事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

① 事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されておりましたが、世界的な金融引締め等に加え、物価上昇、供給面の制約等の下振れリスク、金融資本市場の変動など依然として先行き不透明な状態が続いております。
このような状況の下、当社グループは「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、最高の品質とサービスでより多くのお客様に満足をご提供し、適正な利潤の確保によりステークホルダーに報い、社会に貢献できる企業を目指しております。
基盤事業である自動車リース関連事業を中心に、ケミカル事業、パーキング事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業を展開しており、これら既存事業の強化を進めながら、事業領域の枠にとらわれない新規事業への参入、規模拡大を目的とした積極的なM&A、海外展開にも挑戦しております。
当連結会計年度の連結売上高は1,278億22百万円(対前期比5.9%増)、営業利益は88億61百万円(対前期比2.8%増)、経常利益は91億2百万円(対前期比4.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億23百万円(対前期比4.9%増)となりました。

事業の概況

次に事業の概況を事業別にご報告申しあげます。なお、下記の事業別売上高は、内部売上高消去前の金額であります。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

リースにおきましては、リース契約車両は依然として小型化傾向にありますが、国内のリース車保有台数は堅調な伸びを維持しており、市場は緩やかながら拡大傾向にあります。当社グループは、地域密着のきめ細やかなサービスで競合他社との差別化を図りながら、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行うとともに、既存顧客との更なる取引深耕に努めました。
これらの結果、2023年3月末現在リース契約台数は93,190台(対前期末比3,217台増)となり、リース契約高は380億81百万円(対前期比4.1%増)、リース未経過契約残高は856億71百万円(対前期末比2.0%増)となりました。
自動車メンテナンス受託におきましては、当社グループ独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとしながら、更なる契約台数、契約残高の増加に努めましたが、メンテナンス受託契約台数は81,938台(対前期末比1,037台減)となり、メンテナンス受託契約高は61億5百万円(対前期比5.5%減)、メンテナンス未経過契約残高は84億37百万円(対前期末比2.2%減)となりました。
燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客へのサービス向上並びに新規顧客の獲得に注力いたしました。
販売面では、リースは契約台数が順調に推移いたしました。また、燃料販売も販売数量が順調に推移いたしました。
損益面では、主力である自動車リースの販売が増加したことに加え、車両処分の販売単価が上昇したことにより利益が増加いたしました。また、燃料販売の仕入価格が安定したことにより利益が増加いたしました。
この結果、売上高は592億93百万円(対前期比10.1%増)、営業利益は62億69百万円(対前期比19.6%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

ケミカル事業におきましては、住みよい地球環境と人々の暮らしの向上に貢献するべく、商品開発力の強化及び品質向上に取り組むとともに、付加価値の高い商品の販売に注力いたしました。
販売面では、化学品関連の自動車整備工場向けケミカル製品及び機械工具商向けケミカル製品の販売並びに工業薬品関連の燃料添加剤の販売は順調に推移いたしました。一方、工業薬品関連の石炭添加剤の販売並びに一般消費者向けケミカル製品の販売は減少いたしました。
損益面では、急激な円安の進行及び原材料価格の上昇の影響により利益が減少いたしました。
この結果、売上高は118億85百万円(対前期比2.7%増)、営業利益は10億29百万円(対前期比15.2%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

パーキング事業におきましては、安全・安心・清潔で利用しやすい駐車場をお客様にご提供するべく、「OnePark」のブランド名でコインパーキングや来客用駐車場を全国に展開しているほか、病院や官公庁及び商業施設に附帯する駐車場の運営管理も行っております。中長期的に安定した収益基盤を築くため、更なる駐車場数の拡大に努めた結果、2023年3月末現在駐車場管理件数は1,833件(対前期末比117件増)、管理台数は37,326台(対前期末比176台増)となりました。
販売面では、新規駐車場の開発が順調に進み、また、既存駐車場の継続的な収益改善活動の効果もあり、販売が増加いたしました。また、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社オートリが販売増加に寄与いたしました。
損益面では、販売増加の影響により利益が増加したことに加え、前連結会計年度に新たに連結子会社となった株式会社オートリが利益の増加に寄与いたしました。
この結果、売上高は69億17百万円(対前期比24.2%増)、営業利益は9億54百万円(前期は4億73百万円の営業利益)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

