事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

(ご参考)業績ハイライト

端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業やauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により、増収となりました。

売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により、増益となりました。

営業利益の増加等により、増益となりました。

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全般の状況

業界動向と当社の状況

世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G (第5世代移動通信システム)(以下「5G」)/IoT※1、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0※2の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)の進展など事業環境が大きく変化しています。さらに、今後5G/IoTが本格化し、さまざまな先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。

当社は、このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、この3カ年における「中期経営計画(2019-21年度)」を策定しています。中期経営計画の初年度である第36期(2019年度)は、個人のお客さまには、「通信とライフデザインの融合」により「グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPU」を最大化させると同時に、決済・金融事業の拡大を進めてきました。昨年開始したスマホ決済サービス「au PAY」は使える場所が続々と拡大し、「au PAY アプリ」は、ひとつのアプリで決済・金融・コマース・でんき・エンターテインメントなど、さまざまなサービスを管理、確認できるよう進化しました。今後、お客さまの家計や日常生活にかかるすべての入り口となる、金融サービスに強い「スーパーアプリ」を目指していきます。昨年12月には、株式会社ローソン及び株式会社ロイヤリティ マーケティングと資本業務提携契約を締結し、本年5月には、当社から付与するポイントを「Ponta」に統一することで国内最大級の1億超の会員基盤が誕生します。アプリと会員基盤を活用し、お客さまに新しい体験価値を提供していきます。また、決済・金融取扱高は大幅に成長し、6兆円を突破しました。さらに、本年3月には第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました。先進の5Gと強靭な4Gのハイブリッドネットワークを基盤に、さまざまな業界のパートナーとともに、エンターテインメントやスポーツ、アートなど日常のあらゆるシーンで、ネットとリアルの接点を生かしたこれまでにない新しい拡張体験「AUGMENTED EXPERIENCE」をお客さまにお届けしていきます。

法人のお客さまには、当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開しています。お客さまのDXを支援する5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を中心に、あらゆる“モノ”に通信が溶け込む時代のデジタルインテグレーターとして、さまざまなパートナー企業とともに5G時代ならではの新しい体験価値とビジネスの創造を進めていきます。また、2001年より提供している法人向けIoTデータ通信の累計回線数が、本年3月に1,150万回線となり、計画を上回って順調に推移しています。今後さらに、IoT世界基盤を通じて、国内だけでなく海外にもIoTをより一層拡大し、お客さまのグローバルビジネスをサポートしていきます。

これらの取り組みにより、営業利益は持続的成長を続けるとともに、成長領域であるライフデザイン領域とビジネスセグメントの売上高は増加しました。

※1 Internet of Things(モノのインターネット)の略。あらゆるモノが通信機能を持ってネットワークにつながり、センサーが収集したデータを送信したり、クラウド上のデータを活用したり、又はそれらのデータをもとに自動制御を行ったりすること。

※2 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。

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事業別概況

パーソナル

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日本国内及び海外における、個人のお客さま向け通信サービス(モバイル、固定通信等)及びライフデザインサービス(コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等)の提供
売上高
営業利益

TOPICS

"UNLIMITED WORLD au 5G"始動

昨年7月に、スマートフォン向け料金プラン「auデータMAXプラン」※1の提供を開始しました。これは、5G時代を見据えた、日本初※2の月間データ容量に上限がないプラン※3です。さらに本年2月には、5G時代に向け、最新のスマートフォンをお求めやすくすることを目的とし、国内通信事業者初※4となる残価設定型のスマホ購入プログラム「かえトクプログラム」の提供を開始しました。

そして本年3月には、5Gの商用サービスとなる「au 5G」を、全国15都道府県の一部エリアにて提供を開始しました。「au 5G」の提供開始にあわせて、4つの5Gスマートフォン向け料金プランの提供を開始するとともに、8Kなど高画質カメラを搭載するハイスペックモデルから、機能を厳選したミドルレンジまで幅広いラインアップとなる、au初の5G対応スマートフォン7機種を順次発売していきます。

※1: 昨年9月30日で新規受付終了。昨年9月13日から「auデータMAXプラン Netflixパック」、昨年10月1日から「auデータMAXプランPro」を提供開始。

