事業報告(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過および成果
当期におきましては、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」といいます)の拡大防止のため、対面での営業活動の抑制など顧客、取引先、従業員への感染リスクを回避する体制を整えると同時に、社員のテレワークや時差出勤の推進、会議のオンライン化、職場におけるソーシャルディスタンスの確保など、ニューノーマル時代に対応した体制の構築に注力いたしました。
また、新型コロナ収束後に想定される本格的なDX(デジタルトランスフォーメーション)時代の到来を見据え、研究開発、人材育成に積極的に取り組みました。
財務面では、資産効率の向上のため、かねてより進めてきた所有不動産の売却を進め、当期において主要な資産処分を完了しました。
当期の売上高は415億73百万円と新型コロナの影響を受け前期比1.7%の減収となりました。業種別には、システム開発プロジェクト等の中断・遅延や営業活動の停滞が発生した金融分野において同4.1%、産業分野において同7.5%とそれぞれ減収となりましたが、公共分野においては子育て支援など福祉関連の法制度改正案件や緊急事態宣言に伴う定額給付金関連業務等の寄与により売上高は同2.6%の増収となりました。
損益面においては、主に金融、産業分野において新型コロナの影響による売上減少や技術者の稼働低下などにより営業利益は27億86百万円(前期比4.0%減)、経常利益は29億25百万円(同1.1%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、所有不動産の処分に伴う減損損失7億65百万円などを計上したため、14億32百万円(同30.6%減)となりました。
【業種別連結売上高】

対処すべき課題
① 当社グループの経営環境について
2020年度の日本経済は、新型コロナ拡大防止のため、緊急事態宣言が発出されるなど、経済活動は大きく制限され、2021年3月内閣府発表の2次速報値では、2020年の実質GDP成長率は前年比-4.8%と予測されました。当初はリーマンショック時のように急激に落ち込んだ景気はV字回復するとの見方も一部にあったものの、医学的な封じ込めが実現浸透するまでの間、不透明な状況が続くものと思われ、企業のIT投資も2021年3月内閣府・財務省「法人企業景気予測調査結果」発表では前年度比-9.2%まで落ち込みました。
一方で、最新のIT技術を取り入れてコアな強みを応用、拡大することや、新規事業を通じて業態変化や業容拡大を目論む企業の動きも大きくなってきました。IT需要の変化に対応した新たなソリューションやサービスを提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の市場は急速に拡大し、2030年度には現在の約4倍に達するとの予測もあります。
政府主導で始まった公共分野に対する様々なデジタル化の動きは、当社のような自治体分野を得意とするITベンダーにとって追い風となるとみています。新型コロナ拡大防止対応の続く自治体では従前のIT技術ではサポートに限界があった業務分野において、新たにAIなどの最新技術活用により住民サービス向上を図る動きが出てきました。当社が強みを持つ福祉分野での広がりが期待されています。
② 当社の経営戦略について
当社は、高付加価値な「サービス提供型ビジネス」を加速してきましたが、急激な市場変化に対する顧客の根本的な経営課題解決を図るDX型ビジネスを更に拡大させます。
新たに始動させた「2023中期経営計画」では、「安全・安心な社会を創生」をグランドコンセプトと定めております。
安全・安心な社会を実現するためには、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、一人一人が快適で活躍できる社会にするための課題や困難を克服することが急務となります。政府はSociety5.0の中でAIなどの最新のIT技術を活用し、解決を図ると提唱しており、この考え方は、創業以来、半世紀にわたり自治体をはじめとした、金融、保険などの社会を支えるITサービス提供をしてきた当社の事業活動と目指す方向は同じと考えます。
当社は、自治体向けDXのサービス展開を足掛かりに、教育や防災、医療介護や決済など民間分野へ応用拡大したDXのサービス提供を広げていきます。
更に、当社が持つ顧客基盤や業務ノウハウ、IT技術と、業務提携先である株式会社三菱総合研究所の強みである社会課題解決への知見・ノウハウに基づくコンサルテーション力を戦略的に掛け合わせることにより、競争力のあるDXサービスを展開していきます。
また、こうした事業活動を通して、SDGsの目標達成に向け、全社をあげて取り組んでいきます。