機械工具販売事業におきましては、プロ向けや個人向けの各種工具類、自動車部品、産業・建設機械部品など幅広い商材を取り扱っており、自社でインターネット通販も展開しております。更なる事業規模の拡大並びに収益性の向上を実現させるため、取扱アイテムの拡充、自社オリジナル製品の開発・販売の強化、商品調達コスト及び物流コストの低減に努めました。
販売面では、自動車部品及び産業資材並びに産業機械部品等の販売は順調に推移いたしました。
損益面では、急激な円安の進行の影響により利益が減少いたしました。
この結果、売上高は364億27百万円(対前期比3.3%増)、営業利益は5億25百万円(対前期比24.0%減)となりました。

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

合成樹脂事業におきましては、遊技機部品の製造・販売を行う主力の遊技機部品事業を中心に、新規顧客の拡大及び新商品の開発を図り、同時に品質改善にも努めてまいりました。
販売面では、前期に遊技機の新基準機への移行に伴う入替需要が増加したことの反動により、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売が大幅に減少いたしました。また、科学計測器の販売は前期並みに推移いたしましたが、半導体実装装置メーカー等へのセラミックヒーターの販売は減少いたしました。
損益面では、上記要因における販売減少の影響により利益が減少いたしました。
この結果、売上高は122億76百万円(対前期比13.6%減)、営業利益は1億61百万円(対前期比85.7%減)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

その他事業の農業におきましては、経営を軌道に乗せるべく継続して栽培ノウハウの蓄積を進めるとともに、新しい販路の開拓及び6次産業化に向けた検討・研究等、収益化に向けた取り組みを行ってまいりました。
販売面では、農業において、農作物の販売数量が減少いたしましたが、販売単価は上昇いたしました。また、前連結会計年度に新たに連結子会社となった新光硝子工業株式会社及び新生ガラス株式会社が販売増加に寄与いたしました。
損益面では、農業において、高知県南国市に新たに開設した「南国農場」の開設費用等の経費が増加いたしましたが、既存農場における販売単価の上昇等の要因により、前期比では損失幅が縮小いたしました。また、前連結会計年度に新たに連結子会社となった新光硝子工業株式会社及び新生ガラス株式会社が利益の増加に寄与いたしました。
この結果、売上高は21億28百万円(対前期比84.9%増)、営業損失は99百万円(前期は1億39百万円の営業損失)となりました。

事業別の状況

事業別の状況
② 設備投資及び資金調達の状況

当連結会計年度における設備投資の総額は174億48百万円で、その主なものは自動車リース関連事業の賃貸資産の取得等158億88百万円、ケミカル事業における工場設備の取得等3億35百万円、パーキング事業における駐車場設備の取得等7億30百万円、その他事業における農業用設備の取得等2億80百万円であります。これらの必要な資金に充当するため、自己資金に加え、金融機関からの長期借入を中心とした資金調達を実施しました。

対処すべき課題

今後のわが国経済は、世界的な金融引締め等に加え、物価上昇、供給面の制約等の下振れリスク、金融資本市場の変動など依然として先行き不透明なものの、ウィズコロナの中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されております。
このような状況の中、当社グループは今後も「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、既存事業の強化を進めながら、次代に向けたグループ経営基盤の強化に努め、更に事業領域の枠にとらわれず、幅広くお客様に「快適さ」をご提供し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる事業の拡大を目指してまいります。

自動車リース関連事業

リースにおきましては、リース契約車両は小型化傾向にありますが、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図ってまいります。また、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めてまいります。
自動車メンテナンス受託におきましては、自動車整備業界における整備士の人材不足、後継者問題等を背景とした廃業の増加により整備委託料金が全国的に上昇基調にあります。また、メンテナンスに関連する自動車部品等の価格の上昇が続いており、当社グループも一定のメンテナンスコストの増加を見込んでおります。このような状況の中、当社グループは今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとするべく、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築に取り組むとともに、更なる契約台数及び契約残高の増加を図ります。また、走行距離に応じた適切な料金設定とメンテナンスコストの抑制、車両販売における車両の調達方法と販売方法の多様化、取扱台数の増加に注力し収益向上に努めてまいります。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に一層注力し、収益の拡大を目指してまいります。
燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客に対する満足度の追求並びに新規顧客の拡大を図り販売数量の増加に努めてまいります。また、脱炭素社会におけるクリーンエネルギーへの転換を見据え、燃料販売の新たな事業モデルの構築に引き続き取り組んでまいります。