※2: 日本国内のMNOによる4G LTEスマートフォン向け料金プランとして。昨年7月23日時点、KDDI調べ。

※3: テザリングなどのデータ容量に上限があります。混雑時や動画などへの通信制限があります。

※4: 本国内のMNOによる残価設定型のスマートフォン向けプログラムとして。本年2月17日時点、KDDI調べ。

新たな体験価値の創造

5G時代の新たな体験価値の創造に向け、本年1月に「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を始動しました。また、本年3月には株式会社テレビ朝日との共同出資会社による新たな動画配信プラットフォーム「TELASA」やライブ体験を拡張する「au 5G LIVE」の始動を発表しました。

昨年12月には、株式会社ローソン及び株式会社ロイヤリティ マーケティングと資本業務提携契約を締結しました。本年5月以降、ポイントを共通ポイント「Ponta」に統一し、お客さまが保有するID間の連携を推進していきます。

また、本年2月以降、決済・コマースサービスを「au PAY」ブランドへ統一するとともに、本年2月から3月にかけて、期間中「au PAY」をご利用いただいたau携帯電話をお持ちでないお客さまも含むすべてのお客さまを対象とした「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」を開催しました。

さらに、昨年12月にグループ内の金融事業の組織再編を完了しました。銀行・決済・資産運用に加え、証券・損害保険・生命保険が集約された金融グループとして「スマートマネー構想」をさらに加速していきます。

これらの取り組みにより、グループの決済・金融取扱高は3月末時点で6兆5,000億円を超え、中期目標を前倒しで達成することができました。スマートフォンで使える便利な金融サービスを拡充し、au PAYを通じて様々な金融ニーズにお応えしていきます。

※ 当社が保有するauカブコム証券株式会社、au損害保険株式会社、ライフネット生命保険株式会社の株式をauフィナンシャルホールディングス株式会社に承継。

お客さま満足度向上への取り組み

昨年9月に株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年 携帯電話サービス顧客満足度調査」において、4年連続となる「総合満足度第1位」を受賞しました。「電話機」「各種提供サービス」「各種費用」「電話機購入経験」「アフターサポート」の5つのファクターで最高評価を頂きました。

※ 出典: J.D. パワー 2016-2019年携帯電話サービス顧客満足度調査。
jdpower-japan.com

グローバルビジネスの展開

KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業では、エンターテインメントコンテンツの充実を図り、VAS(動画・ゲーム)とデータのバンドルパックの提供や、ミャンマーの人気コンテスト“Myanmar Idol”のオフィシャルパートナーになるなど、お客さまのデジタルライフ体験価値の向上に取り組んでいます。また、モンゴル国内の総合通信事業者MobiCom Corporation LLCは、モンゴル通信情報技術庁、通信規制委員会共催の「ICT EXPO 2019」で、最上位の「The best player of ICT EXPO 2019」を受賞しました。

※ Value Added Service(付加価値サービス)

※ 当期より、従来の4つのセグメントから、個人のお客さま向け事業の「パーソナル」、法人のお客さま向け事業の「ビジネス」の2つのセグメントに変更しています。

ビジネス

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日本国内及び海外における、法人のお客さま向け通信サービス(モバイル、固定通信等)及びICTソリューション・データセンターサービス等の提供

TOPICS

お客さまのDXを加速

5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」は、東京・虎ノ門に加えて、昨年9月に沖縄、大阪にも新たに開設し、5Gトライアル環境の提供を開始しました。これらの活動拠点を通じて、さまざまな産業や企業が抱える課題の解決及びビジネスの高度化に向けて取り組んでいます。また、5Gと高精細動画像、AIを組み合わせた法人向け5G対応ソリューションを本年3月より順次提供を開始しています。本年3月には、JFEスチール株式会社とJFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)において「au 5G」サービスを導入し、4K映像などを活用して製鉄所の安定操業やスマートファクトリー化を推進していくことを発表しました。

また、昨年12月にはAmazon Web Services, Inc.(AWS)とともに、5Gの低遅延サービス実現へ向け、AWSの新たなコンピューティング・ストレージサービス「AWS Wavelength」を用いて、エッジコンピューティング環境を構築することを発表しました。5Gと本サービスを組み合わせることで、AWSの利用者に低遅延のアプリケーションを開発できる基盤を提供していきます。

※ 利用者により近い場所にサーバーやストレージなどの装置を配置しデータ処理することで、クラウドサービスを利用したアプリケーションよりも応答時間の低遅延化や回線帯域の削減を実現する手法

