事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が通期にわたり継続するなか、政府による各種政策の効果や海外経済の改善もあって、企業収益や設備投資が徐々に改善するなど、景気の一部に弱さがみられるなかでも、おおむね持ち直しの動きがみられました。一方、足元では、感染対策に万全を期し経済社会活動が正常化に向かいつつも、ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇や供給面での制約等による下振れリスク、また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響などにより、先行きは依然として不透明な状況のなかで推移いたしました。

このような状況において、当社グループは、2021年4月から始動したホールディングス体制のもと、ガスエネルギー事業を中核に据えながら、国内外での不動産事業や国際エネルギー事業等、事業の多角化・強靭化に向けた懸命な営業活動を展開いたしました。

当期の連結売上高は、ガス事業において原料費調整によるガス料金単価の上方調整によりガス売上が増加したことに加え、電力・その他エネルギー事業においても海外へのLNG出荷が拡大したこと等から、前期に比べ232億8千万円増の2,152億7千3百万円となりました。

費用面につきましては、ガス事業において原料LNGの調達先で発生したトラブルを受け、代替の原料LNGをスポット市場から調達した影響等による費用増や減価償却費の増加はあったものの、経営全般にわたりコストの削減に取り組みました。

この結果、営業利益は前期に比べ44億円減の4億5千1百万円、経常利益は前期に比べ39億8千7百万円減の5億7千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ12億9千9百万円減の4億9千5百万円となりました。

セグメント別の状況

事業別の業績は、以下のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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当連結会計年度末の都市ガス事業におけるお客さま戸数は113万2千戸であり、都市ガス販売量は前期に比べ4.7%増の9億399万7千㎥となりました。このうち業務用ガス販売量につきましては、主に工業用分野において新型コロナウイルス感染症の影響からの回復により7.7%増の5億5,296万5千㎥となりました。一方、家庭用ガス販売量は、巣ごもり需要の縮小等により使用量が減少したことから3.4%減の2億3,116万8千㎥となりました。また、他の事業者への卸供給ガス販売量につきましては、卸供給先の需要増等によって8.0%増の1億1,986万4千㎥となりました。

以上のような都市ガス販売量の結果と原料費調整によるガス料金単価の上方調整の影響等により、売上高は前期に比べ7.2%増の1,204億4千9百万円となりました。

売上高
前期比 %増
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LPG販売単価が上昇したこと等により、売上高は前期に比べ24.3%増の242億4百万円となりました。

売上高
前期比 %増
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国際エネルギー事業として海外向けのLNG出荷が拡大したことに加え、電力販売件数が増加したこと等から、売上高は前期に比べ66.0%増の210億9百万円となりました。

売上高
前期比 %増
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分譲、賃貸事業の拡大に加え、海外不動産事業の展開により、売上高は前期に比べ6.2%増の388億1千4百万円となりました。

売上高
前期比 %増
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その他の事業には、食関連事業(食品販売事業、飲食店事業)、情報処理事業等が含まれておりますが、食関連事業における新型コロナウイルス感染症の影響からの一部回復等により、売上高は前期に比べ3.5%増の269億1千3百万円となりました。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、人口減少・少子高齢化や電力・ガス小売全面自由化の進展はもとより、カーボンニュートラルの実現に向けた潮流やサステナビリティ意識の高まり、新型コロナウイルス感染症による社会変容など、急速に変化しております。これらの環境変化に迅速かつ適切に対応するため、当社グループは、創業100周年を迎える2030年に向けた「西部ガスグループビジョン2030」を2021年11月に公表し、これを具現化する新たな中期経営計画として「Next2024」を2022年4月よりスタートいたしました。

当社グループは、グループの総力を結集し、「Next2024」の確実な実行により、グループ企業価値の向上に努めるとともに、地域社会への貢献を通じて、お客さまに選ばれ続ける企業グループを目指してまいります。

■新中期経営計画「Next2024」の概要

「Next2024」では、中核であるガスエネルギー事業の競争力強化を図るとともに、電力その他エネルギー事業や不動産事業を成長させてまいります。引き続き事業構造の変革に取り組み、ガスエネルギーとそれ以外の事業構成比を2030年度において同程度とすることを目指してまいります。また、このために必要な経営資源をグループとして最適に配分し、利益の最大化を図ってまいります。

■主な取り組み

天然ガスシフトの推進

カーボンニュートラルの実現に向けて、徹底した天然ガスシフトを進めてまいります。

エネルギーの低炭素化と最適利用
  • 石油・石炭を熱源とするお客さまに対して、低炭素化に貢献する天然ガスやLPガスへの燃料転換を推進します。
  • エネルギーサービスの充実を図り、お客さまに最適なエネルギーをワンストップで提供します。
熱源の燃料転換
新たな取り組みへのチャレンジ
  • お客さまの低炭素化に貢献するため、カーボンニュートラルLNGなどの環境に優しいエネルギーを提供します。
  • 船舶向けLNG燃料供給など、天然ガスの新たな用途への活用を進めます。
カーボンニュートラルLNG
ひびきLNG基地の戦略的活用

