事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)
企業集団の現況
(1) 当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
【全般的状況】
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米国第一主義を基点とした米中貿易摩擦などの通商問題や中東の情勢不安に起因する地政学リスクの高まりにより、先行きが不透明ながらも緩やかな景気回復が続いておりましたが、年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、急速に悪化に向かいました。
このような経済環境であるものの、当社グループにおいては、受注は順調に推移しました。売上に関しても、コンサルティング・システム開発事業、マネージメントサービス(BPO)事業とも前連結会計年度を上回る実績を確保しております。売上総利益については、コンサルティング・システム開発事業において近年発生しておりました不採算プロジェクトに対する品質改善への取り組みにより生産性が改善したことや、マネージメントサービス(BPO)事業における稼働率改善、固定費を中心とした費用構造の改善効果が出てきたことにより、前連結会計年度を上回る結果となりました。
販売費及び一般管理費については、売上増加に伴う生産拡大のため人財確保に向けた費用の増加により前連結会計年度比では増加しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当連結会計年度における影響については、一部の事業場においてテレワークや時差通勤の推奨を行いましたが、プロジェクトの遂行に大きな影響はありませんでした。
その結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高28,351百万円(前連結会計年度比14.2%増)、営業利益2,130百万円(前連結会計年度比23.7%増)、経常利益2,256百万円(前連結会計年度比36.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,427百万円(前連結会計年度比43.6%増)となりました。また、当社グループの目標とする経営指標である連結営業利益率は7.5%(前連結会計年度比0.6ポイント増)、自己資本利益率(ROE)は、15.7%(前連結会計年度比3.4ポイント増)となり、目標値(それぞれ6%、10%)を上回りました。
なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、当連結会計年度の売上高が前連結会計年度に対し40百万円(0.2%)増加し、営業利益及び経常利益が3百万円(0.2%)それぞれ減少しております。
事業区分別の概況
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
コンサルティング・システム開発事業
コンサルティング・システム開発事業の当連結会計年度は売上高20,756百万円(前連結会計年度比16.5%増)、セグメント利益1,671百万円(前連結会計年度比32.8%増)となりました。
事業別の内訳は次のとおりであります。

(注)PLM支援ソリューション
PLM(Product Lifecycle Management)支援ソリューションでは、製造業を中心とした製品設計の効率化をもたらすソリューションを提供しております。
マネージメントサービス(BPO)事業
マネージメントサービス(BPO)事業の当連結会計年度は売上高7,961百万円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益435百万円(前連結会計年度比7.0%減)となりました。また、事業ポートフォリオの目標値であるマネージメントサービス(BPO)事業売上の売上高に対する比率は27.7%(前連結会計年度比1.5ポイント減)となり、目標値の30%に届きませんでした。これは、マネージメントサービス(BPO)事業の売上が順調に伸長したものの、規模の大きいコンサルティング・システム開発事業も堅調に拡大したことが主な要因であります。
事業別の内訳は次のとおりであります。

(2) 直前3事業年度の財産及び損益の状況
(3) 対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、米中貿易摩擦などの通商問題や中東地域の地政学リスクの高まりにより、先行きが不透明ながらも緩やかな景気回復が続いておりましたが、年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、急速に悪化に向かいました。
このような環境下におきましては、グループ経営基盤を確固たるものにし、持続的な成長を実現するために事業ポートフォリオ改革の推進に加え以下の戦略を徹底して推進してまいります。
①コンサルティング事業の強化
当社グループは、コンサルティング業務を事業ドメインとして、「コンサルティング+会計」「コンサルティング+システム開発」「コンサルティング+BPO」のようにコンサルティングと他業務を一体化してサービスを提供し、競合他社との差別化と高付加価値化を追求してきました。来年度(2021年3月期)はこの戦略をより一層強化し、「コンサル一体型SI」「High Value BPO」を推進いたします。
・コンサルティング・メニュー、ソリューション・メニューの強化・拡充
・High Value BPOの更なる推進による安定収入の増強
・情報セキュリティ事業、グローバル事業への取り組み強化
・AI、5G、RPA、FinTech等の最新技術への早期取り組み
・質の高い新卒採用、中途採用の拡大、及び継続的な社員教育による高度人財の確保
・優秀パートナーの開拓、既存コア・パートナーとの協業強化、及び効果的なアライアンスの実施
②顧客志向の経営
顧客との親密性を徹底的に追求し、顧客の真の課題やニーズを深堀りし、顧客の囲い込みにより収益の安定化を図ります。
・アカウントコミッティの推進強化による個社別営業プランの策定と実行
・顧客密着型サービス(定着化、SES、人材派遣 等)の拡大
・グループ総合力を活用した、点(単一サービス) ⇒ 面(複合サービス) へのサービス展開
③事業基盤の強化
各プロジェクトの生産性向上及び、経営企画、人事総務、経理、情報システムを含めた経営管理部門の機能強化と生産性向上を図ります。
・各サービスのノウハウ蓄積、標準化、方法論の確立による絶対的品質の提供
・プロジェクト管理力の更なる強化と生産性向上によるシステム開発力の強化
・経営管理機能の強化と生産性の向上
・グループ一体経営の推進
・Webを活用したマーケティング強化とBBSブランドの向上、及び市場への浸透
・働き方改革と健康経営の推進
④公正・適切な企業活動を通じた社会貢献
・東証1部上場会社としての自覚と「コンプライアンスガイド」の遵守
・SDGs経営による地球・社会への貢献とブランド価値の向上
・社員の安心・安全・安定を実現するための働きやすく、活力ある職場環境づくり
当社グループ全員が一丸となり、円滑なコミュニケーションによる組織の活性化を図りながら、目標に向かって事業拡大を推進してまいります。
(4) 剰余金の配当等の決定に関する方針
当社は創業以来一貫して、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つと考えております。利益配分につきましては、株主の皆様への安定的な利益配当を基本に、当期業績に基づく株主の皆様への利益還元と財務体質強化のための内部留保を総合的に勘案して実施する方針であります。
当事業年度の期末配当金につきましては、1株につき30円とさせていただきました。既に、2019年11月に実施済みの中間配当金1株当たり25円と合わせまして、年間配当金は1株当たり55円となります。