お客さま満足度向上への取り組み

当社のサービスを通じてお客さまの本業の発展に貢献することに注力した結果、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査<大企業市場セグメント>」※1「2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査<大企業・中堅企業市場セグメント>」※2、「2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」※3の3部門で「総合満足度第1位」を受賞しました。今後もより一層お客さまにご満足いただけるよう、さらに質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいきます。

※1 出典:J.D. パワー2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査。

※2 4年連続受賞。出典:J.D. パワー 2016-2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。

※3 7年連続受賞。出典:J.D. パワー 2013-2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査。
jdpower-japan.com

グローバルビジネスの展開

グローバル展開を推進する企業に対し、データの収集から蓄積、見える化、活用までワンストップで提供する「グローバルIoTパッケージ」を本年3月から提供開始しました。本サービスは、一昨年6月に発表したIoT世界基盤として初となるパッケージサービスで、クラウド・通信回線・通信デバイスをワンストップで提供します。拡張性の高いクラウドサービス、グローバルローミングサービスと電波法認証済み端末をセットで利用可能なことに加え、デバイス1台から利用することができ、これにより、お客さまのIoTを活用した迅速なビジネス変革をサポートしていきます。

持続的な企業価値向上に向けた取り組み

サステナビリティへの対応

当社は、本年2月に東洋経済新報社「第14回CSR企業ランキング(2020年版)」において、4つの評価項目(人材活用、環境、企業統治+社会性、財務)で上位となり、総合1位の評価を獲得しました。国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への積極的な活動や、離島経済新聞社とともに離島地域の活性化を目的とした「しまものプロジェクト」を実施するなど、自社の技術を活用した幅広い取り組みにより、「企業統治+社会性」などが高く評価されました。

※ 2005年から毎年実施されている調査結果に基づき、複雑化するCSR(企業の社会的責任)と財務の両面から「信頼される会社」を見つけることを目的とするランキング。2020年版では1,593社を対象に実施されました。

地方創生の実現への取り組み

当社は、5G/IoT、様々なICTソリューションやファンドからの資金提供を通じて、地元企業やベンチャー企業が主体となったビジネスモデルの構築を支援しています。また、地域の教育機関などとも連携し、地域人財の育成を目指して教育環境整備に向けた取り組みも進めています。

昨年5月には、地方創生を推進する地元企業やベンチャー企業への出資を目的とした「KDDI Regional Initiatives Fund 1号」を独立系ベンチャーキャピタル大手のグローバル・ブレイン株式会社と共同で設立しました。地域の問題解決に意欲をもった地元企業やベンチャー企業に対して出資の形で成長支援を行うとともに、当社がもつ様々なリソースや技術・ノウハウを提供することで、地域にとっても企業にとってもサステナブルなビジネスモデルの構築に取り組んでいきます。

新技術を活用した社会課題解決への取り組み
~5Gを活用した道路造成工事の実証に成功~

当社と株式会社大林組、日本電気株式会社は、本年2月に、建設中の川上ダム(三重県伊賀市)の一部施工フィールドにおいて、5Gを活用した道路造成工事の実証に成功しました。3台の建設機械の遠隔操作と自動運転システムを搭載した振動ローラの同時連携に加え、施工結果をリアルタイムに取得することによって、一般的な道路造成工事の施工を実施しています。将来的には、現場に行く時間の削減や工数の削減につながることが期待されます。

~5Gを活用した災害医療対応支援に関する実証実験を実施~

当社と防衛医科大学校、株式会社Synamonは、昨年8月に、災害医療対応支援に関する実証実験を実施しました。災害現場に高精細の360度カメラを設置し、5Gを通じてVR空間上に映像を配信・投影することで、VR空間内で医療従事者や消防機関が連携して現場を指揮・支援することができるシステムを構築しました。これにより、遠隔地からでも現場にいる職員に対して指示を出すことが可能となり、救命活動を円滑に進められることを確認しました。併せて、5GによるVR空間上での設備見学やディスカッションなどの双方向コミュニケーションによるリアルタイム遠隔医療教育に関する実証実験も実施し、有効性を確認しました。

※ Virtual Realityの略 仮想現実のこと

※ 社名及び商品名は、それぞれ各社の登録商標又は商標です。

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