事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

① 事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されましたが、国内外の感染拡大による下振れリスクの高まりや金融資本市場の変動など依然として先行き不透明な状態が続きました。

このような状況の下、当社グループは「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、最高の品質とサービスでより多くのお客様に満足をご提供し、適正な利潤の確保によりステークホルダーに報い、社会に貢献できる企業を目指しております。

基盤事業である自動車リース関連事業を中心に、ケミカル事業、パーキング事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業を展開しており、これら既存事業の強化を進めながら、事業領域の枠にとらわれない新規事業への参入、規模拡大を目的とした積極的なM&A、海外展開にも挑戦しております。

当連結会計年度の連結売上高は1,126億18百万円(対前期比14.1%増)、営業利益は75億16百万円(対前期比9.3%増)、経常利益は75億13百万円(対前期比8.1%増)、また、自動車リース関連事業における基幹システムの開発中止等に伴い「固定資産除売却損」を24億83百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は30億15百万円(対前期比31.9%減)となりました。

事業の概況

次に事業の概況を事業別にご報告申しあげます。なお、下記の事業別売上高は、内部売上高消去前の金額であります。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

リースにおきましては、リース契約車両は依然として小型化傾向にありますが、国内のリース車保有台数は堅調な伸びを維持しており、市場は緩やかながら拡大傾向にあります。当社グループは、地域密着のきめ細やかなサービスで競合他社との差別化を図りながら、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行うとともに、既存顧客との更なる取引深耕に努めました。これらの結果、2021年3月末現在リース契約台数は87,254台(対前期末比2,680台増)となり、リース契約高は387億51百万円(対前期比11.6%増)、リース未経過契約残高は810億49百万円(対前期末比6.6%増)となりました。

自動車メンテナンス受託におきましては、当社グループ独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとしながら、更なる契約台数、契約残高の増加に努めましたが、一方で大口契約先の受注台数が減少した結果、メンテナンス受託契約台数は84,863台(対前期末比1,272台減)となり、メンテナンス受託契約高は56億50百万円(対前期比14.7%減)、メンテナンス未経過契約残高は82億69百万円(対前期末比4.2%減)となりました。

燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客へのサービス向上並びに新規顧客の獲得に注力いたしました。

販売面では、リースは契約台数が順調に推移いたしました。また、車両処分の販売台数が増加いたしました。一方、自動車メンテナンス受託は契約台数が減少し、車体の外装修理サービスの販売も減少いたしました。燃料販売は販売数量が増加いたしました。

損益面では、主力である自動車リースの販売が増加したことに加え、車両処分の販売台数並びに販売単価が増加したことにより利益が増加いたしました。また、燃料販売の仕入価格が安定したことにより利益が増加いたしました。

この結果、売上高は517億28百万円(対前期比3.5%増)、営業利益は47億63百万円(対前期比8.8%増)となりました。

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

ケミカル事業におきましては、住みよい地球環境と人々の暮らしの向上に貢献するべく、商品開発力の強化及び品質向上に取り組むとともに、付加価値の高い商品の販売に注力いたしました。

販売面では、新型コロナウイルス感染症の影響により、工業薬品関連の燃料添加剤及び石炭添加剤の販売は減少し、化学品関連の機械工具商向けケミカル製品の販売も減少いたしました。

一方、化学品関連の自動車整備工場向けケミカル製品の販売並びに一般消費者向けケミカル製品の販売は順調に推移いたしました。

損益面では、主力事業における販売減少の影響により利益が減少いたしました。

この結果、売上高は112億25百万円(対前期比3.6%減)、営業利益は11億80百万円(対前期比13.6%減)となりました。

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

パーキング事業におきましては、安全・安心・清潔で利用しやすい駐車場をお客様にご提供するべく、「OnePark」のブランド名でコインパーキングや来客用駐車場を全国に展開しているほか、病院や官公庁及び商業施設に附帯する駐車場の運営管理も行っております。中長期的に安定した収益基盤を築くため、更なる駐車場数の拡大に努めた結果、2021年3月末現在駐車場管理件数は1,460件(対前期末比51件増)、管理台数は33,320台(対前期末比966台増)となりました。

