全体のコンプライアンス意識の向上を図るため、当社グループを横断的に統括することとし、同部を中心に啓蒙、教育活動を行う。また、同部は当社グループのコンプライアンスの状況を監査する。これらの活動は定期的にコンプライアンス委員会、取締役会及び監査役に報告されるものとする。コンプライアンスの観点から疑義のある行為等については、早期発見と是正を図るため、当社グループ従業員が直接情報提供を行う手段として、グループ共通の「三井倉庫グループコンプライアンスホットライン」を設置する。
受付窓口を外部委託することで通報者を特定できる情報を分離し通報者の個人情報を保護するとともに、通報者の詮索を防ぎ、通報者が通報したことによって不利益な取り扱いを受けない体制を整えている。
②当社グループ各社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する事項
当社グループ各社は、法令及び社内規程に従い取締役の職務執行に係る情報を文書または電磁的媒体(以下「文書等」という。)に記録し保存する。当社グループ各社の取締役及び監査役は、これらの文書等を常時閲覧できるものとする。
③当社グループ各社における損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社内に、当社及び主要なグループ会社のリスク管理責任者からなるリスク管理委員会を置き、グループ全体のリスク管理の状況を審議し、基本的な対応事項、方針等を定める。
コンプライアンス、人権、環境、災害、品質、財務、経理、情報セキュリティ等に係る個別のリスクについては、それぞれのリスク管理を担当する当社グループ各社の部署にて、規則、ガイドラインの制定、研修の実施、マニュアルの作成、配布等を行うものとし、当社グループの横断的なリスク評価及び対応の推進は当社リスク管理部が行うものとする。
④当社グループ各社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社取締役会は当社グループの中長期の事業基本方針を策定し、当社は当社グループの予算管理、資金調達、資金管理等を一元的に行う。各事業領域において事業運営を担うグループ会社(事業会社)はその方針に基づき、自らが所管するグループ会社の運営も含め、自立的な成長を目指し事業運営を行う。その進捗、実績等については、当社が定期的に事業会社から報告を受け、達成状況の検証を行う。
⑤当社グループの企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社グループは目標の実現に向け、グループ企業倫理規範を遵守し、社会の一員としての責任を果たす。
当社は、当社グループ各社の取締役または執行役員に法令遵守、リスク管理に係る権限と責任を与え、各執行部門の責任者を指揮して企業集団の業務の適正を確保するための社内規程及び体制を構築させ、当社のリスク管理部はこれらを横断的に推進し管理する。また、同部はグループ会社各社の監査を行う。財務、資金、ブランド、知的財産、人材、情報資産、不動産等は当社が一元的に管理することにより、当社グループの目標に適した事業運営の基礎的枠組みを維持する。
⑥子会社の取締役、執行役員、従業員等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
当社はグループガバナンスに関する方針を定め、当社グループにおいて各社が負うべき責任及び権限を明確にする。グループ会社各社における重要事項は、当社取締役会の承認、あるいは報告を要することとする。また当社は事業の進捗状況に関してグループ会社各社から定期的に報告を受け、取締役会その他会議にて協議する。
⑦財務報告の信頼性を確保するための体制
当社は、財務報告の信頼性を確保するための体制を構築すべく、主要業務のリスク分析及びそのコントロールに係る基本的な文書類を整備し、適正な手順を策定するとともに、誤謬防止の方策等を講じる。また、当社グループ各社が自らそれら手順、方策等の実施状況を定期的にチェックし、不備が発見された場合にはそれを是正することとする。更に、当社のリスク管理部が横断的に当社グループを監査し、それらチェック及び是正の結果についての確認を行う。
⑧監査役がその補助すべき従業員を置くことを求めた場合における当該従業員に関する体制、その従業員の取締役からの独立性、並びに同従業員に対する指示の実効性の確保に関する事項
