事業報告(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過および成果

当期は「2023中期経営計画」の総仕上げとして「自治体向け情報システムWebRingsの標準化対応」、「DXソリューションの拡充」、「サステナブル経営の推進」を軸に事業を推進してまいりました。

「自治体向け情報システムWebRingsの標準化対応」
当社のコア事業である公共分野においては、地方公共団体情報システムの標準化対応(自治体システム標準化対応)の期限延伸により、事業計画面および収益面で影響を受けましたが、2024年度以降に本格化する自治体システム標準化対応に向けたシステム開発投資に加えて、新たに品質管理部門を設置するなど万全な準備を進めています。確実な移行に向けて、2024年度後半より導入作業を開始する予定です。

「DXソリューションの拡充」
お客様のDXをITを活用して支援すると共に、当社グループの総合力を活かして自らが持続可能な社会の創造に貢献するDX企業グループへの変革を図るべく、強固な顧客基盤の構築と豊富なサービスラインナップの拡充に努めてまいりました。
特に自治体DXに関連したDXソリューションの開発を中心に取り組み、業務資本提携先である株式会社三菱総合研究所グループや他企業とのアライアンスを推進し、「手続きBaton」、「AI相談パートナー」の拡販、民間分野へのDXサービスの提供を進めてまいりました。

「サステナブル経営の推進」
グループ会社のアイネス総合研究所でのDX人材開発を強化し、また同業他社とのアライアンスによる新規事業開拓への挑戦を続けてまいりました。
当期において当社は監査等委員会設置会社へ移行し、監督・監査機能の強化を行いコーポレートガバナンスの一層の強化を図ってまいりました。
また、財務体質の向上を目指して、保有不動産の処分を行ってまいりましたが、働き方改革の実現に向けた新たな拠点戦略として、2023年5月、東京駅至近に全社営業の発信地として位置付けた「八重洲オフィス」を開設し、2023年9月には、新たに水天宮前にオフィスビルを取得しました。同オフィスビルにはアイネスグループ各社の本部・本社機能を集約し、グループ経営の意思決定迅速化、生産性向上、コミュニケーション強化を図り、経営基盤強化と企業価値の向上を目指してまいります。

当期の売上高は405億57百万円と前期比4.4%の減収となりました。業種別連結売上高は下表のとおりです。
公共分野につきましては、標準化前のリプレース需要の減少などにより、185億4百万円(前期比6.8%減)となりました。
金融分野につきましては、前期と概ね同水準の77億65百万円(同2.0%増)となりました。
産業分野につきましては、主に基幹システム開発案件の減少などにより142億87百万円(同4.3%減)となりました。
商品・サービス別では、公共分野における前期開発案件の保守フェーズへの移行などによりシステム開発が減少しシステム保守が増加しました。
損益面においては、主に公共分野の減収および新営業オフィス開設に伴うコスト増などにより、営業利益は28億77百万円(前期比24.3%減)、本社移転に伴う一時費用計上などにより、経常利益は27億32百万円(同29.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億95百万円(同29.3%減)となりました。

【業種別連結売上高】

対処すべき課題

① 当社グループの経営環境について

2024年度以降も当社を取り巻く国内ITサービス業界全体は堅調に拡大すると見込まれていますが、地方公共団体を中心とする公共分野においては「自治体システム標準化」を迎える2025年に向けて、従来型の自治体ソリューション市場は急拡大するとともに、標準化対応後の環境は大きく変化しつつあります。
一方、当社の注力分野であるDX市場は堅調に推移することが予測されています。特に公共分野においては2023年に施行されたこども基本法や、同法に基づく大綱による「こどもまんなか社会」の実現など、政府は子育て政策に注力しており、当社が強みを持つ福祉分野の拡大とともに、自治体DX、地域の民間向けDX需要のさらなる拡大につながると期待されています。

② 当社の経営戦略について

当社グループは、「創造と和と挑戦をもって お客さまからの信頼をもとに未来をひらき、世界中のお客さまと感動と喜びを分かち合い、豊かで安全・安心な社会の創生に貢献する」という経営理念に基づき、事業活動を通じた社会課題解決と、ITテクノロジーを活用した新たな価値の創造に取り組んでいます。
これまで、お客様の経営課題解決に寄与するDX企業として様々なソリューションを提供してまいりました。今年度より新たに始動させた「2026中期経営計画」ではAIを活用したDXソリューションを拡充し、お客様のDX化を加速させるとともに、当社自らもAIを活用して、さらにDX企業としての進化を遂げることにより、お客様に高度で、高品質なソリューション・サービスを提供してまいります。
事業戦略の3つの柱として「地方公共団体情報システムの標準化対応」、「次世代ソリューションの開発」、「事業基盤拡充」に取り組み、中期経営計画の実現とともに、持続可能な社会の創造に貢献するAI×DX企業として、各種施策を推進してまいります。

【地方公共団体情報システムの標準化対応】
地方自治体情報システム標準化方針に則り、当社の自治体様向けソリューションWebRingsの標準化対応開発を計画通り進め、2024年度より本格的に標準化システムへの移行を進めていきます。全国の拠点網を活用するとともに、アライアンス先の日本電子計算株式会社とも連携し、万全の体制で標準準拠システムへの移行支援を進めてまいります。

【次世代ソリューションの開発】
「手続きBaton」をはじめ、自治体DX、地域・民間DXソリューションの拡充および業務資本提携先である株式会社三菱総合研究所グループとともにAIを活用した自治体向けソリューション「AI相談パートナー」の拡販を進めてまいりました。このノウハウを活用し、地域・民間での相談業務DXソリューションとして、拡販を進めてまいります。さらに、三菱総合研究所との協業関係を深化させ、シンクタンク×ITの実行力を発揮し、住民の課題解決・地域のデジタル化を推進する「地域共創DX」にも取り組んでまいります。
また、自治体システム標準化後を見据え、次世代WebRingsの開発へ着手いたします。次世代WebRingsは、多様化する住民サービスに応えるべく、「つながる」をコンセプトとし、自治体と民間事業者をつなげ、異業種横断的な住民サービスの提供を目指します。

【事業基盤拡充】
全国の拠点網の拡充を図るとともに、アライアンスを通じて、同業他社との連携を通じて、顧客数の拡大・顧客基盤の拡充を図ります。
加えて、自治体から、地域・民間へと、さらに多くのお客様にサービスを提供できるようソリューションの拡充を進めてまいります。

また、経営基盤の強化を図るべく、「人的資本投資」、「財務・資本戦略」、「ITインフラ投資」戦略を推進してまいります。「人的資本投資」として、社員一人ひとりが輝くための制度・仕組み・環境を整備し、自律型人材を育成し、戦略的な人材配置や外部プロフェッショナル人材の登用、人材のリスキルを積極的に行ってまいります。「財務・資本戦略」としては、株主・投資家の価値向上に向けた資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応、事業拡大に向けた戦略的投資、資本構成の最適化、株主還元施策などを進めてまいります。また、セキュリティ対策の更なる強化、AIを主とした生産性・品質向上に寄与するITインフラの高度化を実現する「ITインフラ投資」を行います。
社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・企業風土を醸成し、さらなる成長企業として当社グループは、挑戦・進化してまいります。

連結計算書類