販売面では、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛や商業施設の営業自粛等により、駐車場の稼働が大幅に低下したことにより、販売が減少いたしました。

損益面では、販売減少の影響により利益が減少いたしました。

この結果、売上高は50億86百万円(対前期比11.2%減)、営業利益は2億33百万円(対前期比67.8%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

機械工具販売事業におきましては、プロ向けや個人向けの各種工具類、自動車部品、建設機械部品など幅広い商材を取り扱っており、自社でインターネット通販も展開しております。更なる事業規模の拡大並びに収益性の向上を実現させるため、取扱アイテムの拡充、自社オリジナル製品の開発・販売の強化、商品調達コスト及び物流コストの低減に努めました。

販売面では、新型コロナウイルス感染症の影響により、自動車整備工具、建設機械部品等の販売が減少いたしましたが、空調工具及び計測工具の販売は順調に推移いたしました。また、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社アクセスが販売増加に寄与いたしました。

損益面では、空調工具及び計測工具の販売増加により利益が増加したことに加え、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社アクセスが利益の増加に寄与いたしました。

この結果、売上高は338億87百万円(対前期比37.4%増)、営業利益は8億91百万円(前期は3億17百万円の営業利益)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

合成樹脂事業におきましては、遊技機部品の製造・販売を行う主力のアミューズメント事業を中心に、新規顧客の拡大及び新商品の開発を図り、同時に品質改善にも努めてまいりました。

販売面では、新型コロナウイルス感染症の影響により、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売が減少いたしました。一方、科学計測器の販売並びに半導体実装装置メーカー等へのセラミックヒーターの販売は堅調に推移いたしました。また、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社浅間製作所が販売増加に寄与いたしました。

損益面では、主力であるアミューズメント事業の販売減少に伴い、利益が減少いたしました。一方、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社浅間製作所が利益の増加に寄与いたしました。

この結果、売上高は112億19百万円(対前期比60.0%増)、営業利益は6億17百万円(前期は2億68百万円の営業利益)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

その他事業の農業におきましては、経営を軌道に乗せるべく継続して栽培ノウハウの蓄積を進めるとともに、新しい販路の開拓及び6次産業化に向けた検討・研究等、収益化に向けた取り組みを行ってまいりました。

販売面では、農業において、収穫量が増加したことにより販売が増加いたしました。

損益面では、農業において、新型コロナウイルス感染症の影響により、流通市場における野菜の需要が低迷し、単価が下落したことに加え、栽培ハウスの暖房に係る燃油代等のコストが想定を上回ったことにより、損失幅が拡大いたしました。

この結果、売上高は3億4百万円(対前期比15.4%増)、営業損失は1億85百万円(前期は1億78百万円の営業損失)となりました。

事業別の状況

事業別の状況
② 設備投資及び資金調達の状況

当連結会計年度における設備投資の総額は231億49百万円で、その主なものは自動車リース関連事業の賃貸資産の取得等213億94百万円、ケミカル事業における工場設備の取得等5億29百万円、パーキング事業における駐車場設備の取得等4億52百万円、機械工具販売事業における工場設備の取得等5億44百万円であります。これらの必要な資金に充当するため、自己資金に加え、金融機関からの長期借入を中心とした資金調達を実施しました。

また、当連結会計年度における主な除売却は自動車リース関連事業における基幹システムの除却23億28百万円であります。

対処すべき課題

今後のわが国経済は、国内外の新型コロナウイルス感染拡大による下振れリスクの高まり等により依然として先行き不透明なものの、今後のワクチン接種の進展並びに各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されております。

このような状況の中、当社グループは今後も「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、既存事業の強化を進めながら、次代に向けたグループ経営基盤の強化に努め、更に事業領域の枠にとらわれず、幅広くお客様に「快適さ」をご提供し、社会に貢献できる事業の拡大を目指してまいります。

自動車リース関連事業

リースにおきましては、リース契約車両は小型化傾向にありますが、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図ってまいります。また、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めてまいります。