当社は、必要に応じて監査役の職務を補助する取締役から独立した専任の従業員(監査役補佐人)を置く。監査役及び監査役会は、同補佐人に対する指揮命令権を有し、また同補佐人の任命、解任、及び人事考課については人事担当の取締役が監査役と協議の上、協議結果を尊重して決定することとする。
⑨当社グループ各社の取締役及び従業員が監査役に報告するための体制
当社グループ各社の取締役、執行役員または従業員は、当該会社もしくは当社の監査役に対して、法定の事項に加え、当該会社及び当社グループに重大な影響を及ぼす事項、内部監査の結果、コンプライアンスホットラインによる通報状況及びその内容を報告することとする。監査役に報告したことを理由として、当該報告者が不利益な扱いを受けることはないものとする。
⑩監査役の職務遂行に要する費用の確保、その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査役会あるいは監査役が監査を行うために社外の専門家へ調査、助言等を求めようとするときは、その費用が合理的なものである限り、当社が負担するものとする。監査役は予め可能な限り年間監査計画を策定し、各対象会社あるいは部署に通知し、他方対象となった会社、部署は効率よく監査が行われるよう協力する。監査結果に基づき、当社の監査役は当社グループ各社の代表取締役、監査役、会計監査人、内部監査部署及び関連部署各々との間で適時意見交換を行う。
業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要
業務の適正を確保するための体制の主な運用状況は、以下のとおりであります。
①業務の適正を確保するための体制全般について
当社グループ全体の業務の適正を確保するため、グループ企業倫理規範を含む社内規程を整備するとともに、持株会社と事業会社の役割、責任を明確にするグループガバナンス方針を制定し、本方針をグループで共有しております。
また、当社リスク管理部がグループ各社に対する内部監査を実施し、グループ経営に対応した効率的なモニタリングを実施しております。
②コンプライアンス体制について
法令遵守体制の強化を図るため、四半期ごとに「コンプライアンス委員会」を開催しております。またコンプライアンスに関する研修に力を入れ、グループ各社の意識を高めるとともに、毎年コンプライアンス意識調査を実施する等、法令遵守の実態を継続的かつ多面的に調査し、活動の成果を検証し、翌年に向けたコンプライアンス違反の予防体制を構築する等法令遵守体制の改善に努めております。
法令違反・不正行為等による不祥事の防止及び早期発見を目的として、内部通報取扱規程を制定し、グループ従業員等を対象に「三井倉庫グループコンプライアンスホットライン」を設けております。受付窓口を第三者機関へ外部委託することで、通報者の個人情報を保護し、内部通報制度の拡充を図っております。
③リスク管理体制について
当社グループの事業活動におけるリスクの認識とその管理に関する基本的事項を「リスク管理規程」に定め、四半期ごとに「リスク管理委員会」を開催してリスク管理の改善、強化に努めており、危機管理に必要な体制を構築しております。
④取締役の職務執行について
当社は取締役会規程、社長及び業務執行取締役の職務権限に関する基本規程を定め、取締役が法令及び定款に則って行動するように徹底しております。また社外取締役を複数名選任して取締役会等を通じて社外取締役の発言が積極的に行われる機会を設けることで、監督機能を強化しております。
当社の取締役会では、年間計画に基づき原則として、年16回開催し、取締役会での議論を通じてグループ各社の経営課題等について全役員が問題意識を共有しております。また、グループ各社における重要事項は、当社取締役会の承認、あるいは報告を要することとし、グループ各社に対する監督機能を強化しております。
⑤監査役の職務執行について
複数の社外監査役を含む監査役は、取締役会への出席及び常勤監査役による経営会議並びにコンプライアンス委員会、リスク管理委員会等重要会議への出席を通じて、内部統制の整備、運用状況を確認しております。また、会計監査人および内部統制機能を所管する当社リスク管理部等と定期的に情報交換を行い、当社グループの内部統制システム全般をモニタリングするとともに、監査役の視点から問題提起、提言を行っております。