ケミカル事業

ケミカル事業におきましては、供給面の制約や原材料価格の上昇が続いていることに加え物流コストも上昇基調である中、販売価格への転嫁を機動的に行うことで利益の確保に努めてまいります。今後も引き続きセールスエンジニアの育成、特定の専門業界への販売に注力しつつ新たなマーケットへの参入を試み、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアル等、商品開発力の強化及び品質向上に取り組みながら付加価値の高い商品の販売に注力いたします。また、汎用樹脂向けバイオマス添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発及び販売を一層強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指してまいります。

パーキング事業

パーキング事業におきましては、2023年4月に実施した株式会社イチネンパーキングと株式会社オートリの統合を機に、営業ノウハウの共有や部材調達の一元化等を加速することで経営の効率化を実現し、収益力の強化に繋げてまいります。また、中長期的にグループの基盤事業の一つとして安定した収益基盤を築くため、引き続き営業力を強化し、駐車場数の拡大を図るとともに、キャッシュレス決済やフラップレス駐車場の導入促進等により他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に努めてまいります。

機械工具販売事業

機械工具販売事業におきましては、供給面の制約や原材料価格の上昇が続いていることに加え物流コストも上昇基調である中、販売価格への転嫁を機動的に行うことで利益の確保に努めてまいります。今後も引き続き取扱アイテムの拡充及び自社オリジナル製品の開発・販売力を強化するとともに、脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目を拡大し、国内外のマーケットシェアの拡大を目指してまいります。また、事業セグメント内で重複する機能を集約することによる経営の効率化や、商品一括仕入機能の強化による商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、製造部門における国内外工場の生産体制の最適化による原価低減、物流の内製化等の取り組みを更に進め、当事業の課題である収益性の改善に注力してまいります。更にネット販売については、特定のカテゴリに特化した特色ある自社サイトの構築に注力し、売上規模の拡大及び収益性の向上に取り組んでまいります。

合成樹脂事業

合成樹脂事業におきましては、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売において、次世代型遊技機向けの部材開発や、リサイクル材を採用した部材等の技術開発、提案力の強化に注力することで新規案件の受注拡大を図るとともに、品質改善に努めてまいります。また、ガス検知器・セラミックヒーターの販売については、シェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進してまいります。また、新たな収益の柱を構築するため、これまでに培った合成樹脂のリサイクル技術をベースに、環境負荷の低い樹脂製品の開発・販売等、脱炭素社会に向けた新商材の採用、新製品の開発に注力いたします。

その他事業

その他事業のガラス加工事業におきましては、販売力・技術力・生産力を高め、業界における優位性・独自性のある企業経営を追求し、新たな技術や製品開発、市場開拓に取り組んでまいります。また、需要が高まる安全ガラスや機能性ガラスの生産体制を強化するなど、収益性の改善に向けた取り組みを推進してまいります。
その他事業の農業におきましては、2022年9月より高知県南国市に新たに開設した「南国農場」に続く、新たな大規模農場の開拓により事業規模の拡大を図ってまいります。また、課題である販売単価の向上を実現するため、安定した収穫量及び出荷数量を維持することによる市場からの信頼獲得、販売ルートの多様化による直販比率の向上、バイオスティミュラント資材等の導入による収穫量拡大に向けた試作、農作物の加工品開発による6次産業化の推進等、収益性の改善に向けた取り組みを推進してまいります。
また、生産に係る各種コストの低減を図るため、栽培ハウス内の温度管理の徹底による燃油代の削減、作業時間短縮を目的とした農業用機器の導入による人件費の削減、選果料等の外部委託業務に係る手数料の削減交渉等の取り組みを並行して進めてまいります。

連結計算書類