自動車メンテナンス受託におきましては、自動車整備業界における整備士の人材不足、後継者問題等を背景とした廃業の増加により整備委託料金が全国的に上昇基調にあり、当社グループも一定のメンテナンスコストの増加を見込んでおります。このような状況の中、当社グループは今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとするべく、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築に取り組むとともに、更なる契約台数及び契約残高の増加を図ります。また、走行距離に応じた適切な料金設定とメンテナンスコストの抑制、車両販売における車両の獲得方法と販売方法の多様化、取扱台数の増加に注力し収益向上に努めてまいります。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に一層注力し、収益の拡大を目指してまいります。

燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客に対する満足度の追求並びに新規顧客の拡大を図り販売数量の増加に努めてまいります。また、脱炭素社会におけるクリーンエネルギーへの転換を見据え、燃料販売の新たな事業モデルの構築に取り組んでまいります。

当事業年度に開発を中止した基幹システムにつきましては、開発中止に至った要因の分析を詳細に行った上で、今後のシステム開発に生かすべく「業務改革プロジェクト」を新たに組成し、2021年4月より専任部署を設置してプロジェクト活動を本格化してまいります。

システム開発が頓挫した大きな要因の一つである業務フローの複雑さを解消するため、リース並びに自動車メンテナンス受託における業務プロセスの見直し(BPR)を推進しており、また並行して現行の基幹システムの改修による性能改善並びにデジタル技術の導入による業務効率化を進めることで、単純業務から創造性のある付加価値の高い仕事へのシフトを実現し、競争力の向上に繋げてまいります。

ケミカル事業

ケミカル事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響として、顧客の製造拠点の稼働低下に伴うケミカル製品の売上減少等の影響が続いておりますが、引き続きセールスエンジニアの育成を行い、特定の専門業界への販売に注力しつつ新たなマーケットへの参入を試み、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアル等、商品開発力の強化及び品質向上に取り組みながら付加価値の高い商品の販売に注力いたします。また、バイオマス燃料用添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発を強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指してまいります。

パーキング事業

パーキング事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響として、外出自粛など社会活動の停滞により、駐車場の稼働が減少する状況が続いておりますが、中長期的に安定した収益基盤を築くため、引き続き営業力を強化し、駐車場数の拡大を図るとともに、キャッシュレス決済の導入促進等により他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に努めてまいります。また、病院、商業施設等に附帯した駐車場にも積極的に取り組み、グループの基盤事業の一つとして安定的な収益を稼ぐ事業に育成してまいります。

機械工具販売事業

機械工具販売事業におきましては、引き続き取扱アイテムの拡充及び自社オリジナル製品の開発・販売力を強化するとともに、脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目を拡大し、国内外のマーケットシェアの拡大を目指してまいります。また、事業内で重複する機能を集約することによる経営の効率化や、商品一括仕入機能の強化による商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、物流の内製化等の取り組みを更に進め、当事業の課題である収益性の改善に注力してまいります。更にネット販売については、自社サイトを中心に販売の強化を継続してまいります。

合成樹脂事業

合成樹脂事業におきましては、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売について、一貫受注体制を構築し、新規顧客の拡大を図るとともに、品質改善に努めてまいります。また、ガス検知器・セラミックヒーターの販売については、シェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進してまいります。また、新たな収益の柱を構築するため、これまでに培った合成樹脂のリサイクル技術をベースに、環境負荷の低い樹脂製品の開発・販売等、脱炭素社会に向けた新商材の採用、商品開発に注力いたします。

その他事業

その他事業の農業におきましては、新たな大規模農場の開拓により事業規模の拡大を図るとともに、課題である販売単価の向上を実現するため、安定した収穫量及び出荷数量を維持することによる市場からの信頼獲得、販売ルートの多様化による直販比率の向上、ミニトマトの供給量の端境期である夏季収穫に向けた試作、農作物の加工品開発による6次産業化の推進、また将来的な海外輸出等も視野に入れて、収益性の改善に向けた取り組みを推進してまいります。

また、生産に係る各種コストの低減を図るため、栽培ハウス内の温度管理の徹底による燃油代の削減、農場内のオペレーションの最適化による人件費の削減、選果料等の外部委託業務に係る手数料の削減交渉等の取り組みを並行して進めてまいります。

連結計算書類