ひびきLNG基地を最大限活用し、天然ガス取扱量の拡大を図ることで、ガスエネルギー事業と電力小売事業の競争力を強化してまいります。

国際エネルギー事業の強化
  • これまで進めてきたひびきLNG基地を活用した連携ビジネスを加速させ、アジア向けのLNG取扱量の増大を図ります。
海外向けLNG取扱量
天然ガス発電所の建設
  • ひびき発電所の事業化を九州電力株式会社と共同で進めます。
  • 同発電所の稼働を見据え、電力小売事業を強化します。
ひびき発電所 竣工イメージ
お客さまの安全・安心と安定供給体制の強化

エネルギー事業者として最大の責務であるお客さまの安全・安心を確保するため、引き続き安定供給体制と災害時の対応力の強化に取り組んでまいります。

レジリエンスの強化
  • 迅速かつ的確な緊急保安対応により、安全・安心を提供します。
  • 実践的な防災訓練やグループ会社間の連携強化により災害対応力を高めます。
防災訓練
保安の高度化の推進
  • 技術・技能の確実な継承を行うとともに、保安人財の早期育成を図ります。
  • デジタル技術の積極的な導入やデジタル人財の活用などによるスマート保安を推進します。
スマート保安の推進
再生可能エネルギー事業の強化

エネルギー源の多様化や電源の低炭素化に向け、再生可能エネルギー事業の強化に取り組んでまいります。

発電容量の拡大
  • 太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの電源開発を進め、発電容量を拡大します。
再生可能エネルギー発電容量
再エネを活用した新たなサービスの提供
  • PPAやVPPなどの新たなサービスの創出やビジネスモデルの構築に取り組みます。
  • 自治体や地元企業と連携しながら地域のエネルギー課題の解決に取り組みます。
PPAサービス

※PPAはPower Purchase Agreement(電力販売契約)の略
※VPPはVirtual Power Plant(仮想発電所)の略

不動産事業の拡大

暮らしの重要な基盤となる不動産事業の拡大に取り組んでまいります。引き続き住宅分譲事業を推進するとともに、賃貸住宅やオフィス・商業施設の開発など賃貸事業を強化してまいります。

住宅分譲(マンション・戸建)

北部九州、山口を中心にお客さまのニーズに沿った住まいをご提案します。

賃貸住宅

福岡都市圏を中心に、街並みと調和した都市型賃貸住宅を開発します。

オフィス・商業施設など開発

オフィス、倉庫、商業施設などを企画・開発し地域の発展に貢献します。

リフォーム・リノベーション

時代やライフスタイルに合わせ「快適」で「安心」なリフォーム・リノベーションを提供します。

不動産サービス

土地及び建物の売買、仲介、マンション管理など、不動産に関する総合的なサービスを提供します。

海外不動産

タイ、フィリピンにおいて分譲事業などを展開します。

地域社会を支える価値の共創

エネルギーとくらしの総合サービス企業グループとして、社会や暮らしの多様なニーズに寄り添ったサービスの拡充、創出に向けて、既存事業の進化やスタートアップなどとの共創に取り組んでまいります。

エネルギーと暮らしのサービスの提供
  • 環境にやさしいエネルギーを中心に、食・レジャー・介護など、お客さまの日々の生活やビジネスを支える多様なサービスを提供します。
  • コーポレートベンチャーキャピタルの出資先との連携などを通じ、新たなサービスを共創します。
エネルギーと周辺サービス
地域活性化への貢献
  • コミュニティの活性化など、地域が抱える課題解決に向けた取り組みを推進します。
  • 行政、地元企業などとの連携を通じて地域独自の事業やサービスを共創します。
団地再生支援(宗像市日の里)
カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦

天然ガスシフトの取り組みに加え、様々なステークホルダーと連携しながら未来を見据えた技術開発に取り組むなど、グループ大でカーボンニュートラルの実現に向けて挑戦してまいります。

エネルギー分野での取り組み
  • メタネーション技術の開発に向けて、行政や業界団体などとの連携を強化します。
  • 学術機関などと連携し、CO2回収技術などに関する技術の導入に取り組みます。
ひびきLNG基地でのメタネーション実証構想
エネルギー分野以外での取り組み
  • 環境性能が高い住宅やオフィスなどを提供します。
  • フードロス削減に寄与するサービスの提供など、循環型社会に向けた取り組みを推進します。
フードロス削減ECサイト
経営基盤の強化

安定的な事業運営と競争力の向上に向けて、経営基盤の強化を図ってまいります。

以上の取り組み課題への着実な対処により、事業の健全な発展に邁進するとともに、株主のみなさまやお客さまからの信頼にお応えし、地域社会とともに発展していく企業グループを志向してまいる所存であります。

株主のみなさまには、格別のご理解を賜りますとともに、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻をお願い申しあげます。

財産及び損益の状況の推移

連結計算書類